【佳作】
4H削る立冬というざりざり
字土街海
立冬や隣席に座すチェロケース
樫の木
法服のより黒々と冬に入る
多々良海月
立冬やひしやげたアルミ缶の口
仁和田永
まち針に青き花あり冬来る
月石 幸
立冬やアクリル板の穴しづか
久保田A
立冬やAIの描く月いびつ
いかちゃん
立冬の青空少しはつたり屋
小川都
錆臭きパイプ椅子拭く今朝の冬
ひなた和佳
水たまりは色なきとびら冬に入る
北藤詩旦
立冬やオラオラ系の鴉が来
港のパン屋
外つ国のことまた今朝の冬のこと
冬のおこじょ
冬に入る鳥語と無人販売所
古賀
立冬の試奏や調律師の工具
北大路京介
立冬の造花痛々しく赫し
ぞんぬ
立冬やマトリョーシカは並びたい
綱川羽音
甘やかに割れて立冬の蒸しパン
碧西里
火災報知器検査がっこうの立冬
樹海ソース
立冬のベンチ子供って残酷
亘航希
月のごと生まるるガラス冬来る
磐田小
立冬や正しく傾ぐやじろべえ
常磐はぜ
立冬は赤子の髪のような匂い
ぐでたまご
ミルク色した立冬の保健室
天陽ゆう
立冬のベンチ再任用の壁
富山の露玉
立冬の花瓶からつぽ空のゐろ
葦屋蛙城
立冬の足や立たねば細うなる
髙田祥聖
立冬のひかりもろとも点眼す
RUSTY=HISOKA
立冬や空洞調査報告書
世良日守
立冬の気の鼻先を鷗かな
山内彩月
立冬やこの掌で死んだ鳥
ヒマラヤで平謝り
立冬やペレットは林の欠片
にゃん
立冬のはじめてすなる柔軟剤
七瀬ゆきこ
立冬の山彦ちょっと窮屈で
海老名吟
被弾なほ冬立つ壁にバンクシー
あさのとびら
フラフープ吾は立冬の杭となる
山本先生
立冬を剱のごとく感嘆符
新蕎麦句会・凪太
立冬の黒板ベクトルの尻尾
青に桃々
よく透けてみづ立冬を流れけり
古瀬まさあき
宿り木の全貌あらわ冬来る
余熱
立冬や耳の裏から発熱す
赤波江春奈
月蝕の朱殷の匂ひ冬に入る
芦幸
立冬のくづしてひかる砂の城
ぐ
立冬の鉄柵鰐の尾のしづか
天風月日
丸丸や立冬の栗鼠丸丸や
井納蒼求
立冬やソプラノ色の空へ鳩
久森ぎんう
立冬や駅のピアノのラだけ星
一斤染乃
チェーンソー抜く立冬の光ごと
もりさわ
釣り銭に満州銅貨冬立つ日
宗平 圭司
立冬の向日葵がんはステージ4
西村 棗
冬立つや屏風の雲の怒涛なり
濃厚エッグタルト
立冬の噴水ちから劣ろへず
亜桜みかり
立冬やプール開きのやうにみづ
銀紙
立冬の雲の子眩しがつてゐる
ありあり
黄経225度立冬のピラカンサ
国東町子
立冬や旧約聖書の緋のしをり
緑の手
木には木の吾には吾のみづ冬に入る
綾竹あんどれ
法灯のいよいよ盛り冬に入る
むったん@狐狸山会
くぢら死す霏々と降る骨冬来る
ウロ
駅前の立冬に立つ僧の鈴
松田てぃ
ミモレットの硬さの夕陽冬立てり
トポル
がたがたなオリオンさうか立冬か
堀口 房水
立冬の聲やハイビームの鋭利
千歳みち乃
保健室の透明な水冬にいる
とまや
立冬のみづうつかりと吐くホース
えむさい
立冬の石鹸乾く釧路港
本村なつみ
タレパンが打つ立冬の七拍子
正岡丹ん
立冬や廊下は我を突き返す
楽花生
赤本の艶や二度目の冬来る
はんばぁぐ
立冬の海まで走る補欠の子
鈴木麗門
雑巾の悶えしかたち今朝の冬
長谷川水素
立冬の眼に見ゆる杖見えぬ杖
桜井教人@金カル
ソムリエの硬きナイフや冬来る
山田蹴人
立冬の脛に青鮫めいた風
染井つぐみ
ピペットに立冬のみづ満ちゆきぬ
げばげば
立冬の空清らなる死期のこと
広瀬 康
管理職憂し立冬の雲遅し
稲畑とりこ
立冬のガスト解散切り出しぬ
ふるてい
髭を剃る音がうがうと冬に入る
いこん
咳きて点く立冬の焜炉の火
さとけん
立冬や腐食時間は+5分
庭野環石
次回の兼題も
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