俳句ポスト365結果発表

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第187回 2018年1月11日週の兼題

しゃぼん玉

  • よしあきくん一期一会の一句
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  • 天・地の俳句

天

しゃぼんだま世界は二分後もあるか
亀田荒太
似たような発想から生まれる句がないとはいいませんが、中七下五「世界は二分後もあるか」という問いかけにハッとします。世界を揺する核兵器の脅威、気候変動による環境破壊、耐性を進化させるウィルスの恐怖など、世界終末時計は今も刻々と進んでいます。
美しい「しゃぼんだま」を次々に吹く。次々に壊れていく「しゃぼんだま」を見上げながらふっと心を過る「世界は二分後もあるか」という思い。原爆が投下される二分前、大地震が起きる二分前、大津波が押し寄せる二分前、火山が噴石を噴き上げる二分前。「しゃぼんだま」を吹くという穏やかな日常に「二分後」の安全保証はないということです。
2月20日に金子兜太先生が98歳の大往生を遂げられました。戦争を再び起こしてはいけない!と、兜太先生は様々な形で私たちに語り、その意志を繋いでいけと教えて下さいました。東京新聞「平和の俳句」の活動もその一つでした。
俳句で平和を訴えていくこともできる。スローガンのような代物ではなく、詩の力でもって心を揺することができる。そう固く信じています。私たちはこれからも怯むことなく、このようなテーマにも挑んでいくべきだと、改めて肝に銘じた作品です。

地

ひゆおんひゆおん飛んでけしやぼん玉お化け
めいおう星
「ひゆおんひゆおん」というオノマトペで、どんな「しやぼん玉」なのかを映像として見せる。見事な表現です。盥の中のせっけん液に大きな輪っかを浸けて作る、あのタイプの「しやぼん玉」ですね。最後の「しやぼん玉お化け」という押さえも楽しい♪
肺活量5500のしやぼん玉
さるぼぼ@チーム天地夢遥
これは「肺活量5500」ということは、大きな大きな一個の「しやぼん玉」でしょう。みるみるうちに大きく膨らみ、ゆらりゆらりと光が渦巻き始める「しやぼん玉」。数詞の効果に思わずニヤリとさせられました。
石鹸玉二十八個の肺活量
江口小春
数詞の句がもう一つ。しかも「肺活量」なのが面白い。違いは「二十八個」という単位です。こちらは次々に生まれてくる小さな「石鹸玉」を想像しました。発想は似ているのに、見えてくる映像が違うのも興味深いなあ。数詞って巧く使うと効果的ですね。
子でも居たっけ二階上からシャボン玉
雪華るな
この句にも数詞は入っていますが、こちらの眼目はむしろ「子でも居たっけ」という呟きです。「子でも居たっけ」という言い方で、このマンションの住人たちのお付き合い度が想像できます。確かあそこには子どもいないように思ってたけど……という程度のお付き合い。「二階上から」降ってくる「シャボン玉」をしばし共有する麗かな時間です。
虹色に草やしやぼんの液倒る
ウェンズデー正人
吹くとか、飛ぶとか、そういう発想だけではなかったのだね。外でシャボン玉やってると、途中で飽きちゃって、こんな小さな事件も起こる。「虹色に草や」という映像展開が巧い作品です。
「しやぼんの液倒る」という表現を、季語「しやぼん玉」だとは認めないという考え方の俳人もいるだろうとは思いますが、季語「しやぼん玉」の現場で遭遇した小さな事件を、瑞々しく切り取った作品であると考えます。若草も匂い立つような春です。
しゃぼん玉香る花嫁達の時間
美しい情景です。結婚式の演出として「しゃぼん玉」が使われているのだろうと想像しました。「香る」は「しゃぼん玉」の匂いでありつつ、香り立つような「花嫁」の印象も思わせます。「花嫁達の時間」とは、これからウェディングブーケが投げられる光景でしょうか。「しゃぼん玉」の空に投げられる花嫁のブーケも美しく香り立ちます。
子の無くてすがしきからだ石鹸玉
小泉岩魚
「子の無くてすがしきからだ」というフレーズに、心がきゅんとなりました。「無くて」というマイナスイメージ表現からの「すがしき」という展開が実に瑞々しい。「すがしきからだ」は、ひかりだけを閉じ込めた「石鹸玉」の映像とかさなってくるかのよう。美しくて切なくてすがしい心を抱えて吹く春の「石鹸玉」です。
しやぼん玉静かな自爆かかえとぶ
卯MOON
自爆テロという無残な言葉がニュースで報じられる昨今。「静かな自爆」という詩の言葉に、心が揺さぶられます。「しやぼん玉」が自ずと壊れるのは当たり前のことですが、それを「静かな自爆」と定義することで、新たな解釈が生まれます。「かかえとぶ」という押さえも巧いですね。
リリィ買われる石鹸玉こわれる
小倉じゅんまき
「リリィ」とは女でしょうか、男娼でしょうか。仔犬かもしれないし、小鳥かもしれません。さまざまな「リリィ」を思い浮かべていくと、後半「石鹸玉こわれる」の味わいも変わっていきます。「リリィ」という名も「石鹸玉」もどこか切ない取り合わせです。
百歩ほどの仔犬の家出しやぼん玉
堀口房水
「仔犬」がいない!と慌てて、門を出てみると、ほんの「百歩ほど」向こうにいて、こちらを見つめているのでしょうか。「仔犬」の小さな「家出」という名の冒険。あっという間に連れ戻されてしまったのか、飼い主と一緒にもう少しお散歩を楽しんだのか。「しやぼん玉」との取り合わせが可愛い一句です。

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