俳句ポスト365結果発表

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第3回 2013年2月7日週の兼題

金縷梅

  • よしあきくん一期一会の一句
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今週のお便り&俳句道場

☆今週の俳句道場~初級者向け解説コーナー
 さあ、今週も皆さんからいただいた投句をもとに、俳句のイロハを解説していきます。毎週読んでいるうちに俳句の作り方がわかってくる講座でございますよ。

●添削という杖〜♪
金縷梅と称して佐保姫のまつげ こま
 「きゃりーぱみゅぱみゅのつけまつげみたいな花ですよね」というコメントも楽しい、こまさん。「佐保姫」は春を司る女神を意味する春の季語ですから、この句堂々たる季重なり。でもこの発想が愉快なので、ちょっと気に入ってます!
 原句のままだと、どちらが主たる季語か迷ってしまうので、ちょっと語順を変えてみましょうか。

 【添削例】 佐保姫のまつげなるらん金縷梅は

 「金縷梅」の映像を最後の余白に託すという手法ですが、やってみるとあんまり印象変わらないなあ(苦笑)。やはりここは季重なりを諦めるのが妥当な線かもしれませんね。

 【添削例】 かの神のまつげなるらん金縷梅は

金縷梅の風来し三坂峠より 八十八
 「三坂峠」は松山市と久万高原町を結ぶ道ですが、きっと日本全国にこの地名はあるんじゃないかな。その場所を知らなくても「三坂」という字面から地形も想像できます。
 さて、ささやかな問題点は「来し」の「し」という助動詞の使い方です。「し」は過去の助動詞「き」の連体形。かつて起こってすでに終わっている意になりますので、掲出句の意味を考えたときに違和感が生じます。この場合は、完了の助動詞「ぬ」を使うと、一気に問題解決です。
 
【添削例】 金縷梅の風来ぬ三坂峠より

●兼題「椿」の句へのQ&A(上級者向け)

窓ぢゆうが空であるなり山椿 ローストビーフ
 【(前略)作者は「空でありたり」という表現がいいかなと迷ったようですが、断定の助動詞「たり」は体言にしか接続しませんので、同じ断定の助動詞「なり」(体言、用言の連体形などに接続)ならば文法的な問題が解消します。】

 この【 】部分の解説について、ご質問を受けました。(某講演会場にて、「ローストビーフ君の『椿』の句、好きでした」と声をかけて下さった方、ありがとうございます!)以下、Q&Aです。
 
Q.「たり」という助詞は今まで何気なく使ってきたが、体言にしか接続できないとは知らなかった。例えば『枯野行きたり』のような使い方も間違いなのか。

A.助動詞「たり」には、完了と断定、二つの意味があります。
 「窓じゅうが空だ」との断定が掲出句の句意ですから、当然使われるのは断定の助動詞となるべきですね。が、断定の助動詞「たり」は体言にしか接続できないので、もう一つの断定の助動詞「なり」を選択したということになります。
 それに対して「枯野行きたり」は、完了の意。完了の助動詞「たり」は動詞の連用形に接続しますから、「行きたり」という用法は正しい!ということになります。

 今回の質問からは離れますが、ローストビーフ君の句に関しては別の方法で断定することも可能です。

 窓ぢゆうが空なり
 窓ぢゆうが空たり 
 窓ぢゆうが空

 前半をこのような形で切り、後半残りの音数を使って「山椿」を描写する方法です。たった十七音とはいえ、様々な工夫が可能なのが俳句。私はこんな言葉のパズルみたいな推敲過程がとても楽しいです!

夏井先生

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