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DIARY

季語深耕部 byハイポニスト

2024.06.24お便り

兼題「薄暑」に関するお便りを紹介します。

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●季語「薄暑」について調べてみました。『角川大歳時記』によると、本格的な暑さには至らないが、額の汗を拭うほどに気温が上がった時の暑さ。それは「軽やか」だったり、「少し疲れた」といった感情をもたらすとのことです。そして、「薄暑」は初夏の時候の季語で、二十四節気の立夏ごろの暑さを示します。今年で言うなら5月5日~5月19日が該当します。日本の本格的な夏が梅雨明けからだと考えると、「薄暑」は気温が上がっても、初夏ならではの気候となるはずで、この期間ならではの措辞を意識したいところです。三夏の時候の季語「暑し」との大きな違いは、 ①暦的な期日の違い ②梅雨の前か最中か後か といった違いでしょうか。どちらかというと夏の始まりの暑さという点で、②の要素を重視したいと考えました。「薄暑」は時候の季語なので映像はありません。しかし、初夏の時候の季語「立夏」よりは、暑さを感じたり、汗がにじみ出て身体が湿るといったような、触覚刺激が伴う季語だと感じられます。 また、額の汗を拭うほど気温があがったとしても、そこに「軽やか」、もしくは「少し疲れた」とプラスとマイナスの感覚があるのはなぜなのか? 人間にとって心地よく、「軽やか」に感じる温度は、人間の体温より-10℃くらい、25℃から28℃くらいだそうです。一方、「疲れた」という感情をもたらすのは、寒暖差に問題があるようです。一日の最低気温と最高気温、あるいは前日との気温差が7℃以上開く。すると、人間は自律神経が乱れがちになり、疲労感を覚えやすいようです(寒暖差疲労)。人間が快と覚えるくらいまで気温が上昇しても、寒暖差疲労のせいで気だるく疲れたりもする。それが薄暑なのでしょう。この実感を考えると、「薄暑」とは夜の景より昼の景に適した季語だと思いました。今回、「夕薄暑」「夜の薄暑」といった使い方をする句を読んだのですが、わざわざ「夕」とか「夜」といった字を入れていることから、「薄暑」とは昼の景色が基本にあると考えたところです。 季語のことを探りつつ、自分なりの句を送りました。よろしくお願いします。/千代 之人

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※たくさんのお便りありがとうございます♪ 皆で楽しく読ませていただいています。


写真タイトル:道後温泉別館 飛鳥乃湯泉 外観(昼)

写真参照元:https://dogo.jp/download

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