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初級者結果発表

2021年11月20日週の兼題

水仙

【曜日ごとに結果を公開中】

【優秀句】

  • 文机に水仙気取りすぎだらう

    麻きなり

  • 駆け登る黒山羊崖の水仙へ

    居並小

  • あの方が水仙だったとはいやはや

    ともかわすてむ

選者コメント

家藤正人

初級コースの金曜日掲載は中級への昇級の目安。中でも特に目を惹く句についてピックアップコメントをお届けします。


「文机に水仙気取りすぎだらう 麻きなり」

斜に構えた目線が独特で愉快です。言ってみれば悪態俳句の一種なのですが、こんな皮肉な心を堂々と言い放つ、躊躇わない姿勢を賞賛したい(笑)。文豪が使っていたような「文机」、しかも一輪挿しに「水仙」なんて飾っちゃって。なんて気取ってやがる……とまでの言葉は胸中に飲み込んで。「水仙」のすらりと清楚な色合いももちろんですが、質素な空間に漲る冷たさに冬の季感があります。


「駆け登る黒山羊崖の水仙へ 居並小」

「水仙」と「崖」の取り合わせは多くありましたが「黒山羊」の登場は異色です。「水仙」と「崖」、「崖」と「山羊」。イメージの接点を利用して三つの言葉を上手く組み合わせました。「駆け登る」の勢いある複合動詞から始まる語順も良いですね。動画のように映像が展開されます。激しく岩を蹴る蹄がまず大写しになり、黒山羊の全体像、急峻な崖、と徐々に映像が広くなります。黒く硬質な映像にぽん、と突然灯る「水仙」の白が鮮烈ですね。「へ」の助詞によって黒山羊の動きの方向性もわかります。


「あの方が水仙だったとはいやはや ともかわすてむ」

昔ばなしの結末のような口語の俳句。読み手はいったいなにがあったのかと想像するばかりです。「あの方」はどんなお姿であったのか。何があって「水仙だった」とわかるに至ったのか。水仙の化身であれば、さぞほっそりと消え入りそうな仕草であったのだろうなあ。春が近くに迫った、寒さの緩み始めの頃であったのだろうなあ。「いやはや」とため息のように吐く納得の感慨。


いずれもお見事でした。自信がついたら中級にもぜひ挑戦してみましょう!

  • 風紋の音いろ水仙のときめき

    浜のじじい

  • 水仙を捨てし泉が海となる

    高遠見上

  • 水仙やマザーテレサの深き皺

    飛来 英

  • 水仙や今日も仮免落ちました

    めりっさ

  • 水仙や自分が嫌いな女の子

    さくら悠日

  • 水仙の島海峡は蒼深め

    米山

  • 万端の晴着水仙らの拍手

    在在空空

  • 水仙の香りて母の樹木葬

    石井茶爺

  • 水仙や六等が出るたからくじ

    かさ野ろく10才

  • 水仙や捕鯨の村の丘の上

    長ズボンおじさん

  • 水仙や肉づき薄き少女の体

    能千

  • 水仙や泥のつきたる靴の底

    渡部 あつし

  • 水仙花異国のことは波に聞け

    松田文女

  • 水仙の寂しい話し星が聞く

    藤永桂月

  • 水仙や聖堂裏は風強く

    森 毬子

  • 水仙やでこぼこ道の千葉街道

    高橋ひろみこ

  • 茅葺の屋根の厚さや雪中花

    斉藤百女

  • 水仙や昨日泣いたの誰でしょう

    鈴音

  • 水仙を剪りて四角き空の青

    巴里乃嬬

  • 水仙や頬を洗車の凍て飛沫

    一寸雄町

  • 水仙は白し未読の詩集かな

    野間小窓

  • すいせんや白雪姫にこびとたち

    玄鯨

  • 玄関の電球暗し水仙花

    久助

  • 水仙の葉は折れねじれ独り者

    長良くわと

  • 薬減る朝や水仙シャラと揺る

    小椋チル

  • 水仙を投げ入れ花器の赤き土

    阿波オードリー

  • 月光の散りたる土手や野水仙

    里山コナラ

  • 術後直ぐ腹減る母や水仙花

    国分寺学

  • 水仙も含めて売り地日当り良

    水浜義友

  • 文机の古傷深し水仙花

    出楽久眞

  • 暗闇に水仙不埒なほどにほふ

    大浦みもざ

  • 水仙や新調のカーテンへ朝

    青縞馬

  • 落ち武者の腹切り岩に野水仙

    清水 享

  • 水仙や北へ群雲やをら捌け

    水牛庵乱紛

  • 水仙の匂うて今朝の白湯を呑む

    浅河祥子

  • 水仙やつんと岬を押し上げる

    山野麓

  • 水仙の仙のところが緑色

    帝釈鴫

  • 水仙やこの世はすこやかに腐る

    比良田トルコ石

  • 家を売る水仙の影群れてをり

    夢実

  • 水仙の咲きたるままの終止形

    蓼科 嘉

  • 水仙花白く戴帽式の朝

    富士桜花

  • うなづきの柔らかき人水仙花

    咲田ちよえ

  • 水仙まっすぐ車椅子は不幸か

    しろぐつとつえ

  • 水仙や沼島へつづく航跡波

    橋本こはく

  • 水仙を買う占いは信じない

    かねつき走流

  • 曙の頭痛の吟味水仙花

    かげのゆ

  • 水仙や並んで立ってくれた人

    doいつもcoいつも

  • 水仙や赤子のあくびまばゆき陽

    和田まさやん

  • 水仙や好きな器に注ぐ紅茶

    香田ちり

  • 海鳴りを聴く水仙の万の耳

    熊本 与志朗

  • 水仙や水の冷たき水の森

    佐藤 甘平

  • きららきららきら水仙より零る

    遠藤玲奈

  • 水仙や今朝の子牛は柵の中

    無弦奏

  • 水仙の耳底の水の匂ひけり

    紗千子

  • 水仙の果つ山脈へ日の沈む

    朋部 琉

  • 雪中花つと肩に警策の圧

    吉田竹織

  • 謹んでと始まる便り水仙花

    いもがらぼくと

  • 良い親になれない水仙よく香る

    五月ふみ

  • 水仙や蛍光灯の精肉店

    遠山有馬

  • 水仙投げるキッスのように矢のように

    ギボウシ金森

  • すいせんやさぼりをしかる先生が

    ののは9才

  • 水仙のかをり幽けき野の果てに

    渡邉志づ女

  • 水仙のほのかに甘いパン屋さん

    那須のお漬物

  • 水仙や石職人の休憩所

    恋瀬川三緒

  • 水仙や壺にあふるる祝いの夜

    麗し

  • 水仙を窓辺に非常勤講師

    蒼空蒼子

  • 水仙やまた義父の名をまちがへて

    赤波江春奈

  • 痛みとはたとへば水仙のやうな

    真井とうか

  • 水仙と昼飯〆て六百五円

    キートスばんじょうし

  • 男等の胡座は黒し水仙花

    加藤ゆめこ

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