お便りを紹介します。
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●俳句とは何だろう? 私は以前この「おたより」の中で、「俳句は自分史そのものだ」と書いた。そしてこれに私自身が感動するようなお返事も頂いた。しかし現実の私の日常には日記に特記しなければならないような出来事はほとんどなく、「今日は特に記すことなし」みたいな毎日なのである。しかし、最近こう考えるようになった。俳句の主役はいつでも「季語」である、これは万人が認める戒律のようなものだ。しかし俳句の主人公はいつも自分である必要はない。さらに言えば主人公が人間でなければならないという規則もない。他の動物でも植物でも、もの言わぬ唯の物体でも、天然自然でもなんでも主人公になり得る。ただ俳句が詩である以上、そこに人間の心が必ず介在しなければならない。そう考えると、注意を向けさえすれば、俳句の「ネタ」は身の回りにも一杯あると思える。例えば電話で他人と話したり、テレビを見たり、ラジオを聴いたりする中で、「へえー、そんなことがあったんだ」というような、エピソードとか、ストーリーとか、そういう中で心を打たれたものをノートにメモしておく。そしてそれを俳句に組み立てるのだ。はっきり言えば他人様の出来事なのである。だからこそ、自分の受けた感動が、他人にもしっかりと伝わるように表現できなければならない。俳句の「リアリティ」とは、まさにそこに集約されているということ。ともかくあらゆる日々の見聞き、出来事に自分の心を寄せて、寄り添ってみることが、句作の原点にあるのではないかと思えるようになった。/佐藤烏有
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※たくさんのお便りありがとうございます♪ 皆で楽しく読ませていただいています。
写真タイトル:松山市西堀端
写真参照元:いよ観ネット