兼題「蓑虫」に関する季語の考察をお寄せいただきました。
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●季語六角成分図「蓑虫」より。(視覚)木の葉や小枝の固まり、糸。風に揺れる様。頭を出入りさせ、糸を吐き、糞を下から排出する蓑虫本体。枯れ枝、枯れ木、雑木林、雪、草庵。光や風のきらめき。突く、ぶら下げる、糸くずや色紙で巣を作らせるなどの遊び。(嗅覚)乾いた木、土の匂い。(聴覚)「ちちよ、ちちよ」と鳴くものとされる(枕草子)。梢のざわめき、凩。(触覚)本体はやわらかい。巣は糸で固められており、しっかりとしている。(味覚)なし。(連想力)寒さ、貧しさ、つらさに耐え忍ぶ。閉じこもる・引きこもる。滑稽、諧謔味、無情、哀れさ、寂しさ。いじめられっ子、みなし子。蓑→着る、脱ぐ。家、職の有無。親しみ。★ミノガ科のガの幼虫。口から吐く糸で木の葉や小枝を綴り、袋状の巣を作り、その中に棲む。雌は成虫すると蓑の中で卵を産み、蓑を出て死ぬ。孵化した幼虫は逆立ちで動き回り、とても可愛い。食害樹種はサクラ類、カキノキ、ツバキ、チャなど多様。子供の頃はよくみかけましたが、1990年代よりオオミノガが寄生虫の影響で激減したとのことで、近頃はなかなか見かけなくなりました。★枕草子には「蓑虫、いとあはれなり。鬼の生みたりければ、…(中略)…、「ちちよ、ちちよ」と、はかなげに鳴く、いみじうあはれなり。」とあり、伝統的に秋になると親を求めて鳴くものとされた(実際には発声器官はない)。傍題にも鬼の子、親無子、みなし子などがある。★寒さや風雪に耐える姿が哀れで、三秋の季語ですが晩秋~初冬の印象があります。子供の遊びの対象として、親近感、いじましさもあります。家や衣服への見立て、引きこもり、貧しさ辺りが類想か。/碧西里
●兼題の蓑虫ですが、子供のころはよく触って遊んでいた記憶があるのに、長い間見ていないことに気づきました。それで、山の方に行ってみたり、人気の少ないところを歩いてみたりしましたがどうしても見つからなかったのです。あきらめて記憶や画像を頼りに作句し、いくつか投句を済ませました。ところが!!なんと、少し寄り道をして勤め先のビルに反対側から接近したところ、ビルの壁に張り付いている蓑虫を発見。その隣の植え込みに、無数の蓑虫がいたのです。毎日蓑虫を観察できるようになりました。葉ではなく、枝で蓑を作っていて、ごつごつした蓑虫です。ぶら下がっていたり、鋭角に反り立っていたり、一つ一つに個性があり見ていて飽きません。周囲も探していますが、ほかの場所では見つかりません。大通り沿いのビルの脇、あそこにたくさん蓑虫がいることを知っているのは多分私だけ。まるで兼題を呼び寄せてしまったかのようで、とても不思議です。このような次第で、今回つい、いつもより投句数が増えてしまいました。選句のお手間をかけてしまい、申し訳ありません。/ありあり
●皆様こんにちは。蓑虫を調べたら、蛾になるのは雄だけで雌はウジ虫状態のまま卵を産んで死んでしまうとのこと。雌のしあわせってなんなの?という句しか思いつきませんでした。リニューアル後、初心者の金曜日に3回とっていただけたら中級者以上に投句しようと自分ルールを決めました。まだ1回ですがコツコツ頑張ります。/中村すじこ
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※たくさんのお便りありがとうございます♪ 皆で楽しく読ませていただいています。
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