兼題「春着」に関するお便りを紹介します。
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●季語六角成分図「春着」より。(視覚)女性、子供、老若、妻娘、妓女など意外な人物。明るい色柄、帯、袂、裾、襷、襟巻。春着で遊ぶ、走る、台所仕事をする、初詣や初芝居に出かける。(嗅覚)着物の布の匂い、樟脳の匂い。(聴覚)衣擦れ、子どものはしゃぎ声、羽子板。(触覚)絹の肌触り、まとわる布。帯が苦しかったり邪魔だったり。(味覚)なし。(連想力)新年の身のひきしまる思い。晴れやか、華やか。明るい光。★角川歳時記には、「新年に着る晴着のこと。かつての正月は、外出時だけでなく家庭内でも改まった衣装を身に着けた。春の花衣同様、季節のめりはりを強く意識した季語である。」とあります。基本季語五〇〇選(山本健吉)には「多くは子女のそれをさす。/春著に日本髪の若い女たちの初詣や初芝居や年賀の風景も、よく見られる。」とあり、比較的新しい季語であるとありました。★視覚、触覚が強い。「九十年生きし春著の裾捌き 鈴木真砂女」のような円熟味のある春着から、「膝に来て模様に満ちて春着の子 中村草田男」のように幼子の春着まで、様々なバリエーションがあります。自分を思い返してみると、たまたま一度だけ新年におろしたての着物を着たことがありましたが、なんとも晴れやかな心地がしたものです。★好きな句「三才の春著を翅のごとひらく 辻田克巳」「春著きてすこしよそよそしく居りぬ 山田弘子」/碧西里
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※たくさんのお便りありがとうございます♪ 皆で楽しく読ませていただいています。
写真タイトル:道後温泉別館 飛鳥乃湯泉 中庭①(噴水)
写真参照元:https://dogo.jp/download