俳句ポスト365 ロゴ

初級者結果発表

2019年5月30日週の兼題

空蝉

【曜日ごとに結果を公開中】

【入選】

  • 空蝉や思ひの丈の薄衣

    佐山夕子

  • 半分の窓に空蝉砂の城

    風由花

  • 塗り立ての黄色のつきし空蝉よ

    雅な童

  • 空蝉を踏めばわたしも悪い人

    ひかり

  • 広島の焼野原いつみれるのか空蝉よ

    黒うさ狐

  • 空蝉に見る七日後のデスマスク

    灰田《蜻蛉切》兵庫

  • 空蝉に臍の緒ごときもののあり

    靫草子

  • 空蝉やたったひとりで生まれける

    山部ビブリ

  • 山崩る吾子掌の空蝉の

    真優航千の母

  • 空蝉や消印に知る城下町

    うに子

  • 喧噪の森に空蝉声を聴く

    仁葉

  • 曇るときやや鋼めく?の殻

    ふみゑ

  • 空蝉やLINE未読の続く夜

    すみっこ忘牛

  • 空蝉の遥か山の背覗く陽よ

    里之照日日

  • 空蝉や魂残る殻であり

    リバティーさん

  • 空蝉が聞こえるぐらい細い風

    広瀬康

  • 空蝉を十個集めて弔へり

    蒼鳩薫

  • 空蝉や次が最後の一曲です

    安溶二

  • 空蝉の乾ききったる不思議かな

    籠居子

  • 空蝉や詠めぬ短冊白紙なり

    脩斎@105さい

  • 空蝉やよくぞここまで登りけり

    わかこ

  • 空蝉の主はあの子を忘れたかい

    山部オーリー(やまぶおーりー)

  • 空蝉や夫婦二人となりし家

    あさ奏

  • 空蝉や叶うはずなく落ちてゆき

    上峰子

  • 青き壜の空蝉うみとそらに染む

    シニアモモ

  • 空蝉やポストの上に新聞紙

    弦流

  • 空蝉や白のワンピのブローチに

    ひろくん11さいのママ

  • あの頃の友は何処へ蝉の殻

    山歩き

  • 空蝉や大草原にゐて孤独

    テノールこさる

  • 空蝉に旅立ち知らせり夜明け前

    春果

  • 空蝉を残して七日の命燃ゆ

    真咲子

  • 空蝉や子の旅立ちの飛機の音

    つつ井つつ夫

  • 空蝉や縄文杉の糧となる

    長谷川ひろし

  • 空蝉やブロック塀に二つ三つ

    多聞仙

  • 空蝉の瞳に映る現(うつつ)かな

    銀蜻亭

  • 空蝉や夕日を浴びて光けり

    輝峰亭

  • 空蝉や柱時計の発条ダラリ

    為一暢道

  • 立ち止まり空蝉眺め朝帰り

    宮写楽

  • 空蝉や自死せし友の葬儀出づ

    桃泉

  • 金網の空蝉の前脚の生

    天野姫城

  • 空蝉や朝練に耐へ黒帯に

    しんしん

  • 空蝉や今暫くは飛んで鳴け

    花丸

  • 主去れど生きた証の空蝉や

    夕美子

  • うつせみの勲章付けてる木々が好き

    川畑彩

  • 空蝉の泥を落としてやる二歳

    ぬけまいり

  • 地上への未練の爪痕蝉の殻

    川越雷鳴

  • 空蝉の木の幹掴む脚欲しき

    千歳

  • 空蝉の爪たててをり胸の上

    順女

  • 空蝉の背に風入れて飛んでくる

    甘泉

  • 空蝉の尻つきあわす分かれ道

    卯MOON

  • 空蝉の汀ただよふ軽さかな

    遊亀

  • 空蝉を集めナウシカごっこの子

    岬りこ

  • 空蝉に下界へ出し余生かな

    雅由

  • 空蝉や生を残して其処此処に

    うといぺんこ

  • 空蝉や漱石山房デスマスク

    海風山本

  • 青き空空蝉抱く葉の先に

    月城花風

  • 空蝉やなれは無事かと問ひにけり

    未々

  • 空蝉や木陰に憩う昼下がり

    詠野孔球

  • 空蝉や遥か田舎のかくれんぼ

    笑子

  • 雲間より空蝉覗く陽射しかな

    詩楽麿

  • 山姥に度肝抜かれて空蝉に

    澄海

  • 火葬場の子ら空蝉を踏み潰す

    緋路

  • 空蝉に真剣顔の孫の傘

    雅鬼

  • 空蝉やお前は疾に死んでゐる

    蓼蟲

  • 空蝉や無言の流れ駅向かう

    アマリリスと夢

  • 空蝉の月影小さく小さく群る

    バーバラ

  • 葉にしずく涙の如し空蝉の

    沢田朱里

  • 空?はうつろい告げる暦なり

    笑笑

  • 空蝉や泥にまみれた日々ありて

    冬美

  • パッチワーク古希の手習い空蝉や

    治もがり笛

  • うつせみやまうじき昨夜になりさうらう

    中原秋波子

  • 空蝉やいとこのはぶる幼き吾

    田中勲

  • 魂の叫びの残る蝉の殻

    たけし

  • 空蝉の転がるトタン人気なく

    輝棒

  • 美術館樹に空蝉や名画なり

    かたちゃん

  • 空蝉や引きとり手なき落し物

    杏と優

  • 空蝉や早世の子に菓子手向く

    いくらちゃん

  • うつせみの思い出つまるいく星霜

    徳英

  • 母の忌の空蝉見れば蒼い空

    山茶花静

  • 空蝉や八百の暦の更けし朝

    ココダン

  • 空蝉よ心残りのある如く

    くによ

  • 空蝉や二万以上の今日を生き

    柚和

  • 空蝉や子の独立に我重ね

    亜久琵

  • ふとあわれ御苑の木々にうつせみが

    都花

  • 空蝉の力限りに開墾碑

    梶鴻風

  • 空蝉やいつものカフェは定休日

    やよえ

  • 空蝉や陽を待ち焦がれ地へ落ちて

    狸之ポン太

  • 空蝉や若さに価値のなき仕事

    正木

  • 空蝉の脚だけ枝に残りおり

    京丸

  • 血が沸騰するかの如く空蝉よ

    筋トレ俳人

  • 空蝉や無言電話の息づかひ

    深草あやめ

  • うつせみや野球人生悔いはなし

    コケデカ

  • 空蝉や吾も一皮剥けたなら

    気のまま風

  • 母の樹に空蝉縋る樹木葬

    今野夏珠子

  • 空蝉の足も眼もあり腹もあり

  • 鳴く庭の空蝉は親にも見えて

    庄司直也

  • うつせみや目覚まし要らぬ時期となり

    田中さっちゃん

  • 吹かれ来し空蝉殻はすり減りて

    たん造

  • 空蝉の爪に残るる生気かな

    ヤッチー

  • 空蝉を集めて積んで遊ぶ子ら

    あかつき緑

  • 空蝉や輪廻転生土深し

    み藻砂

  • 空蝉や子を置き里に去ぬをんな

    舟御前

  • 空蝉の永くて軽き残滓かな

    あわの花水木

  • 空蝉は抜け殻の部のチャンピオン

    くめ仙人

  • 空蝉や幼き悩み重いまま

    和光

  • 空蝉や白木の箱へ吾の明日

    桂木綾子

  • うつせみやとりあへず手にのせてみる

    塾志

  • 廃校に空蝉の声残るかな

    星降松

  • 空蝉や吾子抱き向かう野球場

    北葛城達生

  • 空蝉や兄ちゃん元気でいるかなあ

    季よしこの夜

  • 空蝉や朝陽の匂う雨上がり

    木森

  • 空蝉のまだしがみつく力有り

    風知草

  • 空蝉やあちこちそちこち陰日向

    風林亭

  • 空蝉の掴んだままのベンチかな

    潮ベルト

  • 空蝉やテイクフアイヴ鳴りつづく日

    閑茶

  • 空蝉や昨日と今日を分かちたり

    岡本波六

  • 空蝉の箱一つ捨て嫁ぎけり

    青山あじこ

  • うつせみや恋も語らず逝きし友

    桜姫5

  • 空蝉やあと十年で母の歳

    ふあり光

  • 空蝉や手足口病の高熱

    小鞠

  • 空蝉で生命の尊さ子に伝承

    五十嵐淳

  • 空蝉に縋る翡翠色のニンフ

    櫻川俵船

  • 空蝉のまだ柔らかし初夜の星

    山本力

  • 空蝉を半身(はんみ)で見る子動(うご)くかと

    貼女(ちょうじょ)

  • 空?や六百余基の古墳森

    茫々

  • 兄逝きて顔に手をあて空蝉や

    りんごのほっぺ

  • 空蝉の墓群となりし宝箱

    伊予吟会心嵐

  • 空蝉やつねられ痛む母の愛

    比呂

  • 空蝉や我もこうして生まれたか

    俳菜裕子

  • 空蝉や高齢多発の隙間風

  • 空蝉の透けるその身に矜持あり

    百合乃

  • 空蝉や旅の荷ほどき終えぬまま

    若葉猫

  • 空蝉や爪立てているブロック塀

    さとう

  • 眠りつく子の手より落つ空蝉なり

    けいはく

  • 空蝉や丸みの張の割れ様よ

    犬散歩人

  • 空蝉をかりりと踏みし吾子の靴

    山口富子@MamalyHouse俳句道場

  • 空蝉や七年の日を土に置く

    駄口竹流

  • 現世にしがみつく空蝉の影

    久坂晶啓

  • 空蝉や歯医者に予約を入れなくちゃ

    茄子紺

  • 空蝉を集めたるビン朝の居間

    丸山隆子

  • 空蝉に残る埋め立て地の記憶

    我省

  • 空蝉や顔を上げない帰り道

    祖乞

  • 小さき手で拝む卒塔婆に空蝉や

    山ノ内ドカ

  • 空蝉の香を残しけり薄ごろも

    コウ

  • 空蝉が宝の箱を埋めつくす

    佐々木温美

  • 鬼怒の川ラインを下る空蝉か

    那須いずみ

  • 空蝉を足蹴にしても気は晴れず

    徳永北道

  • 空蝉の命かけても這いにけり

    秋桜

  • 空蝉や母の忌明けに見つけたり

    ばあば

  • 空蝉の目玉透けたる青き空

    たむらせつこ

  • 「空蝉の」男子寮から弾き歌い

    嫌佐久

  • うつせみはプラネタリウム近寄るな

    あじこ

  • 空蝉の静寂聴きをり日の匂ひ

    柴原明人

  • 空蝉や空へ飛翔のゲート開け

    PON

  • 世に縋る空蝉視線空にあり

    クロチョイス

  • 空蝉を残しあるじは声となり

    まほろ

  • 空蝉や背なの割れ目と母の胎

    風紋

  • 空蝉や零は終とも始ともなり

    吉田海音

  • ポケットの空蝉次から次へと

    美祥

  • アスファルト熱にゆらぎて空蝉や

    植木照美

  • 空蝉の潜む無口なおててかな

    脳筋女子

  • 空蝉の古代のおもかげ琥珀色

    マヌー

  • 泥付きのまだ空蝉でありにけり

    谷川の蛍子

  • 空蝉や故郷を捨てて半世紀

    藍植生

  • 朝陽浴びはや空蝉は硬くなり

    三木庭

  • 葉のうらを命にほふ空蝉かな

    Lu

  • 空蝉を出でて厳しや恋の詩

    なかがわ聖一

  • 空蝉やもう欲はない我が人生

    つわきの嫁

  • 庭の木に今朝空蝉の残りけり

    ちか丸

  • 空蝉や眉唾で聞く立志伝

    光友

  • 空蝉や検査結果に太字あり

    裕人

  • 空蝉現れる洗濯機の中

    吉永美幸

  • 空蝉を潰して匂う土と風

    鉄鰈

  • しがみつく空蝉の手や命懸け

    竹内うめ

  • 空蝉に永し苦節を重ね見ゆ

    俳ビギ名

  • 空蝉の一つ一つが発射台

    れんげ畑

  • 空蝉は朝の木陰に光をり

    都貴子

  • 穴ぼこや空蝉探す空青し

    二葉みのる

  • 空蝉や這い出しようよう枝先へ

    いととんぼ

  • うつせみや石ころもあり宝箱

    江藤薫

  • 眠る子の手に空蝉や昼下がり

    萬代草舟

  • 空蝉となりてこの身に空を飼う

    梔子

  • 虫網に空蝉かかる失意なり

    句詩呼

  • 空蝉や人体の壁厚かりし

    南雲風花

  • 怖いもの見たさに触る蝉の殻

    茶々

  • 空蝉や元の勤めの服も捨て

    夏湖

  • 空蝉や北の大地へ行きし子ら

    ひよはるばば

  • 空蝉を一つ土産にパリへ行く

    蛍子

  • やんちゃ坊主掌そっと空蝉を

    さつまおごじょ

  • 空蝉や後何年の土の中

    藤田由美子

  • 空蝉のしづかに描く波紋かな

    規子

  • 空蝉や虫カゴいっぱい動き出す

    はなあかり

  • 空蝉や飛び立てぬ主哀れなり

    一碁一会

  • 空蝉やパパとママ離婚するって

    蘂六

  • 空蝉や木漏れ夕日に映え姿

    めそしる

  • 空蝉や生はなくてもしがみつき

    恵美子

  • 空蝉や風にとんとんしがみつき

    さとうくにお

  • 鈴なりの空蝉御座す新居かな

    青木豊実

  • 空蝉や退ける木の枝震えてる

    相模

  • 空蝉や軒端の風は葉裏より

    江戸川青風

  • 木を見上ぐ子の手に潜む空蝉や

    知音

  • 空蝉のお人柄なら清廉潔白

    美翠

  • 空蝉やかつては森の在りし土地

    江藤鳥歩

  • 空蝉に手伸ばす甥の背丈かな

    としろう

  • 空蝉と免許返納完了と

    いつき組リスナー班・旧重信のタイガース

  • 空蝉や長く務めし職場去る

    紋舞蘭

  • 空蝉を風吹き抜ける日暮れかな

    陽気姫

  • 空蝉や葉に脚かけてゆうらりと

    上峰子と

  • 翡翠色隠して割れて空蝉に

    地球人

  • 空蝉や確かに私も生きてます

    クロまま

  • 息止めて空蝉剥がすそっとそっと

    おんちゃん。

  • 空蝉の声聴いている霊媒師

    南風紫蘭@木ノ芽

  • 空蝉の幹に漂ふ無心かな

    誠馬

  • 空蝉や土器の欠片の縄模様

    三重野とりとり

  • 空蝉や爪食い込ませ大谷石

    鶴田梅勝

  • 空蝉や悔やむばかりの恋でした

    海老名吟

  • 空蝉や分別臭き恋をして

    未貫

  • 空蝉を集めたる生きた証よ

    京あられ

  • 空蝉がカサカサと鳴く半ズボン

    雅京一

  • 空蝉の出口を指で隠し見る

    ポン太

  • 鈴なりの空蝉抱へそびえ立ち

    軌一

  • 屈のかたちして伸びやかなる空蝉

    ニット

  • 空蝉のしがらみ潔く棄てし

    今井佳香

  • 虚空蔵菩薩手のひらに空蝉

    池之端モルト

  • 空蝉の取り付く襞のあり処

    善多丸

  • 空蝉の背中の割れ目まだ温し

    横じいじ

  • 空蝉の数十を超え大橡

    健次郎

  • 空蝉や母山羊の墓低くなり

    犬井山羊

  • クレヨンの散らばる机上蝉の殻

    いざわ

  • 空蝉を土に埋めたら増えるかな

    浮間普請

  • 空蝉やたましい空を飛んでいる

    よしいくえ

  • 朝寝坊空蝉のせい雨のせい

    磨湧

  • うつせみや古よりの七年目

    童好

  • 空蝉や禅寺の鐘こだまする

    照波

  • 空蝉のただようている豪雨後

    一人静

  • 空蝉や時はただただ流れたり

    木槿

  • 空蝉の身は何処やら風戦ぐ

    君島笑夢

  • 空蝉に叱られハローワーク行く

    令雅

  • 愛しきはここがふるさと蝉の殻

    小野みっちゃん

  • 蝉の殻命まるごと朝へ発つ

    むにむにちゃん

  • 空蝉に成って踏ん張る浮世かな

    抹香鯨

  • 空蝉がしがみつく錆びた自転車

    たけうち晴美

  • 葉に止まる空蝉掌では転びけり

    キヨ

  • 空蝉を残し何処で鳴くのやら

    蒼香

  • 火の空蝉プラスチックのごと歪む

    松永裕歩

  • 空蝉や世界へ羽ばたく一章節

    遥明

  • 空蝉や上着脱ぎ捨て置き去りに

    KKK

  • 化野や空蝉拾ふ杖の人

    吉や

  • 空蝉の霧にかすみし我が恋よ

    芥川光正

  • 幼子がそおっと運ぶ空蝉や

    秋月流音@木ノ芽

  • 空蝉とパンドラの箱似て非なり

    夕波

  • 空蝉や誰を何時まで待つつもり

    木人

  • 空蝉をはなれて鳴きて七日間

    aya

  • 空蝉の背中に指を入れてみる

    宮武由佳子

  • 空蝉の背より雨水の溢れをり

    きのと

  • 空蝉や道をカラカラ吹かれおり

    まぬう

  • 空蝉や陽に朽ち往くセルロイド

    育由

  • 黙想する長老のごと空蝉

    さだとみゆみこ

  • また土へ還る空蝉魂つきて

    syuusyuu

  • 空蝉や日暮れ間近の何食べる

    敬之

  • 空蝉や心のカサカサに気づく

    海葡萄

  • 空蝉や絵日記からの父のメモ

    ぼたんぴ

  • 空蝉の今が七年これからだ

    京子

  • 空蝉やこの世儚きものなれど

    右田俊郎

  • 空蝉や念仏唱ふ空也かな

    やぶつばき

  • 空蝉や今年も息子の宝物

    鳥越暁

  • 蝉の殻そっと触って壊れけり

    高田仁和加

  • 空蝉のひとつひとつが天目指し

    池と堀

  • 空蝉や青の時代を脱ぎ捨てり

    船岡遊子

  • 怖々と空蝉嬲る子猫かな

    なつめモコ

  • 地中より明るい未来空蝉よ

    立香

  • 空蝉のひとつは春のデスマスク

    花屋

  • 空蝉をつまむ力や朝の風

    ふさこ

  • 空蝉の爪欠けぬやう外す朝

    ペトロア

  • 空蝉は亡骸ではないが悲しい

    童子

  • 空蝉の中は謎めく異空間

    花咲明日香

  • 空蝉の足に気迫の命見ゆ

    真珠星倫世(スピカリンセ)

  • 重力を使い上向く蝉の殻

    守安雄介

  • 濃い空を空蝉透かし覗きけり

    甘平

  • ほったらかしウルトラマンと蝉の殻

    月のうさぎ

  • 穴二つ空蝉一つ空仰ぐ

    琉璃

  • 空蝉や亡父と写る謎の美女

    竹さ

  • 空蝉やあの世とこの世通過点

    スズ音

  • 蝉逝くも空蝉の目は空映す

    楠青庵

  • 空蝉の頭に残る土の跡

    小熊利雄

  • 空蝉を踏む子の頬に涙跡

    なみは

  • 空蝉の重なる枝の重たさう

    山内彩月

  • 空蝉に土臭い記憶を探す

    秋鹿町

  • 空蝉や修行僧衣に日の暮れる

    Mコスモ

  • 巡礼路空蝉ひとつ友にする

    青嵐

  • 踏ん張りて地上五センチの空蝉

    みくらまる

  • 空蝉の羽音木霊し木々渡る

    みゆき

  • 空蝉や明日の天気は如何なる

    桃葉琴乃

  • 主七日空蝉十日生きにけり

    あみま

  • 古里や空蝉墓碑のごとく在り

    山樫梢

  • 空蝉を置かれ夜逃げの証しかな

    蘭丸結動

  • 空蝉を踏んづけていく通学路

    小走りの烏賊

  • 空蝉や施設実習最後の日

    中西柚子

  • 手のひらの空蝉の目に矜持あり

    宙蝉(そらせみ)

  • 空蝉やからからからと泣きにけり

    美山

  • 殺されし女の腹に空蝉や

    咲也

  • 箒止め空蝉の主探す空

    ほのぼぉの

  • 空蝉の猶しがみつく力かな

    百草千樹Z

  • 空蝉の中に居りしは何者か

    ろびんちょ

  • 空蝉や一筆箋は白紙なり

    脩平

  • 空蝉や木陰でもたれる着ぐるみら

    熊縫まゆベア

  • 産土に子らの声なき蝉の殻

    薮久美子

  • 空蝉や昨日はなかった通学路

    さむまうす

  • 空蝉や七年分のイノセンス

    智雪

  • 空蝉や二十歳の息子カミングアウト

    葉月あわい

  • 空蝉をつぶし大人になってゆく

    海月漂

  • 空蝉も此世に残る形なり

    杉浦夏甫

  • 空蝉や老舗旅館の湯にしずか

    霖之助

  • 永き黙を放り空蝉のまだ濡れて

    春野いちご

  • 空蝉を胸に止まらせ赤信号

    竹福

  • 閉鎖から解き放たれる蝉の殻

    加和志真

  • 空蝉の眼の透明な朝来たる

    富山の露玉

  • 空蝉や頑張り方を間違える

    みかん

  • 空蝉や言霊というもののあり

    かつら子

  • 空蝉や姉に背負わす父の老い

  • 空蝉の中に琥珀の小宇宙

    竹春エリザベス

  • 帰り道鞄に詰める蝉のから

    稲垣由貴

  • 空蝉と一度は飛んでみたかった

    むむむげこ

  • 空蝉や古木の下は穴だらけ

    かげろう

  • 懐かしむ手にし空蝉走馬灯

    ゆーし

  • 空蝉に我の定年告げにけり

    札六(関屋@和祝句会)

  • 羽化させて眼力つきる空蝉や

    きっちゃん

  • 生まれ変わりし墓石の空蝉や

    八高啓茶

  • 空蝉の着くビル街の掲示板

    麻呂助

  • 空蝉をすかして覗く青い空

    猫じゃらし

  • 空?や足跡四歩にて消ゆ

    安達りんだう

  • 空蝉の声はいつものまあだだよ

    笹風ゼット

  • うつせみの仮れる身数多風攫ふ

    斗三木童

  • 空蝉の張る結界の地は緑

    真繍

  • 深深と空蝉生まる17年

    マッキラ棒

  • 犬立ちて匂う空蝉半乾

    よしこ

  • 空蝉になってしまえば恐れなし

    那須の田舎者

  • 空蝉の黙(もだ)の奥より蝉時雨

    直樹里

  • たましいはまだ殻にありうつせみや

    美魔女

  • 空蝉の時の流れは万華鏡

    陶豪

  • 空蝉を残し飛びたき日もありて

    じゅりあん山本

  • 飛騨路にて空蝉を百拾いけり

    ももとせこえ

  • うつせみやカナメモチにて三つ巴

    美智子

  • こわれそなうつせみひとつみつけけり

    カトレア

  • 空蝉の指先軽く透ける空

    直雪

  • 空蝉や命に二度のなかるべし

    立歩

  • 空蝉を食べてしまつた子はいづこ

    禅十郎

  • 勲章のごと空蝉を胸ポケットへ

    イサポン

  • 空蝉の風に揺らるる影薄し

    とべのひさの

  • 空蝉や戦地に散った父遺影

    伊藤善隆

  • 空蝉をつまむかげんに迷いおり

    松田てぃ

  • 地近く空蝉たかる蟻に召され

    ともかわすてむ

  • 空蝉やカルメラぷうと膨れをり

    赤い彗星の捨楽

  • 街路樹に空蝉ひとつビルの谷

    山野はな

  • 空蝉を集めし古木は枯れにけり

    瞳子

  • 空蝉を孫に重ねて飾り置く

    わわ

  • 空蝉の待つ夕暮れの寺の鐘

  • 空蝉や男無言のままぐしゃり

    美宇

  • 喜々として空蝉の墓作る子ら

    小山晃

  • 空の色空蝉の目に映りけり

    れんげ

  • 空蝉に苦悶の貌ののこりけり

    金太郎

  • 空蝉に命ふき込むごとき風

    喜多輝女

  • 空蝉や還りし祖父を刻む墓

    桐亜

  • 空蝉やマンションの鍵返します

    雨霧彦@木ノ芽

  • 置き手紙空蝉ひとつ添えてあり

    ハチ太郎

  • 残されて空蝉ただその声きく

    なごみ

  • 朝靄や木々にやわらかい空蝉

    川口みち

  • 空蝉やじじっと動き出しさうな

    ふなちゃん

  • 空蝉や背中の丸くなる齢

    春川一彦

  • 人知れず未練残すか空蝉は

    里甫

  • 空蝉や実家に戻らぬ三十年

    田辺ふみ

  • 空蝉の余力大樹を掴みけり

    千の葉

  • 空蝉やまずまず今朝のアイライン

    五月野敬子

  • 空蝉のうなだれてなお枝の上

    みつ湖

  • カサカサと風に転がる空蝉が

    新井ふみ

  • 空蝉や田辺源氏を読み返し

    ミセウ愛

  • 空蝉を残し君どの木で鳴くや

    ギコ

  • 空蝉や救急の担架に轢かれおり

  • 空蝉や出して引っ込めて吾子の手

    きさらぎ

  • 空蝉や届かぬ文を書き散らし

    咲耶とこ野@木ノ芽

  • 誰も来ぬ墓に脱ぎ捨て蝉の殻

    馬勝

  • 子の拾ふ空蝉の声賑やかし

    和伊子

  • 空蝉や青白き生命の焔

    宮坂変哲

  • 空蝉をじっと見つめる幼児かな

    暇親爺

  • 空蝉に手を引っ込めて向かいの子

    ころん

  • 空蝉に我が手の斑点(しわ)を重ねつつ

    あなぐま

  • 空蝉や粉々となり吾子の手に

    佐竹ゆかり

  • シャカシャカとかごいっぱいの空蝉や

    梨の花

  • 空蝉や生きものたちは同じ季

    羅風音

  • 空蝉の止まる浜辺の錆びしちやり

    光本弥観

  • 空蝉をじっと眺めて誕生日

    中野久子

  • 旅立ちの決意幹掴む空蝉

    試行錯誤

  • 空蝉に内緒話を聞かれけり

    馬場馬子

  • 空蝉の身の何処なる大手門

    遊泉

  • 空蝉や三時間まつ無人駅

    烏兎

  • ぬれぬよう幹の空蝉そっと手に

    新米笛

  • 連れ帰る空蝉今日で九つ目

    詠子

  • 空蝉や七年間の土の色

    井田みち

  • 眠る子の手に握らるる蝉の殻

    田中ようちゃん

  • 空蝉の果たして淡き夢のあと

    鳥羽二三

  • 空蝉と成り行く闇を翅の白

    青柘榴

  • 空蝉や居留守決め込み昼間酒

    どくだみ茶

  • ぬぎ捨ての空蝉睨む鬼瓦

    とし子

  • 空蝉や古い記憶を選り分けて

    きのした小町

  • 空蝉や祖母の残せし青の庭

    うどんこつよし

  • 老いた手に蝉の殻乗せ無人駅

  • 空蝉や背中のボタンが止められぬ

    せんべい

  • 空蝉も人肌ほどに温もりて

    ティーダ

  • 空?や老いてますます健やかに

    幸久

  • 空蝉や一人奏でる愛の詩

    マユミ

  • 睨み合う空蝉ともに風に地に

    栗田もとえ

  • 空蝉やこの瞬間にモノとなり

    みどりがめ

  • 集めても帰れぬ里の空蝉や

    栗子

  • 空蝉やカレーの鍋の決壊す

    しっぽ

  • 空蝉や挨拶交わす友となり

    のりた

  • 空蝉の煎りそら豆の殻に似て

    葉っぱのようこ

  • 空蝉の命の証し置いてゐる

    川島湖西

  • 空蝉や孤独の終わりかひたと鳴く

    りえぞう

  • 空蝉や己が啼き声仰ぎ見る

    六々庵

  • 雨に濡れ空蝉一つ大都会

    灯路奈

  • 空蝉をジオラマにおき恐竜か

    筬葉

  • 空蝉に手や合わせけむ我が父は

    シモーナ

  • すきとおる空蝉恋が匂いたつ

    竹村マイ

  • 雅なる名の空蝉の姿醜し

    笑酔

  • 空蝉の目映りし日の源氏かな

    まつゆう

  • 空蝉や松の木爪をたて宙へ

    いと茶

  • 空蝉や光る私の出発点

    カヅラ梅

  • 子等が指はめし空蝉空を飛び

    小橋春鳥

  • 空蝉やサンドバッグに開きし穴

    夢見亭笑楽

  • 空蝉や暁といふ紅きもの

    大谷如水

  • 幼な子のやや手を伸ばし蝉の殻

    紫紺

  • うつせみや鳴き出す前の静の跡

    月影ミウ

  • 旅の後空蝉電車に揺られけり

    祐雲

  • うつせみや長い歳月脱ぎ捨てて

    なにわっこ

  • 空蝉や空をいういう飛行船

    あい女

  • 空蝉の恋に後悔なかりけり

    佐藤こはる

  • 蝉の殻あのひとの笑顔みたことない

    碧西里

  • 無言の帰路空蝉へ託す恋

    ネコ目

  • 空蝉に花一本の手向けして

    平松洋子

  • 燃ゆる日の果てて空蝉皆軽し

    まんぷく

  • 空蝉や源氏ひもとく経机

    横山薫子

  • 空蝉や欲には果ての無いものを

    深山紫

  • 空蝉や忘れじの写真全消去

    鳥ノ海開

  • 空蝉を光に透かし風をきく

    小塚蒼野

  • 掌の空蝉魅入る女の子

    一の介

  • 空蝉よ翔べ透いて見ゆるあの世まで

    葉子A

  • 空蝉と蛇の抜け殻宝もの

    だけわらび

  • 空蝉の石垣上る最中かな

    中山白蘭

  • 臨月の腹撫づ木陰に空蝉

    晴乃日

  • 見上げ飛ぶ空蝉残し空の青

    板東まーぴー

  • 空蝉の風に転がるちっぽけさ

    佐羅

  • 空蝉や訪ね人無き墓一つ

    横ちゃん

  • 空蝉をそっと手の中持ち帰る

    青泉

  • 空蝉や飛び立つ命の重きこと

    キョンちゃん

  • 空蝉や声を吸い込む木陰かな

    鹿柴

  • 空蝉や廊下の夫のズボン下

    かぬまっこ

  • 空蝉を掌にのせてみる国文科

    宗樹

  • 空蝉や百木をたたく朝の雨

    紗千子

  • ボンネットに眠る空蝉海の夕

    知己(ともき)

  • 仰け反りてより空蝉となりにけり

    好文木

  • うつせみの己を満たす旅に出たい

    りん

  • 離れ行く君の残り香空蝉や

    相沢雨

  • 空蝉や花を手向ける歩道脇

    ぽんたちん

  • 空蝉を避けて見上ぐ一つ星

    ノエル@竜子

  • 空蝉やただしがみつきしがみつき

    燈穂

  • 空蝉やからからと鳴る宝箱

    とみことみ

  • 空?を拾ひて祖母の七回忌

    ちばさん

  • 空蝉や堂々巡りの悩みごと

    ねぎみそ

  • 空蝉や壁に爪立て塵まみれ

    位子

  • 舗装道ころころころと空蝉よ

    久衛(ひさえ)

  • たかが蝉殻されど空蝉朝上がり

    こはぎ

  • 空蝉やダンテ枕に爆睡す

    公毅

  • 空蝉に「頑張ったね」と敬礼す

    貴桜李

  • 空蝉が二つ並んで寺の隅

    元喜@木ノ芽

  • 空蝉よ父のたましひ戻り来よ

    直木葉子

  • アスファルトだらけの街に空蝉や

    泥塗れのポスト

  • 空蝉や脱力という安堵かな

    松茶巴@プレバト木ノ芽

  • 空蝉や静かにたぎる命の音

    くすん

  • 空蝉や実家の蔵へ断捨離品

    南城馬天

  • 空蝉をテーブルに置き写生する

    アオキシゲル

  • 空蝉を背中(せな)につけ、好きと伝へた(スキトツタエタ)

    のもとみな

  • おらを見ろ空蝉胸に十八個

    貴茂菫

  • 夕暮れて眼のみぞ光る蝉の殻

    紫鋼

  • 忘れかけた恋の空蝉何処へやら

    世の中ひろし

  • 空蝉や風にからから竿の上

    小石日和

  • 空蝉や落ちた候補の顔写真

    馬場東風(とうふう)

  • 空蝉の中に暖か気のありて

    土屋木漏れ日

  • 空蝉や星の中での時の跡

    野中泰風

  • 空蝉や老後は遠くなるばかり

    片栗子

  • 空蝉や踏み潰し押し潰す

    青木健一

  • アスファルト空蝉ひとつ転びけり

    雑草おばさん

  • 空蝉や大樹の陰に世を忍ぶ

    湘輝

  • 空蝉や読書感想文の罠

    山本先生

  • 七年の修羅場ありけり蝉の空

    まるちゃん2323

  • 空蝉やいやこは身あり濃く光る

    未知

  • 空蝉を探し見上げた太い幹

  • 「明日にしよう」ポストの口の空蝉や

    空白みゆき

  • 空蝉やつまんでは散りゆく?

    ぬえとじ

  • 空蝉に駆けて教える通学路

    炭の絵

  • 里帰り空蝉待ちし秘密基地

    しぼりたて

  • 小学校空蝉のみが聞く木霊

    サラリーマン忍者

  • 空蝉や一方通行の坂道

    都築つみ木

  • 空蝉や川の流れに身を浮かし

    函峰明治

  • 空蝉や夕日へもどる友の背

    はやて

  • 空蝉や盆栽オブジェに二匹居り

    丹羽信道

  • 空蝉や求愛こばみ衣のみ

    りこ

  • 空蝉や蘇る国立駅舎

    くにたち太郎

  • 空蝉のおはかが出来たばぁばン家

    佐藤文旦

  • 空蝉を満たす不易や流行や

    ぐりetぶらん

  • 空蝉か枝震わせて哭く巨樹よ

    甲山

  • 空蝉やぽとりと落つるその日まで

    住吉敦子

  • 空蝉や母居ぬ日より十二年

    紫檀豆蔵

  • 空蝉の上に空蝉狭き門

    英ちゃん

  • 空蝉や風雨に負けじしがみつく

    春爺

  • 空蝉やモラトリアムとかいう鎧

    さくみ

  • 葉の上に空蝉ポツリ声を待つ

    壬生紋鬼

  • 空蝉や咲ふみたいに泣く老女

    香野さとみZ

  • 空蝉や履く人の無き靴遺る

    佐々木のはら

  • 空蝉や百年後には実る恋

    戌の箸置

  • 空蝉や背のほころびに夢のこし

    新田淑

  • 空蝉に産みの苦しみありにけり

    夢堂

  • 蝉の殻未だ生々し濡れにけり

    水木華

  • 老犬は蝉殻を吠え午後の道

    芽衣

  • 空蝉とる子エーミールは見ている

    白傘

  • 朝市に木椅子わたしと空蝉と

    鯉太郎

  • 肌をさす空蝉の足崩れけり

    ふっこ

  • 空蝉や延命拒む母の印

    ななこ

  • 空蝉やバスもう来ない停留所

    高橋無垢

  • 空蝉の全力尽くし木々の幹

    大富孝子

  • 空蝉を黄金に染めて陽は昇る

    壱太

  • 空蝉の殻を破りて新天地

    倉の人

  • 空蝉の√しっかと幹掴む

    赤橋渡

  • 空蝉や地図にない道探す我

    なかの花梨

  • 拾いたる空蝉水に浮かべたり

    比呂子

  • 握力をゼロにし握る空蝉よ

    田名あみ子

  • 空蝉のなごりの音の吹かれけり

    みくにく

  • 精巧に過ぐる空蝉ここに在り

    野々ゆか

  • 空蝉やよくぞ登りき竹ぼうき

    のら

  • 胸につけし空蝉の脚肌を刺し

    りう女

  • 空蝉となってもしっかと葉を掴み

    自由美子

  • 水害後強く並んだ空蝉たち

    ろん

  • 八日目の乾いた空や蝉の殻

    野々りんどう

  • 箱ぎっしり空?は子の宝物

    もりたきみ

  • うつせみやバレエ衣装の仮縫い日

    みずの風華

  • 空蝉や残り僅かな命出ず

    ひろのじょう

  • 空蝉や進路指導を受ける朝

    一純。

  • 空蝉を見つけなばほらそこここに

    銀命堂

  • 空蝉や鄙の居酒屋木看板

    風来

  • 庭に二つ朝日浴びけり空蝉よ

    よつ葉

  • カンタって友達みたいな呼び方で

    さこ

  • 空蝉に縋る空蝉?の森

    うさぎまんじゅう

  • 空蝉は虫捕りの子に身動がず

    よひら

  • 空蝉や姿そのまま残りけり

    甲賀忍者

  • 空蝉やわたしはわたしあなた誰

    蛍川

  • 空蝉の納まりきれぬ拳かな

    西山哲彦

  • 空蝉に蘇る日のありにけり

    らくさい

  • 空蝉や指先すがることはなし

    熱帯ヤー

  • 空蝉の転がるままにふたりかな

    斜楽

  • 空蝉や少し汚れてきたギプス

    葛谷猫日和

  • 空蝉の大樹切り裂く吾子の声

    星海

  • 空蝉や三者面談親は来ぬ

    日午

  • 空蝉の目に生命の名残あり

    まぐのりあ

  • 空蝉や送り出す子の背中かな

    阿波豊

  • 空蝉やここは新宿新宿歌舞伎町

    垣内孝雄

  • 空蝉の記録映画の幕が開く

    是空

  • 空蝉の足の踏ん張りひぃひぃふ

    きんえんくん

  • 空蝉や握り潰した夢甘く

    式子

  • ?留守電に不在を告げるは空蝉か?

    ゆりこ

  • 空蝉や古き衣をそつと置き

    高橋冬扇

  • 空蝉や子を抱くごとくしがみつく

    ひろ史

  • 空蝉の抗う如く急くときに

    乙女座のM

  • 孫の手に空蝉ひとつ大樹鳴く

    白山

  • 空蝉となりてなお足雄雄しかな

    七生姫

  • 空蝉や下灘駅のベンチ裏

    なおばら

  • もしかして空蝉鳴きし日暮れかな

    風峰

  • 空蝉や生きた証と踏んばりぬ

    ふみ

  • 空蝉や終の笑顔の写真立て

    桃福

  • 空蝉ふたつそつと根元に埋めにけり

    芳香

  • 空蝉をつまみ軽さを確かめり

    双月(そうげつ)

  • 空蝉の力の限り命脱ぐ

    あけみ

  • 空蝉や大地に根おろす2号炉は

    酔芙蓉

  • うつせみに遠い昔の風をみた

    にゃんみー

  • 蝉の殻あたまを下に落ちにけり

    悠久

  • 空蝉に耳寄せ無音を感じる

    つりっくマン

  • 空蝉を脱ぎし空蝉輪廻かな

    妙光@木の芽

  • 空蝉や逝きし主の天仰ぐ

    想予

  • 空蝉や刹那の命木漏れ日に

    日向えみり

  • 9才のキャップ10から蝉のから

    草青

  • 空蝉や一年生と同い年

    ロクヨン

  • 空蝉に未だ羽伸びぬ蝉のをり

    散土

  • 空蝉と言うには長き土の中

    大島雲流

  • 空蝉の爪鋭さに我重ね

    しゅん

  • 海抜5.0m空蝉すがりけり

    森沢奏

  • 空蝉の背割るは陣痛の如し

    服部勝枝

  • 全身の土も干からぶ蝉の殻

    寝たきりオヤジ

  • 空蝉の殻に私は入りたや

    大村真仙

  • 靴底に乾きし音の空蝉や

    睦恵

  • 空蝉やチームメイトに重ね鳴く

    洞奈津子

  • 靴に空蝉やつ叱ろうか笑おうか

    純父

  • 空蝉や妊婦の肌に見惚れたり

    オキザリス

  • 埋め立てのこんな処にも空蝉

    倉形さらさ

  • 空蝉の五つをそっと母の手に

    中野こと子

  • 葉の裏に空蝉ふたつ残りけり

    己心

  • 空蝉やペットボトルの水わずか

    藤鷹圓哉

  • 空蝉をしだいて時を解き放つ

    村松縁

  • 空蝉を並べし箱はセルロイド

    湖雪

  • 空蝉や夢張り裂けてそれつきり

    晴好雨独

  • 空蝉の光る眼や空見つめ

    真林

  • 空蝉や猫眠る土からも穴

    枇杷子

  • 産土の庭空蝉のならびける

    エイシェン

  • 空蝉やネジ締めやらぬガスバーナー

    半熟赤茄子

  • 空蝉や母刻刻の旅支度

  • まだ登るつもりのかたち?の殼

    ましろなぎさ

  • 空蝉や口をへの字に祖母の真似

    木田余ふぢこ

  • カーテンにしがみつきたる蝉の殻

    正子@いつき組

  • 空蝉のつかまるる葉のかろやかさ

    翠穂

  • 空蝉や葉脈に足そろえをり

    山部コルチ子

  • 空蝉や我も捨て去る松葉杖

    風らん

  • 空蝉や友だち出来たこの町で

    姫山りんご

  • 空蝉や相応の新陳代謝

    菊池洋勝

  • 空蝉を笑顔で潰す吾子二歳

    優純bow

  • 空蝉や眼の光なほ失せず

    数鉄砲

  • 空蝉やあの木で会おうと言ったのに

    温湿布

  • 空蝉の土塊のままに眼の濡れて

    いごぼうら

  • 背が割れて空蝉ぽつり化石めく

    ちょろたこいん

  • 空蝉やにじり口より入り込む

    春蘭素心

  • 空蝉に射す木洩れ陽は飴の色

    宮島ひでき

  • 空蝉や恋して過ごす最晩年

    中村邑

  • 空蝉や垣より世間見渡しぬ

    下村ひじり

  • 親心見守り終わり空蝉に

    ばんしょう

  • 空蝉を残して恋の始まりぬ

    イチロー

  • 空蝉で泣かせた妻の下校道

    たいき

  • 空蝉や地中で何を思わんや

    あおか

  • 空蝉や開腹するも縫合す

    みのる

  • 折り紙の練習に飽き蝉の殻

    くれまてぃす恵子

  • 空蝉や握り潰したE判定

    齊藤立夏

  • 真横から子の放つ蝉の殻々

    藍時湘

  • 宝箱戦利品なるせみのから

    らびっと

  • 朝ぼらけ光を浴びて空蝉や

    むすびめ

  • 空蝉や今宵も月に愛されて

    あつちやん

  • 空蝉や日に三便のバスを待つ

    紗々

  • 空蝉の眼にうつろな空が残る

    眠睡花

  • 人は墓標蝉は空蝉残すかな

    近江綾

  • 独り者居間に空蝉飾りけり

    瀬々葱坊主

  • 空蝉や三日の定めの響きかな

    霜月

  • うつせみの旅立ちの朝置き手紙

    三毳

  • 空蝉や飴色に透く雨上がり

    安田信州

  • 空蝉や生まれでぬ子の予定日来

    竹内桂翠

  • 空蝉や背に透明な羽根がある

    野ばら

  • 空蝉に閉じこもること許されて

    落合きり

  • 短命の静かな痕跡空蝉や

    智蝶

  • 空蝉の詰まりし都営靄の朝

    三角州

  • 空蝉や大統領になるつもり

    日記

  • 空蝉や出棺の朝雨静か

    のりりん

  • 飴色の悲しみの目の空蝉よ

    ヤヒロ

  • 空蝉や忌中の家の門柱に

    千葉睦女

  • 空蝉がすべるは街角ごみの山

    東西線イフリート

  • 空蝉や目には魂残しおり

    蜥蜴の尻尾

  • 空蝉の世に空蝉の身を嘆く

    こてつ川

  • そもそもが空蝉と云う幻想

    茂る

  • 空蝉や光るの君の恋悲し

    正宮崎

  • 空蝉の縋りつきたるご神木

    紅さやか

  • 砕かれし空蝉落つる難波かな

    幹人

  • スモックを脱がせばぽとりと空蝉

    天宮歩奏

  • 空蝉や天知らぬ山門を行く

    シラクサ

  • 空蝉や疾風に命纏けり

    秋色あじさい

  • 子のポケットに石ころと空蝉と

    なつめ

  • 空蝉や生きた証の転がりし

    松山のとまと

  • 空蝉やパイクスピーク遥かなり

    峰江

  • バックネットの空蝉の無重力

    夢芝居よしみ

  • 空蝉や転校生の靴の土

    琴女

  • 暗き朝空蝉一つ三つ三つ

    流雨

  • 自由研究の空蝉妹の顰め面

    まゆりんご

  • 枝撓ふ空蝉つかむ爪の音

    紫雲英

  • 空蝉の土に戻るや雨の朝

    かずポン

  • 蹴とばした空蝉の主鳴いてるや

  • 空蝉やごめんなさいを言ふかたち

    花節湖

  • 空蝉や思いの果てのやるせなさ

    朝ぼらけ

  • 我が服に空蝉つけた子は笑顔

    藤すみ

  • 濁流にのる空蝉や雨の庭

    朝桜咲花

  • 空蝉やアスファルト突き破ってよ

    みなつ

  • 空蝉を信心深く手の平に

    酩酊堂

  • 空蝉や琥珀のブローチくれた男

    桜木レイ

  • 空蝉や小僧と共に陽を浴びる

    三大夜景

  • 空蝉や株に腰掛けただ見つむ

    雪渓之岩魚

  • 園庭の空蝉さがす朝の風

    うらら恵子

  • 空蝉のしがみつきたる草の茎

    中井笙石

  • 空蝉やすかす光は幾光年

    細木さちこ

  • 空蝉や天地無用の溢るる世

    高村優雨花

  • 土と木と葉と空蝉と前に空

    西田武

  • 空蝉の出生地ここ幹の下

    富樫幹

  • 空蝉の手指確かに岩を噛む

    浅見弓楽

  • 空蝉や小さき島のグスク跡

    田邉真舟

  • 観音の衣の襞に蝉の殻

    峰泉しょうこ

  • 空蝉や子孫につなぎ響き合う

    14橘貞山

  • 空蝉が子孫を残す石碑なり

    日本酒

  • 空蝉や叔母と一緒に草を引く

    荘介

  • 飛びたくて飛びたくて空蝉風に

    英子

  • 空蝉やでっかい地球抱えおり

    山口雀昭

  • 空蝉や樹からはかなく落ちにけり

    風間昭彦

  • 空蝉を競い集めて忘れけり

    あいむ李景

  • 空蝉や輪廻転生からからと

    竹林

  • 子育ての終わりし庭や蝉の殻

    宮田一代

  • 空蝉の残す姿を称えけり

  • 空蝉やミサイルは頭上を過ぎて

    横縞堂

  • 空蝉を服にすまわせ遊ぶかな

    白銀のシリウス

  • 空蝉やあまりに細き枝先に

    西川あきや

  • 軒下の並ぶ空蝉逃げる猫

    田畑尚美

  • 祖父と見た早朝の空蝉の黙

    大河

  • 空蝉や東京には空がない

    地に根ざし陽に伸びる

  • 空蝉や黄色い点字ブロックに

    ささき良月

  • 東雲や空蝉の鼓動残すも

    紫蘭

  • 空蝉よ今ちょっと動いたよな

    ふくろう悠々

  • 空蝉や父の残しし道具箱

    竹庵

  • 空蝉や箪笥の奥の母子手帳

    モッツァレラえのくし

  • 十九士の便り草間の空蝉

    亜音洲

  • 空蝉や中はからりと響いてた

    むじーじ

  • 雨で目覚めし七日目に空蝉消えぬ

    貴至

  • 空蝉や衣一枚からからと

    紫香菫

  • 空蝉を探したあの日は宝物

    ゆき蛙

  • 空蝉をしゃくと潰す子のあどけなさ

    Elise

  • 空蝉を隠す身中少女さび

    篠田ピンク

  • 空蝉を銜えて帰る猫の髭

  • 空蝉の照りて大地を動かざる

    桔梗

  • 空蝉の丸き背に吾の老い重ね

    ひろ

  • ポッケの空蝉は宝石跳ねる子ら

    青鉛筆

  • 空蝉や一人生まれて一人死ぬ

    草翡

  • 空蝉や魚眼レンズの横並び

    むくいぬ

  • 空蝉の森空蝉の町空蝉の

    鯛風

  • 儚くも生きた証しの空蝉かな

    英傑

  • 空蝉の琥珀を溶かす夕陽かげ

    鶏心

  • 空蝉の眼が濡れて今脱皮

    あすなろ

  • 銀座四丁目で空蝉を拝む

    猿人

  • 箒木に空蝉のひつかかりをり

    青柿

  • 空蝉や鑿跡深き道しるべ

    也和

  • 空蝉がバージンロード転がって

    涅槃girl

  • 空蝉に怯えし吾子もはや二十(はたち)

    一雲

  • 空蝉や朝陽通して黄金色

    晴日和

  • 空蝉やふたりっきりのビートルズ

    吉村よし生

  • 空蝉は木漏れ日のステンドグラス

    若葉

  • 空蝉となりて自由な空へ飛ぶ

    宗本智之

  • 月を背に衣脱ぎ捨て空蝉の

    カタツムリ

  • 空蝉のあし掴んでる永遠の時空

    みぃ

  • 空蝉や寺社の足場を組んでゐる

    伊藤正美

  • うつせみはおかあさんにもさわれます

    畦のすみれ

  • 杜の朝空蝉の背の阿吽かな

    猫舌扁平足

  • 空蝉や金さん銀さんの血筋

    蒼い朱鷺

  • うつせみを素知らぬ顔の猫またぐ

    まみのすけ

  • 空蝉を川に流して遊ぶ子ら

    笑々

  • かなしくも透けて空蝉忍ぶかな

    あけび庵

  • 空蝉や定年辞令貰ひけり

    國本秀山

  • 空蝉や君亡き後も生き行く吾

    林和寿

  • 空蝉やおまえがここにいた証

    石岡女依(早映改め)

  • 空蝉や安産祈る水天宮

    江里口泰然

  • 空蝉は諸行無常の響きあり

    和舟

  • 空蝉や不動明王とにらめっこ

    蘭子

  • 手の中の空蝉を潰す妄想

    尾上真理

  • 空蝉や七日の命を守りきり

    麗し

  • 空蝉や退き際よしな茜雲

    池田和正

  • 空蝉や生きるは何と問いかける

    柳春子

  • 空蝉や置いてけぼりのかくれんぼ

    まにあ

  • 空蝉にも届かぬシリアのあの日

    くれあしおん

  • リビングに瓶詰めの蝉の抜け殻

    ペンギンおじさん

  • 吾子の手にそっと乗せたる蝉の殻

    ハルノ花柊

  • 空蝉に夕日射し込みカンロ飴

    篠悦子

  • 空蝉や軍艦マーチ吐き出しぬ

    吉野川

  • 空蝉のあわれや今日も離れ行

    白晃

  • 下草に優しく軽く空蝉落つ

    仙丈

  • 腰に棒胸にうつせみ日暮れまで

    しゅうふう

  • 空蝉や目鼻凛々しく寄り添いて

    久仁重

  • 空蝉や二連D51待つレンズ

    欲句歩

  • 空蝉や五十年目のクラス会

    朋女

  • 空蝉とどちら早しか涙涸るは

    若澤杏子

  • 数合わせ地面の穴と空蝉と

    水間澱凡

  • 空蝉や私は嘘をつき通す

    キリンと鳩

  • 空蝉へ吾子の眼の近づきぬ

    万斛

  • 空蝉やしがみつく木に未練あり

    宇宙生物ぷりちーぴ

  • 空蝉やミュンヒハウゼン症候群

    山野ゆうり

  • 空蝉や母の箪笥の母子手帳

    遊子

  • 空蝉に目を見張りけり幼な子や

    花見川太郎

  • 空蝉を数ふ退職決断す

    玉和

  • 空蝉よ山の探検懐かしむ

    惠悟

  • 空?やいのちの重さ知る梢

    伊予吟会玉嵐

  • 空蝉の背の割れわが身腹を見る

    大三郎

  • 空蝉よ旅に出るのか外は雨

    千津江

  • 旅立ちを星は知りたる蝉の殻

    夢見昼顔

  • 白い歯と虫網一杯の空蝉

    烏龍

  • 空蝉やまだ蒼さうな柔さうな

    ヤマボー

  • 空蝉をかざして透かし万華鏡

    ちゃんこフォンデュ

  • 空蝉へ己が身を映したる

    台所のキフジン

  • 死あるのみ知つていたのか空蝉よ

    一茶お

  • 空蝉やまだ魂のおる気配して

    うま子

  • 透き通るあまりに軽い蝉の殻

    永想

  • 空蝉や語られぬ年月を君は捨てるか

    真妃

  • 雨どいに空蝉一つしがみつき

    焼津昌彦庵

  • 空蝉の傍まだ静か雲は行く

    ガオガオ

  • 定点のそら空蝉の落つるまで

    筒井花子

  • 空蝉のすがる神木ここに在り

  • 空蝉を握りしめたら消えちゃった

    みっこりん

  • 空蝉が酒席に咲かす武勇伝

    天津飯

  • 空蝉や二重線引く住所録

    竹の子

  • 空蝉のひとつところに集まれり

    ヨシケン

  • バスは行く空蝉ふたつ乗車して

    wolf626

  • 転がるや空蝉といふ優雅な名で

    斉藤ふみえ

  • この思い空蝉捨てて舞い上がれ

  • 空蝉よ映像で聞く人の死を

    吉田竹織

  • 空蝉や主の声聴く葉陰裏

    谷田藪辛子

  • 空蝉や林に響く笑い声

    ダリア

  • 空蝉や光源氏の想いは今も

    てるてる

  • 空蝉や脱け殻の爪食い込みぬ

    いなほせどり

  • 空蝉の背に一条の光かな

    コタロー

  • 空蝉や子ら研究し日記記入

    ハレルヤ

  • 空蝉や旧姓に似て虚ろなる

    岩品正子

  • 空蝉や無明の背から吾子の顔

    仲七

  • 空蝉の匂いかすかに夢の跡

  • 空蝉や御霊集ひし庭の木々

    森一平

  • 金網の空蝉にしがみつく夜

    chiro

  • 空蝉や水琴窟の音清ら

    ミセス水玉

  • 地に穴の木に空蝉の多し多し

    末尾波世遠

  • 空蝉や儚きいのち幸あれと

    よりみち

  • 空蝉や巣立ちし子らの部屋灯す

    東尋坊

  • 空蝉や亡父の歳に近づいて

    一井蝸牛

  • 千の風空蝉揺らして仏壇へ

    桃桃

  • 空蝉や部長ではない新学期

    古都鈴

  • 自殺者よ観よ空蝉のたましひ眩し

    藤咲大地

  • うつせみや死んでもかじりつく気合い

    しゅうちゃん@5さい

  • かけ寄る子服にあまたの空蝉の友

    西の海牛

  • 空蝉ののけぞる先の空広し

    川島欣也

  • 空蝉を並べショパンを聴いてゐる

    文月さな女

  • 空蝉の手招き対の道祖神

    もちえちゃん

  • 空?やコスメの香る夜の地下

    おがたま

  • 空蝉や翠玉の香連れ耳たたく

    うめがさそう

  • 空蝉や妣の着物の浅葱色

    つつ井つつ

  • 空蝉や絵日記いまだ真白なり

    明石焼穴子

  • 空蝉を触りたいけど触れぬ子

    とりこ

  • 空蝉やおふくろ語る通夜の夫

    伊藤はな

  • 空蝉や父の眸と同じ色

    くま鶉

  • 朝日差す空蝉はまだ湿りをり

    はまのはの

  • 空蝉や白墨で描くケンケンパ

    網野れいこ

  • 雨風に爪離すまじ空蝉よ

    樹梢@木の芽

  • 静けさの心持ちなり空蝉は

    堀アンナ

  • 空蝉さえも弟の戦利品

    渡邉くるり

  • 空蝉や独り身虚し膳に付く

    静香

  • 星の夜のいまだ嫋やか蝉の殻

    山本嘉子

  • 空蝉の一つ棺に置かれけり

    余熱

  • 空蝉や一夜に平成脱ぎ捨てし

    玉井瑞月

  • 眼の丈の空蝉透かす朝日かな

    笹弓

  • 空蝉と同じ鳴き声だなあ我

    榊裕江子

  • 空蝉をくだこうとして指迷う

    瀬波秋鮭

  • 空蝉や墓石の影で旅立つか

    ゆぃ

  • 空蝉や新築の壁木の記憶

    新藤柑子

  • 空蝉や異形に棲みしは何者ぞ

    藤郷源一朗

  • うつせみや自分勝手な人だつた

    せんえい

  • 空蝉や吾にもあるや飛翔の日

    いつの間にアラカン

  • 空蝉を好きなあの子に付けました

    おたまじゃくし

  • 空蝉や電話番時給八百円

    えんどうけいこ

  • 空蝉のつまみたくなる琥珀色

  • 本物の姿を隠す空蝉や

    恵寿

  • 空蝉の身の光りおり天守閣

    太子

  • 空蝉さがす孫のためやら我がためやら

    はごろも

  • 真夜中に空蝉蠢くページあり

    月々

  • 空蝉はニテコ池の御魂を知るや

    猫げそ

  • 空蝉や君を尋ねてギター弾く

    たけわらび

  • 空蝉やベンチに残る野球帽

    栄魚

  • 空蝉を透かして光る青と白

    じじい風まかせ

  • 空蝉や被爆地の木に爪立てる

    秀道

  • 空蝉やクローゼットの剣道具

    こつき

  • 静けさに探す空蝉まだ会えず

    イナケン

  • 空蝉の中身に焦がる余生かな

    雀狼蘭

  • 空蝉や箪笥深くに服在りて

    多香

  • マイク置き舞台去るよう空蝉は

    泥酔亭曜々

  • 在りし日やフィルムケースの空蝉

    亀の

  • 空蝉や未明の光なほ伝ふ

    ペコちゃん

  • 転居せり空蝉ひとつ置土産

    さぶり

  • 空蝉や素数の不思議を子に教え

    たま蛙

  • 古戦場作るジオラマ蝉の殻

    スローライフ

  • 空蝉や母なき家の鍵の穴

    香舟

  • 空蝉やまた妹を蹴りました

    のつり

  • 空蝉の降臨したるオモチャ箱

    山下高

  • 空蝉やその伽藍堂に宇宙あり

    平野水麦

  • 樹の幹を空蝉しかと噛んでいる

    露草

  • カーテンに空蝉残る朝かな

    松原くるりん

  • 空蝉や証明写真の余りたる

    オリヒロ

  • すがる足はがし空蝉持ち帰る

    ときこの母よしこ

  • 空蝉や忘れ形見が今日を啼く

    小川都雪

  • 黄金射す今朝の空蝉数えをり

    岸れん

  • 両の手で包む空蝉ここはどこ

    勘太郎

  • 空蝉をやおら起こした仕事靴

    ひな子桃青

  • 空蝉の風の抜け道通り道

    白井百合子

  • 空蝉を脱ぎ捨て立つは日の出かな

  • 空蝉や地球に生きし証なり

    桃香

  • 空蝉や村に一軒ある飲み屋

    重翁

  • 泣くまいと空蝉そっと掌に

    華らんまま

  • 空蝉や陸上部員の荒い息

    はなだんな

  • 子ら巣立ち空蝉の居やや広く

    馬門宗太

  • 空蝉や主人無き昼のリビング

    風鈴

  • 空蝉はブラックホールの宿主です

    立石神流

  • 空蝉の並ぶ枝ごと幼子へ

    よーこ

  • 空蝉や名前浮かばず立ち話

    桜桃侍

  • タンデムとシートにちゃっかり空蝉が

    Benじい

  • 空蝉にニイニイゼミの影残り

    オイラー

  • 縁葉に突風空蝉舞い踊らん

    パンケーキ大好き(*^o^*)

  • 縋りつく空蝉恋文の切れ端

    南風の記憶

  • 空蝉や世が世ならばと知覧の碑

    高梅仁

  • 空蝉や酔ひし女のベアバック

    隆松

  • 木々に聴く今は何処に空蝉や

    中川徳之

  • 空蝉を振り向きもせず一直線

    哲也

  • 耐へ偲ぶ恋は古いよ空蝉よ

    宮﨑紅清

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