俳句ポスト365 ロゴ

中級者以上結果発表

2023年9月20日週の兼題

新酒

【曜日ごとに結果を公開中】

【並選】

  • ほつほつと蔵の新酒の呼吸かな

    春あおい

  • カラヴァッジョ画集に遷る新酒の香

    高遠見上

  • あらばしり掟破りの二合半

    飯沼比呂倫

  • 新酒なら飲めさう舌へ乗せてみる

    睦月くらげ

  • 歓送や店に持ち込む今年酒

    秋月

  • 利酒や蔵の女将の紺半纏

    中井無心

  • ぐい呑みは虹色硝子新酒酌む

    梅朶こいぬ

  • 川の名の御一行様新酒なり

    佳葉

  • いやこれは芸術だろう新走り

    冬のおこじょ

  • 今年酒話題子どもの通知表

    大野美波

  • 家たたむ算段つきて新酒酌む

    小池博美

  • 段畑の風や新酒の香は天へ

    海乃一夏

  • 父が子に諭す生き方新酒酌む

    アンサトウ

  • 子供の手とどかぬ神棚に新酒

    中村笙平

  • 新酒酌み今の私も悪くない

    ゆぃ

  • 竹筒の新酒藁屋の縁に座し

    峰泉しょうこ

  • 余呉湖より風に生まれし新走り

    谷町百合乃

  • 新酒酌むつど忌みことば言い替えて

    星田羽沖

  • 新酒には母の煮物と決めている

    かつたろー。

  • 新酒酌む家重代の金継ぎで

    黒澤墨青

  • 新酒酌む鼻腔へやさし醪の香

    樹朋

  • つんのめりぶち撒け新酒の香る庭

    斎藤さんけん

  • 奈良漬のあとをゆったり新走り

    中山月波

  • 新走りアイヌの歌で星を呼ぶ

    酒井おかわり

  • 新酒酌む逝きし杜氏の思ひ汲む

    秋星子

  • 蒼天や眼窩を新酒あかるうす

    渡辺桃蓮

  • やらまいか新酒酌み五十の転職

    青居 舞

  • 胎児エコーあてに新酒を酌み交わす

    衆土売尽

  • 新酒満つ升の木目のゆらぎけり

    井納蒼求

  • 巡り合いし古書は鈍色今年酒

    洋々

  • 封解いて新酒の聲の沁み渡り

    世良日守

  • 義母と吾の似たる受け口新走り

    武田ラーラ

  • 新酒酌む初誕生の子の重み

    伊藤 柚良

  • 晩学の筆ままならぬ新酒酌む

    佐藤これ凡

  • 村長はまたあの話し新酒酌む

    福原あさひ

  • 振る舞いの新酒三度の手刀す

    松田てぃ

  • 奥多摩にこだまさざめく新酒の香

    瀬戸ゆらり

  • FPの合格通知新酒の香

    渥美 謝蕗牛

  • 升の塩摘まむ女将や新走り

    津軽まつ

  • じょんがらを汲ませ新酒を仕込みたり

    津軽わさお

  • 飛車打ちに新酒の酔いも醒めにけり

    吉川花ほっぺ

  • 新酒汲む夜のやわらかきよらか

    森中ことり

  • 打ち下ろす木槌の音や今年米

    有田みかん

  • 新酒酌み家鳴のち現れし神

    野点さわ

  • 明日は雨ひとり飲み干す新酒かな

    杉柳才

  • 一見の軈て並んで新酒かな

    始の子

  • 一献と差し出す新酒一力山

    妹のりこ@金カル

  • 新酒呷る肴に君の捨て台詞

    天照昭光

  • かしづきて神に振る舞ふ新酒かな

    長操

  • 社長から承くる新酒や内定式

    めでかや

  • さば缶を肴にふたり新ばしり

    松本笑月

  • 新酒酌む煙のごとき出雲弁

    常幸龍BCAD

  • 新酒提げドラフト指名あいさつへ

    たま走哉

  • 退職の宴に新酒また新酒

    ちびつぶぶどう

  • 新酒酌む赤いちゃんちゃんこの父と

    海老煎餅

  • 静かなる蔵の吐息よ新酒待つ

    清鱒

  • 減反に応じて祖父の今年酒

    キッカワテツヤ

  • 床の間の父に返盃新酒酌む

    堀邦翔

  • 真つ新な杉升揃へ新酒待つ

    さぶり

  • 新酒酌む父の褪せたる腕時計

    羽野あき

  • 新酒汲む次男の嫁もいける口

    富山の露玉

  • 新酒飲む老いた知能に神宿れ

    ゆみづき

  • 国宝の匠修復今年酒

    大谷 芳

  • 苔生したニ百の石段新走り

    豊後の李子

  • 醸造の不思議新酒透き通り

    阿部油

  • 終盤の司法修習今年酒

    和泉穣

  • 三泣きと新酒と会津人情と

    杜乃しずか

  • 大仏も立ち上がりけり新酒酌む

    森 佳月

  • リモートの手に手に新酒持ち寄りて

    登盛満

  • 麹華かをる新酒や出羽の里

    ちくりん

  • 酔はせむや新酒新居へ妹は施主

    清水明美

  • 親友の嫁ぎ先より今年酒

    唯果

  • 古米賀美のきりりと清く新酒利く

    羊似妃

  • なめらかや再婚祝う新走

    弘友於泥

  • 金継ぎの猪口に新酒の煌めけり

    佐藤志祐

  • 新酒辛し苛めた方は覚えていない

    久留里61

  • 新酒の香阪神はまた打たれけり

    着流きるお

  • 里山の小さき祠や今年酒

    新山晶花

  • 総会のくくりや花の名の新酒

    だがし菓子

  • 今年酒皿鉢手拍子卓の沸く

    駒村タクト

  • 新酒くまん還暦の再就職

    田辺ふみ

  • 恩師より届く手紙や今年酒

    Q&A

  • 唇を新酒で湿し別れ告ぐ

    眠 睡花

  • 好日のたまゆらなるや今年酒

    風慈音

  • ぐい吞みは益子焼かな新走り

    那須のお漬物

  • 無口なる父を多弁にして新酒

    加賀くちこ

  • それくらいで済んでよかった新酒酌む

    霜田あゆ美

  • ぐい呑の河童うふふふふと新酒

    一斤染乃

  • はし拳に競う新酒の鏡割り

    桜月夜

  • 笑顔の社員証給料は新酒を

    望月朔

  • 新卒がそんなに良いか新酒酌む

    森脩平

  • 芭蕉句碑巡り新酒で乾杯す

    夏目たんちゃん

  • 鼻歌で焼くみりん干し新酒酌む

    みうら朱音

  • 定年の夫へ名入れの今年酒

    新多

  • 襟正し新酒に呑まれようではないか

    花紋

  • 歩行町往けば新酒の墨黒し

    相模の仙人

  • 羊水のごとく新酒の溢れけり

    矢橋

  • 星の降る静寂コツリと新酒酌む

    駄々

  • 先代は不満なれども新酒の香

    一歩亭六案

  • 切れや良し女杜氏の今年酒

    川島欣也

  • 新酒呑むドレスコードの要らぬ店

    半ズボンおじいさん

  • 新酒汲む蒼き月夜をそのままに

    いごぼうら

  • 琺瑯のタンク陰濃し新走り

    空 ひろ

  • めでたくも無き古希祝われて新酒

    丹波らる

  • 酒器選るやまず神棚へ新走り

    孔明

  • 手斧目の代々に燻さる今年酒

    くろけん

  • 虚子来るや泊雲迎えて汲む新酒

    山川土時

  • 日本一小さな蔵にこの新酒

    柳絮

  • 浅き香を舌で転がす新酒かな

    大木典子

  • 新酒買いついでにカット予約する

    舟御前@ノエル

  • 新走ドボルザークを聴く今宵

    阿万女@ノエル

  • 長老の口利き新酒試飲会

    一走人

  • 押印し署名もすませ新酒かな

    竜子@ノエル

  • 新酒汲む店主播州弁あらは

    長谷機械児

  • 龍笛聴きて新酒飲む古都の夜

    野中泰風

  • 過去帳とよもやま話の新酒かな

    九萬太郎

  • 新酒酌む鉄の香ほのと三回忌

    八十六九

  • 並び立つ百年杉や新酒の香

    まぐのりあ@蚊帳のなか

  • クラリネットの先輩に注ぐ新酒かな

    アントワネット@ノエル

  • 新酒下げ「待った」の続き指しに来る

    つまりの

  • 哺みては舌を遊ばす新酒かな

    一生のふさく

  • 初対面新酒があれば大丈夫

    たまのねこ

  • 宝珠呑みこむやうに新酒のまろみ

    秋野しら露

  • 少しずつ変わりゆく町新酒酌む

    田中ようちゃん

  • 新酒酌む出張の夜に繰り出して

    巳智みちる

  • 長男を胡坐に乗せて今年酒

    そら

  • 顔合わせの面々につぐ新酒かな

    百卓@ノエル

  • 頑なに気質を放ち新酒汲む

    いその松茸

  • 半ドンや足りない箸と新酒の香

    剣翔寺亜太琉

  • ゴールドの免許更新新酒酌む

    永想

  • なめらかに話す日本語新走り

    檜鼻ことは

  • 馴れ初めは香る新酒の音を聞き

    真喜王

  • 噛み合わぬ父よ息子よ今年酒

    花咲明日香

  • 朝ならば日陰の席や新酒酌む

    百瀬一兎

  • 一盃に芳しき新酒の形

    樹魔瑠

  • 新酒届くあと十頁の新書閉づ

    やっちゃんち

  • 絵葉書の村から来る新酒かな

    戸井島はな

  • 碗のひび少し黄ばみて新酒酌む

    公木正

  • 腕時計緩めて待てる新酒かな

    河島 八々十

  • 青い目の夫に勧める新酒かな

    夏の町子

  • 一言にふた言返し新酒酌む

    塩野谷慎吾

  • 空き瓶に注ぐ新酒よ蒼き空

    梅鶏

  • 飯椀に新酒満たすや祖父米寿

    砂楽梨

  • 星ひとつ拝借したき新酒かな

    月岡方円

  • 甘やかに身体をめぐりゆく新酒

    小藤たみよ

  • 枡心あらば米心よ新酒

    帝釈鴫

  • 新酒だから新酒だからと押し寄せ来

    はせがわ水素

  • ほぐれてゆく肋のあたり徐々新酒

    シュレディンガーの獏

  • 海に日が沈む白神汲む新酒

    野々原ラピ

  • 晴々と神の赦しの新酒かな

    リコピン

  • 研修の縁短し今年酒

    雨霧彦@木ノ芽

  • 手伝いに行きます新走りを所望

    池内ときこ

  • この蔵の庭はロケ地よ新酒酌む

    主藤充子

  • 古蔵より蒸気芳し新走り

    篠川 翠

  • 古書街の外れに求む新酒かな

    内藤羊皐

  • 新酒てふ二字のちからは五割増す

    みうらけんじ

  • 清らなるしずく集めし新酒かな

    小川さゆみ

  • 杜氏まだ元気と聞いて新酒買う

    GONZA

  • 枡の香に染まるさらりと新酒かな

    正念亭若知古

  • 星の夜此の世の友へ新酒つぐ

    熊谷 温古

  • 論文は明日で新酒は今とする

    川口雅裕

  • 新酒くる我ふるざけのごとくある

    男鹿中熊兎

  • 奴は新婚報復の新酒注ぐ

    けーい◯

  • 久闊の緑寿十人今年酒

    わおち

  • 白無垢の唇湿す新酒かな

    あおのめ

  • なんとなく干支のラベルの新酒買う

    白子ポン酢

  • お品書きに今日の一句や今年酒

    樋口滑瓢

  • すつとこどつこい馬鹿な奴だなほら新酒

    椋本望生

  • 新酒酌む恋人的なひとの喉

    月枝いと

  • 検定取りし定年の父に新酒

    廣實檸檬

  • タラコ炙れ新酒あつたろ猪口三つ

    山本先生

  • 信楽の火の跡明かし新酒酌む

    ざうこ

  • 海に新酒白き祠を津波あと

    たつき

  • 達筆のラベル辛口新酒買う

    増山 銀桜

  • 弾みたる声へ差し出す新酒かな

    小夏

  • 今年酒魯山人ならどう飲むや

    哲庵

  • 懸案の会の発足新酒酌む

    達坊

  • 百姓を継ぐと次男や新走

    川端こうせゐ

  • ぐい吞みと伏見を巡る新酒かな

    奥田早苗

  • 新酒酌む祖父に動かぬ右手足

    桃園ユキチ

  • 新酒酌む灘の女に活気あり

    海老名吟

  • 新酒呑み河伯のミイラ拝みけり

    池弘庵翁

  • 新酒注ぐ指にしずくの生まれたて

    白井 佐登志

  • 角打ちや他人に故郷の新酒汲む

    郡山の白圭

  • 禍事を洗ひ去るとて新酒干す

    白猫のあくび

  • 新酒開けをりニュースの消防団

    木ぼこやしき

  • 子の重さこれくらいかと抱く新酒

    慢鱚

  • 新酒買ふ七年ぶりの学生街

    野井みこ

  • 新酒つぐ甥の睫毛や微炭酸

    岬ぷるうと

  • 深々と杜氏頷く新酒かな

    野州てんまり

  • もつきりの注ぎ手の息や今年酒

    Early Bird

  • 新酒注ぐ二百の層の光注ぐ

    ギル

  • 新郎の父の挨拶無事新酒

    毛利尚人

  • 新酒さげ亡父そっくりの伯父来たる

    くぼたみどらー

  • くうーと来る新酒に晴れる胃の腑かな

    シュリ

  • 盛り塩のきりりと白く新酒汲む

    カオス

  • 集会のやや神妙に酌む新酒

    タケザワサトシ

  • 命名の「太郎」の筆致新走り

    とはち 李音

  • 背負うべき物のほぐれてゆき新酒

    コンフィ

  • 婚活のやうに新酒を見る目つき

    佐藤茂之

  • この漢息子だつたか新酒酌む

    蒼空蒼子

  • 今年酒おじじ最も喝采す

    三泊みなと

  • 死ぬ話と働く話新走り

    村上優貴

  • 菰樽の栓をきゅきゅっと新酒酌む

    むったん@狐狸山会

  • 新走り院卒の蔵人の黙

    渥美こぶこ

  • 富士見ゆる宿に新酒の香り立つ

    山口朝子

  • 黒薔薇を嗅ぐがごとくに嗅ぐ新酒

    遠山比々き

  • 新酒汲む卒寿の母を持つ同士

    大岩摩利

  • 入婿の指の繊さや新ばしり

    山田不律

  • 一番に並ぶ酒屋の新酒かな

    竹内ユキ

  • 亡き杜氏新酒の中のうすにごり

    外鴨南菊

  • 新酒の香下戸の杜氏の独り言

    晴菜ひろ

  • 大病の癒えし舌先新酒の香

    剣橋こじ

  • 新酒注ぐ黄綬褒章五十九

    竹令呑

  • みづの旅果てて新酒のたわやかに

    青木りんどう

  • 結願の行者迎へる新酒かな

    中島走吟

  • 地上戦始まらぬ夜の新酒かな

    工藤雨読

  • 五十鈴川を光となりて今年酒

    青野遊飛@蚊帳のなか

  • 新酒とつくん角隠しかたぶけり

    佐藤 位相朗

  • 新酒酌む空に精霊放つごと

    佐藤レアレア

  • 新酒酌む女杜氏にゃ敵わない

    津軽ちゃう

  • 千年の古都を巡りて逢ふ新酒

    石井一草

  • この町に住みて久しや新酒酌む

    渡邉花

  • 新酒にて肴はひとくち香の物

    石内宏明

  • 嗤はれてをらぬか新酒噛みしむる

    藤白真語

  • 乳のみ子の声は記憶へ新酒酌む

    千原 十吾

  • 喧嘩して欠けた茶碗に新走

    奈良の真

  • 今年酒ここはホームの最上階

    杜まお実

  • 手作りのマリネに新酒にぎはひぬ

    千鳥城@いつき組広ブロ俳句部カナダ支部

  • ひょっとこは悲しみの顔今年酒

    栞虫かじり

  • 初個展差し入れは新酒一本

    相沢薫

  • 第二子の名付け新酒をあと二合

    碧西里

  • くちびるの記憶を解く今年酒

    芦幸

  • 出雲にて新酒くらべの好きな神

    だてまき

  • この松の木魂は美人新酒の香

    おのまい

  • 取り敢へず頷いてみる新酒かな

    犬山裕之

  • 握り飯新酒わずかに波打てり

    伊藤辰弥

  • 通り名に残る酒蔵今年酒

    高木音弥

  • 「一魂」のラベル佳きかな新酒注ぐ

    みやかわけい子

  • 溌剌と若旦那推す新酒かな

    佐藤さらこ

  • 新酒から始まる縁のひとつ君

    井上鈴野

  • 青空や新酒飲む人百人目

    紀友梨

  • 大叔父の婿の自慢や新走り

    翡翠工房

  • みづのくに天の恵みとなり新酒

    笑笑うさぎ

  • 親方の一声に空く新酒かな

    黒木水産

  • 新酒持てけふは同居の一日目

    まっちゃこ良々

  • 来日の友や新酒を酌めばまた

    大岡秋

  • 父となる今日この時を新酒汲む

    haruwo

  • 新酒蔵麹の醸す泡の呼気

    須田 爪黒

  • 片肺をひたしてゐたる新酒の香

    緑の手

  • うつかり生きてちやつかりと酌む新酒

    木村ひむか

  • 新酒酌む泪は鳥と同じ組成

    橘鶫

  • 来店の新酒を告げる符帳かな  

    誠馬ノマド

  • 同窓の四辺の中の新酒かな

    立山穂高

  • 金色のラベル眩しき新酒かな

    あなうさぎ

  • 新酒なり勝手場に一本荒神さん

    百田信三郎

  • 手刀切る押しいただくも新酒ゆえ

    花屋英利

  • DJの低音ボイス新酒の香

    永井春蘭

  • 新酒開け悪口の咲く偲ぶ会

    百瀬はな

  • 百年の酵母の力今年酒

    林水城

  • 奈良漬を薄めに切つて今年酒

    小だいふく

  • 欠員の奴新酒は二人分ある

    狩谷わぐう

  • 今年酒父がもてたというはなし

    日永田陽光(陽光改め)

  • とろみ食のトレーに新酒猪口ひとつ

    くま鶉

  • まっさらな百老翁媼(おうう)居る新酒

    三群梛乃

  • 新酒また呷る既読はつかぬまま

    どみ どみそ

  • 唸りにも似し聲くぅうと新酒酌む

    中原柊ニ

  • 記憶よぶ淡き草の香新酒の香

    野地垂木

  • 早稲酒やホツマツタヱの御祖神

    ちゃあき

  • 新酒とも言わず女将の出す新酒

    ふくじん

  • 棚田守る若き主や今年酒

    高永 摺墨

  • 酌み交はす志野と織部の新酒の香

    岩本夏柿

  • 空の名の新酒明日には信濃旅

    中島 真珠

  • 新酒酌むこの一献に神の息

    中村すじこ

  • 新酒酌む伏流水の口当たり

    望月 円

  • 駅ナカで新酒舐めをり永田町

    たかはし千百

  • あらばしり松の梢の青さかな

    太平楽太郎

  • 福島をあける新酒の相撲部屋

    麦のパパ

  • 二巡目の話題新酒が引きとつて

    西川由野

  • 貨物室華やぐパリへの新酒載せ

    周防の鼠

  • 平土間のゆるき傾斜や新酒の香

    板柿せっか

  • 切手裏新酒で撫でて指舐めて

    久米穂風

  • 新酒酌み母校の閉校した話

    富山湾

  • 新酒受く色と光の溶け加減

    千歳みち乃

  • 五グラムの指輪の重み新酒酌む

    沖原イヲ

  • 口無しの奴に一献酌む新酒

    川辺世界遺産の居候

  • 神事了へ退がる神官新酒かな

    吉武茂る

  • 新酒染み渡り宵の街漂ふ

    嵐菜

  • 神棚に祀られし米飲む新酒

    入道 まりこ

  • 新酒酌む青い瞳の唎酒師

    まー坊

  • 陽を溜むる赤き甍よ新走り

    はぐれ杤餅

  • 囲炉裏端ようござったと注ぐ新酒

    おこそとの

  • 戒名のやうに立つ句碑新酒澄む

    誉茂子@野の花

  • 猩猩の噺つまみに新酒かな

    西川あきや

  • 下戸なれば龍にふるまふ新酒かな

    朶美子(えみこ)

  • 脱稿の祝いひそかに新酒杯

    濃紫えみ

  • よく冷えて新酒青き火宿しけり

    広木登一

  • 新走り肴に父の弱音かな

    野口真砂輝

  • 升に盛る新酒3mmまるまると

    葉月庵郁斗

  • プレゼン成功の今日新酒軽やか

    殿さまペンギン

  • 千秋楽化粧落して新酒かな

    村木年子

  • 地図に描く新酒販路の放射線

    花蜜伊ゆ

  • 人混みは新酒の試飲城下町

    横山くみこ

  • 「結婚をします」と吾子や夜は新酒

    ちょうさん

  • 新酒もて歌といふなだらかな夜

    登りびと

  • 失恋の新酒のからころりとこをり

    不明

  • 子守唄はバッハ辛口の新酒

    石岡女依

  • 新酒酌む今夜はひとり客ばかり

    あまぐり

  • 新酒かないざ賞味せむ片口よ

    チームニシキゴイ太刀盗人

  • 読めんけどとにかく美味い新酒です

    新蕎麦句会・凪太

  • 新酒つぐ今生きてたら百四歳

    月待 小石

  • 石鎚に新酒かざせば赤らみて

    葉子@金カル

  • 仏壇に位牌あたらし今年酒

    キートスばんじょうし

  • 新走り大地を渡る風の香よ

    澤田 紫

  • 西に土東に新酒の一升瓶

    OMI

  • 新走り肩組み吠える寮歌祭

  • 独酌の新酒亡父の泣き上戸

    山川腎茶

  • 誰でなく新酒にもらふ二重丸

    片岡六子

  • もっきりの枡満たしたる新酒かな

    洒落神戸

  • 新酒酌む宿屋より海臨みつつ

    笠山静香

  • 若き日は瞼の裏に新酒呑む

    荒木響

  • 一点の瑕を絶賛する新酒

    鷹取 碧村

  • 信長を育てし町のあらばしり

    夏湖乃

  • 酒豪逝く四十九日の新酒かな

    28あずきち

  • 新酒酌む大事な話その後で

    若林鄙げし

  • 新酒つぐ同性婚の弟に

    仁山かえる

  • もののけの言葉飲み干す今年酒

    野原 華

  • 新店や新酒に合はす漁師飯

    高岡春幸

  • 今年酒また寄りきたる天邪鬼

    天風月日

  • 真っさらなギプスと新酒と武勇伝

    橋本有太津

  • 新酒酌む飼ひ慣らせずにゐる孤愁

    石上あまね

  • 新酒ほす肝臓柔くなつたやうな

    加良太知

  • 部下曰く無礼講でと新酒かな

    たかみたかみ@いつき組広ブロ俳句部

  • 新酒つぎ普段は呑まぬひとへ先ず

    大津美

  • 五具足を磨きに参り新酒かな

    うた 歌妙

  • 菊紋の鮮やかに映え新酒かな

    赤尾実果

  • 三輪山の杉香薫ずる新酒かな

    玉響海月

  • 地方紙に友の秀句や新酒酌む

    荒一葉

  • あまさかる鄙の黒塀新酒の香

    石塚碧葉

  • 大入りの千秋楽や新酒の香

    小倉あんこ

  • 緋袴の所作の不慣れや今年酒

    四丁目

  • 古伊万里は新酒の味を知っている

    玖良咲

  • コップ超へ枡に落ちつく新酒かな

    紫小寿々

  • 約束を果たして新酒の一升瓶

    森無田

  • 水禍なき年は無けれど新酒酌む

    横縞

  • 乾杯の新酒は恩師の蔵と決め

  • たけといふ馬の引退新酒の夜

    栗田すずさん

  • 新酒供し空青々と地鎮祭

    麗し

  • 匂ひてふ産声放ちたる新酒

    境沢一輝

  • 藍白の新酒五臓に火を灯す

    あずお玲子

  • 新走り山に数多の名のありき

    ぐでたまご

  • 新酒鳴るじいちゃんの耳蘇る

    三隅 涙

  • 新酒酌む魚雷工場跡しづか

    一本橋ふくろう

  • ストリートピアノの連弾新酒酌む

    叶田屋

  • 削るごと無垢になりゆく新酒かな

    こひのむ

  • 月の名は寂し新酒の碧き骨

    まこちふる

  • 先に喉鳴って笑うて新酒かな

    朗子

  • 明らかにジョーカーだらうそれ新酒

    嶋田奈緒

  • ピンチョスのよりどりみどり新走り

    小笹いのり

  • 金賞の女杜氏の新酒かな

    清仁

  • 旧友と未来をあてに新酒の夜

    風蘭智子

  • 蔵人のまどゐの中の新酒かな

    ぶうびい

  • 湖側の部屋の高きや新酒酌む

    里山子

  • 嵯峨野にはしづかな田畑新酒酌む

    ちゃうりん

  • 新酒酌む先ず老猫の水替えて

    若井柳児

  • 転職の叶いて新酒開きけり

    田中紺青

  • 杉玉をつつくあざとさ新酒くいっ

    丸山隆子

  • あどけなき新酒を囲み付喪神

    錆田水遊

  • 父と子と揃ひのゑくぼ今年酒

    卯月紫乃

  • 新酒汲む父は二階の窓が好き

    青水桃々@いつき組俳句迷子の会

  • 新酒飲む別荘を買う夢を見る

    藤永桂月

  • 議論して淡き新酒の尖りかな

    迫久鯨

  • 新酒酌む佐藤は真面目が過ぎただけ

    坊 いち坊

  • 神漏岐も神漏美も召す新酒なり

    真井とうか

  • 新酒酌む精一杯の正しさで

    星詩乃すぴか

  • 神様に親も子もゐる新酒酌む

    稲畑とりこ

  • 鳶工の美声は新酒酌みてより

    千夏乃ありあり

  • 寿ぎのひかり湛えて新酒かな

    伊藤映雪

  • 神様は謝らない新酒裏切らない

    すりいぴい

  • 冷凍の餃子と新酒真珠婚

    雪音

  • 結納の結果報告新酒つぐ

    齋藤方南

  • 新走りみづに一生ありにけり

    まんぷく

  • あれあれと勝ち抜け新酒あびるほど

    うに子

  • 新酒酌む狭間に雅なる方言

    藤咲大地

  • 豆腐切る新酒の瓶に腕回し

    二重格子

  • 絶巓へ弾みつけたる新酒かな

    黒麹 糀

  • 人間の哲学宿る新酒かな

    北大路京介

  • 弟は能登へ帰郷と新酒やる

    川上 生煎

  • 校長の蕎麦と新酒で語る宵

    美月 舞桜

  • 神も人も豊穣に酔ふ新酒かな

    紅 珊瑚

  • 農大のバザー新酒ははや売り切れ

    綾竹あんどれ

  • こりゃ儂の遊びぢゃ杜氏の注ぐ新酒

    しゃれこうべの妻

  • 天領の水豊かなり今年酒

    大庭慈温

  • 足つりて新酒の酔ひの醒めにけり

    西村 棗

  • 新酒かぐはしかんばせすきとほる

    越智空子

  • 新酒買ふ通ひ袋の歪むほど

    音羽凜

  • 新酒くむ下戸の当主は草と寝る

    河合郁

  • 踊り出しさうな「新酒」の黒き文字

    美織

  • 説教の長い親父にまあ新酒

    小川テル子

  • 月の名の新酒を妻に酌みにけり

    鷹見沢 幸

  • 雲白きまほろばの里新走

    さいたま水夢

  • 半世紀居着けば氏子新走り

    伊江かつじ

  • 利酒に千手観音誘ひたし

    銀紙

  • カフェ灯るパリの新酒はくれなゐに

    雪井苑生

  • カウンターの木目きよらに今年酒

    飯村祐知子

  • 誕生日は新酒酌む日となりにけり

    みつれしづく

  • 父となる人へ地元の新酒選る

    あみま

  • 放浪の猫を相手に新酒呑む

    森爺

  • 星一つ生まれ神代の新酒酌む

    苫野とまや

  • 舌に濾すやうに含める新酒かな

    柚木みゆき

  • 新酒注ぐ音は波紋へ雨後の夜

    小豆白虎

  • きらきらとしゅわしゅわしゅわとあらばしり

    糺ノ森柊

  • 拭き上げる床の木目やまづ新酒

    ペトロア

  • 目の手術金曜かいな新酒どや

    司啓

  • 押し合ひて育ちし兄と新酒かな

    岡田雅喜

  • まなうらにあをき霊峰今年酒

    桜鯛みわ

  • こんこんと湧くや三輪山新走り

    清水 三雲

  • 盟神探湯(くがたち)の手はただれても今年酒

    森一平

  • 滑らかな白寿の舌や新酒来る

    塩の司厨長

  • もう一度勝利の動画新酒かな

    古都 鈴

  • 抱えくる獣の銘の新酒かな

    玉響雷子

  • 新酒だが手酌隣人いま帰宅

    小西天

  • 娘は英単語新酒酌む静か

    村崎 雫

  • 伸びひとつして蘊蓄を聞く新酒

    虎八花乙

  • 新酒座す蔵の翳りのほの甘き

    黒子

  • 奉納の紐掛けくくる新酒かな

     銀 次郎

  • 大山を抱く生酛の新酒かな

    ろまねす子

  • 鳴るや鳴る神の盃今年酒

    杏乃みずな

  • 新酒には何もいらない新酒なり

    丘るみこ

  • 今年酒師は辛口を好みけり

    谷川ふみ

  • お師さんに褒められて汲む新酒かな

    うからうから

  • 青年の生真面目や良し新酒硬し

    石川聡

  • 子をなさぬ暮らし新酒はレモンの香

    いかちゃん

  • うやむやな話ききあき新走

    夕虹くすん

  • 撤饌の新酒かがやく皆の頬

    佐藤儒艮

  • 飲む稽古つける師匠の新酒かな

    菊池克己

  • 新走り神主の声みなぎりし

    きのえのき

  • よそ行きの白寿の父へ新酒酌む

    さくら悠日

  • 角打ちのタップ二番は新酒なり

    京あられ

  • 盗み見の神雲落つる新酒会

    峰 乱里

  • 阿蘇山の水に魔法をかけ新酒

    そうり

  • 新酒提げ妻待つ郷へ丹波杜氏(とじ)

    大谷如水

  • 新酒酌む尖りしままに生きられず

    じゅんこ

  • いつぱいの気泡新酒にかはるとき

    さかえ八八六

  • 新酒くむ四方山ばなし好きな叔父

    淡湖千優

  • ちょこちょこと頭下げあふ新酒かな

    だいやま

  • 婿殿は本家の長男新走り

    風花まゆみ

  • 初舞台終へて新酒を酌み交はす

    冬野とも

  • 新酒あり角煮を煮込む三時間

    多喰身・デラックス

  • 掌中の新酒クリムトの接吻

    めいおう星

  • 酒旗の風吹かせて越の新走り

    コーノ凡士

  • 昇段の恩師と友と新酒なり

    清松藍

  • 友を変え肴を変えて飲む新酒

    豊岡重翁

  • 寛解や新酒五合迎え酒

    松本独り

  • 名工の盃下ろし新酒汲む

    山乃尾乃道之翁

  • 粗塩の輪郭溶かす新酒かな

    砂 芽里

  • 課長くれる祝いの新酒四合瓶

    団栗あんパン

  • はじまりは新酒のことを触れてやる

    ヤヒロ

  • 女二人半休に蕎麦屋の新酒

    立石神流

  • 風呂敷の真結び固し新走り

    森 毬子

  • 唎酒師水笛のごと利酒す

    ⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部

  • 大海に波打つ木目新酒樽

    黄鶺鴒

  • よきみづの郷の新酒でありにけり

    月影の桃

  • 新酒どき句作やめたと友の文

    渡嘉敷五福

  • 酒蔵に開く大門新酒出し

    高見艀舟

  • 杜氏の手うつくしきかな今年酒

    山 ゆり

  • 復縁の夫よ新酒を提げて来よ

    西田月旦

  • 書き上げた原稿送る新走り

    雪だるま

  • 厄年の舌今年酒ほしいまま

    平本魚水

  • 神様の母乳甘やか新酒かな

    メレンゲたこ焼き

  • スーツ脱ぎ新酒噛みしむ金曜日

    馬場めばる

  • 故郷なき今の地元の新酒かな

    haru_sumomo

  • 一家して学びの渡米新酒酌む

    ちゃこ

  • 部長も俺も分かったように新酒飲む

    定位置

  • ヨーロッパ系男子であるか新酒つぐ

    岐阜の鮎

  • 新酒あり女店主の朱書きかな

    斧的部

  • 新酒のむ障害のある脚を揉む

    はるく

  • 道祖神北国街道新酒酌む

    坂口いちお

  • 新しき通勤靴と新酒買う

    凪ゆみこ

  • 松尾様呼ぶ柏手や今年酒

    高木石塊

  • 舌鋒の部下と新酒の切れ語る

    鈴白菜実

  • 酒蔵の神に一礼新酒酌む

    風の旅人

  • 三人の兄弟ありて新酒かな

    寺嶋杳杳

  • 新酒汲む一軒二合を破りけり

    虎穴虎児

  • さぁ呑めと新酒が儂にいうてくる

    広島じょーかーず

  • この世を少し知った色する新酒

    渡辺香野

  • じいちゃんの取り分新酒の首までは

    羽織茶屋

  • 蔵つづく町並み晴れて新酒の香

    一港

  • 新酒持て来て空けて帰る客

    堀雅一

  • 友石となる塩舐めて新酒飲む

    まつといのいち

  • 皿投げつけてやりたい父に新酒

    万里の森

  • 昇進の夜ふるさとの名の新酒

    山羊座の千賀子

  • 捨つるとは老いの生きがい新酒酌む

    木寺 仙游

  • 即決のふるさと納税は新酒

    白山一花

  • 泣き虫が継ぎたる蔵の新酒買ふ

    関津祐花

  • 二番目に安き新酒に決めにけり

    ハンマーヘッド会釈

  • 試飲せし新酒の似合ふ紳士かな

    田辺富士雄

  • 下戸から下戸へ携え来たる新酒かな

    灰色狼

  • 今年酒初お目見得の若女将

    伏見丹耶

  • ラベルなき新酒頒つや喉仏

  • 無為の年重なりつつも新酒かな

    上四号庵

  • 亀甲の美しき文字新酒かな

    猫ふぐ

  • ビギナーズラックの一句新酒選る

    蜘蛛野澄香

  • 新走り若き仏師の彫りし貌

    滝上 珠加

  • 源流は神の山なり新走

    ふもふも

  • 新酒酌む雫搾りの大吟醸

    ひろ志

  • 早稲酒や元教え子の立候補

    むらぴ

  • 前書き 上毛三山、赤城・榛名・妙義の名を貰い         三山の稜線のごと新酒生まる

    服部勝枝

  • 新酒古酒合わせ技なる酔いごこち

    藤鷹圓哉

  • 黒柿の暖簾新酒の直売所

    星月彩也華

  • 封切りの新酒ぷちぷち舌を祝ぐ

    原 水仙

  • なゐ過ぎて再出発の新走

    はたやま こう

  • 仏壇の父へ土産の新酒かな

    たむらせつこ

  • 新酒酌む俺ら檀尻ワンチーム

    花野あかり

  • 新酒つぐ向かいの鉢に揚げ浸し

    高井大督

  • 仏壇の奴は下戸なり新酒酌む

    庭野環石

  • 新走あおる丹田しかとあり

    おきいふ

  • 近づけば新酒きらきら下戸の身に

    絵十

  • 牛の仔に耳標の付いて今年酒

    綱川羽音

  • 強情な杜氏の造る今年酒

    深草あやめ

  • 新酒あり萎えて親しき手足かな

    北代晋一

  • 今年酒産土神の土と水

    ふじかつとび

  • うたた寝のふちにつぎたす新酒かな

    阿部八富利

  • 白壁の護りて新酒地震の町

    秋白ネリネ

  • 今年酒母校の駅の変わり果て

    清瀬ハイジ

  • 大道芸の刃やはらか新酒嗅ぐ

    空豆魚

  • 和らぎの水は要らぬと新酒また

    古乃池糸歩

  • 今生は手酌のままか新酒呑む

    馬勝

  • 古漬けのおしんこならぶ今年酒

    布村 柚子

  • 新酒よりショパンの調べ酌み交はす

    石垣ようせい

  • 新酒酌む生まれるときはみな赤子

    イサク

  • 夫の抜く新酒の栓やこの佳き日

    岡山小鞠

  • 真剣を神棚に置き新酒受く

    畑山六十二

  • ほろほろと一日の終る新酒かな

    渡辺十把 

  • まずラベルなぞり上ぐりて新酒酌む

    そまり

  • 新酒酌む叔父は楽しい人でした

    さんざし

  • 杉玉の蒼の深きを新酒酌む

    香依蒼

  • 新酒濃し嫁ぐ子の手の火傷痕

    落句言

  • 新酒浴び肌艶やかな力士かな

    野澤真澄

  • 父ついに免許返納して新酒

    広瀬 康

  • 路地濡れて灯のひとつ新酒酌む

    高山佳風

  • 独り酌む父の新酒と舟歌と

    岡井風紋

  • 銀矢倉組みつ土産の新酒酌む

    ジン・ケンジ

  • 青竹の猪口の匂いや今年酒

    上津 力

  • 新酒だし借金全部返したし

    ま猿

  • 大社にて霊力更新奉新酒

    月谷 日耀

  • 今年酒舌はしたたか老齢期

    石川順天

  • ぐい呑に注ぐ音清し新走り

    やまさきゆみ

  • 新酒の香師の新刊とぶあつき手

    那夫子

  • 夕潮にとけいる甘き新酒の香

    海色のの

  • 新酒注ぎいわきの蔵の想い呑む

    富士桜花

  • 順々に躙り新酒を酌みにけり

    さ乙女龍チヨ

  • 新酒汲みいぶりがつこの音さする

    露崎一己句

  • 我が分の取り置かれけり新走り

    谷本均

  • 還暦や骨董グラスに新酒注ぐ

    ひと粒の種

  • 新酒酌む檜の枡の寸律儀

    弥勒夕陽

  • 喉漱ぐごと木桶仕込みの新酒なり

    おかげでさんぽ

  • 義父となる人へ新酒を酌む両手

    清瀬朱磨

  • 新酒飲む残りの齢多からず

    鈴木古舟

  • 不採用気合の新酒呷りけり

    北青山晋

  • 新酒立つ杜氏の法被真っ新なり

    はれみちる

  • 新酒酌む酒器に書かれし左馬

    なかの花梨

  • ふらり来て不義理せがれの置く新酒

    ゆきなごむ

  • 三輪山に新酒の樽の並ぶなり

    中野風鈴

  • 新酒樽水車百年よどみなく

    泉晶子

  • 蔵元の法被で配る新酒かな

    とも子

  • 「Victor」の犬にウインク今年酒

    花和音

  • 入選の新酒ひとまづ飾りたり

    香田ちり

  • くすくすと佐原の新酒の微発泡

    香羊

  • 新酒酌む免許返納などせんぞ

    津々うらら

  • 新酒手に芦雪は虎の毛並み描く

    八光地蔵

  • 新酒必須土佐営業所勤務初日

    諫鼓苔深

  • 手術終へ新酒に笑ふ田に笑ふ

    いたまき芯

  • 新走り昨日の夢は正夢に

    山本蓮子

  • 新酒汲む瑠璃の器を濃くしつつ

    東山すいか

  • 口髭に光る新酒や無頼漢

    笑姫天臼

  • 謄本の手書きの文字を追ふ新酒

    一寸雄町

  • 新走り干してこれより妊活す

    前田

  • 君去りて盃一つ新酒酌む

    広島あーやあーや

  • 新酒選る今宵酒蔵ルネサンス

    野ばら

  • 今朝未明新酒を風に馳走せり

    赤馬福助

  • 新酒に震ふ喉が臓腑が魂が

    俳句ファイヤー立志

  • 今年酒長持ち唄の響きをり

    よみちとせ

  • 酒呑めぬと云うて新酒の味見かな

    どいつ薔芭

  • ちぐはぐの盃七つ新酒注ぐ

    まこ@いつき組広ブロ俳句部

  • 黒縁の写真の脇の新酒かな

    草夕感じ

  • これがあの三四郎池新酒酌む

    うみのすな

  • 三年の禁酒の開けのこの新酒

    鶴岡木の葉

  • 森の光源は新酒に浮かぶ星

    小林一平

  • 今年が最後かもよ爺ちゃんの新酒

    深町宏

  • 正座していつもの猪口に新酒注ぐ

    瀬戸ティーダ

  • 送られる人からもらう新酒かな

    なか かよ

  • 八冠の号外出たか新酒汲む

    空木花風

  • 酒好きの市長の急死今年酒

    ふくびきけん

  • 樽の字も跳ねて踊れる新酒かな

    後藤三梅

  • 橋過ぎて父の実家や今年酒

    草間八千代

  • 父の忌の遠峯白き新酒かな

    國本秀山

  • 緊張をかち割る木槌新酒酌む

    四條たんし

  • 新酒飲み干し鴎外を再読す

    のはらいちこ

  • せつちやんのお手紙新酒かほりけり

    沼野大統領

  • 弟へ父へ供える新酒かな

    冬島 直

  • 新酒呑む余韻はシンバルのひびき

    たーとるQ

  • 新酒酌む父の残した青グラス

    葉るみ

  • 風と水人の手よろし新酒酌む

    愛燦燦

  • 角打ちの新酒や夜勤明けのスイッチ

    前田いろは

  • 立て看の矢印あをし新走り

    菅井香永

  • 宮島の宵に語らう新酒の香

    村上薫

  • 新酒出来みやげは越後の笹団子

    仲村調息

  • 新走り十年振りに兄と飲む

    舛田順一

  • 喪の明けて朝をきらめく新酒かな

    村瀬ふみや

  • 故郷は灘の浜なり新酒酌む

    青木豊実

  • 老骨の口すぼませて新酒酌む

    酔下弦

  • 新酒さらさら杯はさくら色

    帝菜

  • サックスを始めた友と新酒かな

    小山 晃

  • 煽る新酒近所の奴に孫生まる

    野瀬藻石子

  • 再びの利酒天満繁昌亭

    吉 や 

  • 今年酒内定式に友の来ず

    大久保加州

  • 開拓農五代目の兄新酒注ぐ

    夏埜さゆり女

  • 新酒を持参す玄関にシーサー

    鳥不驚

  • 親方もうなずいている今年酒

    夏草はむ

  • 新酒利く翠の瓶の仕込水

    トウ甘藻

  • 蒼天に新酒の樽のドンと据ゆ

    国東町子

  • 息子二十歳やマティスと新酒の香

    みなづき光緒

  • 町報のお知らせ欄に今年酒

    対馬清波

  • 福耳の祖父・父・わたし今年酒

    くみくまマフラー

  • 新酒注ぐ本題は内ポケットに

    山口絢子

  • 白雲の疾き朝や今年酒

    木村木霊

  • 新酒あおげば蛍光灯に暈

    麻生四里

  • 人の世話ばかりの父や新酒酌む

    ゆすらご

  • 長期研修おわる新酒がしみる

    花はな

  • 日本に背骨の丸み新酒つぐ

    よしぴこ

  • 猿談議終えて湯呑みの新酒酌む

    きべし

  • 新酒まづ祖父の遺せし短冊に

    看做しみず

  • 新酒御饌口角上げて仁王像

    春風流士

  • 満ち満ちの新酒にまといつく光

    天野若花

  • 口にして夢こそばゆき新酒かな

    えむさい

  • わさわさと届く新酒や漁師町

    卓鐘

  • 亡き父のプレスリー聴く夜の新酒

    おかだ卯月

  • 新酒ぱちぱち永治元年からの蔵

    くさ

  • 不死よりも不老を頼む新酒かな

    山岸大

  • 秀峰の水脈のひかりや新走り

    螺原トモ

  • 精霊のこゑや新酒のひとふくみ

    清水縞午

  • 舌じゅうに新酒からめている平和

    あたなごっち

  • 稲荷山一歩一歩と新酒さげ

    落人家楽人

  • 利酒や銃の木目に在る時空

    松山松男

  • 新酒提げ夫に似たる婿来たる

    紅三季

  • カラヤンと塩ひとつまみ新酒の香

    河野灰土

  • 新酒酌み心は天に遊びけり

    愚老

  • 羽衣の速度で新酒注ぎけり

    月見柑

  • とくとくが好きな音なり新酒汲む

    沼宮内 かほる

  • 西くんの今年の新酒稲門会

    田季たまき

  • 芳しきけものらの息新酒育つ

    じゃすみん

  • 落人の峡の尖りし新酒乾す

    野々村澄夫

  • 恋ひとつ経し辛口の新酒かな

    まるにの子

  • 切り倒す古木に詫びて振る新酒

    鈴木来穂

  • 電線を追へば山海新酒酌む

    南方日午

  • 神捧ぐ変わらぬ杉の香新酒

    桂葉子

  • 暗室の机の端の今年酒

    田中ミノル

  • 新酒でき今日杜氏唄の聴きおさめ

    天雅

  • 新酒酌む隣の蔵はまだ開かじ

    瑞陽庵

  • 胃を切除弱気な叔父と今年酒

    伊藤なおじい

  • 木遣歌復活目出度し新酒汲む

    祥林

  • ベトナムからの実習生と新酒酌む

    多々良海月

  • 残業は断り妻と新酒かな

    ひいらぎ

  • お猪口へと注ぐ新酒の軽さかな

    正雪

  • よき新酒松尾の神の誉れ高し

    一久恵

  • 新酒酌み術後話に恋話

    風の木原

  • 新酒入荷連絡に小さめなステップ

    快晴ノセカイ

  • チェンバロの倍音多し新酒よし

    さざなみ葉

  • をちこちに花咲く今年酒注げば

    立部笑子

  • 出荷日はチョークぐるぐる新走

    鈴野蒼爽

  • 境内を掃き終へて酌む新酒かな

    月石 幸

  • 棟方の女神薔薇色この新酒

    紫水晶

  • バカラのワイングラス生詰め新酒

    不二自然

  • 名山は緋色翡翠色の今年酒

    ぱぷりかまめ

  • 新酒供ふ仏の事を先とせよ

    虎堂吟雅

  • 金賞の数が自慢の新酒かな

    田邉真舟

  • 新酒とぷとぷドラゴンになりたき子

    西野誓光

  • じゃこ天を軽く炙りて新酒酌む

    水須ぽっぽ

  • 新酒といふ薬今年も日に二合

    芋 二郎

  • 木のうろに新酒を含ませ伐採す

    風の鳥

  • 蔵巡る舌の馴染まぬ今年酒

    知足

  • 父になる青い小瓶の新酒かな

    苺井千恵

  • 飲むほどに新酒の甘さカンツォーネ

    清水千種

  • フランセの船長の請う新酒かな

    西村小市

  • シャンソンの漏るる酒蔵新走り

    安春

  • 指添ふる新酒のまろき波紋かな

    大山和水

  • 良き夫と明日にはならむ新走り

    いこん

  • 口中をるるるとまろぶ新酒かな

    喜多丘一路

  • 禅僧のやうな叔父来て新酒かな

    砂山恵子

  • 新走り似合ふ無骨な指となり

    ふんちん

  • 新酒受く燻みレツドの唇に

    三重丸

  • 新走りバー「どん底」へ急階段

    ふゆの都々逸

  • 新酒の試飲知らぬ人と乾杯

    まるかじり

  • 鼻筋をしやんと新酒の香に向かふ

    秋津穂 実

  • 新酒酌み河童のミイラ観て帰る

    Kかれん

  • いつの間に子に喉仏新ばしり

    英子

  • 佳いところ混ぜて澄みたるあらばしり

    縁穐律

  • 妻は里今宵独り身新酒かな

    小田毬藻

  • 厨妻ひとり湯飲みの新酒かな

    立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部

  • 箸紙を文庫に挟み乾す新酒

    江良 中

  • 藍染の白けをりたる新酒かな

    ツユマメ@いつき組広ブロ俳句部

  • 旧約の終章知らず新酒かな

    リーガル海苔助

  • 農協のキャップとりどり今年酒

    鈴木裕公仁

  • 亡父には新酒と愚痴とどら焼きと

    珈藤絵本

  • 八冠の全紙切抜き新酒酌む

    岩松良玹 (ゲンは王へんに玄)

  • 寺田屋を巡り龍馬と新酒やる

    山蔦 周平

  • 新酒もて祖母の使ひし井戸仕舞ふ

    斉藤百女

  • 濁声で薦められたる新酒かな

    火炎幸彦

  • 新酒提げ神の異名の寮の主

    くずもち鹿之助

  • 新酒酌みゴルトベルクを聴く夕べ

    東原桜空

  • 脱藩にはじまる家系新酒酌む

    げばげば

  • 新酒酌む鴨居の家族写真増し

    福田みやき

  • 新酒ニ〇〇円「夢語るべからず」

    向原てつ

  • 聞き役の居ぬ老人会新走り

    ふくろう悠々

  • 新酒飲む脳がうまいと言わせおり

    大阪駿馬

  • 新酒抱くビル擲る雨踏みしめて

    榎美乎梛

  • 新酒をセレクト命日の一献

    一雁低空

  • 商談に勝って振る舞ふ新酒なり

    ぎんやんま

  • ぐい呑みの窯出しを待つ今年酒

    小川しめじ

  • 新酒販売日新人歓迎会

    Dr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部

  • 新酒のぴりり子離れの決断を

    ノアノア

  • 新酒三本ドミトリーのテーブル

    アニマル可秘跳

  • 新企画プレゼン終へて新酒買ふ

    羽柳武助

  • けざやかな土偶の乳房新酒酌む

    亀田かつおぶし

  • 熱弁の杜氏やお預けの新酒

    華胥醒子

  • 長靴の並ぶ新酒の試飲かな

    大和田美信

  • 米の出来しきりに問うて新酒買ふ

    田村利平

  • 米寿なる妣へ新酒と赤福を

    吉田竹織

  • 喝采を浴びた余韻や新酒浴む

    向日葵姐@いつき組広ブロ俳句部

  • 逆縁の義母と新酒を差し向かひ

    常盤あけび

  • りゅんりゅんと舌を新酒の熱意かな

    明惟久里

  • あらばしり生身の我に戻るとき

    ピアニシモ@金カル

  • 新酒来ぬ土地家屋調査士事務所

    伊予吟会 宵嵐

  • 緊張の笑みや蔵人新酒酌む

    戸部紅屑

  • 杉玉の連なる信濃新酒酌む

    村上継鳥

  • 新酒売る見習い嗣子の見せどころ

    いつか

  • 面々は揃へり新酒待つばかり

    藤井赤童子

  • 暫らくは囚われの舌新酒酌む

    まるちゃんにいさん

  • 追伸に滲む本音や今年酒

    木村隆夫

  • 燭を吸ひ枡を溢るる新酒かな

    真藤乙華

  • 正客へ屠る羊と新酒かな

    中村一烏

  • 杉高々新酒祈願の巫女の舞

    寧楽女m

  • 新酒酌む古き写真の中も雨

    遊羽女

  • 下戸なりに栄転託す新酒かな

    安溶二

  • 看板を降ろし五代目新酒揺る

    橋本鳩子

  • 今年酒あとで来るってビリケンさん

    堀ゆうき

  • 青竹を切って待ち受く今年酒

    たいらんど風人

  • 御下りの新酒の白き寝息かな

    粋田化石

  • 瓶が呼ぶ新酒一合波の音

    うさぎ柚和

  • プラカップ両手で三つ新酒なり

    菅原ゆう

  • 新酒蔵見学ツアー防空壕

    馬門宗太

  • 新酒酌む杜氏の背に二百年

    六花

  • 新酒汲むテレビは戦火伝えおり

    原島ちび助

  • 全員が法螺吹きの友今年酒

    フージー

  • 新酒酌み苦労話を嬉しげに

    山田蹴人

  • 酒蔵のただ香に酔うて新酒かな

    小林番茶

  • ひとり居に新酒とあてと回顧あり

    亀亀子

  • お宮参りの腕のこわばり新走り

    沙那夏

  • 吉田類優待席の新酒かな

    鶴富士

  • 二人して髪を切ったし新酒飲も

    染野まさこ

  • 新酒一升ご近所はけふ米寿

    藤白月

  • 新酒美し酌み交はす人をりてこそ

    らん丸

  • 言霊や新酒供ふる神の宮

    亀山酔田

  • 跡継ぎのいない農家や今年酒

    信濃のあっくん

  • ラベル撮りぶれた斜めだ新酒会

    山田蚯蚓

  • 利酒やちょび髭がある招き猫

    土佐藩俳句百姓豊哲

  • 潔斎の水の艶引く新酒かな

    堀口 房水

  • 開運の新酒並びて神社かな

    まりい@木ノ芽

  • 老杜氏の最後の新酒澄み切れり

    信木 庸子

  • ゆうたりと新酒に酔ひて貨車の音

    東田 一鮎@金カル

  • 勝手口酒屋任せの新酒かな

    楽和音

  • 三度また名字変われど新酒の香

    うめやえのきだけ

  • 利酒や紅跡残る蛇の目猪口

    seki@いつき組広ブロ俳句部

  • みづのくに親善大使たる新酒

    陽光樹

  • 親に似た癖が許せぬ新酒汲む

    独星

  • 神よりの水を磨きて新走り

    空木眠兎

  • 新酒置くかつて醸したらし蔵に

    居並小

  • 筋トレきらい新酒は五臓六腑

    秋野木吾

  • ぐい呑みの汀を新酒のひかる波

    坐花酔月

  • 新酒酌むぐびりと父の喉仏

    蒼鳩 薫

  • 角打ちで新走ちさく乾杯

    えりべり

  • 今日は晴れぐい吞みはこれ今年酒

    くろべぇ

  • 杉玉や新酒の夢の旧街道

    松本 探句トップ

  • 新酒酌む長テーブルの端々に

    紅塩寝子

  • わたつみへ注ぐ新酒や鯛供養

    えいぎょ

  • また命授かる思い新酒かな

    玉川 徳兵衛

  • 待っていた新酒二日で空になり

    中村 自在

  • 秋田の地新酒の冷やの喉にじむ

    寺木 風宣

  • あかあかと熾火をつくり新酒かな

    星野はいかい

  • 杉玉に乗りて雀も見る新酒

    田村美穂

  • 上納の硝子切り終へ新酒買ふ

    多数野麻仁男

  • 新酒なら荒ぶるもよし升を空く

    岡崎佐紅

  • 神宮のバイトの巫女や新走り

    上津 嘉子 

  • 一掬の舌に広ごる新走り

    安田蝸牛

  • 新酒利かば水琴窟の心地あり

    時まる

  • 鯖缶のあかを新酒のまるが喫む

    吉野川

  • 旅果ての津軽びいどろ新酒澄む

    謙久

  • 耳打ちは嬉しい報せ新酒呑む

    成瀬源三

  • 新酒酌む崖の上なる月の宿

    伊藤順女

  • また列に並ぶ新酒の試飲会

    虹岡思惟造

  • 田の神と嬶に捧げる新酒かな

    だっく

  • 朝からの新酒や父の草津節

    acari

  • 新酒のむ新婦のうつくしい正座

    元野おぺら

  • ばかやらう好きだとつぎこぼす新酒

    ことまと

  • 新酒の香ほわんと浮いていくわたし

    大熊猫@四句八句

  • 新酒飲む判捺すだけの退職願

    千代 之人

  • 軽トラの友よりぬつと今年酒

    朝月沙都子

  • きよらなる熟成新酒は神の水

    赤尾双葉

  • 継ぎて今朝五十五度目に嗅ぐ新酒

    西風 心鏡

  • 天花より香り降り立つ新酒かな

    石原しょう

  • 三毛猫に匂い嗅がせて新酒汲む

    どこにでもいる田中

  • 新酒汲む雫舐めたし量り売り

    たていし 隆松

  • 木曾路きて上がる杉玉新走り

    み藻砂

  • 前職のはなし微細に新酒つぐ

    源早苗

  • 結婚線二本あるのよ新走

    千暁

  • 新酒汲む枡は賛歌を謳いけり

    楽花生

  • 店仕舞い決めて並べる新酒かな

    恋瀬川三緒

  • 朔日参り朝ぼらけの新酒

    愛柑

  • 来年の作付け相談新酒の香

    水木合歓

  • 新酒吞む実家解体する話し

    土井あくび

  • 新酒酌む鬼籍の夫を呼び戻し

    夜ノ森ムーミン

  • デパ地下の売り娘若きや新酒二本

    きゆうもん@木の芽

  • 藁紙に滲む朱肉や新酒買ふ

    暖井むゆき

  • 奠稲を新酒に神はみな上戸

    岡根今日HEY

  • 味音痴の講釈長し新酒かな

    浪速の蟹造

  • 最終の車内ワゴンで買ふ新酒

    あさぬま雅王

  • されど善き事もありしと注ぐ新酒

    しろくも

  • 方丈記深し新酒の清々し

    ほしの有紀

  • 初めての新酒ばあちゃん七周忌

    鬼殻

  • 前掛けの元禄太し今年酒

    島田ポン吉

  • 父に似てきたる酔顔新酒酌む

    三崎扁舟

  • 内定や親父と交わす新走り

    細木さちこ

  • 酩酊の底が極楽新走り

    香壺

  • 神々の水脈の果なる新酒かな

    なしむらなしん

  • とびきりの新酒で溢す愚痴本音

    もふもふ

  • 新酒一献喉になぞつてゆく今年

    青海也緒

  • 生き延びた証し新酒の香にとろり

    雅屋少将

  • 父ちゃんの湯呑で新酒飲みにけり

    城内幸江

  • 診察は二分だけだと新酒嘗め

    三水低オサム

  • 幼心の妻へ新酒の封を切る

    星埜黴円

  • 世話役を譲る話や今年酒

    平としまる

  • 擦切れたニッカポッカよ新酒干す

    夏雨ちや

  • 今年酒「口開け」に一瞬の黙

    夢見昼顔

  • 青黒き脱臼の痕新酒汲む

    海峯企鵝

  • 同棲の記念に開ける今年酒

    澪那本気子

  • 養子縁組に買い貯めた新酒よ

    羽光

  • 今日までの厄をはらえと新酒飲む

    立歩

  • 新酒汲む海を見下ろす赤鳥居

    辻野 花

  • 仏壇の新酒減っている気がして

    ヤマコー

  • 新酒汲む「龍」一文字を大書して

    高田杏

  • ほどほどの馳走いよいよさあ新酒

    藍創千悠子

  • にじにじにじなかなか抜けぬ新酒の栓

    木村となえーる

  • 夕日差す新酒の猪口や三回忌

    八幡風花

  • 金賞の新酒振る舞ふアンバサダー

    宏楽

  • 一畳に寝起きする父今年酒

    柿司 十六

  • 今年酒手にハチキンといごっそう

    おぼろ月

  • のほほんと丸い味なる新酒かな

    林真紗湖

  • 呑み助の星に届ける新酒かな

    水鏡新

  • 新酒汲む北のなまりの友がいて

    新城典午

  • 夢なんぞ無いが新酒は腑に熱い

    北里有李

  • モーツァルト聴こえし蔵の新酒かな

    滝美音

  • 人生の仕切り直しや新酒酌む

    中里 凜

  • 月影のとろりと混ざる新酒酌む

    紗羅ささら

  • 神と呑む出雲杜氏の新酒呑む

    春海のたり

  • 楽しみはいざこれからぞ新酒汲む

    笑松

  • 上澄みも澱も清しき新酒かな

    泥塗れのポスト

  • 升の木の香ごと頂く新酒かな

    ぞんぬ

  • 猪口の波しずめて含む新酒かな

    黒蜜かりんとう

  • 新酒どき講が集まる神の山

    おん ころころ

  • 仏壇に息子の字あり新酒あり

    どゞこ

  • 新走り山脈からの水豊か

    糸川ラッコ

  • 中入に汲んで銚釐の新酒かな

    さゆり@金カル

  • 塗盆に品漬三種新酒酌む

    ひだ岩魚

  • 新走りひとは遂げれば尽きて逝く

    田口大寒六

  • 新酒の香灘にたなびく帷かな

    宮村土々

  • ハレの日のラベルは自作新酒注ぐ

    薫夏

  • 飛山濃水旅の途中の新酒かな

    ららら句らら

  • 今年酒酌むや善人やめようか

    あらい

  • 新酒酌む猪口に芸子の紅ひとつ

    ヒマラヤで平謝り

  • 秩父路に新酒のかおる夜更けかな

    六浦筆の介

  • 新酒酌む家紋の枡の香り立つ

    刈屋まさを

  • 断層の東西蔵の新走り

    余熱

  • この蔵のいつものやつの今年酒

    寺尾当卯

  • 父の字や新酒は送らん飲みに来い

    常磐はぜ

  • 火入れ式直会に満つ新酒の香

    むじーじ

  • JOKERかキングの択を勝ち新酒

    ちょくる

  • 晴れて女子受理の通知や今年酒

    玉野汐音

  • 固辞したる新酒いつしか空となり

    余田酒梨

  • 異国の居酒屋新酒の友得たり

    そうま純香

  • 新走り親の期待に沿へぬ道

    海野青

  • 神棚に新酒柏手よく響く

    美津うつわ

  • 新酒来た今日は定時で帰ります

    えりいも

  • 歌声は星降るやうに新酒酌む

    浦野紗知

  • 相席の人は江戸弁新酒汲む

    石田将仁

  • 新酒への祝詞あらたか富士清し

    鷹星

  • 杉の香の手にぽこぽこと新酒かな

    戸口のふつこ

  • 弟の死期悟る新酒は苦し

    秋谷 忍

  • 今年酒新しき床墨をうつ

    よぶこどり

  • 古き名を冠し今年も新酒かな

    永井無々

  • 岩座へ巫女の背伸びの新酒かな

    松山めゐ

  • いしいしとぐい飲み選ぶ新酒かな

    じょいふるとしちゃん

  • 3Dアートネイルで注ぐ新酒

    灰谷素数

  • ぷくぷくと新酒の生きる音を聞く

    紅紫あやめ

  • 新酒得て男子厨にわけ入れり

    やっせん坊 池上

  • 上にだけ新酒だばだば注ぐ同期

    遥風

  • 一本だけ残す新酒は君のため

     宗平圭司

  • 新走り会津へ走る野岩線

    かぬまっこ@木ノ芽

  • 閖上は夜や亡き吾子と新酒また

    コーヒー博士

  • 釉薬の深き緑や新酒酌む

    竹田むべ

  • みちのくの新酒ほのかに風の色

    里見脩一

  • 手術終え回診済ませ新酒の香

    竜退治の騎士

  • アイドルの訃報新酒の泡ぴちと

    樹海ソース

  • 新酒とふ声に早くも酔ひにけり

    倉たけ

  • 新酒くむ吉四六漬と和らぎ水と

    広島しずか80歳

  • 新酒引つ提げリクルートスーツ帰宅

    磐田小

  • ごり押しに探す口実新走り

    竹村マイ@蚊帳のなか

  • 新酒溢れをり檜〼はあをし

    ヒロヒです

  • 天蒼く七つを祝う新酒かな

    ゆかりん

  • デパ地下の売り子は杜氏今年酒

    土屋郷里

  • 村人と囲む新酒の蔵座敷

    千の葉

  • 千年の水の霊降り新酒澄む

    龍田山門

  • その辺のコップ拭ひて酌む新酒

    如月ドロップ

  • 遺跡発掘終えて車座新走り

    茫々

  • 今年酒雨の光を預かりぬ

    蘭丸結動

  • お詫びしても新酒だけでは許されず

    諸塚凡志

  • 年の差婚二十歳の君と飲む新酒

    夏目あかり

  • 君はたち新酒たむける百箇日

    渡辺ペコ

  • 龍起こさぬ新酒のすすり方講座

    高橋寅次

  • 酌み交わす新酒や華を咲かせたり

    またね

  • 角打ちの輩の傍に買う新酒

    華風ルナ

  • 呑兵衛は隔世遺伝新走

    小池令香

  • 節榑の手に手にコツプ新酒酌む

    海猫

  • 何度目の恋か新酒はまた増えて

    あなぐまはる

  • 店員の顔は艶つや今年酒

    ぉ村椅子(志村肇)

  • 吾の澱を溶かし身に沁む新酒かな

    河村静葩

  • 勧めればとろんと泡の鳴く新酒

    北野きのこ

  • 新酒や父の歳越し二十年

    高本蒼岑

  • チェロ流る八間蔵の新酒の香

    みらんだぶぅ

  • 丸文字の『新酒アリ〼』ロックフェス

    at花結い

  • 山城や女城主といふ新酒

    江坂 衣代

  • 新酒醸す一石ニ俵半の水

    地球人

  • 旅探し安近短は新酒付き

    白庵

  • 音頭取る祖父の柏手新酒かな

    泉水あやめ

  • 組合の新酒品評会に酔ふ

    喜多輝女

  • 旅晴れて新酒豆皿飛び鉋

    梵庸子

  • どよめきは土曜の夜の新酒より

  • 水掻きのある生き物となり新酒

    鳥羽南良

  • かさね置く水引の鶴ことし酒

    TAKO焼子

  • 神棚に伺ふ今宵の新酒の肴

    赤端独楽男

  • 怒涛には波頭新酒滴る

    青柳修平

  • 新月の鵺の鳴く夜に新酒とは

    コモドドラゴン

  • 口開けの新酒角打ちの薀蓄

    くぅ

  • ロレックス光らせ新酒酌みにけり

    一富士リリー

  • 残り生は吾のためにだけ新走り

    ななかまど

  • 新任の地にも人あり新酒あり

    林常住

  • 今年酒なじみの客の揃ひたる

    このみ杏仁

  • 新酒飲み尽きぬ故人の武勇伝

    芍薬@独逸

  • 長生きも苦行と諭され今年酒

    もぐ

  • 屋敷神に新酒供へて古木伐る

    君島笑夢

  • 今年酒百歳まではまだ間あり

    ひすい風香

  • 信楽の師よりの新酒佳き音かな

    つづきののんき

  • 徒歩十分新酒出揃う諏訪五蔵

    沢胡桃

  • 舌痺れ新酒に色のありにけり

    悪七兵衛

  • 遠き日の厨の匂ひ今年酒

    小野陽笑

  • 新走りお猪口の底の青き芥子

    植木彩由

  • 達磨の目入れて新酒のほろ苦し

    一井蝸牛

  • 金星は帰路のしるべや今年酒

    西浦 貴浩

  • 高千穂に神々と汲む新酒の香

    たけぐち遊子

  • 新酒の夜先頭打者のホームラン

    あやっぺ

  • 二千字のレポート仕上げ新酒酌む

    緩木あんず

  • 連敗は止むか何れにせよ新酒

    剛海

  • 緊張を解く「うん」の声今年酒

    水蜜桃

  • 長生きのそれも面倒新酒酌む

    宥光

  • ふるさとをラベルに描く新酒かな

    こま爺

  • 金継ぎの九谷の龍の眼に新酒

    HNKAGA

  • 天を突く一丁締めや新酒汲む

    夏椿咲く

  • 関取が掻っ込む飯と今年酒

    二十八

  • ひかりものたのみ新酒や喜寿の旅

    浩子赤城おろし

  • のうみそを新酒で洗ってみたくなる

    白井百合子

  • 就活を終へたる吾子や新酒酌む

    ももたもも

  • 麒麟児の門出を祝ふ新酒かな

    加藤多作

  • 興行の夜や新酒の旗艦店

    白プロキオン

  • 連れ立つてまづ箱買ひの新酒会

    亜桜みかり@金カル

  • いけすかぬ義兄の弱音新酒注ぐ

    江口朔太郎

  • 新酒酌み命満々老い何と

    雅由

  • 船祝い新酒巡りて男唄

    雑魚寝

  • 新酒酌む枡にコップに白き影

    椿 佳香

  • 今年酒目尻の皺を褒めらるる

    武井 超凡

  • 蔵の朝新酒の蒼くほとばしり

    田中勲

  • 白壁の水路は迷路新酒酌む

    山路碧水

  • ひときわに枡の角立つ新酒かな

    佐野明世

  • 金継ぎの大皿新酒の口を切る

    松本裕子

  • 天赦日の風は浄らか新走

    満る

  • 今年酒百年刻む杉の梁

    青い小鳥

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