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初級者結果発表

2025年11月20日週の兼題

冬至

【曜日ごとに結果を公開中】

【優秀句】

  • 一輪のしんと冬至の予約席

    喜祝音

  • 影が先ず門をくぐりて冬至かな

    草間あずき

  • 鉄橋をぎんと締め込む冬至かな

    慈庵風

選者コメント

家藤正人

初級コースの金曜日掲載は中級への昇級の目安。中でも特に目を惹く句についてピックアップコメントをお届けします。



「鉄橋をぎんと締め込む冬至かな   慈庵風」

鉄橋の建造、あるいは保守管理の現場を思い浮かべました。巨大な鉄橋も人の手によって造られているという事実、そして「ぎんと締め込む」硬質で強靱な手応え。それら冷たく強い存在に対して「冬至」が堂々たる威厳をもって下五に据えられています。時期的なことを考えれば、一年の保守点検の締めくくりの時期でもありましょうか。人の往来と無事を支えてくれた「鉄橋」に対する労いと信頼が詠嘆に込められているようでもあります。


「一輪のしんと冬至の予約席   喜祝音」

なんの一輪なのか。なぜ予約された、どんな場所の予約なのか。それらの事情を読者は字面から想像して鑑賞を楽しむのです。席に花が飾られているとすれば、交通機関ではないでしょう。会食の卓上? いや、「一輪」が際立つのは大勢の席ではなく、二人か、ほんの数人の席に違いない。心遣いに整えられた席に着くのはいったいどんな人物たちか。まだ人の訪れないぽっかりと空いた席を「冬至」という時間と空間が今は占めているようで。


「影が先ず門をくぐりて冬至かな   草間あずき」

非常に地味な句ではあるのですが、こういう描写に徹した句の良さもまた捨てがたいものです。地に伸びた影がある。影が人の歩みに先んじて門を潜る。そんな光景の存在する、冬至という今日である。静謐な描写でありながら、かといってただの客観写生とも違っているのは、強く区別する助詞「が」の効果と、続くなにか=影の持ち主を暗に示す「先ず」という順番を示す語のためです。これらの仕掛けが読者を一句の登場人物として引き込み、詠嘆の効きを強めています。



いずれもお見事でした。自信がついたら中級にもぜひ挑戦してみましょう!


  • 筆洗う冬至の水の薄き青

    レイン孤音

  • 遅き湯に濡れ髪重き冬至かな

    山村千絵

  • 冬至って前を向きたくなる日だな

    満面 笑太郎

  • 留守電に詐欺電残る冬至かな

    茶葉紅子

  • 冬至光襖の菊に銀の縁

    大和出ユウスケ

  • 錆びし弦弾く冬至のYesterday

    日の峰祥雲

  • 青空は冬至の鉢のみづを吸ふ

    世良智

  • 冬至けふ薬缶の滾る社かな

    いまいやすのり

  • 下駄箱を終日出ない靴冬至

    三角山子

  • 子の捨てし六法全書冬至の夜

    若潮ほの花

  • 指の熱陶土へ沁ます冬至かな

    野村酔狐

  • 縄跳に冬至の夕日招き入れ

    清見敏水子

  • 力無き乳房湯に揺れ冬至の日

    多田ひとり

  • 初稿もうできてるはずの冬至の日

    星野石香

  • 泣き顔をなぞる冬至の風の手よ

    星野りこ

  • 電柱の鴉宵星食む冬至

    飯田蛙子

  • 冬至とや白髪分けたる櫛の跡

    花弘

  • 猫の背に冬至の日差し撫でてをり

    蝦夷やなぎ

  • 除光液を溢した冬至も泣いた

    中川 せん

  • 一陽来復人は淵より灯を点す

    空詩乎

  • 冬至の夜鼓動を生むや機械弁

    夏至流

  • 誰もゐぬ博物館や冬至の日

    金子加行

  • 鍵盤に乱るる十指早や冬至

    成崎葉

  • 職安のカレンダーで知る冬至かな

    青砥 転典

  • 浮き雲は能登のかたちや冬至の日

    桜ことり

  • 背なに負う日の揺るぎなき冬至かな

    阿蘇海の鴨

  • 琥珀の実夕日へ透けて冬至の日

    宮本かんこ

  • オリオンがのびのび光る冬至かな

    鶺鴒女

  • 冬至の日「ゆうやけこやけ」に鳴らぬ音

    草深みずほ

  • 土下座する父にも冬至来る来れ来よ

    櫻庭詩想

  • 錠剤の硬さ冬至の喉仏

    ラズリー

  • 望の字は冬至の灯り生む如く

    牧 茉侖

  • 一陽来復ぱかんと割れば黄身二つ

    勝本熊童子

  • 冬至の日国旗はためくオムライス

    宮崎梅電

  • 乳香の燻ゆる冬至の錆硬し

    かい みきまる

  • 子を産みし冬至の一日長きかな

    島 桜

  • 「神経抜きました」と冬至の歯科医

    浦野米花瑠

  • 冬至かな抗癌剤の最終日

    ヒガラ村瀬

  • 吉野家に友と落ち合ふ冬至かな

    皮むき ごぼう

  • しうしうと気切の蛇腹冬至の夜

    なかにしいくこ

  • うしろより機影過ぎゆく冬至かな

    東雲 文丹

  • 降車して魚の匂う冬至かな

    茶葉

  • 終末期の母鈍色の冬至

    久木 諷

  • ゆるき日を背におよがせて冬至かな

    青野慈江衣

  • けんかして帰るのしぶるけど冬至

    秋野夕奈(7さい)

  • 蜜蝋の香の甘やかに冬至の夜

    名前のあるネコ

  • 眠剤を齧る冬至や息深く

    きざお

  • 出涸らしでしのぐ冬至の夜の更けて

    れい

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