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DIARY

季語深耕部 byハイポニスト①

2022.06.27お便り

兼題「薔薇」に関する季語の考察や体験をお寄せいただきました。

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●季語六角成分図「薔薇」より。(視覚)赤、白、ピンク、アプリコット、黄、緑、紫、青、黒、その間のありとあらゆる色彩。ほろりとほどけ、はらりと散る美しい花弁。一重、半八重、八重/カップ咲、ロゼット咲、房咲など様々な花姿。木立、つる性、半つる性(シュラブ)など木の姿も多彩。濃い緑の五枚葉、鋭い棘。庭園(特にイングリッシュガーデン)、垣根、館、野山、花瓶に活ける、ブーケ、花冠、祝宴。嗅ぐ、剪る、折る、渡す、挿すなどの人の動作。蜂や虻、ナイチンゲール(鳥)など。(嗅覚)ダマスク、ティー、フルーティー、スパイシー、ミルラなど様々な香り。(聴覚)剪定ばさみ。葉擦れ。風。(触覚)花弁の柔らかさ。棘の鋭さ、痛さ。葉の滑らかさ。(味覚)ほぼなし(バラジャム、ローズティー、ローズウォーターなどはあるが、季語の本意ではないと見てよいか)。(連想力)愛、美、高貴、純潔、情熱、秘密、欲望、豊穣、死と再生、慈悲、献身、永遠など、様々な象徴となっている。少女、妻、女神。イギリス王家。

★視覚、嗅覚、連想力が強く、触覚、聴覚も特徴がある。

★バラ科バラ属の総称。「花の女王」として、古来より世界中で愛されてきた花。原種の150種以上に加え、園芸種は数万種あるとも言われ、オールドローズ、モダン・ローズそれぞれに様々な系統があります。

★通年の施肥、病害虫防除、花がら切り、夏の暑さ対策、冬の霜よけや剪定など、育成に手間がかかる分、初夏に美しく花開いたときの感動は一入(by いつき組園芸部より)。この清々しい季節、庭や門扉を美しく飾る薔薇には、何度でもうっとりと立ち止まってしまいます。

★以下のような様々な歴史と象徴性を背負っています。・国:古代~中世においては、中国、エジプト、中東、ギリシャ、ローマ、トルコなどが大きな役割を果たし、近現代にイギリス、フランス、アメリカなどでの栽培も盛んに。・歴史・人物:アレクサンドロス大王、クレオパトラ、皇帝ネロ、ヘリオガバルス、薔薇戦争、ナポレオンの妻ジョゼフィーヌ、薔薇十字団、社会主義もしくは民主主義・宗教・神話:キリスト教の聖母マリア(白薔薇)とキリストの血(赤薔薇)、イスラム教のムハンマド、仏教の曼荼羅、アフロディーテ、ラクシュミー・文学:アナクレオン「薔薇。神と人間の甘い花 薔薇。三美神の恋人(以下略)」/シェイクスピア「Whats in a name? That which we call a rose by any other word would smell as sweet.」/詩人ガードルード・スタイン「薔薇は薔薇であり、薔薇であり、薔薇である」/ウンベルト・エーコは「薔薇の名前」について、「(薔薇は)あまりに意味深長で、逆に無意味だ」といったことを述べている。(以上、主に「バラの物語 いにしえから続く花の女王の運命」(ピーター・E・クキエルスキー/チャールズ・フィリップス共著)を参考に記述)

★清水哲男氏が「蛇足ながら、薔薇の句に名句は少ない。花が西洋的で豪奢すぎるせいだろうか。」と書かれていますが、確かに俳句としては、あまりにイメージが多彩すぎて扱いが難しいという印象です。人々の心をとらえて離さない花である分、思い入れが強くなりすぎてしまうか、陳腐に流れやすいのかも。歳時記の例句は、一物仕立てに近い作り方が多かったように思います。咲き切つて薔薇の容(かたち)を超えけるも 中村草田男薔薇園の薔薇整然と雑然と 須佐薫子
/碧西里

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※たくさんのお便りありがとうございます♪ 皆で楽しく読ませていただいています。


写真タイトル 松山総合公園

写真参照元 いよ観ネット

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