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DIARY

季語深耕部 byハイポニスト

2021.06.28お便り

兼題「蛇」に関する季語の考察や体験など、たくさんお寄せいただきました。

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●季語六角成分図「蛇」より。(視覚)長い胴体、細かい鱗、二つに分かれた舌、煌々とした目。うねうねにょろにょろ、巻き付き締め上げる、がばりと顎を大きく開き、咬みつき咥え込む、草むらを這い、川や海を泳ぐ。蛙、鼠、鳥の雛などを丸呑みし膨れている腹。農家で鶏卵を狙うことも。子供が振り回す。(嗅覚)危険を感知して臭いを出す種もいる。土、水、草の匂い。(聴覚)シャーシャーという威嚇音(尾から出る音。蛇は声帯がないため声ではない)。(触覚)ざらざら、しっとりとした蛇皮。ひやりとしている。はちきれるような力強い筋肉の躍動。(味覚)美味しいらしい。(連想力)水神、家の守り神、田の神、医術の神など神性を持つ一方、毒を持つことから畏怖の対象でもある。八岐大蛇、アスクレピオス、メドゥーサなど蛇に関係する神や怪物は世界各地に存在。死と再生、知恵、富、金運、幸運の象徴とも、聖書から誘惑の象徴とも。★爬虫綱有鱗目ヘビ亜目に分類される総称。蝉や茸などと同じく、みんな大好き(あるいは扱いに困る)集合名詞。視覚、連想力、触覚が強い。へび、くちなはと二音、四音で使えるので使いやすいですが、二つの呼称の印象の違いには注意したいところです。その他傍題も多数(ちなみに蝮は別季語)。★四肢の退化した形態のためか、毒を持つためか、常に苦手生き物の上位に入ります(ちなみに私は平気なので、こんなに嫌われていて可哀そうだな…と思う)。蛇が苦手で作れない!という悲鳴がSNSから聞こえてきましたが、例句を見ると過去の俳人たちもそうだったようです。★過去の兼題の中でもトップクラスで例句が多かったです。自由自在で崇高な蛇。毒を持ち人を唆す蛇。様々な側面を持ち、俳人心を刺激する兼題ですね。/碧西里

●夏井先生、正人様 いつもお世話になります。「夏と蛇」を検索したら芭蕉の「夏草に富貴を飾れ蛇の衣」が出てきました。今回兼題で、蛇の皮と天女の衣を連想しましたがピンときませんでした。この句のキラキラ感は季語「夏草」の持つ力でしょうか?ここ1ヶ月蛇に想いを巡らせたことが、芭蕉の素晴らしさを改めて実感する機会になりました。自分の愚作を投稿するのが恥ずかしいなと思いましたが、芭蕉も迷った句があるとか。お手本になりました。/素々なゆた

●巳年生まれですが蛇は苦手です。神のお使いと言われようと金運があると言われようと「干支は蛇です」とは言いたくない。子どもの頃祖母が孫達におみやげだとそれぞれに干支の根付けをくれたことがありましたが、うさぎや鶏、犬など従兄弟達がかわいい動物なのに私だけ蛇でめちゃめちゃがっかりした思い出が(ToT)今回の兼題も無理かもと思ったのですが結構面白い発想につながり驚きでした。これからも好きにはなれないと思いますが自分の干支ですからあまり邪険にしてはいけないのかも。ちなみに夫の母も祖母も巳年生まれで親子三代巳年の妻というわが家。さて息子の未来の花嫁は?ちょっと楽しみだったりします。/古都 鈴

●組長、正人さんいつもありがとうございます。「蛇」の兼題ではいままで以上に実体験が色濃くでました。その中で常に車へ火箸載せと送った句がありますが、それは僕の年長のいとこが車に火箸をいつも載せていて、それについて聞くと「蛇が道路なんかで死んどろう、ほんなら火箸で拾うて見えんとこに移したるんじゃ、これ以上車に轢かれたらかわいそうじゃろう。こうしとったらおかげもあるんじゃてえ」こんな会話をそのまま句にしてみました。そんな世界に育ったのでした。/楽花生

●今回は夏の季語「蛇」です。季語の分類でいうと動物の季語となります。蛇に関する季語は春の季語で「蛇穴を出づ」と秋の季語で「蛇穴に入る」があります。この二つ季語は比較的よく目にするので、なんとなくこんな感じで詠めばいいのかなという感覚があるのですが、蛇単独の句はあまりお目にかかったことがなく、とっつきにくい感じがします。また、二音の季語であるので、上五、下五に季語を置く常套手段が取りにくいので、個人的に避け気味の季語ではあります。しかしながら、二音の季語が苦手といって避けていても俳句の幅は広がりません。二音の季語を使う場所として、中七では残りの五音に埋もれてしまいそうで、やはり上五か下五で使うことになるかと思います。では、残り三音にはどのようなものがよいのか考えてみると、体言(名詞など主語となりうるもの)と組み合わせると蛇という季語の持つ力が弱くなりそうなので、用言(動詞、形容詞など単独で述語となりうるもの)と組み合わせるのがよいのではと考えています。特に蛇は動物の季語なので、動詞と組み合わせるのがよいのではと考えています。蛇という季語と用言、体言の組み合わせについて歳時記の例句から読み取れたのは、用言と体言の組み合わせが半々ということでした。ということ用言と体言どちらを組み合わせても良い句ができるということなのですが、体言との組み合わせ取り合わせの句作りが難しいなという印象です。さて、二音の季語に関するお話しが長くなりましたが、蛇という季語の本質について考えてみたいと思います。蛇は脚がなく、動物としては異形のものであり、人からは忌み嫌われる存在であり、一方で白蛇は神の使いである。蛇は龍の化身であるなど、神聖視される相反する顔を持っています。例句をみてもおどろおどろしい面と、神聖視される面のいずれでも詠まれています。五感に関してはおどろおどろしい面が視覚で詠まれ、神聖視される面では第六感、霊感のようなものとの組み合わせが多いと感じました。蛇は匂いや音の面では弱いので、このあたりの感覚は詠まれていないようです。試みとして匂いや音の感覚と蛇を詠んだ句に挑戦したいと考えています。/いもがらぼくと

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※たくさんのお便りありがとうございます♪ 皆で楽しく読ませていただいています。


写真タイトル 道後公園

写真参照元 https://matsuyama-sightseeing.com

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