俳句ポスト365 ロゴ

初級者結果発表

2019年5月30日週の兼題

空蝉

【曜日ごとに結果を公開中】

【優秀句】

  • 空蝉はいつ空蝉となるのだろ

    雷紋

  • 空蝉や水音昇る御神木

    正木羽後子

  • ブロック塀ぎぎと空蝉剥がす音

    闍夢

  • 空蝉や抽斗はタイムマシーン

    すりいぴい

  • 片恋のをはり空蝉焦げ臭き

    たんじぇりん金子

  • 蝉の声絶へて空蝉なほ硬し

    北野きのこ

  • 乾ききる洗濯物も空蝉も

    いいよかん

  • 右にゆふぐれ左に空蝉のかけら

    ほろろ。

  • 空蝉の風を濾したる林かな

    大雅

  • 空蝉の爪が瞼を放さない

    小泉ミネルヴァ岩魚

  • 空蝉は木霊孕みてがらんどう

    みそまめ

  • 空蝉の割れ目撫づれば都会の火傷

    斎藤秀雄

  • 空蝉のなかに山家の風孕む

    武井かま猫

  • 空蝉の勲章放る風呂場かな

    伊豆子

  • 空蝉の中の青年時代かな

    純音

  • 青空の迫り空蝉まつぷたつ

    玉庭マサアキ

  • お食い初め空蝉の脚隆々と

    暴朴

  • 空蝉の小切手ほどの軽さかな

    立志

  • 山門や空蝉少し生臭き

    京野さち

  • 空蝉の声がここに染みてゐる

    春日のぽんぽこぴーな

  • 空蝉の中身を追って老いた僕

    ゆみづき

  • 空蝉をポッケに空は遠すぎる

    さとうりつこ

  • 空蝉と云うには生々しすぎる

    さとうりつこ

  • 空蝉や目玉にこびり付きし泥

    矢的@第二まる安

  • 空蝉には到底登れない段差

    蟻馬次朗

  • 空蝉や実家をたたむ話出て

    やまぶき

  • 空蝉のなんて素敵なすっからかん

    花南天anne

  • 空蝉に青空人に性善説

    都乃あざみ

  • 精通の夜よ机の空蝉よ

    北野きのこ

  • 空蝉やわたしから出てしまった子

    未補

  • 空蝉や振れば砂漠の音のする

    これでいいのだ

  • 空蝉や腹に飼ひたる黒き渦

    野地垂木

  • 空蝉や聲かけられたやうに風

    夏柿

  • 形よき空蝉旅に連れゆくに

    露砂

  • 空蝉の重なりをるははらからや

    とんぼ

  • 墓の字のところで空蝉となりぬ

    ちゃうりん

  • 空蝉の木がある空と地のあひだ

    ちゃうりん

  • 空蝉や影は直下に潰れ居て

    あいだほ

  • 空蝉や人は青空好きだという

    りんたろう

  • 空蝉の旅発つところは見なかった

    根本葉音

  • 空蝉は乾いた空にあらわれる

    野の花さな(さな7才改め)

  • 空蝉透けり妣はもう老いぬ

    凡鑽

  • 空蝉をつまむ力を迷いおり

    白居千夜

  • 空蝉やお道具箱に残る足

    和池

  • 空蝉を甘やかに割るハイヒール

    はるや

  • 空蝉や吾の脳髄の熱わびし

    猫愛すクリーム

  • 空蝉や乾けば空になる心

    花南天anne

  • 空蝉やファーブルの子にヴェルヌの子

    今田無明

  • 空蝉の裂け目から入る黄泉の国

    映千

  • 派出所に届きし空蝉三件目

    しみみ

  • 空蝉や安土城跡風来たる

    水城

  • 穴の数より空蝉の数わづか

    ヒカリゴケ

  • 弔いのごと空蝉の透けゆけり

    玉響雷子

  • 空蝉や思ひ残しのなき骸

    ははろ

  • 空蝉や全てでたらめだった夜

    猫渓

  • パパにだけ見せる空蝉良い形

    きな粉のおはぎ

  • 空蝉や名刺の上の知己ばかり

    る・こんと

  • 空蝉や昭和生まれもいるそうな

    天晴鈍ぞ孤

  • 空蝉の主はいまごろ交みたる

    中岡秀次

  • 仏像の掌におく蝉の殻

    いわきりかつじ

  • 処理班の如く空蝉回収す

    えむさい

  • 空蝉や白紙のままの進路希望

    なつぽよ

  • 雨湛へ空蝉水の星となる

    ししまる

  • 夕刊に空蝉乗せてかざし見る

    なよろ

  • 掌の空蝉に風生まれけり

    白鳥国男

  • 子宮てふ空蝉のをる腹は冷え

    福良ちどり

  • 空蝉の影がうるさく泣いている

    祺埜箕來

  • 空蝉や数万体の骨仏

    パッキンマン

  • ひと舐めで溶けさうな空蝉握る

    みこ

  • うつせみと綴るペン先細かりし

    ぐれむりん

  • うつせみや床には古き鎧櫃

    ウロ

  • 青空の底を仰臥の蝉の殻

    ふるてい

  • 少年の隠れ家せみのからのなか

    宙のふう

  • 空蝉やこの木を神の木とさだむ

    猫愛すクリーム

  • 空蝉をどこから抜けて行ったやら

    始の子

  • これは昨日のあれは明日の空蝉

    いさな歌鈴

  • 空蝉になるためにだけ木を登る

    ⑦パパ

  • 空蝉の無窮に透ける茜雲

    清波

  • 夜を産み朝には空つぽの空蝉

    亀田荒太

  • 嬰児の手に空蝉のくしゃと鳴く

  • 空蝉や父には妻のあるらしき

    ももたもも

  • 空蝉やまたぼくに生まれてこよう

    赤馬福助

  • 夕暮れの空蝉なにか言ってくれ

    背馬

  • 空蝉や抜けたるは蝉だけでなく

    仁和田永

  • 空蝉や縄文時代は海でした

    ひなた

  • 空蝉やラジオをつけたまま眠る

    中山月波

  • 空蝉のなかに私を匿って

    短夜の月

  • 空蝉を並べあの世に行くかたち

    笑松

  • 空蝉も宇宙に持つて行けぬとは

    土井デボン探花

  • 人生の頂点はいつ蝉の殻

    福蔵

  • 空蝉の背より泥水ふた滴

  • 町の音切れて空蝉となりぬる

    とのじ

  • 空蝉や空缶甘く棺とす

    木村ひむか

  • 鏡台に空蝉ひとつ置かれをり

    ふうせんかずら

  • 水たまる仏足石に蝉の殻

    平康

  • たましひをはなちうつせみこはれけり

  • 空蝉や翡翠の森を月照らす

    野うるし

  • 空蝉や戒名にある山と風

    こじ

  • 空蝉や東の空が赤かった

    ひなた

  • 脚のない空蝉ひとつ波へ消ゆ

    白瀬いりこ

  • 空蝉もままごとセットも置き去りに

    ふわり子

  • 借景に空蝉ありて母子かな

    桃猫雪子

  • 空蝉や実家を捨つる親の傘

    比良山

  • 空蝉を潰さば歳月も潰る

    花伝

  • うつせみやゆたかにそらをかわかして

    渓湖

  • 空蝉となるを見てゐる仮病の日

    古田秀

  • 空蝉やジュラ紀の記憶錆びた海

    世良日守

  • 空蝉や教訓的なとこが嫌

    畑山六十二

  • 空蝉や泥にまみれる夢もある

    畑山六十二

  • 空蝉や愚直に雨の透き通る

    じゃすみん

  • 空蝉の空にとまれば空の色

    原田駿

  • 空蝉のまだ気が付かず己の死

    みちる

  • 空蝉の飴色甘くなかりけり

    木塚夏水

  • 空蝉の背中に鍵もなかりけり

    おけら

  • 空蝉に星の浮力のありにけり

    有瀬こうこ

  • 千の手に空蝉侍る菩薩かな

    老人日記

  • 空蝉に羽なし我に翼なし

    乙子女

  • 空蝉や空はこんなに軽いのか

    城内幸江

  • 空蝉にひかりの記憶ありぬべし

    木塚夏水

  • 昇る陽や地面に空蝉十億

    宇田建

  • 空蝉にしやらしやらと聲ふりつもる

    蓼科川奈

  • 空っぽや商店街も蝉の殻も

    綱長井ハツオ

  • うつせみや輪郭線のあはき朝

    蓼科川奈

  • 頭より崩れ初めけり蝉の殻

    綱長井ハツオ

  • 空蝉の丸みに窪むたなごころ

    ときこ

  • 掌の空蝉こはれさうに恋

    小春

  • 空蝉の爪に力の哀しさよ

    香壺

  • 陽に透かす空蝉今日を閉じ込めて

    sol

  • 空蝉の残る力を剥がしけり

    達哉

  • 蝉のから石屋に墓銘きざむ音

    たいぞう

  • 空蝉や今年も祖母が帰って来た。

    晴海南風@木ノ芽

  • 空蝉の動き出したる気配かな

    まりい@木ノ芽

  • せがまるる空蝉に張る絆創膏

    雪子

  • 空蝉やいつからそこに本棚に

    丘るみこ

  • 空蝉やつなぐ吾子の手の熱量

    としなり

  • 空蝉を探す日庭は森になる

    秋月真

  • 空蝉をこはさぬやうに掃きにけり

    慎吾

  • 空蝉の渇き潤せぬまま破瓜

    西藤智

  • 空蝉や賢治の空を宿したる

    ときめき人

  • 空蝉や明日をさぐる枝のさき

    シロクマ太郎

  • 空蝉の風に螺旋を描きけり

    凡々人

  • 一代記了え空蝉の軽さかな

    辻が花

  • 空蝉をハンカチーフに埋葬す

    片岡ひまり

  • 空蝉や被曝電車の走る町

    紅塩寝子

  • 空蝉や渾身の反り身なる完

    たま

  • 空蝉の数ほど蝉の鳴かぬ庭

    小熊伸子

  • 空蝉やスキップの子のニ長調

    ぐずみ

  • 洗濯機に残る空蝉らしきもの

    かをり

  • ニッポンや瓶をあふるる蝉の殻

    小泉ミネルヴァ岩魚

  • シャンソンのこぼれいでたり空蝉よ

    小殿原あきえ

  • 翅脈まだあをし空蝉ほの甘し

    遠音

  • 空蝉の粉ふる谷を喇叭響む

    斎藤秀雄

  • 空蝉や弥勒の指の曲がるごと

    七瀬ゆきこ

  • 空蝉や鬼の宿りて墨を摺る

    豆闌

  • 空蝉はストラディバリウスの色

    かのたま

  • 空蝉を愛で星ぼしの棺とす

    古瀬まさあき

  • 退屈と死を空蝉へ置いてきた

    鷹星

  • 空蝉や司令部壕の中へ風

    輝龍明

  • 空蝉を貰いプリンを譲りけり

    元元

  • 空蝉やダンプに土砂と掬はるる

    金子加行

  • 空蝉を吹いて寂しき音逃がす

    小川めぐる

  • 空蝉はおほかた陽より湧くのだらう

    登りびと

  • 空蝉のどこか胎児の姿して

    ラーラ

  • 空蝉と癒えゆく傷の痒みだけ

    ワンダフルもずく

  • 葉の裏に空蝉我が手にビニール本

    北野きのこ

  • 空蝉や傾いている自転軸

    でらっくま

  • 空蝉やかさかさじゃりと薬研ひく

    むったん

  • 引き潮の埠頭の杭の蝉の殻

    泰然

  • 空蝉に選られ一木の鈴生り

    野地垂木

  • 空蝉やあの日奪つた宇宙ゴマ

    夏柿

  • 空蝉に九年分の黙を嗅ぐ

    西川由野

  • 空蝉の猪除け柵にたわわなる

    斎乃雪

  • 空蝉に傷海峡にだるま船

    葵新吾

  • 空蝉の静かに終わりゐる形

    あいだほ

  • 空蝉はキャラメル箱に横たわり

    しー子

  • おもむろに空蝉となる夜明けかな

    キャサリンまさこ(まさこ改め)

  • 此ノ日ヨリ空蝉ノ売買禁ズ

    国代鶏侍

  • 空蝉の一カラットの雨零る

    月見柑

  • 空蝉や舌に乳歯の抜ける味

    ほしの有紀

  • 空蝉の玻璃の眼よりの銀河系

    糸慌@木ノ芽

  • 空蝉に何が残っているのだろ

    潤目の鰯

  • 半生を抜かれ空蝉残りけり

    そめいゆ

  • 空蝉やえりちゃんにあげるか迷う

    和池

  • 木霊らの蒼然空蝉の黙然

    めいおう星

  • 空蝉は風を聞く虚澄ます虚

    めいおう星

  • 空蝉の朽ちて風任せの体

    かつたろー。

  • 空蝉を落とす響きや黒重機

    ひいらぎ

  • 空蝉に潮騒の音届きけり

    Dr.でぶ

  • 空蝉として今うすあをき翅の陰

    留野ばあば

  • 空蝉の虚ろ時報はずれている

    ツカビッチ

  • 空蝉は砂のお城の墓じるし

    茶鳥

  • 空蝉や万年筆は夜に鳴く

    卯年のふみ

  • 空蝉を拾う仕事と割りきりぬ

  • ことごとく空蝉まれにして涅槃

    可笑式

  • 空蝉を振ればかすかな鈴の音

    みかりん

  • 空蝉や幹にせせらぎあるといふ

    宙のふう

  • 空蝉や過ぐる月日は澱となり

    伊奈川富真乃

  • 空蝉の覚悟の力爪先に

    樹朋

  • 空蝉の童女五人に囲まれる

    望月ゆう

  • 空蝉にやどる木霊の金の色

    ふあんた

  • 三年寝太郎の背に空蝉三つ

    いさな歌鈴

  • 空蝉や再婚すると人づてに

    真宮マミ

  • 一滴の水に空蝉またうごく

    日出時計

  • 空蝉の背の割れてゐる腥し

    日出時計

  • 空蝉や署名押印して他人

    占新戸

  • 空蝉の憂鬱殻のカラッカラ

    つぎがい

  • 空蝉や自作怪獣描いてた頃

    あいみのり

  • 美しい戒名や空蝉壊る

    かざばな

  • 空蝉の眼や万物は光なる

    板柿せっか

  • 空蝉やどうやって抜く君の棘

    桑島幹

  • 引き籠もる蝉の抜殻空いてますか

    日田路

  • 泣き方が思い出せない蝉の殼

    日田路

  • 空蝉の産毛に空ろありにけり

    逗留舎なお

  • 深呼吸ほら空蝉のごと澄めり

    桃猫雪子

  • せみのからあつめたしかたなくうめた

    山陽兵

  • 空蝉や延びた昼下がりの匂ひ

    ふたあい

  • 靴のうら空蝉ぱきゃりぱきゃり鳴く

    枕木

  • 塾帰り空蝉乗せる単語帳

    葉るみ

  • 新宿に引つ掛かつてゐたうつせみ

    きゅうもん@木ノ芽

  • 哀れなど潰して吹いて蝉の殻

    カオス

  • 空蝉は星を見つめたまま残る

    利平

  • 産土の空蝉あまた禰宜ひとり

  • 還暦や我の空蝉探す夜

    明明

  • 空蝉や手つかぬままの仕立て物

    神田央子

  • 鳴き声は家の空蝉かもしれぬ

    あさり

  • 秘密めく空蝉ありや姫鏡台

    れい

  • 空蝉の数よりあまた蝉の声

    松山

  • 格子戸に空蝉のやはらかにをる

    でぷちゃん

  • 空蝉や空と大地の境界線

    口岩健一

  • 国へ帰らむとす空蝉のかたち

    藤田康子

  • 空蝉に蝉の思ひはなかりけり

    藤田康子

  • 空蝉五個ネットで四百九十円

    三重丸

  • 空蝉はコロポックルのされこうべ

    三重丸

  • 空蝉の詰まるカンカラあさだ飴

    みよしい

  • 空蝉は即身成仏のかたち

    すえよし

  • 空蝉は松に力を溜しまま

    陶然

  • 教室も空蝉もまた静かなり

    るみ

  • 空蝉や斜塔のごとき箒の柄

    伊予吟会宵嵐

  • 脚ちぎる空蝉はもう血がでない

    亀田荒太

  • 空蝉は永遠に黄昏色まとふ

    ふじこ

  • 歳月を割って余りよ蝉の殻

    いなだ君二年生

  • 尻押すと歩き出しそな蝉の殻

    もりお

  • 空蝉を時の残滓と思ひけり

    多々良海月

  • 空蝉の柩清閑たる文箱

    にゃん

  • 空蝉や音を拾えぬ母となり

    いつか

  • 空蝉の名はキャサリンといふらしい

    冬戸梅雨

  • 空蝉を踏んで足占のやりなおし

    江口小春

  • 空蝉や正義を語るにはかろし

    古瀬まさあき

  • 握り潰すならば空蝉か君か

    小泉ミネルヴァ岩魚

  • 空蝉の中に火傷の匂ひかな

    倉木はじめ

  • 中古らし空蝉拾う下校かな

    泣きそうだ

  • 空蝉の中にまだ息残りをり

    お気楽草紙

  • HongKongや空蝉しがみつく葉尖

    蟻馬次朗

  • 漆喰の凪に空蝉へばり付き

    克巳@いつき組

  • 空蝉や背に魂の尾の白く

    洒落神戸

  • 空蝉や時差に奪はるる太陽

    こぶこ

  • 空蝉や燃やせば写真反り返る

    樫の木

  • 空蝉やパンドラの匣爆ぜたあと

    しゃれこうべの妻

  • 空蝉も皆鳴きにけり鎮守様

    長田写々

  • うつせみやちちをかへしてくれまいか

    猫愛すクリーム

  • 無格社を百年蝉の蛻かな

    蜂里ななつ

  • さみどりを放ちて空蝉の余熱

    一斤染乃

  • 空蝉の影がからつぽ連れてゆく

    七瀬ゆきこ

  • 空?や臍の緒入れの名は掠れ

    しかもり

  • 苦労して脱いだうつせみ700匹

    ひろしげ11さい

  • 空蝉や古代鉄器の刃の欠片

    ひろ志

  • 空蝉の背を割る月のつぶてかな

    次郎の飼い主

  • 空蝉の転がりてなお尖りけり

    パオ

  • 空蝉やトラック島の墓標朽ち

    津葦

  • 空蝉のかたち神さま苦心せり

    谷口詠美

  • カラフルな空蝉あってもいいじゃないか

    きしきし

  • 空蝉や空から遠くなつてゐる

    赤木

  • 空蝉や沛雨のあとに体火照る

    末摘花

  • 【衝撃映像】空蝉に入ってみた!

    野良古

  • 空蝉のまだ濡れてゐる凸レンズ

    次郎の飼い主

  • 殊に美しこの空蝉の目鼻立ち

    めぐみの樹

  • 空蝉を呪いのように君の手に

    空蝉

  • しゃっくりをしたらうつせみにげるかな

    りすだいすき(3才)

  • 空蝉の背より最後は希望出づ

    テツコ@第二まる安

  • 空蝉のしわに犬のよだれつく

    まこちふる

  • 菓子箱の空蝉留めるピン錆びて

    蛾触

  • 三郎の屋根に空蝉ふりつもる

    いしい美髯

  • 空蝉の数だけ空は青でした

    けら

  • 傷自慢一等蝉の殻あげる

    稗田鈴二郎

  • 空蝉が蝉一式をしぼり出す

    稗田鈴二郎

  • 空蝉のぽーんエンジン再始動

    どかてい

  • 空蝉や鴎外旧居抜くる風

    多事

  • 空蝉の背中からもれる独り言

    海野しりとり

  • 空蝉よもう青空に届いたか

    浅河祥子

  • 空蝉に成りきれぬものなんと呼ぶ

    上倉すず女

  • 七日目の空蝉土へ落ちる音

    佳山

  • 空瓶へ空蝉ほとりほとりかな

    上倉すず女

  • 空蝉や松煙墨に瀞む青

    透史

  • 空蝉や蝉は静けさここに脱ぐ

    与志魚

  • すずなりの空蝉の木や恐ろしき

    ビッグマム

  • 空蝉や眼に洋館の灯を写す

    東山

  • 空蝉や板ゼラチンのやうな空

    比々き

  • 空蝉やあなたは誰と父に問はれ

    空遊雲

  • 空蝉の硬さに指の先痛む

    野倉夕緋

  • 空蝉や昨日に生きる今日の吾

    もせきのこ

  • 小箱には方位磁石と空蝉と

    小市

  • 主婦たちの密談うつせみがひとつ

    瓦すずめ

  • 空蝉が動いて僕は家出中

    瓦すずめ

  • 五十年前は空蝉の樹であつた

    いさな歌鈴

  • 空蝉を埋めて墓ではない何か

    西藤智

  • 空蝉を求む視線の賊めける

    夏出ひさし

  • 空蝉や「空」の哲学ひとしきり

    るびちゅ

  • 砂を噛むやうな音して空蝉は

    ヒカリゴケ

  • ああこんな小さな草に空蝉が

    こま

  • 邪念なき空蝉よ琥珀に還る

    Vn花のん

  • 空蝉の背の破れ目の正しさよ

    うづら

  • 空蝉の風を溜めたる棺かな

    月見柑

  • 空蝉やひっくり返した砂時計

    ぼたんのむら

  • 一列に空蝉置けば死出の旅

    笑松

  • 空蝉のしばらく父の書架に座す

    可笑式

  • 空蝉の目の明星をとどめけり

    みかりん

  • 空蝉やたんすの底の鯨尺

    定吉

  • 空蝉を寺門に高く掃き寄せり

    星埜黴円

  • 空蝉や除染テープの巻かれる田

    星埜黴円

  • 空蝉の影生きてゐるかも知れず

    塩谷人秀

  • 空蝉のむかしはよかつたよかつた

    小木さん

  • 空蝉や義兄が婚約してしまふ

    小倉じゅんまき

  • 空蝉の額に乾ききった泥

    あるきしちはる

  • 手の平へ空蝉おけば風のきて

    しゅんらん

  • 空蝉や傍にいるだけの初恋

    薮内椿

  • 天守閣喰らい付きたる蝉の殻

    風舎哲坊

  • 空蝉の眼最初の陽を見たか

    ギボウシ金森

  • 空蝉に風の始まる朝かな

    久我恒子

  • 空蝉や記憶がからからといふよ

    ひでやん

  • 空蝉の転がる真夜や歌舞伎町

    油揚げ多喰身

  • 人生は暇つぶしとか蝉の殻

    志保川有

  • あ奇麗だね空蝉の目の透明度

    江戸人

  • 恍惚の跡はあめ色蝉の殻

    なご

  • 空蝉の重なりてなほ青き空

    みやこわすれ

  • 空蝉の爪の微かな引っかかり

    ゆすらご

  • 空蝉や夢の中では壊れない

    さゆみ

  • 空蝉に選ばれし葉の瑞々し

    さゆみ

  • 空蝉や遺影相手に酒を酌む

    藤原訓子

  • 空蝉や朱橋に風の雲巌寺

    すみれ色の涙

  • 空蝉を蝉殻として潰しけり

    朱契

  • 月を仰ぐマリアは空蝉を握り

    朱契

  • 放置自転車のタイヤに空蝉

    元木まだら

  • 手のひらの空蝉空の音がした

    池田郁英

  • 空蝉や透明な嘘吐くむすめ

    ゆりたん

  • 隣人は真夜中と空蝉を掃く

    大和田美信

  • 嘘つきは閉ぢ込めますよ空蝉に

    播磨陽子@花野句会

  • あの体勢は並みの空蝉じゃない

    たるみ

  • ステナイデフルサトダカラウツセミハ

    遊飛

  • 空蝉や森深きこと怖れずに

    龍秀樹

  • 空蝉の蝉より長きうつつかな

    ひねもす

  • 空蝉よ木喰行満ちて木霊

    山踏楊梅

  • 空蝉やラヴェルを弾けば日の翳る

    古田秀

  • 空蝉の軽さ産褥期の怠さ

    青海也緒

  • 臍の緒の横へ空蝉しまひけり

    古田秀

  • 空蝉も空も暫くがらんどう

    ぎんやんま

  • 空蝉の一体どこが死んでんだ

    さとけん

  • 空蝉や脱いでしまえば殻薄く

    笠原理香

  • 空蝉や若狭の朝の海の碧

    清水祥月

  • 空蝉や黙祷からのクラス会

    かこ

  • 水楢の幹空蝉の脚ひとつ

    寝不足のラムネ

  • 空蝉のまず目にしたる己が身よ

    弓女

  • ご自分の空蝉は持ち帰れとか

    井久

  • 空蝉のすがる看板キンチョール

    井久

  • 空蝉の爪にセシウム残りたり

    虚実子

  • 空蝉の軽さ竜巻注意報

    葉月けゐ

  • さかさまの空蝉さかさまの社

    香羊

  • 空蝉のこれは雌だというお尻

    猫ふぐ

  • 空蝉となれぬ骸の眼のあをし

    みやこわすれ

  • 空蝉の朝に晒されしわくちや

    としなり

  • 空蝉に微量の落下てふちから

    ときこ

  • 空蝉に言霊ふっと入り込む

    シュリ

  • 空蝉の生まれる涙だったのか

    冬のおこじょ

  • 空蝉のために空指す樅なりき

    冬のおこじょ

  • 空蝉や鏡見ぬ日も人老いて

    福蔵

  • 引き籠る子よ空蝉に何を埋める

    堀口房水

  • 空蝉の最後の爪の深きかな

    くさ

  • 川遊び空蝉越しに見てゐたる

    ちゃんごりん

  • 空蝉を万と提げたる樹齢千年

    こま

  • 空蝉やジョンレノンが流れてる

    田村美穂

  • ころんと空蝉無人駅のベンチ

    みえ

  • 空蝉や回るコインの止まり際

    佳月

  • 空蝉や明るき母の無頓着

    ひだ岩魚

  • 空蝉や不妊治療をやめた朝

    青木りんどう

  • 空蝉の無一文なり風の朝

    大井河薪

  • ショッピングモール予定地映る空蝉の目

    ジミーあゆみ

  • 空蝉や私を知らぬ母とお茶

    陶然

  • 空蝉や掌にある戦後なんとせう

    慈温

  • 空蝉のあれは地中を恋うる色

    99カリン

  • 空蝉や哀しき顔の固まらん

    まちる

  • 街やおほきなおほきな空蝉のなか

    彼方ひらく

  • 空蝉や辛いニュースは聴きなさい

    彼方ひらく

  • 空蝉や黒猫の背の乾きをり

    久蔵久蔵

  • 空蝉の千は下らぬ御神木

    てまり

  • 空蝉やあの娘が泣いた訳を知る

    神山やすこ

  • 空蝉や日を照り返す吾子の墓

    ワルイージ

  • 翅やぶれても戻りたくはない空蝉

    どどめ色

  • 空蝉やさらの私になりたいよ

    大津美

  • 空蝉のうへの空蝉すけてをり

    黒子

  • 空蝉の少し焦げたる匂ひかな

    杉本とらを

  • 蟻一匹空蝉の中通り抜け

    与六

  • 空蝉や眼球に光の記憶

    飯村祐知子

  • 空蝉こはす初恋は不倫でした

    ローストビーフ

  • わるいことならうつせみに詰めておいで

    とおと

  • あは去年のこは今年なる蝉の殻

    一生のふさく

  • 再会は二年後空蝉はいない

    幹弘

  • 空蝉のおもさ半音ひとつぶん

    ほろろ。

  • 空蝉の曙色の眼かな

    28あずきち

  • 潮騒を聴き続けたる空蝉は

    小野更紗

  • 寝つかれず空蝉割れる音がした

    あかしの小桃

  • 空蝉や空へたましひぶらさげて

    緑の手

  • 空蝉や黙しがちなる変声期

    わらび一斗

  • からからに空蝉を灼くひかりかな

    中岡秀次

  • ひしやがれし空蝉の横貌昏し

    一阿蘇鷲二

  • ぷつくりと空蝉の眼のあまさうな

    一阿蘇鷲二

  • 空蝉の空蝉つらぬきて朝(あした)

    みやこまる

  • みちゆきや空蝉もれなく背中に傷

    大塚迷路

  • 空蝉の爪刺さる幹まだ百年

    くさ

  • 空蝉の寝言わたしは生きている

    まどん

  • 空蝉に透くよいつかの蒼い空

    RUSTY

  • 空蝉を脱ぐに怪我などせぬものか

    聞岳

  • ピッコロの音なら入る蝉の殻

    松山めゐ

  • 空蝉をまあるく避けて母は拭く

    牟礼あおい

  • 空蝉のたましひ森の透くるまで

    いつき組福岡リスナー班/由美子

  • 空蝉の落葉の如き聲を聞き

    羽藤武彦

  • 空蝉や門まで遠きサナトリウム

    さるぼぼ@チーム天地夢遥

  • 空蝉のみしと破るる背中かな

    藤色葉菜

  • 空蝉よ魂の色教えてよ

    ラーラ

  • そよ風に壊れた空蝉がひろがる

    すずき忍すけ

  • 空蝉に届くか星々の哀歌

    朶美子(えみこ)

  • 空蝉に溜りて重き光かな

    与志魚

  • お迎へを素直に待ちて蝉の殻

    桃和

  • 空蝉や岩石標本箱の香

    マオ

  • Xの仕業、空蝉の残骸

    りんたろう

  • 空蝉の眼だけ時間が動いてる

    渡野しえん太

  • 空蝉を昨日に拾ふ古墳かな

    ぎんやんま

  • 空蝉や羅生門の森にまよふ

    中根由起子

  • 空蝉やがらんどうなる森の跡

    加賀もずく

  • 空蝉の角度に仰ぎ見るあした

    かまど

  • 空蝉が賽銭箱の底にいる

    四丁目

  • 空蝉に何を詰めても渇くだけ

    西藤智

  • 空蝉となりて見る世は歪みをり

    城山のぱく

  • 空蝉と乳歯を攫う予報あり

    神宮くみち

  • 空蝉の折鶴ほどの軽さかな

    こはまじゆんこ

  • 空蝉と蝉は赤の他人でした

    ぽんのじょう

  • 月の夜に空蝉少しだけ動く

    古都ぎんう

  • 空蝉のクレバス覗き込んで風

    ピサロ昆布

  • ひとかぜにずずと机上を蝉の殻

    ららやにほ

  • 空蝉の中には過去が入ってる

    風花

  • 空蝉や虚空の隅に涸びたる

    中山月波

  • 空蝉に憑かれたらここにおいで

    ぐでたまご

  • 空蝉の中に希望が残ってた

    おおやぶちょ

  • 空蝉や?みし爪間に風ぬける

    タック

  • 空蝉や燃えてゆくヌードグラビア

    あまの太郎

  • 耳鳴りを?の殻へと移しをり

  • 空蝉や母居る壺の重きこと

    月の道馨子

  • うつせみは夢をみるらむ琥珀のゆめを

    福花

  • 空蝉の最早光と紛ふ影

    霞山旅

  • 空蝉の見残した空映す眼

    ギボウシ金森

  • 空蝉の中に居た子は死にました

    あつむら恵女

  • 指の腹ぱりりと空蝉弾けをり

    さとう菓子

  • 空蝉を見て上を見て下を見る

    三水低@第二まる安

  • 引き出しの空蝉ゆうべ泣いたかも

    茄子美

  • 胎盤に残るは空蝉の匂い

  • 空蝉からころそうだ明日帰ろう

    ちびつぶぶどう

  • 空蝉に樹液の音の聞こゆるか

    昇華

  • 空蝉やピカソは非対称に生き

    山香ばし

  • 砂山の王となりたる蝉の殻

    仁和田永

  • 空蝉や術痕拭いて母の腹

    凡鑽

  • 空蝉のきのふに縋り付く形

    凡鑽

  • 空蝉へ戻りたい蝉きつとゐる

    GARU

  • 空蝉の樹の垂直に抗へり

    GARU

  • 空蝉や我の痛みは我のもの

    ほしのあお

  • 空蝉の渋滞の木の痒からむ

    木村ひむか

  • 空蝉や遺影を選ぶ母の昼

    藤野あき

  • 空蝉の空っぽ過ぎる目へ光

    高橋寅次

  • 空蝉や工期の伸びた駐輪場

    むらたふみ

  • 空蝉やソークラテース以前以後

    ひねもす

  • 空蝉の掬ふ涙のやうな雨

    明惟久里

  • 空蝉の背を丸めたる痛みかな

    城山のぱく

  • 空蝉の腹にゐるやうな夕暮れ

    原田駿

  • 空蝉の奥で囁き合う二人

    野純

  • 空蝉や生きたいという形して

    眠る烏龍茶

  • 空蝉は鳴かずタクシーは人を待つ

    山香ばし

  • うつせみの裂傷よく頑張ったよく頑張った

    山田喜則

  • 空蝉の収集瓶が足りない

    平本魚水

  • かさかさとかさかさとおやうつせみが

    あきおかば

  • 空蝉や私の胸はみづみづし

    青海也緒

  • 空蝉の淋しくなれば空を飛ぶ

    はら美華子

  • ローカル線の改札口空蝉一つ

    畑詩音

  • 空蝉のまず掴まれて捨てられて

    短夜の月

  • 空蝉や地球のヘリにしがみつき

    めしめし

  • 空蝉や奄美の空の丸いこと

    えらぶゆり

  • 空蝉のうえに空蝉撮られたる

    青萄

  • 哲学の道に空蝉拾ひをり

    ひだ岩魚

  • 空蝉の太陽呼び寄せる呪文

    松浦麗久

  • おとうとの塚へ空蝉犇めけれ

    内藤羊皐

  • 学習机は今日から空蝉展示場

    秋月真

  • 喪の明けて眼に空蝉の軽きかな

    門前町光乃

  • 空蝉や団地の夜のぬめる風

    久蔵久蔵

  • 空蝉に少し届かぬ犬の綱

    美年

  • どうしても空蝉潰す気になれず

    森の水車

  • 日光を浴びて空蝉ピキと鳴る

    くさ

  • 我が声を知らず空蝉風になる

    千恵

  • 空蝉よ鳴け被爆者の絶ゆる時

    よしおくん

  • 爺ちやんの匂ひに似てる蝉の殻

    杉本とらを

  • 宿下駄の焼き印四角蝉の殻

    みなと

  • 自慰したる夜へ空蝉のすきとほる

    ローストビーフ

  • 空蝉やコインロッカー闇深し

    柳児

  • 蝉の数ほどの空蝉あらざりき

    大塚迷路

  • この辺りの空蝉はB級品

    岩のじ

  • 空蝉の腕あかがねに漲れり

    とおと

  • 空蝉の村に嫁げば静かなり

    鴉飛兎走

  • 空蝉を七年煮ます忘れます

    小川めぐる

  • 空蝉や空はまるいという仮説

    ほろろ。

  • 空蝉潰すろくでなしの気分です

    雪うさぎ

  • 空蝉や売物件の札に錆

    倉木はじめ

  • 実はうそです空蝉こはれます

    越智空子

  • 空蝉の傷に光の祝祭歌

    邯鄲

  • 空蝉の怒りくわっと背の口

    柊月子

  • 空蝉や形代燃やすかに落暉

    一斤染乃

  • 空蝉の割れて零るるもののなし

    高田祥聖

  • 鏡割るごと空蝉の破れをり

    ツカビッチ

  • 空蝉や彼の口笛は丁寧

    あかしの小桃

  • 空蝉の中や乾いた風のこゑ

    輝龍明

  • 空蝉のままで唄へなかつたのか

    かのたま

  • キャラメルの色に風鳴る空蝉よ

    枯丸

  • 空蝉の置かれて長男は家出

    登りびと

  • 空蝉や片付け始む献花台

    きなこもち

  • 空蝉をつぶす昇進までつぶす

    遠野かなみ

  • 空蝉や一壷の天に日はのぼり

    わらび一斗

  • 空蝉やこはれものなる暮色の眼

    緑の手

  • 玄関にうつせみの脚落ちてゐる

    ゆうが

  • 空蝉にフィルムケースといふ柩

    みそまめ

  • 空蝉や湖の樹間へ散る太虚

    ぶどう雲

  • 空蝉に激しき声のあつたらうか

    一阿蘇鷲二

  • 月光の幽く空蝉を灼いて

    せり坊

  • ともだちはえらべるのですせみのから

    松山めゐ

  • 空蝉や借り物ひとつ還したり

    弁女

  • 空蝉の壊れて薄き紙の音

    彩楓(さいふう)

  • 空蝉つぶす肺胞きゆと縮む

    さるぼぼ@チーム天地夢遥

  • 空蝉のばかりと割れてがらんどう

    おくにち木実

  • カッコイイ順に並べる蝉の殻

    洒落神戸

  • 薪くべる空蝉しがみついたまま

    石川聡

  • 空蝉をとほる光の美しき

    楢山孝明

  • 空蝉になれぬ奴らの死を想へ

    菊華堂

  • うつせみや正倉院の絹の履

    ほろよい

  • 空蝉のうつせみ色に暮れ泥む

    一走人

  • 空蝉や牛舎にうごく牛の影

    純音

  • 空蝉にまだ霊魂の濡れのこる

    青萄

  • 空蝉が留まりし草に風そよぐ

    あらーさなえ

  • だからこそ空蝉を粉粉にする

    鈴木麗門

  • 空蝉の背を縫ひつけて軍備かな

    凪野たいら

  • 空蝉やご詠歌のこぶしはスロー

    トポル@みすゞ

  • マンションの空蝉砕く車椅子

    斎乃雪

  • 空蝉やあてなく拾う癖抜けず

    ヘリンボーン富樽

  • 空蝉が陽気なところだけ見せる

    羽沖

  • 空蝉や胎児のやうに動きさう

    雅喜

  • 空蝉と成れば寂しと寄り合ひぬ

    トポル@みすゞ

  • 空蝉の目玉であったはずの虚無

    珊瑚

  • 葬送や空蝉は日にあたたまり

    村上優貴

  • 空蝉や睡眠剤の壜昏く

    すりいぴい

  • 空蝉や抱きあってるるるるるる

    烏飛兎走

  • 空蝉や土に還らぬ空ボトル

    小倉あんこ

  • 空蝉やしがみつきたる防空壕

    しげる

  • 空蝉やレコード針を置くように

    あざみ

  • 空蝉や未婚・既婚の間に◯

    千葉まどか

  • 空蝉や森には雨と死の匂い

    豆田こまめ

  • うつせみを拾うたびに鐘なりぬ

    大坪美智子

  • 空蝉の取つ組みあつてゐる机

    比々き

  • 空蝉を鳴かす硝子の瓶振つて

    比々き

  • 空蝉の声を聞かんと耳すます

    国代鶏侍

  • ひりひりと空蝉壊れ筋肉痛

    一音乃遥

  • 空蝉や朝練の無い朝だった

    小椋チル

  • 空蝉や割る背を甘美なる痛み

    小田寺登女

  • 空?に戻りたくなる夕間暮

    みどりちゃん

  • 空蝉の綺麗なままでふさぎこむ

    竹夢月

  • 空蝉は真昼の星座見てをりぬ

    砂山恵子

  • 空蝉やグラスはからんと最終章

    ナタデココ

  • 空蝉は海を孕むや雨の庭

    都南萌生

  • 空蝉や厠に響く尿(しと)の音

    芍薬

  • 空蝉や透かして七年前を見る

    竹内みんて

  • 空蝉を飼う金色の空箱に

    こはまじゆんこ

  • 空蝉透けて開戦前の空透けて

    ぐでたまご

  • 空蝉や形がにほふ伽羅細工

    獺八

  • 空蝉の脚の先まで虚かな

    八幡風花

  • 手に取れば空蝉指にすがりつく

    井上喜代子

  • 空蝉に触れて少年探偵団

    椋本望生

  • 特攻の清らな手紙蝉の殻

    ことまと

  • ことのはのはしからうつせみになりぬ

    るりぼうし

  • 空蝉の影に空蝉入りけり

    城内幸江

  • 母は空蝉を潰した訳話さず

    月の砂漠★★

  • うつせみはじゆうですか

    月の道馨子

  • 空蝉の背から白昼が出てきた

    なみはやらんる

  • 幾千の聲降るそれはわたしの空蝉

    なみはやらんる

  • 空蝉を潰すまあるい眼は残る

    あつむら恵女

  • 空蝉の背にちょっぴりの羽の跡

    あつむら恵女

  • 空蝉や女の尻のやうな岩

    天玲

  • 空蝉や風をトパーズ色にして

    渓湖

  • 空蝉の裂け目に漏れる夕陽かな

    梅雨

  • 空蝉というには爪の鋭さよ

    山裾都

  • 空蝉を踏みて割れたる胸の骨

    綿井びょう

  • ガンダムと独楽と空蝉いっしょくた

    神山刻

  • 空蝉やこの世に歌のあるあかし

    伊藤欣次

  • 空蝉やドナーカードの「眼球」に×

    天水郷

  • 長谷寺の回廊長し蝉の殻

    巫女

  • 空蝉生まれたて今日も生まれたて

    宇田建

  • 母の掌は長寿の相ぞ蝉の殻

    水夢

  • 空蝉がまた襲い来る夢をみる

    KAZUピー

  • うつせみのかぜにゆられてかぜをゆらして

    板柿せっか

  • 空蝉や団塊去りし2DK

    常陸人

  • 空蝉や何か残されてはいぬか

    コナラ

  • 空蝉や今日あをあをと被爆の木

    にゃん

  • 己が影追ふて転がる蝉の殻

    吟梵

  • 空蝉や金色堂の夜光貝

    としまる

  • まだ空に憧れてゐる蝉の殻

    創太

  • 空蝉にカーブミラーの反射かな

    睦月くらげ

  • 空蝉の抜けて膨らむ大宇宙

    野々原ラピ

  • 万匹の空蝉の声一つかな

    なめろう

  • 町を出る空蝉千個集め終へ

    be

  • 空蝉や少し心を置いて行き

    金治宜子

  • 剥がすとき痛い気がする空蝉を

    あまぶー

  • 空蝉やひと思いには踏めませぬ

    花紋

  • 空蝉やほたりと落ちるとき笑う

    あさふろ

  • 空蝉や瓦礫の村の水の跡

    木乃伊

  • 一震え二震えもして空蝉に

    マツイミキロウ

  • 賛否問う光集めし空蝉に

    小梅

  • 空蝉や今朝交番の「死亡1」

    寝不足のラムネ

  • 抽斗の空蝉やがて番ひだす

    ぬらりひょん

  • へばりつく空蝉ワイン樽の染み

    鏡葉

  • 空蝉や認知症告ぐ友の声

    とんとん

  • 脱ぐために五分の傷あり蝉の殻

    淺野紫桜

  • 空蝉を留まらせ朝の立ち上がる

    のぶ子

  • 空蝉や力み弾けし残一糸

  • うつせみやとつきとおかの鼓動あり

    香羊

  • 空蝉や告ぐ唇に日の翳り

    青木りんどう

  • 避難勧告じっと聞いている空蝉

    平本魚水

  • 蝉の殻また動き出しそうな爪

    さわこ

  • かしやと踏む空蝉かしやと杉木立

    麦吉

  • 空蝉や築百年の梁の艶

  • 空蝉や深い眠りのカタコンベ

    石井茶爺

  • 空蝉やジュラ紀の夢を語りだし

    入口弘徳

  • 紙垂汚す雨のしづくや蝉の殻

    伊奈川富真乃

  • 空蝉や竹刀に戻りくる残心

    けーい○

  • 空蝉やうつつのひかりまぶしかろ

    桂奈

  • 空蝉や未だ生きてるか鳴いてみよ

    杉尾芭蕉

  • 空蝉の標大樹の一合目

  • 空蝉に隠逸の水ひとつ鳴る

    内藤羊皐

  • 胸に空蝉二階級特進す

    ず☆我夢@木ノ芽

  • 空蝉や人はみいんな良品だ

    奈緒女

  • 空蝉や朝のラジオのカラ元気

    ねむり猫

  • 空蝉やギブソンの弦錆びている

    逗留舎なお

  • 空蝉や猿猴橋に親柱

    伊予吟会宵嵐

  • 空蝉を柔くつかんで飛ばしたり

    アーナンダ

  • 空蝉や鳴声増さりゆく山路

    風慈音

  • 空蝉や傘寿の脳は透けている

    さくやこのはな

  • 歩きスマホ空蝉を踏み潰しけり

    島崎伊介

  • 背中から風吸うてゐる蝉の殻

    Kかれん

  • こゑといふこゑ解き放ち蝉のから

    こなねこ

  • 空蝉よ私あすから元の姓

    yoko

  • 空蝉の中はアスフアルトの匂ひ

    岩のじ

  • 空蝉の御神木ごと祀らるる

    雪うさぎ

  • 空蝉や茶色の弁当が旨い

    塩の司厨長

  • 節穴に空蝉嵌めて忘れけり

    遠音

  • 空蝉の見上ぐる夜のアドバルーン

    TAKO焼子

  • 蝉の殻隣は蝉に成りきれず

    大雅

  • 空蝉や嘘つきの毒は届かない

    春日のぽんぽこぴーな

  • 空蝉や人もなかなか壊れ物

    霞山旅

  • 空蝉に広きあしたの翅の有り

    蜂喰擬

  • 空蝉を懺悔話の袋とす

    うしうし

  • 空蝉をもげば樹皮にのこる爪

    アガニョーク

  • 伐採の杉の空蝉ごと倒る

    樫の木

  • 空?や遠くラジオは雨を告ぐ

    玉木たまね

  • 夢なのは空蝉までかそれからか

    蒼奏

  • 近頃の空蝉どうも柔らかい

    京野さち

  • 背中から斬られたる呆蝉の殻

    抹茶金魚

  • 空蝉や千尋の夜を吸うて咲く

    しゃれこうべの妻

  • 空蝉のまわりの空気から壊れ

    いゆ蘭

  • 空蝉にオパール色の止まってる

    せり坊

  • 空蝉や天皇陵の赤む空

    28ひろきち

  • 空蝉や清拭終へし背臀部

    竜胆

  • 空蝉や輪廻の脆き澪標

    位相朗

  • 空蝉や二三匹ほど蟻透ける

    石川聡

  • 葛藤の後の虚ろや蝉の殻

    めぐみの樹

  • 盲いし蝉丸杖先の空蝉

    清ら

  • いつまでもいびつなる雲蝉の殻

    でらっくま

  • 空蝉の背なより出る糸の果

    キッカワテツヤ

  • 空蝉や戦車のおもちゃ進攻す

    田中耕泉

  • エリーゼのために空蝉ひとつ在り

    いしい美髯

  • 空蝉や雲の重さの日向雨

    かもん丸茶

  • 蝉の脱け殻解答はバツばかり

    どかてい

  • 空蝉のからりと浮きて東京都

    野良古

  • 空蝉のなかを茫茫時流る

    みやかわけい子

  • 空蝉を抜けて少年時代かな

    羊山羊

  • 腐らぬものに空蝉と我が心根と

    くりでん

  • 月光に空蝉の動き出しさう

    sakuraa.

  • 空蝉やヨガの帰りの空赤し

    あまぐり

  • 空蝉や振り返るのは人だから

    尼島里志

  • 空蝉やアコーディオンの空虚五度

    いかちゃん

  • 空蝉や遺せるもののある素敵

    ヒカリゴケ

  • 空蝉や納骨終えし妣の壷

    大槻税悦

  • 空蝉の中は宇宙の静けさで

    龍田山門

  • 空蝉が二人の間に落ちている

    龍田山門

  • 現世に残す詩欲し蝉の殻

    聰子

  • 罅すこし又すこし割れ空蝉に

    鈴木麗門

  • 空蝉を見下ろしながら啼いてをり

    青玄

  • 空蝉の当分続く寿命かな

    小木さん

  • 空蝉にぎゅうぎゅう詰めの愛もある

    瀬紀眉

  • 空蝉や星を見つめし星の見つめし

    衷子

  • 空蝉を掴むパリッと駄菓子かな

    羽光

  • 空蝉の体臭風に怠き朝

    哀顏騎士

  • 空蝉のぬくもり失せし朝日かな

    波音

  • 空蝉をじやりじやり噛めば無味なりき

    池田香

  • なむしゃかと空蝉の鳴る母屋かな

    綿井びょう

  • 空蝉をウルトラセブンと交換

    すりいぴい

  • 思ひ出を一つ忘るる蝉の殻

    朱夏A

  • 空蝉や上海は空暗き街

    灰色狼

  • 空蝉や死人はひどく重かった

    椎の木くるみ

  • さびしかろ空蝉だらけのかさかさ

    あやの

  • 思うほど空あおくないよ空蝉

    あやの

  • 空蝉や夢の続きに居る我ら

    津軽まつ

  • 空蝉を放らば茴香のかほり

    つぎがい

  • 空蝉を幾つ遺してゆくや人

    津軽ちゃう

  • 空蝉や西暦高が二千年

    津軽わさお

  • 空蝉にしがみつかれている仔犬

    じゃすみん

  • 空蝉や群青の夜の月赤し

    文女

  • 空蝉に怪我させらるるほどひ弱

    花伝

  • 空蝉や暫し青空見て死んだ

    さとけん

  • 空蝉や昼間を閉ざし父眠る

    むらぴ

  • 空蝉を蹴ってガス欠駐車場

    ちびつぶぶどう

  • 空蝉から音が漏れるは木の声か

    北村崇雄

  • 空蝉を振れば聞こゆる波の音

    有田みかん

  • 水飲み場に鼻血の匂い蝉の殻

    有瀬こうこ

  • 空蝉を見てたら腹が減ってきた

    ラリロリラリラ

  • 空蝉と目が合つてゐたのです先生

    小椋チル

  • 空蝉やジャングルジムの鉄匂ふ

    城内幸江

  • 交換す空蝉五個と掃除係

    油揚げ多喰身

  • 蝉の殻握りつぶして天気雨

    或人

  • 空蝉や御朱印帳のまっさらで

    或人

  • 空蝉やあと一時間の日曜日

    シュリ

  • 空蝉にやはらかさうな夜明けかな

    いまいやすのり

  • うすらかに琥珀剥がるる蝉の殻

    青田葵

  • 空蝉へ防犯灯の暗さかな

    青田葵

  • 空蝉をとる瘡蓋を剥がすごと

    青田葵

  • こゑ万端に空蝉となる構へ

    雪子

  • 蝉の殻兄のにほいかもしれぬ

    雪子

  • 空蝉や嘘はつかない歳となる

    クラウド坂の上

  • 空蝉のひしゃがれやすき硬さかな

    ひいろみ

  • 閃光の夜空蝉は交尾する

    哀顏騎士

  • 空蝉や弥生の笛の指のあな

    よぶこどり

  • 空蝉や絵日記のうそひとつ描く

    鹿歩

  • 拾いあぐ空薬莢と空蝉と

    はむ

  • 空蝉や伽羅の香満ちて宵となる

    はむ

  • 耳元で空蝉崩し森を聞く

    紙威

  • 空蝉の背から墜落したようだ

    司啓

  • 空蝉の十匹目から不気味なり

    かたな

  • 空蝉やべっ甲色に影縮み

    小エビ

  • 空蝉を観てゐる接吻の眼

    Kかれん

  • 空蝉やラヂオ体操から帰らぬ子

    きゅうもん@木ノ芽

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