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初級者結果発表

2022年7月20日週の兼題

原爆忌

【曜日ごとに結果を公開中】

【入選までもう一歩】

選者コメント

家藤正人

みなさまこんにちは。初級の選者、家藤正人です。

月曜日は、入選にもう一歩という句をご紹介します。

・月曜日の「選者コメント」に掲載されている俳句については、作品検索はできません。

・月曜日の「ステップアップのためのヒント」に掲載された句、入選句、優秀句については作品検索が可能です。

月曜の「選者コメント」や「ステップアップのためのヒント」を参考に、目指せ金曜優秀句への道!!

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▼【季語なし&違う季語】


令和空きのこ雲見る平和空

木嶋


原爆の深き悲しみ花カンナ

石出雅英


原爆に想いを馳せる夏の木漏れ日

木戸 勇輝


過ちを繰り返すまじ平和の日

三保の羽衣


逍遥湧き水河川平和の日

小野 路歌


黒雲に吸われし御霊原爆碑

上中未明


記念館案内の後深呼吸

いちばほうすい 


げんばくのたいけんきいたばいとさき

タカハシネコミサ


虚ろなる被曝の少女にただただ寄り添う

花水木


忘却の時止め佇む原爆碑

小浜月指


追悼の七十七年平和の灯

逢花菜子


特攻だった帰米二世の原爆碑

みさよ


おいせがれジンベイザメ背にタカアシガニ

岡﨑とおる


疎開地の八瀬大原道調べ

京女


黒い雨全てを洗い流すまで

禅心大河


鶴港平和の願い鳩空や

花かほり


ピカドンを落とされてからの悲しみ

中野久子


長崎の鐘の音色もはげましに

海原


元安川へ水捧ぐ原爆念

影山 明日香


崩れゆく母子よ眠れ仇討つ

イト秋


原爆碑19年目の車椅子

ピョン吉 龍


熱線に影となりて語り継ぐ

よひら


屋根形に切られた空に魔のきのこ

三鷹の蒼涯


一滴の水をせがんだ少年少女

おきなわのうみそら


禍津日よ来るなと刻む原爆碑

崎長たけ志


朝経ちや小便までの命かな

夏休み


サイレンにバニラアイスも溶けてゆき

相馬双馬


日雷あの日を思い手を合わし

呉の山人


あの夏を繰り返すなと祈念像

藤村一寿


夏暁に太陽隠れた雨天かな

中村陸


夏の果て世も果て地果て人も果て

谷サキス


黙祷の原爆ドーム雲の峰

りこ


家族で観る「火垂るの墓」の夏の夜

水口みなやっこ


兄五歳我八十の夏キノコ雲

風 遊笑


子の祈り亡き被曝者へ陽炎とともに

花 水木


画面越し終戦記念日思うだけ

新井初夢


油照り通院の道生きてやる

鈴本 風雅


死してなお禍根を残す空蝉や

金田一幸之助


炎天を覆うごま粒焼夷弾

遠上 山燻


日傘さしカツカツ歩くオフィス街

宮崎義正


夏の果て石に焼けつく人の影

霧雨六文


二之湯にはニえ湯飲まされものイワナ

服部黒麻呂


夏来れば被曝の友に手を合わす

さかぴー


サイレンに黙祷の子ら蝉時雨

中村蕪里得


残暑すら持っていったかキノコ雲

青木秋空


ワスレテトヒグラシガアセニツク

勘末しらこ


涙雨夏空見上げ降る悲劇

shimo puri


初秋の仄かに判る匂いかな

吉田華


関東の蝉お盆過ぎの主張

葉香


灯篭の流るる先の黒い海

飛島海道


猛暑日に原爆知らず良く遊び

池ばーちゃま


被爆忌の空どこまでも青くあれ

井上 のら


忘れない繰り返さない夏の悲劇

一花


雲の平台風一過の十七夜

高岡 宙


焼き場に立つ少年エアコン入れる我

吾流字三


温泉は片手にみかん肩にゃ汗

夏に咲く柚子の花


空見上げ暑さ感じぬ蝉の声

菊坂ゆきえ


文化の日平和を願ってまた走る

因兎子


晩夏くるドームのリアル無惨なり

伊東 夏凜


秋暑しチャンポンを食う中華街

ぶーぶー


帰りがけ初秋の風の匂う山

北野しんまい


秋の山夕暮れになく虫の声

三郎の俳句


鱗雲葡萄畑に息つなぐ

麻座輝貞


盆休み晴れの雲間に水たまり

なかのさいと


夏爆ぜて伝う涙は黒時雨

朽木寡


ピカドンの黒焦げトマト食す吾子

下川 忍


夏深しあなたの作る紫蘇ジュース

かぼちゃん


送り火の炎に焼かる親不孝

ミツ(kawasaki)


原爆碑令和の世を憂いているかのよう

佐藤蜩


●ピックアップコメント:

季語の入ってない句や違う季語が入ってしまっている句をピックアップ。

「原爆忌」をテーマに作ったであろうと推測される句も多く寄せられましたが、原爆忌とその傍題が詠み込まれていないケース。歳時記によって増減はありますが、原爆忌の傍題には原爆の日・広島忌・長崎忌・浦上忌・平和祭・爆心地などがあります。

俳句ポスト365では毎週「兼題」と呼ばれるお題を出していますが、季語が出題された場合はその季語(あるいは、その季語の傍題)を必ず詠み込む、というのがたった一つのルール。

各回の出題に全員が取り組むことで切磋琢磨を目指しております。

今募集中の兼題は、10月19日締切の「鰯雲」です。ご投句お待ちしてます。


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▼【季重なり】


原爆忌消えた八月あの時に

セロ弾きの早川


夏の空幸を喜び原爆忌

上地みやこ


ああ啼くなミンミン蝉や原爆忌

平和子


原爆忌日傘をそつとたたみをり

鈴木みとっぽ


血を咲かす夾竹桃や原爆忌

いっぺい


原爆忌あの日も同じ蝉時雨

元石覇気


朝顔も忘れまいぞや原爆忌

岡本柳


原爆忌読み方問う孫冷や素麺

増田雑草


原爆忌足下に死んだミンミン蝉

川上美馬


原爆忌仰ぐ木槿にチョウふわり

茶柱 杏


●ピックアップコメント:

一句の中に複数の季語が入っている状態を季重なりと呼びます。

原爆忌という日に見たもの、聞いた音などを句にするなかで他の季語も同居してしまったようです。

季語が複数入っている名句もあるので、「季重なり」は絶対にダメ! というわけではありませんが、複数の季語を作品として成立させるのは、上級者コースのウルトラ技。まずは、一句一季語からコツコツ練習です。

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※今回の兼題「原爆忌」初級者投句欄へのご投句は、投句数4116句、投句人数1680人となりました。

以下の句は入選決定!

金曜日「優秀句」へのステップアップのためのヒントをご案内します。


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▼【類想】


闇見つめ虚しくてなほ原爆忌

伊泉不洋


原爆忌未だ来らぬ平和な日

のろのろ爺


千羽鶴納め黙祷原爆忌

村田のりと


エノラ・ゲイ消された未来原爆忌

浜のじじい


生かされし命を生きる原爆忌

大家由美子


原爆忌の鐘ロシアに響かない

逆神


外国に届け平和よ原爆忌

せり花


原爆忌の朝此処は快晴なり

月最中 松本


原爆忌怒りほどけぬ祈り静かに

らるご


原爆忌祈りよ届けユーラシア

虹祭


子の問うはなぜこの日にと原爆忌


原爆忌黙祷するや摘む野菜

しっぽな


宿題の手止めテレビの原爆忌

ランナーズ寅さん


創りても祖国を想う原爆忌

手塚童好


科学とは両刃のやいば原爆忌

久生


焦土にて御霊弔う原爆忌

愛知ミト


原爆忌語る祖父の目遠い目よ

坂本安居


三つ目は決して許さぬ原爆忌

山田優風


原爆忌今もかの国ボタンに指

清水 木瓜


原爆忌核なき世界への祈り

夏川涼


ウクライナ地獄の絵図や原爆忌

またね


「黙祷」で試合を停める原爆忌

治爺


想起する「はだしのゲン」や原爆忌

佐藤誠溢


語りべも天に召されし原爆忌

松本千春


原爆忌あの日の在りし朝想ふ

森 毬子


黙祷の声響く朝原爆忌

糺 森子


原爆忌世界は一つ和するかな

霧月


原爆忌ほこり拭いしはだしのゲン

みちか


原爆忌あの日の汗は今もなお

南全星びぼ


原爆忌ただひたすらに手を合はす

杜野


原爆忌ヒトは愚をまた重ねたり

をぎやかなた


原爆忌朝の畑で黙祷す

PE天使


原爆忌「折り鶴」唱う子らの眼よ

卯花かろん


忘るるな涙溢るる原爆忌

常勝


他の国に増やしてならぬ原爆忌

芳賀たかこ


原爆忌戦争と平和宇克蘭

藤枝鋼岳


千羽鶴子らと捧げし原爆忌

柴田恵里奈


抜けるよな青空眩し原爆忌

さわだ佳芳


丸刈の君も黙祷原爆忌

加藤多作


平和への祈り木霊す原爆忌

藤城久美子


原爆忌日本に二度も許せない

ぐず


原爆忌身近に永遠に忍ぶもの

久木 諷


空見上げ眼を閉じ祈る原爆忌

稲城蒼海


今日もまた白球を追う原爆忌

みさき


戦争を知らぬ年寄り原爆忌

石川潤子


三世代語り部不在や原爆忌

高橋芽澄


語り部に聞き入る子らや原爆忌

よつ葉


天地に祈り響けり原爆忌

増田 楽子


石段の主なき影や原爆忌

なつふじ


原爆忌石に残るや人の影

河村 呂便


戻れないおも影何処原爆忌

佐久間 itsusa


この世にも地獄があった原爆忌

望月美希


原爆忌ノーモアヒロシマズ伝える事

水戸コンゴリラ


原爆忌願い地を這いかの国へ

入道 まりこ


折り鶴に祈る灯火原爆忌

ゴリ霧中


校庭の捧ぐ黙祷原爆忌

紫檀豆蔵


原爆忌闘う球児こうべ垂れ

眠りうさぎ


原爆忌誓い届けや露のボスに

久世わわ


いつまでも心にきざめ原爆忌

みーちゃんとみー


原爆忌慰霊のこころ平和の証

玉照


英霊に誓いし未来原爆忌

氷室東沙


鎮魂の鐘が鳴るなり原爆忌

澤野紀久


原爆忌幼な子の寝息の平和

髙橋好泉


生と死の苦しみありて原爆忌

小園夢子


原爆忌平和の持続可能説き

蒼玉蘭


小さな手を合はせる少女原爆忌

はたはたはた


世の中は平和の出番原爆忌

久世越仙


核兵器ウクライナ危機原爆忌

将平亜門


原爆忌明日へつなぐ子らの声

青木福


原爆忌風化させない君の為

ゆうちゃん


目を閉じて平和祈りし原爆忌

野中琴梨


幼児の前で黙祷原爆忌

オリゼ


原爆忌何年たてど今のこと

石川明世


廃絶へ熱意差哀し原爆忌

とき流る


原爆忌いつもの朝や黙祷す

まろのり


川燃ゆる水一口を原爆忌

どこにでもいる田中


ウクライナの戦中祈る原爆忌

沢野鬼ぐるみ


使うのも止めるのも「人」原爆忌

髙野瀬音拍


原爆忌禎子の願い鶴折りぬ

雲井草舟


核要らぬドームが叫ぶ原爆忌

華姫


誰か為の武力行使か原爆忌

石川さち


黙祷の空遥かなり原爆忌

鱫水草央


いまだ核廃絶ならぬ原爆忌

鬼塚樹童


核の傘祈り虚しき原爆忌

えちご散ざん


原爆忌オバマ語りき空遠し

伊勢赤太郎


原爆忌長崎で願う終焉

あじさい


阻止せねば三つ目の都市原爆忌

春の新々


鶴ひとつ折りて登校平和祭

スマイリィ


図書館の奥深く知る原爆忌

髙田  佳歌


原爆忌今の幸せ忘れない

花星 壱和


じいちゃんもばあちゃんもあまり語らず原爆忌

清松藍


平凡な暮らしの幸や原爆忌

コロキムラ


廃絶の声を絶やすな原爆忌

犬塚季夏


広島忌平和の祈り千羽鶴

愛生園風来坊


原爆忌はだしのゲンの読み聞かせ

田丸匡女


青空やあの日もきっと原爆忌

すずき鈴花


画面にはウクライナの地原爆忌

日根のなみ


滅亡を止めねばならぬ原爆忌

Q幸


ビカドンの二秒の罪や原爆忌

彩明


原爆忌今なお続く核脅し

ベイリ~フ


サイレンに草木も瞑す原爆忌

西行葉牡丹


翳す手に脅威伝える長崎忌

美慶


「原爆忌」それなんの日と孫問いぬ

久間 いたる


始めたも終えるも人ぞ原爆忌

えふしー芭流砂


原爆忌先人思ひ先を視る

山太平


原爆忌空へかけるや千羽鶴

好文亭偕楽


原爆忌今日も快晴朝は来る

可可夫豆


読み返すはだしのゲンを原爆忌

里山 遊子


原爆忌よわい重ねし語り部よ

平谷 河女


原爆忌あってはならぬ第三の忌

河島はるちゃん


万の蝉億の蝉鳴く原爆忌

笑姫天臼


悲惨さを世界は知らぬ原爆忌

高田 仁和加


原爆忌オバマの姿世界へと

池田 千月


原爆忌見上げる空の青きこと

春日京丸


原爆忌平和をねがう心から

ほろう


黒い雨読み返す日ぞ原爆忌

ビッグネット


千羽鶴に平和の祈り原爆忌

谷沢小寿々


原爆忌降らしてならぬ黒い雨

都 詠人


青空のいつもの朝や原爆忌

さおきち


もぅ二度とあってはならぬ原爆忌

アビー


侵攻がリマインドする原爆忌

帆波相談室


語り部の遠き眼差し原爆忌

すな


サイレンの余韻駆け出す球児原爆忌

遠藤波留


言葉には表せぬまま原爆忌

西野今日花


広島忌悲劇の時刻残る翳

森若智生


原爆忌青き空はあの日のままに

高崎怪人


鐘の音に畑より黙祷原爆忌

西垣天粋


原爆忌婆やの語る地獄絵図

下村ひじり


原爆忌なぜ過ちは繰り返す

下田せっちやん


原爆忌想いを込めて折り鶴を

わきのっぽ


波静か今の世問うか原爆忌

白山


現し世に繰り返すなよ原爆忌

神谷元紀


宿題の手止め黙祷す原爆忌

杉沢藍


モノクロの人と景色は原爆忌

西愼行治


あの日から77年原爆忌

青玄


原爆忌午前八時十五分

甘蕉


プーチンを説得できない原爆忌

なつの ひび


黙祷と無音の記録原爆忌

土井ゆう子


原爆忌家事の手止めて頭垂れ

愉来理あゆむ


空の青さよモノクロの原爆忌

結城ユク


人類の最も重き罪原爆忌

桜木レイ


愚かさは自国のせいか原爆忌

鈴木 翠月


先人が悔いを残した原爆忌

ねね


白黒の記憶の世界ぞ原爆忌

相澤泉


原爆忌平和の祈念後世に

高田翠穂


祖父の意志受け継ぐ孫の原爆忌

無花果みのり


遠き過去近き核危機原爆忌

髙山善裕


百倍の熱波(ねつ)忘るまじ原爆忌

かいぐりかいぐり


原爆忌世界の平和鐘にのせ

中井 昌太


原爆忌誓い新たに空見上ぐ

濱野ぽにょりん


原爆忌写真に向かい手を合わす

数哩


●ピックアップコメント:

「原爆忌」という季語を考える時、誰しもが平和や、当時の悲惨さについて思いを馳せます。それ自体は尊いことなのですが、反面、俳句を考えるにあたっては類想への呼び水となるようです。

たくさんの類想を見ることによって、自分の中に類想のデータベースが構築されていきます。今回見かけた発想のおかげで、陥りがちな類想も避けられるようになるかもしれません。


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▼【入力にはお気を付けて】


磨けどもの錆びた地球儀原爆忌

岳 ゼン


足下のの影くっきりと原爆忌

ほうじ茶子


原爆忌特番の数減りにけ

春日


原爆忌かつお節が踊ってゐる


映像の伝えぬにほひ原爆忌

おこそとの


原爆忌薬袋の厚味かな

夢バーバ


折り鶴に息拭き込みて原爆忌

藤井かすみそう


●ピックアップコメント:

投句フォームから投句をお送り頂くにあたり、入力や変換のミスが起きてしまっているケースもあります。

岳 ゼンさん、ほうじ茶子さんは余分な「の」が間に挟まっている仲間。春日さんは「けり」の「り」だけ入力し損なった?

また、仮名遣いの間違いなども入力したあとに一度読み直すことで防げるかもしれません。大さんの「っ」は「つ」に、おこそとのさんは「にほひ」は正しいのですが、その直前の「伝えぬ」は「伝へぬ」が正しい形となります。

漢字の変換ミスも起きがちです。夢バーバさんは「厚み」とするはずが「厚味」になってしまったのでしょうか。「厚味」も単語としては存在するのですが、意味が変わります。藤井かすみそうさんも内容からして「吹き込み」の変換ミスかなあ。

悲しいうっかりミスを防ぐため、投句の前には今一度投句内容の見直しを!


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明日から火曜日、水曜日、木曜日、と入選句を発表します。入選句の評価は火、水、木(ステップアップのためのヒントに掲載分も含む)ともに同じランクです。順不同での掲載です。

そして金曜日は、初級者投句欄の優秀句発表です。

投句はこちら