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DIARY

季語深耕部 byハイポニスト

2023.06.26お便り

兼題「麦の秋」に関するお便りを紹介します。

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●兼題「麦の秋」について、少し調べてみました。「麦の秋」を調べると、角川大歳時記では「五月下旬」、広辞苑なら「麦を取り入れる頃」で「陰暦四月」(今年だと5月20日から6月17日)、とありました。「麦の秋」は1年を二十四の「節」として捉えた二十四節気の内、「小満」の時期にあります。「節」をさらに「初候」「次候」「末候」と3つずつに分けていくと、七十二候となります。「麦の秋」は「小満」の末候「麦秋至」かららしいです。今年でいえば小満の期間は5月21日から6月5日まで、「麦秋」についていえば、6月1日から5日くらいでしょうか。調べていく中で「七十二候」とは、植物や動物の様子であり、自然現象から季節の変化を捉えたものであり、農業を営む上での目安にもなってきた、そんな話に触れることができました。歳時記や辞書、暦から、期間を探っていくとこのような感じです。句を作っていて思ったのは、「麦の秋」に具体物である「麦」及び「麦畑」、あるいは、豊穣だとか、空が高いとか、どこか身にしみいる風が吹くといった「秋」のイメージが付いて回ってくることでした。それらの要素を完全に無視することができないけれども、やはり梅雨直前の気候を表した季語である、という点が、「麦の秋」の難しさだと考えました。自分でいえば、「麦の秋」を季語として作った句が、季語を「麦畑」と置き換えても、大して変わらない句もあったりしたのは、苦しかったところです。難しい季語でした。この季語を兼題として示されたことで、麦畑として改良した土地があったと思い出し、東日本大震災で塩害に見舞われた田圃に赴いたりもしました。今回の「麦の秋」は、貴重な経験や行動力をくれた季語ともなり、俳句や季語が私を色んな所に連れて行ってくれると深く感じたところです。そんな中での投句となります。よろしくお願いします。/千代 之人

●長女が大学進学のため神奈川県から北海道に引っ越しました。小麦の生産量日本一は北海道だそうで、長女の住む市は道内でも希少なハルユタカという品種の生産地です。このハルユタカ、播種は11月、出穂は6月、収穫は8月だそうです。歳時記では初夏の季語「麦の秋」ですが、北海道では品種によっては初秋に「麦の秋」がやってくるというわけです。歳時記の季節のずれは旧暦・新暦だけでなく、地域によっても起こりうるのだなと思いました。あらためて日本という国の自然環境の豊かさ、季節の多様性に触れた気がしました。/常盤あけび

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※たくさんのお便りありがとうございます♪ 皆で楽しく読ませていただいています。


写真タイトル:はだか麦

写真提供:マルっとまつやま

写真参照元:https://m-chisanchisho.com/download


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