「俳句ポスト365リニューアル記念 SDGsオンライン句会ライブ」および「俳句ポスト365 SDGs投句企画」にご参加いただきありがとうございました。投句企画の結果を発表します。
◆最優秀句
枯野より続くみずみずしき鉄橋 磐田小
選者コメント▶草木の枯れ果てた静かな野原を経て、渡り始めた鉄橋の上で感じたみずみずしさを、心の動くままに詠んだのでしょう。鉄橋からは、冬晴れの青空を映す川や、勢いよく響く水音、川岸には冬草の緑も見えているのかもしれません。やがて訪れる芽吹きの予兆をも感じさせます。兼題の「続」によって、枯野の広さや時間の流れが俳句に加わっていて、下五の体言止めも詠嘆的な余韻を生んでいます。
◆優秀句
後続は未着吹雪の連結車 加田紗智
選者コメント▶後続の列車を待つ車両、寒い駅構内、鉄路や連結部分に吹きつける「吹雪」。この迫力の前には、吹雪だから未着で、連結して出発できずにいる、などという因果関係は吹き飛ばされてしまいます。五七五の韻律を意図的に外す「句またがり」のリズムが、到着を待つ緊迫感 と吹雪の強さをいや増していきます。
やはらかき空気の続ぎ目春の雷 葦屋蛙城
選者コメント▶空気の続ぎ目を「やはらかき」と感じる感性に好奇心を掻き立てられて読み進めると、季語「春の雷」が取り合わせられます。夏の雷ほど激しくはない繊細なジグザグの電光が見え、転がるような雷鳴が聞こえてきて、春雷はやわらかい空気の続き目だったのだと、理屈ではなく五感と心で納得しました。
手袋を外し存続嘆願書 村瀬っち
選者コメント▶何の存続嘆願書でしょう? 保育園児募集。核兵器禁止。原発説明会。米価下落救済。医療費助成。願いの内容によって、外される「手袋」も変わってきそうです。ざっくり編んだ毛糸の手袋。親子揃いのミトン。絹手袋。革手袋……。手袋を外して丁寧に嘆願書を提出する姿からは、存続を切実に願う表情が見えてきます。
冒険の続きフードに木の葉かな ありあり
選者コメント▶フードの奥に残る木の葉は、公園での冒険ごっこの戦利品でしょうか。剣に見立てた小枝と宝の絵地図を持ち、肩には空想の狐か梟を止めた子供たち。いざ宝物をめぐって戦う瞬間に、冬青空に舞う木の葉。一日の終わりに、子の寝顔を見守りつつ、明日の冒険の続きを空想して、思わず微笑むお母さんの顔も見えてきます。
続きは来週マリーゴールドの冠 雪白椿
選者コメント▶鮮やかなマリーゴールドを繋いで冠を作り、小径や原っぱで遊んだ子供たちが家に帰って行く場面を思い浮かべてたのですが、「明日」ではなく「続きは来週」が急に気になり始めました。ふと、施設の母を訪た娘が、庭の花で冠を編み、女王のように頭に飾ってあげている姿が浮かんできました。「続きは来週」とは優しい挨拶です。
◆秀作
続柄は「家族」霜夜の猫を診る 朝月沙都子
春潮や疼き続ける親不知 天風
蝉生まれ続けて夜を濃くしたる 綾竹あんどれ
続きたる小筆のかすれ伸びて春 安
続編を閉ず相部屋に林檎の香 杏是りゐ菜
捨てられ続けて十年とんかつ屋のレモン いかちゃん
数へ日やわづかに濁る保続音 イサク
その先は蒼天続くてんと虫 石浜西夏
議場へダッシュ続報の春近し 宇野翔月
続編の含み仄かに柿落葉 近江菫花
続投の決まるレンジや年の暮れ 大紀直家
子に孫に続く骨太柿若葉 岡田雅喜
夏野へと続く終点からの道 音羽凜
「おしまい」の続きねだる子さるすべり 川越羽流
地続きの国境ありぬ鰯雲 喜祝音
続々とZOOMにスーツ新社員 岸来夢
亡き父の栞の続き冬夕焼 ギル
続編を願ふシネマや星流る 菫久
ブックカバー辞して銀河を続編と ぐ
明の月七代続く悉皆屋 くま鶉
まあだだよ四回続き夏に入る げばげば
ゆつくりと着付け続くや寒牡丹 香田ちり
続き待つ単行本や煤払い 神戸めぐみ
九州場所力士に湯気の続きけり 古賀
吾もまた詩に続かんと蔦青し 五月ふみ
作文を「続く」で終へるソーダ水 木染湧水
初春や主婦から主夫を引き続ぎぬ 坐花酔月
クオレマの続編のごと雪迎へ さるぼぼ
追羽子の一に戻りて続くるを 澤木樹心
六甲に古本市の続く春 沢胡桃
相続と墓の話と御年玉 嶋村らぴ
冬虹や分別続け三十年 しみずこころ
炎天や空き家が続く坂の町 清白真冬
七竃燃ゆ続編のなきこの星に すずしろゆき
母の遺品着回し続く冬の日々 扇ゆり
マフラーや心理的接続エラー 染井つぐみ
風花と十五年目の続刊と だかし菓子
続々と届く検体山眠る 高橋寅次
数へ日の持続可能な我が胃かな 多喰身・デラックス
初夢に続きのありて栞買ふ 竹内一二
続投のマスター節分のジャズ喫茶 七瀬ゆきこ
雪しまく氷見へ漁船や続々と 巴里乃嬬
労災の手続き終えて枯木星 みづちみわ
続柄は妻ふゆ薔薇のよく保ちて 稲畑とりこ
花曇転居手続九回目 織部なつめ
接続詞みたいな冬の雨でした 夏野あゆね
浜焚火絶えど弔歌は続きをり 葉村直
心配の続きは蜜柑食べてから 梵庸子
一塁の西日が痛し続投す 山本先生
◆佳作
続々と寝返るオセロ初笑い あいだほ
この夜更けいつまで続く虎落笛 あやめ
丹波路や紅葉に続くステ女像 岩田 風子
持続とは楽しむことよ蝉時雨 くぅ
裏紙を句帖にし続け終戦日 紅紫あやめ
初夢の続きを見んと紅を差す 幸田柝の音
大晦日肉を続けて取る子らよ 柿司
ふうしゃ続く山わきたたす春嵐 つづきののんき
着ぶくれて持続可能の家事のみす Early Bird
八十億の地球よ続け天蓋花 愛燦燦
清流を香魚ぴゅんぴゅん続けざま あずお玲子
リハビリを続ける杖や春の風 東 湘輝
地続きの国をゆくバス冬銀河 あみま
朝ドラの続くで顔を洗う冬 綾野つむぎ
続け字の賀状書道部三年生 苺井千恵
風冴ゆる回収続くスクラップ オニチョロ
続投の十八回の汗と土 小野寺余伴
永劫を湛え続けり天の川 海瀬安紀子
虫干しの祖母の袷の誇らしき 叶田屋
継続は力熟柿の香は木から かねつき走流
春一番タウン情報続刊化 唐草もみじ
春泥の靴や勤続五十年 果禄
後続車迫る旅路の吹雪かな かゐみすず
人の世の続く限りの冬麗か 如月宗局
読み聞かす本の続きや春の夢 黄鶺鴒
追い追われ足跡続く冬の月 北五帆
粉雪や勤続五十年の夜 きなこもち
緑青の香みづみづしき続命縷 木ぼこやしき
モニターに「続行しますか?」虎落笛 Q&A
続々と改札口を受験生 清瀬朱磨
続編の寝物語や秋しぐれ 清永ゆうこ
永遠に続く苦はなし万愚節 工藤悠久
不条理の続く世界や春浅し 愚老
過去現在続く未来へ蓴生ふ 鯨野
地続きの背骨めく途十七夜 恵勇
ケチだから続く副業にらみ鯛 けーい〇
吾子の名や性超え続け風光る 心和香
続き柄長女と記す雪の朝 孤舟
続々と皆オンライン除夜の鐘 こたま
続いてく博多どんたくパレードも こちのうめか
「本人」てふ字や風光る続柄 こなねこ
続かざる災い願う柚子湯入る 木風杏
芋包む続き気になる新聞紙 小松谷 童鐘
小鳥棲む百年続く春林に 五郎島金時
続編の地球の項を書き継ぎぬ GONZA
相続の空き家は広しひなたぼこ 早乙女龍千代
続編を探し師走の古本屋 さとマル
続未来都市の字余り風光る 里山まさを
相続の地を守らむと草を刈る 真井とうか
母は子の子は母の手に続命縷 渋谷晶
雪晴や続々とゆく宅配便 じゃすみん
マイストロー使い続ける夏休み 沙那夏
続きけり染井吉野のDNA 砂楽梨
ワタクシの罪状続く熱帯夜 シュリ
枯芙蓉ひかり続ぎたる綿毛かな 正念亭若知古
結婚の九年続いて冬銀河 新開ちえ
湯豆腐や婆の続きは笠地蔵 新城典午
継続の力信じて春生きる 水蜜桃
山女魚よ種の存続叫ぶはエゴか すかーてぃっしゅ
続飯を舐める秋天の縁側 すずさん
星凍てし掲げ続けし女神の灯 鈴野蒼爽
冬晴れや眞白き壁の続く道 主藤充子
持続性社会科教師の説く冬麗 瀬良なずな
ベルマーク集め続ける春近し 素々 なゆな
豆苗の摘めば続けて生える春 そまり
闇汁や嘆きに続き笑い声 染野まさこ
自販機の夜長釣り銭切れ続く 空豆魚
続け字の漢字練習あぶら蝉 平良嘉列乙
越年蝶接続悪き駅にゐて 高尾里甫
「持続」てふ行書体あり初日記 打楽器
新年やまったり続くテレワーク 鷹見沢 幸
たしかさや千年続く杉の冬 高山楚々
初句会「続絶滅寸前季語」使ふ 高山佳己
人影なき列続々と春方舟 TAKO焼子
小春風後続はまだ五馬身差 田面類
続柄は元妻となり年の暮 立部笑子
花枇杷のほどな欲なら世は続く 立山穂高
寿限無の名続きをねだる寒雀 田中ピロミン
亀の子ら海へ海へと続きけり 玉井令子
冬の夜きのうの続きお話しして たまのねこ
夏帽子続きはあした紙芝居 太郎坊
缶蹴りの続きはあした花の雨 丹波らる
白川の海まで流るる落ち葉かな 知音亭呆庵
ゴミ拾い続け十年鮎戻る 千鳥城@いつき組広ブロ俳句部カナダ支部
微力とて祈り続けよ冬の海 知無須園
裏紙を鉛筆走る良寛忌 千代 之人
人は死ぬ苦しみ続け雑煮食う 聴 雪
襁褓にて浴衣の花は咲き続く 月硝子
初春や「もつたいない」を続けます 綱川羽音
一反に戻りて続く春着かな てつなお
子と話す絵本の続き春の空 電柱
平安の続く日本や原爆忌 でんでん琴女
月光の接続端子六十度 トウ甘藻
続柄変はる再婚つくしんぼ 遠山比々き
図書館へ続く小道に吾亦紅 冨樫永今
十字架に続く道なり聖夜なり 時まる
南極冴ゆシェフの探求続く基地 ときわ露草
子供食堂のカレー続くや山笑う どこにでもいる田中
冬銀河続編のあるものがたり 中川家族
不器用も愚直に続け春来る なかの巡界
続投のマウンドに汗ひとしずく 長浜三右衛門
続きはあした母の膝抱く冬日向 仲 操
旱星箱舟へ種の続々と 夏草はむ
野菜くず埋めし地表を蟻続々 夏湖乃
続刊の表紙の箔よ冬銀河 夏雨ちや
図書館にデュラスの続き春の雨 西野今日花
続編の映画に君がゐない冬 西村 棗
春あした光合成の続く街 仁和田 永
ていれぎや錫杖の音の湧き続く 野地垂木
続かない人と言はれど春近し ノセミコ
春光や子が子と続く書道塾 野中泰風
大縄跳うしろうしろへ続く子ら 登りびと
初凪やこの海続くをち(遠)ツバル のもとみな
リサイクル貧乏性の続編よ 白庵
すごろくのあがりに続くうつつかな 長谷川水素
落ち葉掃き続くる妻に日の差して はなだんな
滝落ちて「もったいない」の声続き 浜のピロキ
コロナ退散念じ続ける遍路道 晴鍬旅人
子規目指し詠み続けゆく去年今年 HNKAGA
燈を消した観覧車冴ゆ読む続き 久蔵久蔵
続きゆく自由受難の春の鐘 ひすい風香
凍星の夢の続きや星の砂 ひでやん
「またあした」祖母の炉話また続く 日向こるり
海硝子生命の続く音冴ゆる 平野光音座
継続の品種改良今年米 ひろ志
続々と難民の列雪催い 弘友於泥
寒し風ペットボトルを追いかけて 風
冬ごもり明日へと続く命薬 藤沢ろんど
犬ふぐり恋バナのまだ続きをり 藤田ゆきまち
人生の手習い続け初暦 藤野じゅん
狐火の続報待つてゐる少女 藤 雪陽
続柄は妻とつぶやく息白し 舞童あづき
女湯へ湯気続きをり夜半の雪 古田秀
始業ベル鳴っても続く雪合戦 星月さやか
第九条護持し続けし晦日蕎麦 松高網代
箱根坂たすき続々二日三日 松本り久
蝉しぐれ吾子の続投ホームラン まつやま孝子
寒造続く生命の醸す味 丸岡彩映
飢餓の児のまつ毛聖夜へ続く空 まんぷく
手続きを終えて日傘を振りかざす 三浦にゃじろう
ダイエット続かぬ妻の日向ぼこ 帝菜
ペーチカや続き聞きたい物語 みずな
福笑ひ続きは明日また明日 巳智みちる
役者絵の続きの如き初芝居 三群梛乃
鮎に塩うまれ続けむ川瀬かな 宮田悦自
風筋を往けば続々葦の角 麦のパパ
園児らの列に続きし葱坊主 椋本望生
続編は電子書籍で花曇 毛利あづき
間伐を代々続け山桜 百瀬はな
毛嵐や子らの冬にも続かむと 森 日美香
初産の続報待つや寒昴 山羊座の千賀子
手袋の自転車続く街の朝 弥太郎
釜ヶ崎繋がり続く粥施行 山井直
継続を誓ふ投句や年深し 山川腎茶
続編を借りる図書館冬うらら やまさきゆみ
下萌や兼続像を拭く夜明け 山城道霞
継続す投句二年目年新た 山の上のさん
春近し兄に続いて真似る九九 山野雀
歓声や旱続きの野に水路 山姥和
房総の海まで続く枇杷の花 祐
ノンタンのつづきはあした山眠る 八日きりん
味噌おでん母の里より続く味 陽光樹
求婚の夜を竿燈の揺れ続く 吉行直人
虎落笛相続人といふをんな れんげ咲く
人生に続編はなし山笑ふ ろまねす子
締込みの今に続ける火の祭り 吾亦紅
去年今年たしかに続く道のあり 里山疎水
続編のキャストは未定除夜の鐘 あいまい もこ
鷹鳩と化す続編が良い映画 石井一草
コーラへ紙ストローそして続きを 小川さゆみ
未完なる続編春を待ちてをり おきいふ
陽炎に続くゴールの見える先 宥光
福寿草チリシ続けて買い忘れ 檸檬の雲はいづこ
続々と牛乳パック春を待つ 蓮花麻耶
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今後共、俳句ポスト365ご愛顧の程よろしくお願いいたします。
■兼題『「続」が入った句』
「俳句ポスト365×SDGs投句募集 2021.12.14付のDIARY」の記事はこちら
■選者 夏井いつきさん
動画投稿サイトYouTube「夏井いつき俳句チャンネル」はこちら(外部サイトへリンク)
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