俳句ポスト365 ロゴ

中級者以上結果発表

2021年11月20日週の兼題

水仙

【曜日ごとに結果を公開中】

【並選】

  • 水仙や祖父在りし日の黒電話

    月石 幸

  • 水仙やさらの付箋紙更に貼り

    松山茜柑

  • 水仙の案内や墓碑の径明し

  • 水仙や捨てし一書を買ひなおし

    折戸洋

  • 鷹の飛ぶやうに水仙ひらきけり

    常幸龍BCAD

  • 水仙や*を連打して

    有ル蜜柑

  • 眠くない吾もコンビニも水仙も

    木染湧水

  • 水仙の受難小犬掘る掘る掘る

    古都 鈴

  • 水仙の香る玄関朝刊来

    HNKAGA

  • 今ふった男から来る水仙花

    GONZA

  • 水仙花隣には自殺の名所

    夢見昼顔

  • 八重咲きの水仙独り占めの朝

    sakura a.

  • 水仙の群落かつて村ありき

    眠 睡花

  • 朝の卓ハムと卵と水仙と

    美年

  • 水仙の海十年の語り部に

    犬神伶

  • 引き金を引けば死ねるわ水仙花

    鈴木麗門

  • 水仙やゲイトボールに沸く公園

    東 湘輝

  • 深呼吸の腕の描く弧や水仙花

    みつれしづく

  • 百万の水仙叫ぶ拉致の海

    坐花酔月

  • 富士山へ墓地のあかるく水仙花

    朶美子(えみこ)

  • 水仙や窓閉めんとし閉めずおく

    山内負乗

  • 水仙やショパンの色にバッハの香

    佐藤烏有

  • 瀬戸黒に水仙匂う山の宿

    時まる

  • 半島の付け根原発野水仙

    津軽ちゃう

  • 水仙や窓と床は水拭きです

    うた歌妙

  • 愁苦とはあの水仙のあの角度

    錆田水遊

  • 水仙にほのと熱みる火山岩

    花屋英利

  • 水仙や湖に張り出す野面積

    渡邉竹庵

  • 覚えある木霊はるけし野水仙

    さとう夢虫

  • 坂の上目指す三人野水仙

    津軽まつ

  • 水仙や尾骨のやうに細る島

    玉庭マサアキ

  • 水仙や栞代わりに挟む遺書

    港のパン屋

  • 警備室一輪挿しの水仙花

    水無月

  • 海光や水仙のくび脈をうつ

    まこちふる

  • ゴールして水仙の香のおもいきり

    中西柚子

  • 水仙や白にも千の色あつて

    あさのとびら

  • 水仙や硯の丘へおとすみづ

    飯村祐知子

  • 街灯に水仙浮かぶ朝まだき

    佐野 明世

  • 小金持ちの庭に侵攻水仙軍

    諧 真無子

  • シャム猫の視野を水仙濃くにほふ

    広木登一

  • 水仙は包んでおくと電話口

    宮坂暢介

  • 潔癖の過ぎたる母や白水仙

    acari

  • 海鳴りに水仙のこる浜の店

    市橋正俊

  • 水仙や国のまはりは荒き海

    茫々

  • すきとほりたい明け方の水仙は

    渋谷晶

  • 冠木門開きて一面の水仙

    砂楽梨

  • 水仙の群れし岬に群れし人

    壱太

  • 水仙や多分胎の子男の子

    三浦にゃじろう

  • 十日目の爪切る音や水仙花

    田面類

  • 水仙や団地に子らの声はなし

    林山千港

  • 水仙はよ咲け転校は明日やぞ

    秋沙美 洋

  • 水仙の道抜け父の通夜会場

    八幡風花

  • 教室の黙食水仙のささやき

    空豆魚

  • 水仙やメールは返ってこなかった

    真名女

  • 水仙や祖父曾祖父とある遺影

    京野さち

  • 鯨めく雲と水仙ピケ足場

    松本裕子

  • 水仙をつつく私を秘密とす

    青野彼路

  • 水仙や太古に爆ぜし星は今

    斎乃雪

  • 水仙切る母の家出を寿ぎて

    紺乃ひつじ

  • 水仙の横顔ルパンは盗見たのです

    司啓

  • 家捨つる覚悟のありや野水仙

    小池令香

  • 星空のなだれて万の水仙花

    夏草はむ

  • カレー屋の気品ピッチャーに水仙

    清水 三雲

  • 爪弾きの水に応うる水仙花

    内藤羊皐

  • 水仙や薄端にある修理あと

    薮久美子

  • 水仙は首折る湖を覗くため

    弘友於泥

  • 最後まで教室を出ず水仙花

    神山やすこ

  • 水仙は地上を実況する係

    干しのいも子

  • ひつそりと咲く水仙の香のあらは

    江藤すをん

  • 水仙はま向かひ同意書は嫌ひ

    はれまふよう

  • 海へ行く道はまつすぐ水仙花

    主藤充子

  • 水仙や海辺の朝に二点鐘

    弥日

  • 水仙や彼女が触れた跡の水

    野井みこ

  • 水仙や火宅の男ひとり逝く

    谷口詠美

  • 水仙の群れてさみしい渡船場

    浦野紗知

  • 水仙はこの世の音を消す装置

    瀬尾白果

  • 水仙はいつも窓向き遠い空

    一純。

  • 菓子箱に鈴と骸と水仙と

    夏雨ちや

  • 水仙の聖域ひそひそと靡く

    なしむらなし

  • 良い人の余白余白に水仙花

    シュリ

  • 水仙のよじれて自由意志はあるか

    ツナ好

  • 水仙は何故か母の匂ひのす

  • 野良猫に矜持と暮らし水仙花

    稲畑とりこ

  • 石置けば其処が拝所や水仙花

    池内ときこ

  • 波飛沫と呼鳥門と水仙花

    中鉢矢的

  • 恋悼む真昼に献花して水仙

    西原みどり

  • 水仙や若狭の浜は祖母の浜

    佐藤香珠

  • 水仙や明けきらぬ夜の作業靴

    戌亥

  • 水仙や元美少年らしき伯父

    あみま

  • 太陽に媚びず水仙たおやかに

    明神おぼろ月

  • 海神に背く水仙五六株

    澤村DAZZA

  • 突風に水仙の香の巻かれをり

    okapi

  • 水仙の声ともならぬ匂ひかな

    ツカビッチ

  • 1Kの隅へコップの水仙花

    万葉剣

  • まつすぐへ向いて水仙あをざめて

    武井かま猫

  • ヴィーナスの下腹のにほひ水仙花

    大庭慈温

  • 芯は日のような温みの水仙花

    るんやみ

  • バンクシー真つ黒の水仙描く刷毛

    きゅうもん@木ノ芽

  • 電話来ぬ目に水仙の白づくし

    田中木江

  • 荊棘線の隔つは海と水仙と

    古田秀

  • 水仙や薪割る音の芳しき

    さくさく作物

  • 水仙の好きなをとこと 居を構へ

    岡田雅喜

  • 水仙へ届かぬ犬の無き鎖

    石田将仁

  • 水仙やずらりと同じ靴の先

    黒麹 糀

  • 伝記なら水仙活けてある書架と

    高橋無垢

  • 片足を引き摺る猫と水仙と

    秋熊

  • 水仙や朝の汽笛を運ぶ風

    青木豊実

  • 水仙や核家族でもなくひとり

    音羽凜

  • 群咲きの水仙海難慰霊塔

    柚木みゆき

  • 熱くさき息水仙はうなだれて

    すりいぴい

  • 水仙や昏き淵へと沈む影

    枯木 花

  • 野水仙「魏志」に在る一支國の島

    藤田康子

  • 水仙は死の鉱脈より咲きけり

    あるる

  • 水仙の風ぐせのまま生けらるる

    山田蹴人

  • 蜂起せし民や水仙の高潔

    at花結い

  • 水仙や明け方色の雨の去り

    仁和田 永

  • 水仙のまぶしき磯の香のラーメン

    まどん

  • 俯向いて海鳴りを聞く水仙ら

    丸山隆子

  • 水仙を吸殻のちるホームへと

    丸山志保

  • 水仙や顔のきれいな方が兄

    澤田 紫

  • 水仙やみづにしずんだをんなの貌

    宮間ミヤマ

  • 水仙が一番麗し女学校

    青矢 真紘

  • 水仙やオノコロ島に波閑か

    洒落神戸

  • 水仙や不安ある日の深呼吸

    谷町百合乃

  • 海鳴りの正体群れる水仙花

    畠山 悊央

  • 水仙の形に夜のあなたかな

    背馬

  • 水仙へ繋ぐ手固くして登る

    大山香雪蘭

  • 水仙の咲く道抜けて木星へ

    入口弘徳

  • 水仙切るをんなわづかに唇うごく

    ほろろ。

  • 水仙やエスプレッソの豆の傷

    富山湾

  • 水仙や故郷の土は砂利だらけ

    北野きのこ

  • 古書店の狭きレジ台水仙花

    露草うづら

  • 金婚を活ける雪中花の間取り

    モッツァレラえのくし

  • 水仙やカッターナイフで傷付けたい

    丹波らる

  • 野水仙海坂といふ沖の紺

    銀 次郎

  • ゼロ戦の離陸の風や野水仙

    山吹なお

  • 水仙のスロープ遠し松葉杖

    八木風味

  • シンデレラ以外は端役水仙花

    真子井こはく

  • 水仙の放つ風反り返る波

    灰頭徨鴉

  • 水仙や娘ひとりは書家を継ぎ

    山内 負乗

  • 脱会や一本だけの野水仙

    銀紙

  • ガラス瓶水仙一本ままならず

    kikuti-aya

  • 水仙や涙は見せていいんだよ

    姫川ひすい

  • 水仙を家のかしこに活ける母

    林たまさか

  • 白杖に水仙の香を持ち帰る

    虎八花乙

  • 水仙や音叉と弦の彷徨う「ラ」

    俳号考え中のユキ

  • 水仙花ざわざわ母校この近く

    斉藤立夏

  • 水仙のわがままきまま母校跡

    杉尾芭蕉

  • 水仙や崩し字まるき『明月記』

    加良太知

  • 筬打やあけぼのを揺る野水仙

    碧西里

  • 水仙をまへに両膝そろへたり

    ウロ

  • 水仙のひかりあまねし磯わたり

    福岡参山

  • 海原を見たく水仙身を傾ぐ

    髙橋弓女

  • 絵にしたら水っぽくなる水仙花

    始の子

  • 生木にきしむ鋸水仙の香

    夕虹くすん

  • 水仙と病院管理栄養士

    カタツムリ

  • 蕎麦屋の入口一叢の水仙

    菊池克己

  • 曾祖母は明治の女水仙花

    かぬまっこ@木ノ芽

  • 香をたどり水仙の束昼のレジ

    水間澱凡

  • 窮愁をしばし忘れて水仙花

    ひすい風香

  • 水仙を挿して野の風部屋に呼ぶ

    大村真仙

  • 青白き天使のカメオ水仙花

    播磨陽子

  • 水仙のくちびるなぞる太き指

    冬樹 立

  • 水仙やひかりの水をたくわへて

    越智ぷちまり

  • 水仙の香と欠礼の葉書来る

    蓼蟲

  • 去り際の孔雀の眼尻水仙花

    橘鶫

  • 水仙をたむけよ喜寿の吉右衛門

    奈良の真

  • 百万の水仙の眼と目が合った

    くさ

  • 売物件敷地斜面に野水仙

    石岡女依

  • 艶めく位牌水仙は鈴なり

    玉野汐音

  • 水仙や岬をめぐるバス絶えて

    綾竹あんどれ

  • 水仙や部分麻酔のカテーテル

    ちびつぶぶどう

  • 道しるべの馬頭観音水仙花

    円 美々

  • 水仙の遅れて香りはなちけり

    そまり

  • 水仙へ潮風牧羊笛めいて

    衷子

  • 水仙とわたくし実は気が強い

    竹内一二

  • 波描く墨の太さや野水仙

    土佐藩俳句百姓豊哲

  • 水仙や浜の原発再稼働

    そうり

  • 水仙のささめのごとく匂ひけり

    醒子

  • C判定の模試代々木に水仙

    加地祐作

  • 水仙の伏して岬の香りけり

    いたまきし

  • 水仙の葉や新刊の栞紐

    あとりとまひわ

  • 釣り合わぬ家に嫁ぎて水仙花

    登盛満

  • 水仙や定年の日にシール貼る

    江藤薫

  • 水仙の共通語は香なり

    よかわもりお

  • 水仙や吾の人生の受動的

    熊縫まゆベア

  • 電子空間めく水仙の内部かな

    光峯霏々

  • 鍵つ子や日暮れの卓に水仙花

    果禄

  • 二束の水仙墓に日の匂ひ

    峰 乱里

  • 七週の胎児の鼓動水仙花

    閑々鶏

  • 水仙や父の愛したひとは母

    云々 美雲

  • 廃駅の錆びた線路や水仙花

    なかの花梨

  • しゃがむ子のうしろ見張ってゐる水仙

    石井瑩

  • 水仙や看護学部にゆく男

    ぞんぬ

  • 鉄扉水仙花に包まれて

    よぶこどり

  • 早朝や手水盥に水仙を

    安部亜喜代

  • 水仙やひよこは軽し庭の隅

    ねむり猫

  • 野水仙島の風聴く烏骨鶏

    小鳥ひすい

  • 水仙や告解室のなまぐさし

    立石神流

  • 水仙や吾子の涙の訳を知り

    さくやこのはな

  • 縄跳びの丘に水仙運ぶ夕

    栗田もとえ

  • 水仙の香の復路にも夜の古寺

    明惟久里

  • 公団の公園に猫水仙花

    宇谷風月

  • 水仙の歎き海鳴りの応答

    冬のおこじょ

  • 荒海やふるへの止まぬ野水仙

    ららら句らら

  • 水仙やただ真直ぐな母の愛

    神谷たくみ

  • 水仙や学び続ける仲間たち

    川村記陽子

  • 口に出すべき事か水仙に問ふ

    花伝

  • 喘ぎ着く丘はひと色野水仙

    余熱

  • 謄本の束が証や野水仙

    孝崎有辺

  • 水仙やジャズが流れるカフェにいる

    安寿

  • 水仙の香りうつつへ戻る母

    伊奈川富真乃

  • 水仙の一輪あれば許しけり

    ダック

  • 水仙と朝かへすきみレクイエム

    和泉穣

  • 水仙や三分の三拍子めく

    西村青夏@金カル

  • 水仙のうつむくは恋いたみをり

    こいぬ

  • 水仙の香りの強きけふの雨

    蓮香(山端直子)

  • 退職の机に光る水仙花

    大小田忍

  • 群青の潮風あつめ野水仙

    伏見丹耶

  • 横断の生徒一礼水仙花

    青柿

  • 水仙やけふも平らかなる淡路

    ふくじん

  • 水仙のための細径岬鼻

    ひろ志

  • ジェット音幽かに揺らぐ野水仙

    じょいふるとしちゃん

  • 調弦のラ待つ中ゆび水仙花

    蕗野弥音

  • 核兵器廃絶水仙の清ら

    中原柊ニ

  • 水仙や震災に哭く家の闇

    柿司

  • 水仙や薄日の海はまだ黒し

    木ぼこやしき

  • 芳しき水仙の露地釜の湯気

    星月さやか

  • 水仙の匂ひ拾ひて海の路

    一日一笑

  • 千の水仙たぶんあのへんがぼく

    赤馬福助

  • 水仙や誰とだつたか伊豆下田

    森一平

  • 水仙やZ世代の接し方

    ノアノア

  • 水仙の香り水難碑はしずか

    みやま千樹

  • ここはむかし海底だつた水仙花

    イサク

  • 水仙を生けてやヨガの呼吸法

    ちかひか

  • 水仙へ隧道の風容赦無く

    春雪

  • 図書室の水仙の香や「お静かに」

    木村ひむか

  • 水仙をゆらしてみればソラソラシ

    くみくまマフラー

  • 水仙開くひかりの繭が裂けてゆく

    すずしろゆき

  • 晩年は平和な暮し雪中花

    氷室茉胡

  • 水仙やまれびと千の生きしさま

    としなり

  • 水仙や流派の違ふ義母の花器

    果音

  • 水仙よまだ私まで九人待ち

    海瀬安紀子

  • 海昏れて淋しき背中水仙花

    さいたま水夢

  • レジ横の水仙が吾を口説くのだ

    西田武

  • 水仙生まる瓦礫浄土となりにしか

    白鳥古丹

  • 遮断機に飽きてあくびの野水仙

    まこ@いつき組広ブロ俳句部

  • 窓からは水仙のみな後頭部

    川越羽流

  • 水仙や母にはなれぬ母もゐて

    ラーラ・K

  • 水仙や無垢なる骨になりにけり

    ぼたにこ

  • 今日の凪群れて水仙咲いたから

    みのる

  • 水仙を求めて響くこだまかな

    森 佳月

  • クリネオの黄は水仙の蕊らしい

    一茶お

  • 水仙の鉢の人権スローガン

    青海也緒

  • 水仙花ココロの凹凸を均す

    恵勇

  • 水仙花腹の第二子と嗅いでみる

    ふわり子

  • 水仙咲く誰も一人にならぬよう

    あなぐまはる

  • 爺の部屋水仙活けて曇る窓

    三泊みなと

  • 水仙ガ青果物店バケツの中

    りんごのほっぺ

  • ただ一人夜更けのナース水仙花

    さぶり

  • きらきらと水仙の波ふかく吸ふ

    砂糖ふさこ

  • 水仙の修道院にバス停まる

    ふもふも

  • お寺にも異人館にも水仙花

    ⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部

  • 雨止みて柩のかをり水仙花

    千代 之人

  • 水仙のうつむく角度六度程

    れんげ畑

  • 放課後のふと水仙のひとり言

    いさご眠人

  • 水仙や僕は会社を辞めません

    土井小文

  • 水仙の香に耽溺のラブホテル

    磯田省吾

  • 水仙に触れる指から透きとおり

    小沢 史

  • 前世は沖航く白帆水仙花

    うはのそら

  • 越前より来し水仙の咲きっぷり

    中島京子

  • 引揚の息子を待つや水仙花

    はるく

  • 電線の影水仙に落ちにけり

    Dr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部

  • 水仙やサナトリウムの青い窓

    卯年のふみ

  • 水仙やいづこの星の破裂音

    登りびと

  • 水仙や小さく背伸びする少女

    城内幸江

  • 暗緑の水面や水仙の溺死

    宮武濱女

  • 水仙や原爆ドームの透ける空

    松高網代

  • 水仙の気立ては風を甘うして

    北藤詩旦

  • 水仙の売り娘に妣の国訛り

    越前岬

  • 水仙やしづかなしづかな年忌明け

    武者小路敬妙洒脱篤

  • 水仙や古本くくり一日終へ

    愛燦燦

  • 水仙となつたか貝殻の主は

    石井一草

  • 更地にもなれぬふるさと野水仙

    立部笑子

  • 万引きの黙にささやく水仙花

    彼方ひらく

  • 水仙やまた現れし影法師

    久蔵久蔵

  • 水仙を抱いて行旅死亡人

    高野きぬ

  • 水仙はお琴の教室のかをり

    ほしの有紀

  • 水仙の横向くせなに小窓の陽

    まー坊

  • 瓦礫へと置かるる水仙や光

    風慈音

  • 岬鼻の風の硬さや野水仙

    塩野谷慎吾

  • 野球部の寮母の活ける水仙花

    野ばら

  • 水仙や眠くなる計算カード

    新開ちえ

  • 水仙や十字架めく三角点

    如月ドロップ

  • 水仙やドクターヘリの急旋回

    えいぎょ

  • 水仙や七里ヶ浜の月白し

  • ヨネさんはいつも不機嫌野水仙

    へなけん

  • 白き香のホスピス棟の水仙花

    風の鳥

  • 水仙やナースシューズのしづかなる

    剛海

  • 水仙や犬のにこ毛はなお白し

    雨霧彦@木ノ芽

  • 全水仙照準を日に定めけり

    素空

  • 昼休みのナースのため息白水仙

    佐々木のはら

  • 1.17十七本の水仙花

    淡海かこ

  • 水仙のひかり臥所に届かざり

    北代晋一

  • 父母のなごりの手すり水仙花

    文月

  • 水仙や婚姻届受理証書

    竹田むべ

  • 水仙の芯のみ描き方忘る

    大和田美信

  • 水仙をバゲットと持ちありく朝

    夏の小町

  • 水仙咲いて人柄も佳き庭

    藤鷹圓哉

  • 妻の剪る水仙ママの挿す水仙

    かむろ坂喜奈子

  • 水仙や写真の父の若き顔

    小松 眞智

  • 水仙はしずむ覚悟を決めました

    藤 雪陽

  • 一叢の水仙石の仏どち

    吾亦紅

  • 水仙の丘散骨のふね沖へ

    矢想

  • 教卓に水仙ざわめく女生徒

    平野水麦

  • 水仙を雪の字のあるお位牌に

    鯛 風

  • 水仙や金平糖と裏声と

    M・李子

  • 橋渡り弁天堂へ水仙花

    てんちょう

  • 水仙や姉との距離がつかめない

    幸田柝の音 

  • 水仙や入院の裏木戸軋み

    福田みやき

  • 研師皆失う指紋水仙花

    灰色狼

  • 水仙の綺麗な風を育ておる

    松田てぃ

  • 水仙や窓一つない家に住む

    涅槃girl

  • 再見と水仙の篭抱へけり

    長谷川水素

  • 水仙の斜め四十五度のまま

    高橋寅次

  • 一面の水仙遠回りの海

    藤白月

  • 水仙を描きて心に満つる白

    ことまと

  • 墓じまひの聲朗らかに水仙花

    白プロキオン

  • 潮風に水仙犬の鼻しとど

    ペトロア

  • 面談の教室広し水仙花

    長谷川ひろし

  • 水仙のここで何人身投げした

    新蕎麦句会・凪太

  • 水仙は狂雲集の前に生け

    愚有多楽亭

  • 家々を囲む水仙同じ揺れ

    木寺 仙游

  • キッチンは夜の底水仙におう

    秋野茜

  • 喪の家を遠巻きにして水仙花

    酔下弦

  • 水仙や玻璃の花瓶の直方体

    ゆすらご

  • 否という錆びたはさみを水仙花

    オキザリス

  • 水仙のまづは香りを朝まだき

    まあぶる

  • ひしゃげたるガードレールや水仙花

    鈴木之之

  • 半島の揺るるが如し野水仙

    川岡すえよし

  • 墓誌の書は吉備真備か水仙花

    森脩平

  • 曇天の爆音猛し野水仙

    重夫

  • 勤行に揺れるつくばい水仙花

    三水

  • 水仙の香をとじこめて出棺す

    国東町子

  • 懇談は作法室です水仙花

    でんでん琴女

  • ほこ天の銀座路傍の水仙花

    斗三木童

  • 水仙の横ひた走る補欠部員

    快晴ノセカイ

  • ぶつてやろうか野水仙束にして

    日々拓人

  • 水仙や母留守の日の朝ごはん

    ツユマメ末っ子9歳@いつき組広ブロ俳句部

  • 水仙や売り看板の別荘地

    ツユマメ@いつき組広ブロ俳句部

  • まつ更な空のかほりや水仙花

    蜥蜴の尻尾

  • 水仙やあと一キロの給水所

    海峯企鵝

  • 清貧に生きぬ仄と水仙の香

    岡山小鞠

  • 自転車が煽る香りや野水仙

    きべし

  • 水仙ひとつごめんと言ってしまう

    京あられたけむら

  • 水仙や清しく伸ばす我が背骨

    霞山旅

  • 彰義隊を匿ひし寺水仙花

    とんぼ

  • 水仙や津波に消えし母の庭

    楽市

  • 水仙やラッパの練習十五分

    いちご大福

  • 水仙よ明日には歌いだす気配

    あたなごっち

  • 文机に水仙生けて書く手紙

    ゆみづき

  • 水仙はきっとおしゃべり線路わき

    ピアニシモ

  • 水仙や何個の顔を持っている

    瑞鬼羅

  • 四十五度甘く優しく水仙花

    月見草

  • 床の間の水仙2・五金王手

    福井三水低

  • 水仙の香も来て越前駅ピアノ

    吟  梵

  • 暗い土一本の水仙一つの明かり

    冥界神ハデス

  • 水仙や村の老爺の一家言

    山川腎茶

  • 水仙の風と少女の口笛と

    英子

  • 校庭に水仙暴力隠されて

    天の川ーズ ひこぼし

  • 寵姫は斬らる明けて水仙にほひたつ

    靫草子

  • 水仙のひかりすべてをはじく白

    みづちみわ

  • 水仙や愚者ゆく崖の先細り

    清永ゆうこ

  • 水仙が群れて防災無線佇つ

    月岡方円

  • 痛さうに切られて髪も水仙も

    夏湖乃

  • うねる水仙群吹雪のごとかほり

    中島 真珠

  • 水仙に雨週末の夜は独り

    つきのひと

  • 蕊の底小さき湖あり水仙花

    いつか

  • 水仙や告知無く消ゆ画材店

    土橋胡翔

  • 水仙や爪研ぐ猫の耳に傷

    なつめモコ

  • うつ向きて香りを隠す野水仙

    おぐら徳

  • たれ置きし水仙の束御水屋に

    雪井苑生

  • 喪ごころをたたみつくして水仙花

    吉谷地由子

  • 水仙の畦には触れぬバックフォー

    椋本望生

  • 放つ矢のするどく水仙はそこに

    ヒマラヤで平謝り

  • 水仙やとむらひのかたちの波紋

    瓦すずめ

  • をんなども労りあふや水仙花

    霜田あゆ美

  • 水仙や鏡に放射状の罅

    久保田A

  • 水仙は異国のみづのかたちめく

    藤田ゆきまち

  • 水仙が私のこと嫌ひと言つた

    ひねもす

  • 水仙や内定の報墓前にて

    山本 マユミ

  • 水仙の尚青々として嫌い

    羽織茶屋

  • 水仙の音符はすべて高いおと

    杏是りゐ菜

  • 水仙になってみたけど寂しかった

    どいつ薔芭 

  • ブルージュや尼僧の庭の水仙花

    かんこ鳥

  • 星となる選択肢なく水仙花

    ひでやん

  • 水仙や尾翼象る鎮魂碑

    池之端モルト

  • 水仙もベンチもあつてイマジンで

    七瀬ゆきこ

  • 退勤の先輩手提げには水仙

    梵庸子

  • 校門に墓の匂ひの水仙花

    秀田狢

  • 鼻先に触れた水仙まだ香る

    空流峰山

  • 理科室のフラスコ挿さる水仙花

    森爺

  • 澄んだ目のメデューサ水仙見ていいか

    しろねこ

  • めんだうなこと知らんぷり水仙花

    ゆうま

  • 初公判胸ポケットの水仙花

    村瀬っち

  • 水仙や母ありし日の畳紙

    村上優貴

  • 水仙やオーの口したコーラス部

    まりい@木ノ芽

  • 砲台の熱奪ふ風野水仙

    独星

  • 野水仙読経かき消す怒濤かな

    中里 凜

  • 緘黙の椅子はひやりと水仙花

    蓮花麻耶

  • 水仙に勝馬券添え棺閉じる

    定吉

  • 一輪の水仙の窓夜の飯場

    羊似妃

  • 水仙の風清し早退の土手

    鶴木綿

  • すいせんの馨りや海を寝かさんと

    平良嘉列乙

  • 水仙にことわり拾うボールかな

    四丁目

  • 姉妹とも寡婦となりけり水仙花

    りう女

  • 水仙のひかり手話の指綺麗

    天陽ゆう

  • 水仙やシャンプー台のきみの声

    小山晃

  • 水仙のあくびソルフェージュがつたがた

    石浜西夏

  • 水仙や荒野に還る母の畑

    中根由起子

  • 水仙を見て噴き上げる油田見て

    新右衛門

  • 水仙やうつつへ戻すピアノのC

    孔明

  • 水仙や現場へ向かふヘリの音

    野狸彦

  • 水盤の黒きを律す水仙よ

    山羊座の千賀子

  • 水仙の白波打つや千枚田

    比良山

  • 研ぎあげる剖検のメス水仙花

    星埜黴円

  • 生きなくちゃだめ水仙がまだ白い

    夏野あゆね

  • 水仙は震え海底噴火の夜

    山城道霞

  • 水仙や最終選考の結果

    杵築きい

  • 風捨つる潮目境や野水仙

    すがりとおる

  • 水仙を強くて細い線で描く

    楽花生

  • 激戦の島よ群立つ水仙よ

    杜まお実

  • 住人の居ない貸家の水仙花

    ヤヒロ

  • 水仙の左の花は慈悲の相

    久森ぎんう

  • 水仙の群へバイクと風の群

    中島走吟

  • 水仙やまつすぐ書いてゆく写経

    宥光

  • 水仙や今日は聴きたいラブソング

    渥美こぶこ

  • 老犬に生きてゐる価値水仙花

    蒼鳩 薫

  • 詰まらない失敗水仙を買う

    白薔薇

  • 水仙へひかりの触るる淡き音

    関津祐花

  • 水仙の畑の先に原発塔

    相模の仙人

  • 水仙や墨汁を寄せつけぬ白

    KII

  • 背もたれの硬し水仙臭ふ歯科

    もりさわ

  • 水仙やボール遊びは止めておく

    あゆか

  • 水仙や部活最後のこの一射

    日向こるり

  • 水仙やサーカスと云ふ名の広場

    瀬央ありさ

  • 母辿る考への道に水仙花

    林 和寿

  • 人生のこたえ合わせや水仙花

    このみ杏仁

  • 絵の売れて水仙たちの嫉妬かな

    まんぷく

  • 水仙の花冠に座る海の星

    榊昭広

  • 水仙や贅沢品はこればかり

    はまお

  • 水仙へ傾ぐ足場や津波の国

    和季

  • 海鳴りに混じる一閃雪中花

    安井コスモス

  • 日の当たる石段ごとに水仙花

    千の葉

  • 玄関の水仙の香にマトリョーシカ

    澄海まさと

  • 水仙はゆれる劇薬嗅ぐように

    青蜥蜴

  • 差し伸ばす妃の首のごとき水仙

    トポル

  • 水仙が見慣れた夢で匂いだす

    ちゃうりん

  • 水仙や足崩す妾の眉間

    下條ちりり

  • 水仙や作務のひとつに開く窓

    ベーグル

  • 今日もまた水仙貰ってきたのか

    宇田建

  • 居残りの吾と先生と水仙花

    向原かは

  • 雪中花モデル時代の写真捨つ

    かつたろー。

  • 水仙の群れて香りて漁師町

    伊藤順女

  • 水仙に満天の星と潮騒

    むじーじ

  • 水仙をもて国境を主張せり

    真崎正樹

  • 自画像の自我よ水仙一輪よ

    おきいふ

  • 潮騒の角をまるくす水仙は

    山香ばし

  • 雲昏き沖は白浪水仙花

    石塚彩楓

  • 水仙の花ある環状交差点

    藤井赤童子

  • 水仙や汽笛も人も荒びやすく

    蘭丸結動

  • 朝刊のビニルひかりは水仙へ

    海野碧

  • 水仙生まる月の薄皮剥ぐやうに

    髙田祥聖

  • 水仙の音は大人に聞こえない

    雷紋

  • 右頬を指先触るる水仙花

    亀の

  • 水仙の横向くままにウ音便

    真喜王

  • 水仙や廃虚の島へ向かふ船

    由づる

  • 水仙を抱く号外かぐはしく

    暖井むゆき

  • 手術後の電光眩し水仙よ

    紀杏里

  • 水仙やコギーのあくび知らんふり

    海音寺ジョー

  • 傷創と呼ぶにはしろく水仙花

    青田奈央

  • 水仙にむせる「見えない配達夫」

    富佐野ほろよい

  • 水仙花灯台守を称へけり

    山村立歩

  • 水仙と父の写真と鴎外と

    福田かな子

  • 水仙や白富士望む貴賓室

    たま走哉

  • 水仙や心が無い方の私

    詠頃

  • 水仙の抑揚波紋なき水面

    田中勲

  • 水仙の鼻をつく香や不穏なり

    はまゆう

  • 水仙や引き返すのもありですか

    石橋青蛙

  • 野水仙蛸の干物の揺るる島

    安春

  • 水仙や廃坑道にかつて銀

    也和

  • 水仙やダム湖の水の青緑

    西村小市

  • 水仙や今も一人であの家で

    ほしのあお

  • 水仙やじいじがくれるハッカ飴

    季切少楽@いつき組広ブロ俳句部

  • 駐車場の狭い銀行水仙花

    真冬峰

  • 鎮魂歌ソプラノは水仙の花

  • 水仙を剪り立ち上がる高さかな

    朱契

  • 辞表置く一輪かおる野水仙

    小川さゆみ

  • 水仙に水仙凭れつたはりぬ

    大塚迷路

  • 水仙や「大丈夫」てふ拒みぐせ

    はなあかり

  • 水仙や活断層にずれし坂

    粋田化石

  • 水仙や時は朝より始まりぬ

    世良日守

  • 錆ふかき廃校水仙あかるくす

    山田菫舎

  • 昏睡の子のかたわらの水仙花

    一走人

  • 五線譜の捩れて水仙の香り

    広瀬 康

  • 水仙や転校生は釜山から

    新城典午

  • 水仙や卒論書けば文学士

    津軽わさお

  • 水仙や消毒臭きナースの手

    小笹いのり

  • 手向くれば水仙の香に触るる海

    いさな歌鈴

  • 切り口のひかりのびたり野水仙

    戸口のふっこ

  • 水仙をこんな所に植ゑて逝く

    寺尾当卯

  • 三ツ石のしめ縄新た野水仙

    小倉あんこ

  • 迷ひなき素描の線や水仙花

    樹朋

  • 好きな香の父と真白き水仙と

    千原 十吾

  • 水仙花眠る老女の脈を診る

    桃花@いつき組俳句迷子の会

  • 水仙や胎児の心拍ぱくぱくと

    紀友梨

  • ジグザグに座る教室水仙花

    影山らてん

  • 水仙や千の水兵眠る海

    福良ちどり

  • 吸うているのか吐いているのか水仙

    大熊猫@四句八句

  • 地図を何せむ水仙の鳴る方へ

    優木ごまヲ

  • 水仙やまつこと曇りのなき鏡

    月影の桃

  • 水仙や余白をヨハンシュトラウス

    岸来夢

  • 水仙や根岸の庭に律と子規

    野々原ラピ

  • 水仙の夜の素振りに揺れてをり

    清水祥月

  • 水仙の窓辺リストのピアノ曲

    井納蒼求

  • 水仙とプール釣り場の救命衣

    大紀直家

  • 水仙の隣りの席は予約済

    研知句詩@いつき組広ブロ俳句部

  • ひと鉢の水仙不仲さうな向き

    ふるてい

  • 飛行機や千葉の水仙空を見ず

    睦月くらげ

  • 屠殺場へ水仙の香を抱きつつ

    柳絮

  • 太秦の褪せしメガホン水仙花

    常磐 はぜ

  • こゝより私道立て札囲む水仙花

    あなうさぎ

  • 水仙や大人しいのはわるいこと

    平としまる

  • 水仙を推しに挟むやグラビア誌

    夜野百幸

  • 水仙や五線つまびく如き記譜

    松山めゐ

  • 水仙やジムノペディのオルゴール

    樋口滑瓢

  • 水仙は地よりうまれて地がきらひ

    中田ひで

  • アクリル板越しの祖父母と水仙花

    荒木俊充

  • 海白く崖の水仙なほ白く

    クロまま

  • 全雲量八割も“晴れ”水仙咲む

    高尾里甫

  • 水仙の帰路や浪人決定す

    福本巴亜人

  • たばこ屋のなごりの小窓水仙花

    谷山みつこ

  • 水仙やゲラの赤消しまだ半分

    剣橋こじ

  • 窓際の水仙に待つ遅筆かな

    多々良海月

  • 水仙の冷えミカエルの無表情

    足立智美

  • 水仙や毎日メール来て孤独

    佐藤志祐

  • 水仙やパナマ船籍すれ違ふ

    伊予吟会 宵嵐

  • 水仙やダビデの星の哀しき青

    夏風かをる

  • ガーデンテラスに水仙のある家

    まるかじり

  • 球場の喇叭の漏れる水仙花

    菊池洋勝

  • 動かさぬやうに水仙への水やり

    藤咲大地

  • 水仙の匂ひて戦車基地を行く

    新濃 健

  • 水仙切るデイサービスの母初日

    まぐのりあ@蚊帳のなか

  • はとバスを見送る水仙塀の側

    千曜 桜

  • 霧笛とも万の水仙吠ゆるとも

    龍田山門

  • 水仙や修論を手に初学会

    ヅラじゃない

  • 水仙や海辺の小さき診療所

    笑松

  • 水仙や眞子様は今一人立ち

    宗本智之

  • 水仙の支ふる雪を飲ましやる

    西川由野

  • 切り捨てることもできずに水仙花

    星乃ぽっち

  • 潮風に心の鎧水仙花

    リカ

  • 水仙の蕊萎びゆく漁村の灯

    成瀬源三

  • 水仙に触れて静脈の透き通る

    白井 佐登志

  • 曇天に水仙の香の沈殿す

    青野遊飛@蚊帳のなか

  • ロシアンルーレット水仙はハズレ

    仁山かえる

  • 水仙や名曲喫茶閉店す

    火炎幸彦

  • 赤文字の飲料不適水仙花

    稲畑とりまる

  • 水仙や開会式を待つ選手

    田辺ふみ

  • 托鉢や経さびさびと野水仙

    ちりちり芥

  • 検閲は朱し水仙花は潔し

    げばげば

  • 水仙を束ね光の剣とす

    テツコ@第二まる安

  • 水仙の束とけば花ふるえつつ

    小林番茶

  • 水仙や駒箱に駒仕舞われり

    旺上林加

  • 水仙や磁石の赤の揺れる方

    吉野川

  • 水仙やもう沢山な都なり

    青き銀椀

  • 水仙に噎せて美僧に慕はれて

    堀口 房水

  • 手折られし水仙なほも発光す

    くりでん

  • 朝練の10kmに水仙揺るる

    長谷機械児

  • 水仙や構え静かに突く拳

    昇華

  • 一島の要塞跡や水仙花

    君島笑夢

  • 水仙や教会の塔高々と

    久留里61

  • 老猫の白湯のむ音や水仙花

    北山 烏兎

  • この場所を忘れないよう野水仙

    瀬戸ティーダ

  • 半ばより折れ水仙は星を知る

    黒子

  • 越えられぬ鉄条網や野水仙

    新多

  • 水仙や雨情旧居の古硝子

    てまり

  • 水仙や満濃池の道すがら

    小田和子

  • 水仙を抱へゑまふや吾が遺影

    遠山比々き

  • ハモニカの子や水仙の夜をファファファ

    豆闌

  • エスカレーターで下ろす水仙上る香よ

    羽衣

  • 水仙の匂へる真夜の仏間から

    Kかれん

  • ほんたうのことは言はぬ子水仙花

    横縞

  • 水仙や百に一つは後ろ向き

    浪速の蟹造

  • 水仙のむく方向が散歩道

    ゆかりん

  • 頭痛薬効かぬ水仙俯かぬ

    小豆白虎

  • 白杖のアレグレットや野水仙

    板柿せっか

  • 水仙やモディリアーニ目を描かぬまま

    羽沖

  • ご自由にお切り下さい水仙は

    中村笙平

  • 海鳴りや風捨て崎の野水仙

    かん かんし

  • 玄関に水仙の香の実家かな

    緒方朋子

  • まほろばの水仙の香や良き匂い

    野中泰風

  • 水仙にさわらぬやうに潮荒ぶ

    種種番外

  • 水仙を想い出とする訃の電話

    みやかわけい子

  • 「白獅子」といふ水仙の群れのあり

    加世堂魯幸

  • 水仙のひとかたまりや同窓会

    かなえの

  • 水仙やドッチボールが当たりをり

    文月あつみ

  • 傷ついてないふり水仙を活けて

    深山むらさき

  • 水仙や今日も白紙のメッセージ

    空木眠兎

  • 水仙の見る川底の裏は空

    叶田屋

  • 水仙や学舎へ続く石畳

    どみ どみそ

  • 水仙や団地の白き灯り四つ

    咲元無有

  • 水仙や学年主任と目が合わぬ

    ももたもも

  • 水仙のゆれて雨戸のささくれて

    すずさん

  • 水仙の白極まりてたじろかず

    山口雀昭

  • 教卓へ水仙ふだん内気な子

    戸部紅屑

  • 文机の作家気分や水仙花

    そうま純香

  • 水仙を生け毛筆を新調す

    せいしゅう

  • 水仙の香やあの人は母ならん

    一井蝸牛

  • 黎明の水辺に還す雪中花

    松井くろ

  • 水仙の首きこきこと一輪車

    葵新吾

  • 水仙の海鳴りを聞く角度かな

    若井柳児

  • 水仙や時間は前に進むだけ

    阿々田幸汰

  • 全焼の視界の隅の水仙よ

    梓弓

  • 見開かれ水仙に何視えている

    稗田鈴二郎

  • 水仙が見ていた事の一部始終

    アンサトウ

  • ペアグラスだったブルーは水仙挿す

    苺井千恵

  • 水仙や雲なき空をドクターヘリ

    森中ことり

  • 水仙や果たてに有りし生と死と

    リーガル海苔助

  • 水仙を挿して短詩の現住所

    酒井おかわり 

  • 徒歩八里水仙と膝笑笑ふ

    乙華散

  • 水仙や会ひたいけれど会はぬ人

    可笑式

  • 水仙や巻き新聞に新市長

    ねずみ男

  • 水仙と潮の香ほのか婦人会

    芍薬

  • 水仙やソプラニスタの放つ色

    多事

  • 色鬼や白の水仙は結界

    る・こんと

  • 水仙やリストカットの跡の脈

    ダンサーU-KI

  • 水仙やひやりと重き花鋏

    富山の露玉

  • 水仙を剪りて名のなき夜に入る

    くま鶉

  • 流人墓怒濤の碕へ野水仙

    岩橋春海

  • ヘレンドもマイセンも好き水仙花

    どかてい

  • 水仙や太極拳の息遣ひ

    誠馬ノマド

  • 水仙や明日を誓ふクリニック

    28あずきち

  • 水仙花説明つかぬことおほし

    陽光

  • シルクロードゆく水仙の眠り濃き

    つるつるつるりん

  • 水仙や臥して一人の保健室

    田村利平

  • 親権は手放しません水仙花

    佐藤綉綉

  • 酌み交はさるるドライマティーニ雪中花

    TAKO焼子

  • 水仙や老舗旅館の灯のほのか

    どくだみ茶

  • うつむく水仙あおむく水仙空青し

    オサカナクッション

  • 廃坑の島は正面水仙まつり

    清白真冬

  • 沈黙に水仙の香捩ぢ寄り来

    えむさい

  • 水仙や見合いの席をすっと立ち

    庄野 酢飯

  • 石垣の中断の訳水仙花

    川村湖雪

  • 水仙は白く母亡き夜は黯く

    山田怠洋

  • プライドは哀しからずや水仙花

    空魚

  • 雑草ぶる母水仙は折れやすい

    花紋

  • 水仙が満開ですと案内さる

    紫小寿々

  • 水仙や諍い常に青黒く

    理酔

  • 水仙を選んだ人が犯人です

    ぐでたまご

  • 水仙やカナリヤのゐた部屋の窓

    野地垂木

  • 水仙のくるぶし辺りが欠けておる

  • 水仙よ曲がったままのガードレール

    坊 いち坊

  • そんなひとゐないよと水仙はいふ

    日出時計

  • 水仙は嫌いひとりの長き午後

    えりべり

  • 水仙と同じ高さの恋でした

    千暁

  • 水仙を一輪挿しへ保健室

    野の花 誉茂子

  • 水仙戦ぐ朝練のシャトルラン

    朝月沙都子

  • 水仙を踏んで解体我が母校

    宗平 圭司

  • 軽き茎切ればこの水仙の匂い

    二重格子

  • 水仙やラットのケージ交換す

    ミセウ愛

次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています!

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