【佳作】
手のひらのデパスは花冷のデパス
けーい〇
花冷えや空を塗るなら縹色
つまりの
花冷えやビル四階の探偵社
かりかり久助
大鍋に豚足の湯気花の冷え
島田あんず
病院の朝花冷のヘリポート
磐田小
花冷やこんなに遠き喫煙所
28あずきち
花の冷え面は繋がり球となる
コンフィ
孵卵器の灯は丸まって花の冷
テツコ
花冷えの駅舎の壁にチェ・ゲバラ
入口弘徳
ぬばたまの咳止めブロン花の冷え
石上あまね
花冷の欺瞞食洗機ざわわん
秋津穂 実
まららふかせつ花冷の数式は
千夏乃ありあり
師の後を来て花冷の鈴ひろふ
樫の木
電鍵のレバーに映る花の冷え
さとけん
コンテナに花冷も詰め出航す
佐野明世
花冷の東京花を待つソウル
入道 まりこ
花冷の底を蹴爪のようなもの
猫ふぐ
花冷やチェロ一挺の音楽葬
にゃん
花冷や履修希望に神学論
深山むらさき
花冷の星に声帯有る如し
めいおう星
ひとかけら足りない土偶花の冷え
一本橋ふくろう
花冷の憂鬱半夏厚朴湯
星月彩也華
花冷や仁王の爪の反り返る
仲 操
花冷えのペリカンインク吸入す
びんごおもて
花冷や壊れた鳥は燃えるゴミ
赤馬福助
ローファーの五歩や花冷の講堂
うた 歌妙
花冷や鹿の視線は横へ散る
樹朋
花冷のロッカー明日迄はここを
杜まお実
君のりやうしん花冷のバタナイフ
板柿せっか
靴底のゆがみよ花冷の未明
みづちみわ
花冷や画布は光を塗りのこし
八日きりん
歯みがけばひとつ忘るる花の冷え
渋谷晶
花冷や人は死んだら近くなる
あなぐまはる
花冷や細く後引き鳴く獣
あおのめ
娘の家を辞し花冷のアーケード
野口日記
秒針の一周花冷の驛舎
播磨陽子
墨堤の色町に灯や花の冷
多喰身・デラックス
花冷や薬めきたる岩絵具
うしうし
花冷や打音の昏き幹の虚
はれまふよう
花冷や水飲む鳥のよくしやべる
八神てんきゅう
爪先は薄墨に咲く花の冷え
haruwo
花冷の夜を老残のボス猿は
ちゃうりん
花冷や次の棲家も川のそば
あまぐり
花冷の入寮ここは第二志望
芦幸
我が村とムーミン谷は花冷ぞ
八光地蔵
花冷や収骨台にボルト五個
戸口のふつこ
客捌けて微熱のドラム花の冷え
伊藤映雪
花冷の朝が調律されてゆく
ぐでたまご
花冷の鴉の黒は思慕の黒
橘鶫
半数は点き花冷の寮の窓
桜井教人@金カル
花冷の暗号めける鯉の口
ぐ
波錆びてゆく花冷の左様なら
酒井おかわり
花冷のお化け灯籠窄んでら
at花結い
きりきりと花冷え縦にしぼむやう
紫小寿々
花冷や防潮堤の高し高し
立ち漕ぎブランコじゅん
花の冷え遠野の紙に漉き込まん
タリタ クミ
花冷の鳥は光を食ひ合うて
ツナ好
花冷のきみはいぢめられて笑ふ
倉木はじめ
花冷やキリンの舌は鉛色
谷本均
花冷のビールケースに月を待つ
とまや
花冷のラジオ微かに紙の音
銀紙
花冷を跳ねる烏の無表情
ぜのふるうと
花冷えやたてよこに跳ぶ鳥の声
へな☆けん
音の無い富士の黒さや花の冷え
世良日守
花冷えや鳥籠のみづ匂ひけり
橋本こはく
花冷の雨や本土の滑走路
さかえ八八六
花冷の地を鎮めるたる祝詞かな
真林
置き手紙花冷の夜のトルコ行き
つきのひと
花冷や牛車のごときトラクター
すりいぴい
花冷やみずのにほひの深呼吸
しゃれこうべの妻
花冷の大阪城やつまやうじ
黒麹 糀
トルソーのしつけは海図花の冷え
みうら朱音
花冷やびちんと縮む吹き戻し
さくさく作物
花冷のサドルが萎えるほど固い
石本コアラ
花冷や坦々麺に赭の渦
大西どもは
花冷や螺子は切粉の熱を帯び
富山湾
花冷や赤子は泣いてふとりゆく
うに子
花冷や小籠包の汁きらら
ふもふも
蝶番呻く花冷のゲットー
はるく
花冷えや爪塗らるるに指あづけ
おきいふ
花冷の牛糞すくふ金属音
としなり
墨玉の爆ぜたる飛沫花の冷え
ときめき人
花冷のみみずはきららさくら色
あまぶー
かたむいて回る花冷えのコンパス
関津祐花
花冷やみかえりさまのひだりみみ
トウ甘藻
花冷や二等をかするコルク玉
そうり
花冷のレヱスの襟を直しけり
水須ぽっぽ
花冷の解は真白き∅(空集合)
あたなごっち
迎へまだ来ぬ花冷の保健室
じゃすみん
花冷や少し眠たい耳の裏
城内幸江
花冷えや象は悲しき夢に鳴き
ピアニシモ@金カル
ハクビシン花冷の鼻持て余し
足立智美
煮魚に睨まれてをり花の冷え
そうま純香
花冷や子に買うたった犬つれて
イサク
解団と言へず車座花の冷え
戸部紅屑
青チョークぽきんと花冷の匂い
一斤染乃
一燈の堂のひろさや花の冷
対馬清波
花冷の段ボールハウスに聖書
たま走哉
アリクイののの字に眠る花の冷え
ぞんぬ
いつもより遅るる谺花の冷え
永想
手に入れて倦みたる一書花の冷え
火炎幸彦
花冷の響き銀座の時計塔
ぎんやんま
酢酸の匂ひ花冷の理科室
ほしの有紀
花冷えのハンマー音や化石剥ぐ
斗三木童
がうがうと花冷の夜の下水道
笑松
花冷の化石の町という県都
三重野とりとり
ジャム瓶の影に凹凸花の冷え
げばげば
母の手が紙のやうです花の冷え
ま猿
掃除機が吸ふ花冷の紙吹雪
赤松諦現
花冷や座してセブンの車止め
ふるてい
鰐口の緑青深し花の冷え
はぐれ杤餅
花冷の雨ざんざ駅そこなのに
泉晶子
指輪てふきれいな枷を花の冷え
RUSTY=HISOKA
花冷の生春巻の膚かな
いかちゃん
花冷や椀の手鞠麩うらがへり
緒方朋子
次回の兼題も
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