兼題「蝸牛」に関する季語の考察や体験をお寄せいただきました。
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●庭でカタツムリを捕まえて観察してみました。生態は図鑑等から幾らでも知れますが、実物を手にしてなにか発見はあるのかなと。捕まえたカタツムリは、アジサイの葉の上で殻に入ってました。乾燥や寒暖差に弱く、殻に入り葉の裏などで過ごしやすくなるまで待つ姿は馴染み深いものです。夜になって出てきた姿は、角(眼、触角)があり独特でした。動きの鈍さや、眼に触れると縮めたりといったリアクションも。カタツムリの聴覚的な部分を観察しますと、外的な要因、殻を踏んだり弾くなどによって得られる音はあるだろうし、葉へ落ちる音もしました。一方でカタツムリが能動的にたてる音はあるでしょうか? 動くときは体から粘液を出しており、無音です。レタスの芯など、硬い繊維質の餌を食べるとき、咀嚼音が夜の静寂で聞こえるくらいでしょうか。よくよく耳を澄ましてやっと聞こえたかどうか? 味覚。地方により食用にされていた種もあるといいますが、寄生虫がいるということで、これは無視して考えることとしました。食べない、ということを句にしても良いのかもしれませんが。 触覚。殻を持った感触。硬さを感じもしますが、自分の手に入れたカタツムリはまだ幼く、少し指に力をいれると割れてしまいそうなか弱さもありました。体は滑りがあり、少々気持ち悪さを感じます。粘液。ただ、眼をつつく微細な感触も句としてはあり得るのかもしれません。嗅覚。どちらかというとカタツムリそのものより、捕まえた時の、周りの草の匂いや湿気の匂いの印象が強いです。雨の降りだしとか黴とか、そういったものを思い浮かべるかもしれません。カタツムリは身近にいる動物なので、観察できる分、一物仕立ての句もできやすい気がします。一方、「どこにいるか」「遅々として進まないもの、状況」、「変化や時代に追い付けない」あるいは「本来ならば速く動くものとのぶつかり合い」、など、取り合わせも考えられます。今回の投句にあたっては、観察から一番印象に残ったカタツムリの様子と、取り合わせの句、それぞれ一句ずつ投句させていただくこととしました。よろしくお願いします。/千代 之人
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※たくさんのお便りありがとうございます♪ 皆で楽しく読ませていただいています。
写真タイトル 松山銀天街
写真参照元 いよ観ネット