俳句ポスト365結果発表

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第209回 2018年11月15日週の兼題

雪兎

  • よしあきくん一期一会の一句
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  • 天・地の俳句

天

雪うさぎのなんとあたたかさうな白
ぐでたまご
なんとも単純にして、なんとも「雪うさぎ」らしさにあふれた一句。「雪うさぎ」と「あたたか」という言葉を取り合わせる発想の句はあるに違いありません(今回の投句にも数句ありました)が、全ての言葉を受け止める「白」の一語が鮮やかです。例えば、「雪うさぎ」と「雪だるま」の違いを確保したい時、大きさや場所の違いを書きたくなりがちですが、「あたたかさうな白」という心情を含んだ質感で表現する。その感覚が瑞々しいのです。小さな「雪うさぎ」は、その小ささゆえに雪の日の太陽を透かせ、表面の雪の粒が光を弾きます。丸いかたち、赤い実の目、小さな葉っぱの耳。季語「雪うさぎ」の存在そのものが「あたたか」なものなのだなと、読み手の心まであたたかくなってくる作品でした。

地

雪うさぎ机上静かな野となりぬ
にゃん
季語「雪うさぎ」の解説には「盆の上に飾り」という文言がでてくることが多いですね。当然のことながら、この「机上」には「雪うさぎ」を飾った盆が置かれているのです。「雪うさぎ」の明るさ、冷たさが、机の上を「静かな野」にしてしまうという清浄な一句。「静かな野」という詩語に格調が添います。
七つ目の雪うさぎおくすべり台
幸の実(9才)
「七」という数詞が巧い。「雪うさぎ」を「すべり台」に置くという映像を「七つ」という数詞が支えます。しかも「七つ目」ですから、一つずつ作っては並べている子どもたちも見えてくる。小学生って、俳句のタネを自ら生み出す名人だよな!
同時投句「かいねこのざらりとなめるゆきうさぎ」の、猫の舌の「ざらり」と舐める雪の感触にも惹かれました。
雪うさぎ朝の校歌の豊かなり
一阿蘇鷲二
「雪だるま」でもよいのでは?と思う人もいるかもしれませんが、「雪だるま」だと校庭の外で「朝の校歌」を聞いている感じ。「雪うさぎ」となれば、教室や校長室などの窓辺を思わせます。それによって下五「豊かなり」の実感に違いが生まれてきます。私は、断然「雪うさぎ」がよいと思います。
雪兎にしては大きすぎはせぬか
ざうこ
出来上がった「雪兎」というよりは、いま作っている「雪兎」なのでしょうね。「雪兎」を作ると言い張ってはいるが、どうみても可愛い「雪兎」にはなりそうもない雪の量。「大きすぎはせぬか」と呟いてないで、早くそう言ってやりなよ!とも思うが、そこがこの句の滑稽味だものね(笑)。
溶けぎはのときをあそべり雪兎
大塚迷路
こちらは「溶け」はじめている「雪兎」です。「雪だるま」は溶けていくとただ残念感が強くなっていくのみですが、「雪兎」は飾られた盆の上で溶けてゆくさまをも愛でるものなのだと、気づかされます。「溶けぎは」という状態の「とき」を「あそべり」という擬人化に、切なさと美しさがまじります。
雪うさぎ眼を患ひてをりにけり
きゅうもん@木ノ芽
「雪うさぎ」の「眼」に注目した句も勿論たくさんありました。が「患ひてをりにけり」は、その「眼」が取れているのか、歪んでいるのか、片目だけ傷のある木の実を使ってるのか。あるいは我が身を託した心情的なものなのか。何一つ書いてないのです。全ての読みを受け入れて、一句の「雪うさぎ」はポツネンとそこに置かれています。
雪兎ポポロ享年一夜半
はむ
「ポポロ」は「雪兎」につけた名前でしょうか。「一夜半」で溶けてしまうことを「享年」と表現したか。あるいは、実際に飼っていた兎が「ポポロ」かもしれない、という読みもできます。溺愛していたウサギを思いつつ「雪兎」を作ったのかもしれない、と。「享年」という言葉がそんな印象を与えるのかもしれませんね。
時代劇シーン15の雪兎
只暎
「時代劇」の撮影現場です。台本の「シーン15」には「雪兎」が置かれていて、それにまつわる台詞があるのでしょう。現場スタッフが、外の雪を使って「雪兎」を作りスタンバイしているのか。雪が降った日に作った「雪兎」が冷凍室から運ばれてきてるのか。いかようにも読めて楽しい。
雪うさぎ三ヶ月目のニューヨーク
朝桜咲花
「三ヶ月目のニューヨーク」という措辞だけで、状況がほぼ分かります。経済効率のよい措辞ですね。やっと街に慣れ始めた「三ヶ月目」でしょうか。「ニューヨーク」という地名と季語「雪うさぎ」の取り合わせが明るくて、未来が開けてくるような一句。
教祖になる雪兎をこしらえる
蟻馬次朗
はぁ?!「教祖」と吃驚! 可愛い優しい愛すべき「雪兎」の句が並ぶ中で、大いなる異彩を放っていた一句。「教祖になる」で切れる、つまり私か誰かが「教祖」になったと述べているのか、はたまた「教祖になる雪兎」と続くのか。どちらにしても怖いけど、案外ドラえもんの世界みたいな他愛ない話なのかもしれません。そんなこんなで、この句から逃れられなくなってしまいました(笑)。
同時投句には「秀爺作雪兎恐ろしや恐ろしや」というさらなるホラー路線もありつつ、「もぎたての雪のみづみづしき兎」というフレッシュな作品もあり、なかなか侮れない作家だなあ!と楽しみになってきました。

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