井上れんげ
夏つばめ
安武絹紬
のはらなおみ(4歳)
近江菫花
山川凛
蜘蛛野はるか
鈴木秋紫
井上たとぅや
亘航希
眞さ野
素々 なゆな
戸井島はな
竹の子
いまいやすのり
シュレディンガーの獏
星屑放歌
南方日午
游真
蝦夷野ごうがしゃ
加藤ゆめこ
北岳醍醐丸
清瀬ハイジ
齋陽花
粒の杏子
彫刻刀
大橋
可秘跳
水須ぽっぽ
春風京桜
日日新
あすか蘭紅
橙茶
ぜのふるうと
紅塩猫子
永山シャンシャン
畑山六十二
カフェオレ草
沼宮内 かほる
大盛茄子紺
福みつこ
長良くわと
あかのほあかほほほろほ
町田明哉
渡野しえん太
ゆうゆう朔ら望
吉岡美葉
杏乃みずな
アナミスト
しなもりいふ
四季春茶子
とまや
藤川鴎叫
すずき 弥薫
庭野環石
美乎梛
豊川
空小麦
磯貝あさり
野口景奇
和季
竹たけのこ
神宮寺るい
神津草茶
藤永桂月
御茶請みなみ
角野角子
中村すじこ
たかはし薫風
Early Bird
岡崎ゆきこ
紅さやか
高梁巴波
横山雑煮
津々うらら
八ちゃん
森海まのわ
渓翠@青東高
青に桃々@いつき組俳句迷子の会
山海和紀
柳川迷蟻
万里の森
龍 桔花
水須ゆき子
有野 安津
ノセミコ
松山 松男
山下こけ女
日日詠子
白井百合子
八田昌代
松本笑月
今琳
都月もなか
四季
選者コメント
家藤正人選
初級コースの金曜日掲載は中級への昇級の目安。中でも特に目を惹く句についてピックアップコメントをお届けします。
「原爆忌掩体壕に干す肌着 安武絹紬」
掩体壕は愛媛県松山市にもあり、松山市指定有形文化財に指定されています。晩夏から初秋の季語となる「原爆忌」。軍用機を守るための分厚いコンクリートはまだ暑く灼けていることでしょう。濡れた肌着はみるみる乾いていきます。原爆忌を逞しく生きていく人間の営みを率直に書くリアリティ。
「原爆忌ゆるゆる当たるウォシュレット 井上れんげ」
なぜ「原爆忌」にこの取り合わせ!? と困惑しつつも離れられなくなった句です。科学は多くの人間の命を奪ったけれど、同時に快適な生活ももたらすもの。原爆忌という日に科学の功罪を思いつつ、安穏と自らの尻を清める水の心地よさ。歴史的重みのある季語だけに、カウンター的にこんな描き方も味わいを生みます。
「げんばくきそらをとぶにははねがいる のはらなおみ(4歳)」
一見単純なおしゃべりの言葉を、季語「げんばくき」が奥行きのある祈りへと昇華してくれます。人間は科学の力で空を飛べるようになりました。その力が悲惨をもたらすものではなく、良きものをもたらす力であってほしい。下五の言い切りの潔さに初秋の澄んだ空を思います。その空にはなにか鳥でも飛んでいるのでしょうかねえ。
「そしてまた死没者名簿原爆忌 夏つばめ」
いきなりの上五の展開に意表を突かれました。この場面の前段になにがあったかは描かれないのに、その余白がこんなに詩を生むとは。次なる行動「死没者名簿」への言葉少なな接続も巧みです。そして、上五中七の生み出す効果を全てまとめあげる「原爆忌」の重み。いったい何度この名簿を指はなぞりなおしたのでありましょうか。
いずれもお見事でした。自信がついたら中級にもぜひ挑戦してみましょう!