【佳作】

• ちと高い芒は野良の土饅頭

  俳句王

• おとうとの塚へは遠し芒原

  内藤羊皐

• 救援のへリや渦まく花芒

  余田酒梨

• ゆふぐれの重き芒や演習地

  かえるしろ

• 一山に火口ふたつや芒原

  稲畑とりまる

• 芒の葉いたい捨て猫どこにゐる

  にゃん

• 屈葬として風に折らるる芒哉

  青田奈央

• 化野の生まれなかった子と芒

  富山の露玉

• きらきらの芒イギリス海岸よ

  雨野理多

• 口寄せの亡き人のこゑ花芒

  天陽ゆう

• カルデラの起伏眩しき芒かな

  山内彩月

• すすきすすき太陽の死を悼むうた

  羊　羽太

• 少女像錆びて老いざる芒の夜

  亀田荒太

• 芒指す方へ汽水のみづ動く

  西川由野

• もう飛べぬこの風芒原に飼ふ

  常磐　はぜ

• おくどさん祓い清めり花すすき

  東京堕天使

• 芒野を肢体にぶつけ駆け抜けた

  理酔

• 夕芒川原は饐えたゴムの匂ひ

  えむさい

• すすきはら果てて名門ゴルフ場

  深山むらさき

• 芒まだ月を呼ぶには穂が足りぬ

  亀田かつおぶし

• 芒原を捜す友とか勇気とか

  じゃすみん

• アンデスのいけにえジパングの芒

  おきいふ

• 大部屋の脇役ぐらし花すすき

  あつちやん

• 門跡の寺や仏花に芒の穂

  うしうし

• 芒折るキリン舎の報聞きし朝

  あたなごっち

• カーソルがどこかに迷ふ芒原

  大塚迷路

• ラジカセや芒ささやくほど白し

  山城道霞

• 芒原ずんずん変身譚に兄

  一斤染乃

• クロサワの雲待ち長き芒かな

  多喰身・デラックス

• 一本の芒のしほり終活記

  比良山

• 庵主さま送る軽トラ花薄

  石田将仁

• 納骨や風ざぶざぶと芒原

  平本魚水

• 芒挿すすサドル抜かれた自転車に

  嶋田奈緒

• 戦ぐたび芒は母と筆談す

  さとけん

• すすき折り折り折りとりて酸っぱき手

  いかちゃん

• 放牧の鬣の銀芒の金

  砂楽梨

• 鳥の死を覆ふ芒と夜の雨

  あずお玲子

• 芒剪る一升瓶に挿さるぶん

  杉尾芭蕉

• 鍵つ子や金網越しの芒触る

  片岡六子

• 芒の穂ぽのぽの月を呼吸せり

  ぐ

• 茫々たる芒よ埋められゆく川よ

  穂積天玲

• 芒原あるいは火砕流跡地

  碧西里

• 芒に殴られて線路から起きる

  水須ぽっぽ

• 抗はぬとは美しき芒の弧

  七瀬ゆきこ

• 土手下の芒のところ猫の墓

  さとう菓子

• 退職の空や芒の指す方へ

  とまや

• 駅前の未来図すすき鳴るばかり

  倉木はじめ

• 芒野や渇ゑ殺しのあつた城

  しゃれこうべの妻

• 芒ざうざう黒服の去ってゆく

  平良嘉列乙

• 芒原ラムプの列に火の戦ぐ

  古瀬まさあき

• 芒野や吹かれ高床式倉庫

  M・李子

• 一本の燐寸擦りたし芒原

  うぢ一樹

• 穂芒を仰いで健やかに貧困

  ぐでたまご

• じいちやんが見つかつたすすき持つてた

  げばげば

• 金色の芒の豊かローム層

  なしむらなし

• 骨上げは暮れしころかと花薄

  虎八花乙

• 銀山の間歩の半里や芒原

  桜井教人＠金カル

• 骨髄のぞわぞわ痛む芒原

  三重野とりとり

• サーカスが刈つて仕舞ふよ芒原

  寺尾当卯

• 罅割れの中央分離帯に芒

  木原トモ

• また芒揺れて火の香のいづこより

  ほろろ。

• すすきすすき幸せだつた頃の家

  大黒とむとむ

• むら薄ことばって軽くて重い

  嶋村らぴ

• 花芒祖母をなくした日の匂い

  天風月日

• 鉄塔いつぽん刺して芒野こんじきに

  RUSTY＝HISOKA

• 芒もらう遂に売れたる空地より

  木ぼこやしき

次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています！