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DIARY

季語深耕部 byハイポニスト

2023.02.27お便り

兼題「寒卵」に関するお便りを紹介します。

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●今回の兼題は「寒卵」。卵に、寒の時期ならではの要素がプラスされないといけないと考えます。「寒」は、一年間で最も寒い時期を示すとのこと。小寒から立春までの一ヶ月くらいの期間です。この間に鶏が産むのが寒卵。角川俳句大歳時記(2006年版)によれば、「他の季節の卵より滋養が高く、貯蔵が利くので、とりわけ好まれる」とあります。

今回、実際に滋養が高いかは、科学的根拠には出会えませんでした。一方で、本来なら鶏は冬になると産卵数が減るという情報には出会えました。

鶏の産卵数が減る理由を調べると、ひとつには日照時間があるようでした。夜明けが遅くなる→鶏が起きるのが遅くなる→日没も早くなり、鶏の活動時間が短くなる→エサを食べる時間が減る(ミミズ等、餌そのものも減る)→体内で卵を作るだけの栄養を得るまで時間がかかる→産卵数が減る。鶏が卵を産むだけの栄養を蓄えるのに、時間がかかるのを、昔の人は「鶏が体の中で卵をじっくりと作っている、だから寒の時期の卵は滋養がある」と考え、「寒卵」という概念も生じたのではないかと。

私の妻の実家(農家)で飼育していた鶏は地面に生きていました。鶏たちはよく土をほじってたし、砂浴びしたり、時には喧嘩もしていました。産卵は安心箱(と妻は言ってましたが、産卵箱と言って、幅、高さ、奥行きとも50センチに満たない程度の狭い棚みたいなところに藁を敷いてある)でしていました。これらは昔ながらの養鶏のしかたに近いといえるでしょうか。

一律に整えられた環境の中で育てられた鶏と、少数で家畜以上の注意を払われ、四季に即した管理をされた鶏から産まれる卵とで、価値は変わってくると思うのです。この辺りのことが「寒卵」の本意を突いて来る気がします。科学的な栄養価が他の季節と変わらなくとも、「寒」の一字で季節感が生じ、また、生命から産まれる卵をありがたく「いただく」という思想が感じられる、そんな季語な、それが「寒卵」のかもしれません。/千代 之人

●夏井先生、家藤先生、ハイポニストの皆様久しぶりにお便りします。兼題「寒卵」で「卵」にまつわる思い出を思い出したので書きました。今から3年前の晩秋に突然、腎臓系の指定難病で入院した時、食物アレルギーがないか聞かれ「生卵はダメですが、加熱した玉子焼きや茹で卵は大丈夫です。」と説明したのですが、万が一のことがあったらいけないとの配慮からか退院するまで卵は、お預けとなりました。今こうして笑い話にできるのは幸せなことだと思います。/ひめのつばき

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※たくさんのお便りありがとうございます♪ 皆で楽しく読ませていただいています。


写真タイトル 鍋焼きうどん

写真参照元 https://matsuyama-sightseeing.com/media/gallery/


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