【佳作】
外苑の落葉を十屯ダンプカー
泥塗れのポスト
パレットの赤は暗くて落葉時
ひさとみ純代
一山の落葉幽き音の集く
津島野イリス
ひしやげたる落葉よ吾はすかんぴん
冬野とも
香典は一律千円落葉掃く
夏草はむ
傍聴の列へ落葉風ぴーぴー
コーヒー博士
キーパーはたいくつ落葉霏々として
ぞんぬ
肥沃なる山へ落葉のやはらかく
ももたもも
分水嶺碑みづのかげなく落葉積む
たかみたかみ
トラックの荷台の落葉掃きにけり
ちゃあき
蔭に鳩ゐて執拗に突く落葉
ツナ好
腹見せる犬に瘤ある落ち葉かな
佐々木 洋治
図書館にいるやうに落葉の会話
光峯霏々
砂よりも落葉の多き砂場かな
弘友於泥
落葉くるくるスケボーに傷数多
北藤詩旦
落葉踏むいざ英検の会場へ
いくたドロップ
鳥語盛んに落葉へ落葉つもらせて
イサク
落葉踏む骨すかすかになった母
けーい◯
吹きたまる落葉の家のがらんどう
天陽ゆう
しぎしぎと隊伍に砕かるる落葉
at花結い
閉校の知らせ落葉の南門
ひなた和佳
落葉がさがさり猪は二頭
ゆすらご
五袋に詰めし落葉へ落葉降る
野々村澄夫
貧しくて落葉をわしづかむ遊び
西村 棗
落葉からから油こぼしは只の石
ありあり
落葉坂付き合ってると思ってた
あやっぺ
犬小屋のかたちに抜けてゐる落葉
樫の木
閉じ込めた落葉が透けるゴミ袋
ゆみづき
落葉して空繋がってそこらじゅう
あずお玲子
焼香の影ふりきつて蹴る落葉
あさのとびら
粉々に落葉を握る手が痛い
オキザリス
おのおのの影持ち寄りて落葉焚
げばげば
蹴散らしし落葉の中に鉄唖鈴
愚老
落葉落葉がんばる権利放棄します
ギル
前カゴに三日前からある落葉
みづちみわ
生き切つた病躯はきれい落葉雨
晴田そわか
最期まで落葉のままでゐる落葉
あみま
ナナハンの悲鳴カーブの濡れ落葉
青居 舞
新宿の落ち葉は何故かどす黒い
あかめちゃん
落葉ふるふる不法投棄の椅子二脚
幸田柝の音
許されることは概ね落葉掃く
城内幸江
また違ふ落葉を踏んで違ふ音
ちゃうりん
大学や思索の欠片めく落葉
可笑式
おちばあつめればほんやさんのにおい
里山子
落葉深し此れより人の及ばざる
野地垂木
落ち葉踏む午後のミルクの泡きれい
はまお
希望職種:落葉掃くだけの部署で
たーとるQ
川となる落葉と海となる落葉
石井一草
中庭は落葉図書室はがらがら
平本魚水
ランタンの軋む灯りや落葉鳴る
叶田屋
風除室の落葉を拾ふ仮眠前
高橋寅次
僧の日課今日は炎へ落葉掃く
まるかじり
自転車の溺れてしまふほど落葉
飯村祐知子
三億円事件ははるか落葉踏む
すりいぴい
裏を向きたがる此の木の落葉かな
さとけん
錫杖の音と落ち葉を踏む音と
夢雨似夜
落葉かな古墳の雨の温かし
ぎんやんま
空家かとおもへば落葉ふむ誰か
倉木はじめ
二合目は落葉と人を持て余す
玉庭正章
轟々と補助輪ばうばうと落葉
鈴白菜実
サーカスの跡のぬかるみ落葉降る
中根由起子
ハモニカのブルース甘し夕落葉
ふじこ
相続の生家に落葉うずたかく
うに子
落葉しきり火葬の順番を待つ
松田てぃ
落葉霏々みんな知らない人になる
あまぶー
ふりつもる落葉の底へくくり罠
にゃん
落葉吹きよす脱輪のホイールへ
板柿せっか
かすかなる翅音の帯びて落葉いま
ぐ
葛根湯のんで落葉のごみ仕分け
吟 梵
落葉のつやつや朽ちていく汀
北野きのこ
輪転機に部誌の軽やか落葉霏々
むらぴ
振り向かぬ兄や落葉は湿りをり
ペトロア
もぎたての落葉に濡れる山羊の口
きのえのき
熊鈴やさくさくさくと鳴る落葉
キッカワテツヤ
落葉焚きかへせぬままのゲーテ閉づ
杏是りゐ菜
あゝこれは鳥にならうとした落葉
立部笑子
かろやかにλのやうに掃く落葉
くま鶉
宝物殿錠して落葉ただならぬ
辻野 花
普通つてなんだよ落葉吹き溜まる
満嶋ハト
吹き溜まる落葉隣家は固く閉づ
敦子
母と目が合わない家は落葉まみれ
青海也緒
空っぽの象舎を巡る落葉かな
ふもふも
手のひらの落葉をつぶす自傷癖
高遠見上
中継のニュース落葉のしきりなる
みつれしづく
落葉踏む福祉手帳の深緑
西田月旦
スナックの看板落葉照らすのみ
いかちゃん
落葉踏む登校先は保健室
ほしの有紀
落葉踏むバスはもう行つたのかしら
天風月日
落葉とは山羊のチーズの匂ひだらう
じゃすみん
濡れ落葉端のぱきりと乾きたる
藤白月
傾ぎたる土蔵百とせ落葉掃く
せり坊
時給千円安全靴の底に落葉
中村すじこ
親の家風入れに行く落葉ふる
りんごのほっぺ
落ちただけの落葉が季語だとさ、羨ましい
新蕎麦句会・凪太
空堀を覗けば猫と落葉なり
月石 幸
掃くおちば逃ぐ逃ぐ側転して側溝
TAKO焼子
港区に喫煙所なき落葉かな
多喰身・デラックス
西口や落葉踏み征く機動隊
なしむらなし
一村を見晴らす寺や落葉焚
まち眞知子
次回の兼題も
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