兼題「蓑虫」に関する季語の考察をお寄せいただきました。
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●やっと蓑虫のお題を投句できるようになりました。句を作るにあたり、生態やら一生やらを調べましたが、結構なグロテスクさ、きつい作業でした。子どもの頃に平気で触っていたのに、何故なのかと感じています。さて、類想として、・葉っぱの散ったあとに残り寂しそう→孤独、寂しさ。きっと木の枝にいる寂しい蓑虫が何匹も先生に葬られるのだろう。・ぶら下がった姿に驚く、おかしみや愛らしさを見出だす、揺れている姿を振り子等に見立てる→下手に詠めば揺れてる蓑虫が叩き潰されそう・小さな建築家、仕立て屋、ありあわせで簑を作る、簑を作らせて遊ぶ→下手に詠めばやっと買った新築戸建物件に大槌をふるわれそう・害虫でもある→季語としての蓑虫と違う姿、余程うまく取り上げなければPANG!と潰されそう。・ここ四半世紀で絶滅危惧種になっている→減った、昔はたくさんいた、開いてみたら別な生き物に寄生されていてギャー!・成虫になると物も食べない、雌に至っては羽も足も無い→哀れだけど、成虫は「蛾」と諭され抹殺されそう。・簑の見立て(テントやおくるみ、スワドリングなど)→見立てがうまくできなくて、行き先の分からない行脚を強いられそう。・保育所や幼稚園の飾り物の蓑虫→論外。・財布や民芸品の材料としての蓑虫の簑→職人の描写がうまくできれば句にできそうだけど、たぶん、弟子入りを強要されそう。・鳴くことになっているが、本当は鳴かない、勘違いされている、と批判的に詠む→芭蕉のコスプレをした先生がヌーッと現れて、「蓑虫の音を聞きにこよ」と誘われ、庵で詩の心について説教される。一日一句の作句と推敲を心がけて50句ほど作り、これだ!という句にさらに推敲を重ねました。生き残った私の蓑虫はたった三匹。野球なら三球勝負。全滅しないと良いなあ。/千代
之人
●今月から投稿致しております「雄町の」です。還暦を過ぎての手習いで、こんなに豊かな世界に触れる機会を作って頂き心から感謝致しております。さて、今回の兼題である蓑虫について調べてみて、なんと健気に生きていることかと驚きました。雄はただ雌を探して交尾するために蓑から出て蛾となるも口が無く何も食べることが出来ない。雌は生涯蓑の中で暮らし、手も足もなく蛾になることもなく、交尾するためにフェロモンを出して雄を待ち蓑のなかで産卵して一生を終える。自らをとことんまで削ぎ落とし、ただ次の世代に命を繋ぐことに全てをかける生き方に哀れさと清々しさを感じました。「蓑虫や願掛け果てて空清し」は恋の成就、子孫繁栄のため手足羽口を一つづつ断って願掛けをするひたむきさ、其で良しとする凛とした姿を句にしてみました。「蓑虫は人魚のやうに恋をして」は人魚姫が恋を成就させるために声を失う姿に蓑虫の生涯が重なり、句にしてみました。「蓑虫や端毛糸纏わせ子らはしゃぐ」は中七の字余りと主役が蓑虫になっているかと反省が残りました。Youtubeの俳句チャンネルがとても勉強になります。少しずつでも自分のものにすべく精進していきたいと思います。夏井先生、家藤先生、皆様、どうぞ宜しくお願い致します。/雄町の
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※たくさんのお便りありがとうございます♪ 皆で楽しく読ませていただいています。
写真タイトル gallery_ishiteji_tera石手寺