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DIARY

季語深耕部 byハイポニスト

2025.08.25お便り

兼題「夜の秋」に関するお便りを紹介します。

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●季語六角成分図「夜の秋」より。(視覚)夜空、星、月、夏の灯、間接照明、窓、天井、ベッド、本、肌、パジャマ、湖…(嗅覚)粥、米の炊ける匂い、蚊取り線香、手花火。(聴覚)夜の町のざわめき、涼風、虫の音も聞こえ始める。氷とグラスの音。(触覚)木綿、シルク、ガーゼなどの布の感触。食卓、食器、マウス、キーボード。(味覚)なし。(連想力)衰え去りゆく夏の生命力を惜しむ。さびしさ。秋の気配、季節の移ろい、流転、無常。★晩夏になると夜はすでに涼しく、秋の気配が漂うこと。時候の季語なので連想力が強く、視覚、嗅覚、聴覚、触覚は連想力から派生したものであることに注意が必要です。★角川歳時記には、「古くは秋の夜と同じ意味であったが、近代以降、夏の季語として使われるようになった。」とあります。基本季語五〇〇選(山本健吉)には「『気象的には、…立秋のころ以降にこの季語を用いた方が合理的…』と言っている。…『夜の秋』を夏の季語とすればこそ面白いのであって、…秋を感じるのは主観であり、気分なのだから、科学的な厳密さよりも、詩人の詩情の上で、この季語は生きていればよい。」とあります。多分に俳句的主観に依った季語であり、それゆえに独特のペーソスを醸し出す季語だなぁと思います。★好きな句「粥すゝる杣が胃の腑や夜の秋 原石鼎」「夜の秋の投げだす足裏闇に向く 大野林火」/碧西里

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※たくさんのお便りありがとうございます♪ 皆で楽しく読ませていただいています。


写真タイトル:道後温泉本館 外観(正面・夜①)

写真参照元:https://dogo.jp/download

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