俳句ポスト365結果発表

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第193回 2018年4月5日週の兼題

初鰹

  • よしあきくん一期一会の一句
  • 初心者向け解説コーナー今週の俳句道場
  • 今週のお便り
  • 人・並選の俳句
  • 天・地の俳句

天

初鰹気の強さうな火の立ちぬ
蘭丸結動
私の故郷愛媛県愛南町の深浦港は、県内唯一の鰹の水揚げ基地。初鰹の時期には鰹祭りも行われ、市場では目の前で初鰹をさばいてくれます。待ちに待った「初鰹」です。ここでしか食べられない通称びやびや鰹の刺身は驚きの美味ですが、やはりたたきも食したい。
ドラム缶に「火」が熾ります。節に切った鰹が運ばれます。表面を炙ったあと一気に冷やす氷水の盥も準備万端。客は列をなし、「火」の熾る様子を見つめます。一掴みの藁が投じられます。一気に炎が立ち上がります。「気の強さうな火」です。新鮮な鰹の表面を炙るこの火力が、鰹のたたきの命。「初鰹」の喜びと市の賑わいが「気の強さうな火」という措辞の向こうに見えてくる一句です。

地

棟上げのお客百人初鰹
うに子
「棟上げ」に招いた「お客百人」に振る舞うことができた「初鰹」。うまくその日に水揚げがあれば、と願っていた「初鰹」。新築の喜びが「初」の一字の喜びに重なります。賑やかで目出度いお祝い句。
黒潮の年輪けふの初鰹
くらげを
「黒潮」にのってやってくる「初鰹」。近年は黒潮のルートが変わり、それに伴って鰹の通る道も変わってきてるのだそうです。「黒潮」が育てる「年輪」を刻み「けふの初鰹」があがります。
しみじみと箸の国なり初鰹
まるちゃん2323
この美味さをどう表現したらよいのかと思いつついただく「初鰹」。手にした箸をしみじみ眺め、「しみじみと箸の国」の民であるよと思う。「箸の国」に生まれた喜びと共に食す「初鰹」です。
洋上のぶっかけ飯や初鰹
a.柝の音
「初鰹」を一番に堪能するのは漁師さんたち。取れたての鰹をさばいた「ぶっかけ飯」。醤油とみりんの付け汁につけた鰹をご飯の上にのせるヤツかな。「洋上」ならではの美味なる漁師丼です。
初鰹下戸には見えぬ漁労長
野地垂木
「漁労長」とは、漁船で漁獲作業の指揮・監督をする人。「初鰹」の群を釣り上げた後の慰労の酒でしょうか。冷静にして頼もしい「漁労長」がまさかの「下戸」という意外もまた、愉快な俳句の種です。
組合長が取材へ見せる初鰹
河合郁
こちらは「組合長」です。「初鰹」が水揚げされたというニュースの「取材」にやってきたテレビクルー。漁業組合の「組合長」はここぞとばかりに「初鰹」を掲げます。初物ならではの笑顔です。
初がつを銀座に真砂女ありしころ
あつちやん
俳人鈴木真砂女は、銀座で「卯波」という店を切り盛りしていました。今はその店もなくなった「銀座に真砂女ありしころ」という呟きは、「初がつを」の季節になると思い起こされる感慨でしょう。
初鰹新入幕の派手に負け
山香ばし
贔屓にしていた力士が「新入幕」となった嬉しさ。応援にも力が入りますが、なんと初日に土がついてしまう。「派手に負け」の潔さは明るい負けっぷり。「初鰹」を差し入れて景気づけするか!
鎌倉は蘇芳に明けて初松魚
どかてい
「蘇芳」とは、紫がかった赤色。「蘇芳」に明ける「鎌倉」の海。かつてこの沖で獲れた「初松魚」の話が『徒然草』にも書かれています。今も昔も変わらぬ「初松魚」の喜び、鎌倉の夜明けの美しさ。

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