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初級者結果発表

2025年12月20日週の兼題

冴ゆ

【曜日ごとに結果を公開中】

【入選までもう一歩】

選者コメント

家藤正人

みなさまこんにちは。初級の選者、家藤正人です。

月曜日は、入選にもう一歩という句をご紹介します。


・月曜日の「選者コメント」に掲載されている俳句については、作品検索はできません。

・月曜日の「ステップアップのためのヒント」に掲載された句、入選句、優秀句については作品検索が可能です。


月曜の「選者コメント」や「ステップアップのためのヒント」を参考に、目指せ金曜優秀句への道!!


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▼【五七五七七】

年の瀬の冴ゆる静寂かき消してペン走らせる旅立ちの音

菜蝶風月


凍るる夜の静けさや小道にいずる欠けた月光

藤部 月華


新聞配達の音冴える共通テストに向かう君

松山 桜子


●ピックアップコメント:

五七五の俳句としてはいささか音数が多すぎます。数えてみると菜蝶風月さんは三十一音、五七五七七の短歌のリズムを取っております。他のお二人も字余りというには音数が多く、見ようによっては短歌に近い韻律といえるかもしれません。

俳句ポスト365では短歌の良し悪しは判断できませんので、短歌を取り扱う投稿先をお探しの上、そちらへの応募をおすすめします。

「専門は短歌だけど、俳句も始めてみたい」という場合はもちろん俳句ポスト365への俳句の投句は歓迎であります。

まずは基本の五七五・有季定型から一緒に始めて参りましょう。


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▼【季語なし&違う季語】

失言で国益破壊冬の月

松岡 哲彦


凍てる朝朱色の空の銀の月

桜ノ宮銀橋


葉牡丹に水滴うつす心模様

麻座輝貞


冴え返るヤカンの湯元土を練る

松尾貢水


凍晴の中に映ゆる遠山かな

渡邊紫蘭


窓の桟虫潰れしに冴えかえり

夕菅仁


シベリアやガラスの瞳冴返る

藍空


●ピックアップコメント:

季語の入ってない句や違う季語が入ってしまっている句をピックアップ。

兼題として季語が出題された場合は、その季語を一句に詠み込むのがルールです。

「冴返る」は実に惜しい。冴えるという言葉が含まれてはいますが、「冴返る」は春の時候の季語になります。

俳句ポスト365では各回の出題に全員が取り組むことで切磋琢磨を目指しております。

今募集中の兼題は、3月19日締切の「草餅」です。ご投句お待ちしてます。


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▼【季重なり】

湘南の冬空高く冴ゆる富士

コケデカ


冬日向差し水しみて葉の冴ゆる

春乃 桜葉


さゆるあさ雨戸をあければ雪がふりける

青木みかん


初茜祈るこうべに冴ゆる峰

夢駱駝


冬の朝耳成おろしに命冴ゆ

いんぺ兜虫


冴ゆる朝親子鋭き眼の入試

地白 枯淡


冬冴ゆるトライを狙い駆け抜ける

宮由太


満月の雲なき冬の夜空冴え

池バアチヤマ


冴える日よ米櫃からの大晦日

葦の丸屋


かじかむ手流す湯煙る冴ゆる朝

敷知遠州


また一つ寿命引き算除夜冴ゆる

小橋野 宿六


寒いねと仲直りの朝空冴ゆる

いつき白藤


冴ゆ恋し暖は火鉢に夜具重し

夢野ユメ


三十槌の氷柱が垂れし山冴ゆる

松浦影法師


ゴンドラ降り白き息冴ゆ痛し胸

筒井田造


海に残る月影冴ゆ初日の出

霧野光司


耳冴ゆる遠き半鐘年の暮

小川理風


冴ゆる夜や隣家車庫のかじけ猫

安永彩女


鉢植えの土乾ききり寒さ冴ゆ

薔薇紫


星降る夜狐狼の咆哮冴えわたる

片岡三洋


冴ゆる夜ココアの湯気と白い息

小巻小梅


止まぬ雪フードに集め冴ゆ夜

橘ミカンヌ


キッチンの隙間風冴ゆ一人鍋

柳 裕子


夕焼冴えムンクの叫び冴え渡る

k陽一郎


冴ゆる朝解氷作業と赤い手と

茶葉


月冴ゆる雪を照らして寒々と

朝野貴風


冴ゆ冴ゆと皹触り飛び上がる

中川肱洲


ナビ告ぐ通行止め雪道冴ゆる

夏山一会


冴ゆ山の火事紅々とまだ燃えし

田口文子


冴ゆる夜見上げる花火はしゃぐ孫

齋藤鉄模写


バス停の屋根の枯葉に蟲の冴ゆ

吉岡幸一


音冴える水に返りしアオサギか

梅原徳昭光


受験日の願い届くか冴ゆる星

妃都実西子


●ピックアップコメント:

一句の中に複数の季語が入っている状態を季重なりと呼びます。

季語が複数入っている名句もあるので、「季重なり」は絶対にダメ! というわけではありませんが、複数の季語を作品として成立させるのは、上級者コースのウルトラ技。

ここに紹介した以外にも季重なりの句はあり、火曜日以降に紹介される場合もありますが、比較的許容しやすい季重なりとして受け止めているものもあります。

やはりまずは、一句一季語からコツコツ練習して参りましょう。


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▼【季語の考え方】

頭冴えて舞台演奏始める

神戸 美優


●ピックアップコメント:

「冴ゆ」は冬の時候の季語。「寒し」「冷たし」よりも更に寒さが極まった、透き通るような感じの冷たさをいいます。「頭が冴える」や「目が冴える」といった使い方をした場合は慣用表現であり、季語としての力は薄いと考えます。


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▼【俳句の表記について】

月冴える、吸いし煙草とビルの影。

藤原深々


西方に星ありて冴ゆ二・七日

月最中 松本


●ピックアップコメント:

俳句は五七五の間を空けず一行に縦書きするのが正しい表記です。また、五七五の間に句読点などを挟む必要もありません。インターネット俳壇の横書きは、縦書き表示が難しいためやむなく許容しております。強い芸術的主張がある場合、敢えて分かち書きしたり、多行書きしたりもしますが、初心の時期は基本を守っていきましょう。

こちらの例に挙げた二句は芸術的主張として「、」「。」「・」を使用している可能性もありますが、判断に迷います。もし読みやすさなどを考慮してのものであれば「、」「。」「・」はわざわざ入れる必要はありません。「二七日(ふたなのか)」など読み間違えられる可能性のある単語が含まれる場合は、投句フォームの「特殊な読み方または専門用語」欄に読み方を記入していただければ伝わりますのでご活用下さい。


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▼【入力にはお気を付けて】

寝静ずまる廊下の軋み冴えにけり

翔ノ空


駆け下だる冴ゆ箱根路に降る熱気

四王司


聞きなしの森のうつらひ冴ゆるかな

境界子


月沙ゆる出雲へ誘う寝台車

佐藤 俊


●ピックアップコメント:

入力や変換が気がかりな句をピックアップ。

「寝静ずまる」と「駆け下だる」は送り仮名の間違い。「寝静まる」「駆け下る」となります。

「うつらひ」は「うつろひ」の間違いでしょうか。

「沙ゆる」は「冴える」のはずが痛恨の変換間違い。惜しい。

自分が表現したい内容が正確に伝わるよう、送信の前には今一度文字の見直しをおすすめします。


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▼【「冴ゆ」の用法にまつわるミス】

冬冴ゆく温められて時を知る

村上 勇節


星さゆのヒラヒラ舞う冬の夜


冴ゆく風天狼星や闇奥そ

じゃりん


神域や躰はとけて冴ゆとなり

いちの


蒼の中ますます冴ゆき明けの星

曽我のシオカラ


川面より湯気立ちのぼる冴ゆの朝

大山 久幸


冴ゆの日の告白のこゑ京緋色

本山喜喜


鐘冴ゆし聞こえてくるは汽笛かな

爺さん 婆さん


冴え月に銭湯帰り子を抱く

駒草


望遠鏡童心戻る星冴ゆて

かつら式部


月冴ゆし疼く傷痕明けぬ夜

北伯和鈴


駅伝の旗振る指も冴ゆき朝

若葉カヲル


湯気へだて黄昏る山よ冴ゆ冴ゆと

蠱森トヒロ


宙を舞う冴ゆの魔法か打つ鼓動

泉おじぎ


冴ゆわたる青空にでかき富士の顔

山田正山


声冴えゆ牛乳の湯気温かく

朱久瑠


朝稽古面面面の声冴ゆし

河村のび太


カーテンを開けし心に冴ゆ来たる

天色透水


冴え冴えて夜半の外気が招く星

いるの 橙


冴ゆの朝ガス止め屈む震度七

平谷河女


控え室五感研ぎ澄まし冴ゆを待つ

はまゆう紬


奥秩父流れ固まる冴ゆの滝

老翁


冴ゆわたる川の流れの音までも

峠 東利


●ピックアップコメント:

先述の仮名遣い、活用を始め、「冴ゆ」にまつわる勘違いやうっかりミスは多岐に及びました。他にも、動詞の活用のミスや「冴ゆ」を名詞のように使っている句など、様々な例が観測できます。

なかには村上 勇節さんの「冴ゆく」など、ひょっとしたら「冴(さえ)+ゆく」のつもりで使っているのかも?と 可能性を考慮する例もありました。が、音数的には「冴えゆく」の四音ではなく「冴ゆく(さゆく)」の三音を意図しているように見受けられますね……。

上記ピックアップのなかには動詞の活用を少し変えるだけで正しい意味になる句などもあります。ぜひご自分の句を見直して推敲にチャレンジしてみましょう。


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▼【来月もまた会おう!】

君想ふ熱を逃がさぬ冴ゆるスパナ

窓掛け軌条


赤灯棒冴ゆ三振の後部座席

岩下だんご


月冴ゆるアイボールへの電離層

石志


星冴ゆる牛乳の渦黒に消ゆ

大島山羊


冴ゆる朝引けば戻りて丸き耳

猫辻みいにゃん


冴ゆる夜にオリオンの影背にあたる

百崎万理


●ピックアップコメント:

投句してくれてありがとう!

まずはしっかり「冴ゆ」をいれた投句をしてくれてうれしゅうございます。これから一歩一歩学んでいきましょう。今募集中の兼題は、3月19日締切の「草餅」です。これからの投句も楽しみにしています。



※今回の兼題「冴ゆ」初級者投句欄へのご投句は、投句数3646句、投句人数1606人となりました。


以下の①②③④⑤については入選決定!

金曜日「優秀句」へのステップアップのためのヒントをご案内します。


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▼①【仮名遣い】

月冴へて能登の昴の無口なり

高木ひーちゃん


月冴へて街すっぽりと時の掌に

花吹雪  浅海ひとみ


大気冴へ間近に観へし富士の嶺

佐藤根 雪華


月冴へていざ勝負手の眼はしずか

アズとモノ


●ピックアップコメント:

俳句を書く際には表記を自分で選ぶことができます。普段目にしている「現代仮名遣い」と、古典などで見られる「歴史的仮名遣い」の二種類です。

「冴ゆ」はヤ行下二段活用の動詞ですから仮名遣いは「冴へて」ではなく「冴えて」となります。

仮名遣いはうっかりミスをしやすいポイントですので、念のため辞書で表記を確認しながら使っていきましょう。

また、歴史的仮名遣いに統一する場合には他の部分にも見落としがないかチェックが必要です。「すっぽり」「観へ」「しずか」はそれぞれ歴史的仮名遣いに修正する必要があります。練習問題だと思って辞書を確認し、正解を探してみて下さい。


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▼②【冴ゆ? 冴ゆる?】

冴ゆ朝や捨てる除湿機の水少な

村先ときの介


冴ゆ廊下母三度目の家出かな

詩小桃


冴ゆ夜空ペテルギウスに励まされ

豆の晶


冴ゆ朝やスヌーズ音ごと起き上がる

モノカワタビト


冴ゆ朝や手術の前の心意気

案山子の鹿か


冴ゆ黄昏橋上から富士の影

島柳


白い実つぶら冴ゆ並木へと風の鞭

バーバラ


冴ゆ朝日神籤に功名ならんとす

茶々子


冴ゆ朝や膨らむ胸光消ゆ

林 一途


冴ゆ空気揺るがせ落ちる華厳かな

取丘八十仁


冴ゆ朝や銀鱗跳ねて指真っ赤

古閑裕光


冴ゆ雫全ての力走り攻め

蟹座ヒロシ


母亡くし心冴ゆ我母を視る

中野京美


冴ゆ空に恋人待ちてハチも待つ

月下氷人


遠回り冴ゆ河の夜の波音

小佐無椋


足止めし愛犬よ冴ゆ散歩道

那須乃静月


冴ゆ月夜カイロ代わりの缶コーヒー

深川 奏


冴ゆ登別傘寿の父笑う

樫木かかし


冴ゆ月覗く涙枯れし辞表

倉田傍石


冴ゆ朝に飛び立つ鳥やどこへ行く

夏川涼


冴ゆ空に天のかいだんどこ通ず

ララ


冴ゆ朝に白き湯けむり横に妻

福田創風


冴ゆ空相撲のぼりの揃い踏み

夜ツ星シズク


心身もスーパー銭湯さゆ心

松瀬章章


冴ゆ闇を吐息で曇らせ君攫う

写雅句


山頂で冴ゆ風受けて朝日見る

森乃涼風


三十一年よ祈り手冴ゆ朝

藤野つきよの


冴ゆ空に烏のカーが波渡る

高橋みどり


冴ゆ息の銀灰色の龍よ逝け

良日謙心


冴ゆ空に星も瞬くロマンスの夜

魚木孫


冴ゆ星やため息と湯気友の肌

甲斐チャト子


茜雲駆ける坂道冴ゆ頬に

三杏樹


冴ゆ風に愛とは何かと問うてみる

花屋もんた


冴ゆ街に彼は新聞奨学生

ケビンコス


冴ゆ空の雲に惚けて露天風呂

河国老保忠


冴ゆ朝や昨日より山近づきぬ

若葉 尚


冴ゆ空に模様をのせる散り枝よ

鳥羽々歯科医院


姫寺の冴ゆ朝一筋の光

雪乃冬


赤錆の看板や冴ゆ河川敷

町乃 磯鵯


無口なる君の一言冴ゆ会議

野中水火


塾迎え孫のお受験冴ゆ夜に

O’Hare 鹿互


冴ゆ朝に今年の仕分け始まるや

横山 沙石


なかなかに消えぬお鈴の冴ゆ音色

著子民人


ベランダの吊るしハンガー冴ゆ朝

実本礼


手水場や冴ゆ銀の杓にすする鼻

川辺雀


入院は相部屋窓に冴ゆ造花

世良智


渇望の少年剣士冴ゆ朝よ

丸屋文鳥


勝手口ゴミ出す夜よ冴ゆ頬よ

ぴょんばぁ


冴ゆ富士を遠きに眺み朝ぼらけ

遠山貴弘


冴ゆ夜道仰ぐ星空猫ないた

都柚


冴ゆ朝に紫の空陽に染まり

氷室東沙


冴ゆ轍白くひとつダイナー灯

宮本かんこ


きのこ型入れて繕ふ冴ゆ夜かな

斎藤マカロン


冴ゆ風やまぶたの裏に花の舟

加藤湯花


冴ゆ夜や沸き立つ白湯に舌を焼く

ささちさち


ふるさとや吾も冴ゆほどに夜を吸い

宮原渓秀


冴ゆ人へ机の端に白湯ひとつ

ていれぎことり


冴ゆ救急ひらがな名札指してくる

蹄々


冴ゆ小石蹴りつつ進む声白き

丸山一赳


唇は冴ゆ声に破れてしまう

八田昌代


●ピックアップコメント:

「冴ゆ」はヤ行下二段活用の動詞です。終止形は「冴ゆ」、連体形は「冴ゆる」となります。終止形は意味が切れる形、連体形は後ろの名詞(体言)へと意味を続ける形です。今回はこの活用を間違っていると思しき句が多く届きました。(なかには意図的に「冴ゆ」で切っている句もあるかもしれませんが……)

例えば、「冴ゆ朝」「冴ゆ空気」の場合、表現したかったのは「冴えている朝」「冴えている空気」の意味かと思われますが、前述の通り「冴ゆ」は終止形。正しくは連体形の「冴ゆる朝」「冴ゆる空気」にする必要があります。「冴ゆ」→「冴ゆる」の一音分の増加に伴って、音数が十七音を超えてしまう場合もあるかと思います。語順を入れ替えてみるなど、一句全体を通して音数を調整できるよう挑戦してみましょう。


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▼③【「冴ゆ」以外での文法の誤り】

見上げれば残月冴ゆる過ぐ機影

佐藤サクレ


冴ゆる夜や我に刺さるる野良の髭

ゆーこ


猫逝きや広き寝床の冴ゆる夜

海野ももみ


軋む床父の残せし冴ゆる庭

野枝ころん


●ピックアップコメント:

「冴ゆ」以外の部分で文法に見直しが必要な句をピックアップ。

佐藤サクレさんの「過ぐ機影」は「過ぎていく機影」の意味ならば、正しくは連体形「過ぐる」となります。

ゆーこさんの「刺さるる」は、「刺さる」の命令(已然)形+「る」となるので、「刺される」が正解。

海野ももみさんの「逝きや」は終止形「逝く」+「や」の「逝くや」とするのが適正でしょうか。

野枝ころんさんの「残せし」は正しくは「残しし」。過去の助動詞「き」の連体形である「し」は、動詞「残す」の連用形「残し」に接続します。


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▼④【類想】

お社に鈴の音冴ゆる巫女の舞

放浪者


無人駅たった一人の冴ゆる夜

友マンクット


白む田の遥か筑波や冴え渡る

まつぼっけ


静寂を包みて尚も冴ゆる月

岡本闘魂


張り詰めた道場冴ゆる朝稽古

群馬の凡人


三輪山の朝日拝みて冴ゆる風

あすか風


冴ゆる朝木々は蕾で出番待つ

さなさな


冴え冴えとともる学舎の灯り

下地野雨


赤信号小さき足踏み冴ゆる夜

黒瀬三保緑


床につき静寂の音闇の冴ゆ

橋本十三


夢のつづき君と歩く冴ゆる朝

桜井 乙


鶏の啼く声冴ゆる午前四時

国崎 美栄


冴ゆる朝飛び出す犬や尾を高く

のーべる


冴ゆる朝ザクザクあゆむ通い道

武蔵日光


冴ゆる朝犬も散歩に気が乗らず

鳥羽蒼香


風冴ゆる帰り道での静けさや

むちまる


月と星木々シルエット世界冴ゆ

野山ノハナ


本堂の冴ゆるや息の凛として

宵野玉簾


冴ゆる朝ダイヤキラめく木々のさき

かげろう


朝六時冴ゆる足音一番乗り

※ 英子 ※


冴える夜たたずむ路地の木々の影

かなこ


亡き父を思い出させるおりん冴ゆ

柳原甲賀


鐘の音遠くに澄みて星も冴ゆ

伊東 孝雲


月冴ゆる遠くに列車の音聞こゆ

松乃美伊那


冴ゆる夜や靴音ひびく無人駅

数哩


ほろ酔いで星見て歩く冴ゆる夜

古川かずな


星冴ゆる燃えないごみの集積所

片山千恵子


黎明に下弦の月の蒼く冴ゆ

上山凡仁


待ちぼうけ冴える右手のスマホかな

弥生ポリ


冴ゆる朝的に響く弓矢の音

みかん


バスタオル干す手赤らむ風冴ゆる

蘇我のあすか


冴えわたる空の青さに感動す

プーキー吉田


サイレンの冴ゆる五叉路の古き街

かい みきまる


冴ゆる夜オリオン数える赤い指

おむぱおぱお


冴ゆる朝背すじ伸びゆき深呼吸

太田沙月香


静かなる空見上げれば月冴ゆる

東野出流


音冴ゆるぺたんこ靴の下り坂

花尾 花ばば


億劫の裸足に冴ゆる夜干しよ

奥山水珠


サイレンに呼応する犬吠えの冴ゆ

大姫


しんしんと港夜景の冴え渡る

堀内和香


夜気冴えて犬の遠吠え悲しげな

渡辺闇太郎


暗闇に火の用心の声冴ゆる

仁尾はにー


朝一番開け放つ窓吐息冴ゆ

神谷理風


山冴ゆる踏んだ葉くしゃり響きゆく

しわしわ


冴ゆる夜や両手合わせる缶コーヒー

不知多 東白


頬を切り目を潤ませる冴ゆる風

吉野山 さくら


子雀の母呼ぶ声冴ゆ朝ぼらけ

万葉渓


終電の警笛止んで鉄路冴ゆ

青井晴空


火葬場の誘導灯の白冴ゆる

京悠


三叉路を郵便バイク冴ゆる朝

マレット


仕事終えふと見上げれば月冴ゆる

涼風 蘭


山寺の梵鐘朝の空に冴ゆ

河地 草芝


寝過ごして終点駅の月冴えぶるっと

八幡蝶一


冴え冴えと三日月照らす朝まだき

吉了


冴えわたり息をも拒む下弦の月

小虎 くまこ


冴ゆる夜明日の予報は白景色

飯田風歩


夢うつつ寝床に始発の汽笛冴ゆ

カワムラ一重


風冴ゆる頬赤くして走る子ら

山田はつみ


月冴ゆる叩く拍子木街灯る

原口竹九


光さす湯気のぼる田や冴ゆる朝

瀬戸旅心


宵の冴ゆ富士の高嶺に茜さす

兼子駿


饅頭の湯気立ちのぼる冴ゆる朝

にえ茉莉花


明くる朝祈願声冴ゆ

野田瑛里子坊


帰り道火照る横顔冴ゆる月

桜夜青花


朝冴えて遠く電車の音を聴く

粒野 餡子


境内に二拍の響き冴ゆる朝

圓山みかん


最後の日足音が冴ゆ通勤路

忍穂鞠


ペダルこぎ白き富士見る冴ゆる朝

俵信


月冴ゆる仕事帰りの駅ホーム

髙橋寒青


街灯の刺さる夜道や風冴ゆる

谷岸香子


救急車のサイレン止まる冴ゆる夜

藤原訓子


漆黒の瓦を照らす月冴ゆる

島村みーな


冴ゆる朝縮こんだ身をほぐす汁

すずしず


冴ゆる夜窓越しの月母と見る

加古かよ


星冴ゆる風音聞こえぬ北の街

出金 菩呂


剣道の子の声冴ゆる朝稽古

小川和花


風冴ゆるペダル踏むごと句会あと

令和の和子


風強しペダル軋ませ月冴ゆる

髙田 佳歌


冴えわたる月夜の木々の影深く

きっちゃん


ひとり臥し点滴ぽとり月冴ゆる

井手白銀


ペダル踏むしまなみ冴ゆる海の上

七瀬 巧


冴ゆる夜夫の温もり拠り所

きよえ


星冴ゆるホーム無人の停車駅

宮崎 かっさん


冴ゆる朝目覚めの一杯沁みる白湯

鶴梨 淵玄


月冴ゆる見上げたままの刻過ぎる

小江戸清


早朝の青々し富士の冴ゆる峰

シャノワールさとる


冴ゆる夜にサイレン伸びし午前二時

岡本聡子


どうするかいつもの散歩冴ゆる朝

のろ爺


冴ゆる朝布団のなかで背伸びせり

ゆめの月舟


冴ゆる月ひとり露天の湯に浮かべ

来海彩


バス停の窓を鳴らして風冴ゆる

まさえ


子ら眠り一人静寂音冴ゆる

久世わわ


日の出待つ東方見れば空気冴ゆ

久世越仙


月冴ゆる仕事帰りの歩道橋

究果園ゆやま


ざくざくと跫音冴ゆる北国や

佐々木四郎


風冴ゆる翔ける吾子らの赤き頬

本橋明季


今生のりんの音冴えて祈りかな

田中亀子


リンの音のまとう光や冴ゆる朝

春風志乃亜


校庭で冴ゆる風切りボール蹴る

滝沢 樹里


風吹いて空見上げると星冴ゆる

愛美


冴える朝靴音早き街の中

熊谷子南


月冴ゆる黒猫ぽつり影ぽつり

青い手まっちゃん


君と見し煌めく星の冴ゆる夜

さかい癒香


玄関を出ると頬刺す冴ゆる朝

詠野孔球


しんとして塵一つ無き冴ゆる夜

音や ひびき


冴ゆる朝烏一声飛び立てり

三富みつ葉


寝台車軋む線路や冴ゆる音

馬田 穗波


アパートの階段の音冴ゆ深夜

代官野兎


米寿来る母願うおりんの音冴ゆ

越香


散策す荻外荘の冴ゆる朝

山野 のりこ


冴ゆる夜ふたり鼓動の暖かさ

おくら


ずらずらとテールランプら冴ゆる夜

かぼちゃなすび


赤々と盆地の明かり冴える夜

神津歩地


猫を抱く温もりの手や空気冴ゆ

半灯


冴ゆる朝駆け足目指す椿の湯

小石野歩実


暮れ六つの鐘の音冴ゆる園城寺

孤句狸翁


サイレンにこたえる犬の声冴ゆる

小宮美也子


つま弾きて静寂に響く冴える音

中 秋広


冴える日も負けじと日課ジョギング

新緑香風


冴ゆる夜の静けさ電車過ぎゆけり

唐橋 季直


冴ゆる夜や指に残りし君の息

加藤直瑶


カラコロと下駄で外湯の冴ゆる路地

西倉美紗子


朝日浴び吹く笛響き冴え渡る

晩楽


万物が息をひそめて月冴える

林一芳


客まばら夜汽車の汽笛冴え渡る

鴨の里


月冴ゆるホームにたたずみ君送る

五月 香子


真夜中のゴミ出し街は冴え冴えと

春野ふう


老独り白湯の沁みたる冴ゆる朝

むらた典珠


旅立ちの汽笛一声空に冴ゆ

北乃大地


終電や人影消えて星の冴ゆ

阿部英雄


頂の白さ冴ゆるや八ヶ岳

伊藤美詞


はやぶさを見送るホームに風が冴ゆ

西澤でん助


神棚の柏手の音冴える朝

大石りん花


冴ゆる夜や0番ホーム人まばら

大薮薫子


きみの手のぬくみなつかし道冴える

沖野屋公太郎


朝練の声冴えわたる夜明け空

大泉竹芳


冴ゆる居間早朝5時にひとり立つ

成崎 葉


星冴ゆや君と終電待つホーム

永山シャンシャン


冴ゆるなり静夜に響く鐘の音

たがわぱてい


駅前や冴ゆる指先スマホ繰る

福田淡圭


冴ゆる夜に二人分け合うカップ麺

にいやのる


腕枕猫の重みや星冴えて

日向 まお


冴ゆる月北辺に在り君想う

加山嘉山


背を丸め冴ゆる街路に君を待つ

コリン


遠吠えや夜を切り裂くほどに冴ゆ

柑たちばな


風冴ゆる夜雨にあたりペダル漕ぐ

檜風呂


目覚めては冴ゆる頭に朝の月

高島仁左衛門


青き冴ゆ頂白く赤き頬

まごはる


満天の星冴ゆるなり旅の宿

明日葉


夜警行く警光灯の赤の冴ゆ

慈雲奏荘


冴ゆる朝猫背になりて帰路につく

品木百舌子


日が暮れてしんしんと冴ゆ迷い道

あいまい もこ


冴ゆる街俯き過ぎゆく吐息かな

月乃深織


冴える夜コツコツ響く靴の音

k幸女


高架橋遥か白富士冴ゆる朝

伊澤 ゆき抄


冴ゆる夜の夫の温もり背広抱く

京都さくら


冴ゆる朝野菜を洗う水の音

かく たまき


早朝の冴ゆる公園鳥も来て

春の新々


山々の影従えて富士は冴ゆ

小鳥遊


月冴えて検温の手が温かし

うーなん


冴ゆる朝朝日を纏い映えるビル

卯月哉人


冴ゆる朝雑巾掛けの手にしみる

春野 妙香


暗き路星さえ冴えとバスを待つ

穂波ポンチャン


犬はスキップ星冴える散歩道

小木野原ことり


星冴ゆる寄り添う祖父母の六十年

山々林々


見回りの靴音冴ゆる長廊下

十四志


冴ゆる夜を切り裂く船の汽笛二度

杉田夕凪


朝陽冴ゆ窓開けずとも犬丸く

津濃汰烯燈爐


疲れた目窓から覗く月冴ゆる

富士太郎


雑居ビル灯りやぽつと馳せ冴ゆる

ちゃー


自転車で坂を下りて顔冴ゆる

前田 家守


冴ゆる夜丸まる床の猫と吾

三毛山タマ子


比叡山読経の遠く声冴ゆる

だだちゃ豆


犬散歩しろきあしあと朝の冴え

大阪 チョコの母


掃除する顔に射し込む朝陽冴ゆ

乃邑  歳幸


冴ゆる夜や道にあふるるヒールの音

上野 鈴女


冴ゆる庭早朝の空気肺いっぱい

蒼井優子


心身にしみる風冴ゆ北辺かな

たった


自転車に向かい風冴ゆ朝の道

山ノ奥湖鏡


しんしんと足に腰へと冴ゆる床

よろこび一句


耳澄まし鐘の音を待つ冴ゆる夜

渡鳥風花


耳朶の紅冴ゆ駅にふたり立つ

佐原 貝


本堂の経読む僧の声の冴ゆ

夢バーバ


冴ゆる夜温もり探す鍋囲み

わきのっぽ


ゆくりなき犬の遠吠え月冴ゆる

中西 千尋


湯の街や下駄の音さえ冴えるかな

雲井草舟


風冴ゆるテスト終わりの塾帰り

楽・豊・幸で行こう


冴えわたる富士の裾野の艶やかさ

篭山眺望


旅の湯や青空仰ぎ顔冴ゆる

川崎安二郎


点滴のぽとりぽとりとベッド冴ゆ

たかはしゆう


ページ繰る音冴ゆ個部屋午前2時

鴨 嶋子


鼻の根がすんと静まり冴ゆる朝

三山風香


点滅の赤信号冴ゆ夜明け前

横山蛙子


冴ゆる空やさしき笑みの友召さる

吉岡ひさ子


冴え渡り青に澄みゆく里の朝

三世 観音


東雲に神官の笛音冴えわたる

片寄道幹 


冴ゆる朝足音響く歩道橋

茶子父


冴ゆる風肌に突き刺す徒歩通勤

鈴木雪


仕事終え夜道のしるべ冴ゆる月

神 和幸


夜明け前冴ゆる月光相模灘

菅野あっこ


眠れずや冴ゆる闇間に汽笛の音

佐藤ゆたか桜咲く


仰ぎ見る首もとひゅるり月は冴ゆ

一色 朔夜


●ピックアップコメント:

初級・中級に関わらず、類想は似通ったものが集まります。

時候の季語である「冴ゆ」は空間に存在するあらゆるものに作用しているようです。空、月、星、風などの天文ジャンル、朝、夜など時間帯を表す情報などなど。身近なもののなかに「冴ゆ」の実感を見出しております。

たくさんの類想を見ることによって、自分の中に類想のデータベースが構築されていきます。今回見かけた発想のおかげで、陥りがちな類想も避けられるようになるかもしれません。


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▼⑤【二重切字】

命日や墓石の文字も冴えにけり

瀬尾紗ま


冴える夜や脱皮の声が聞こえけり

鍬杖の翁


●ピックアップコメント:

俳句の世界でいわゆるタブーの一つに「二重切れ字」があります。「や」と「けり」の重複ですね。

切れ字はスポットライトのようなもの。一句の中に複数のスポットライトが存在すると、どちらを主役にしたいのかわかりにくくなってしまいます。

季重なり同様、複数切れ字が入った名句もあるので、絶対にダメ! というわけではありませんが、上級者コースのウルトラ技と考えて良いでしょう。まずは、切れ字は一つから!



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明日から火曜日、水曜日、木曜日、と入選句を発表します。入選句の評価は火、水、木(ステップアップのためのヒントに掲載分も含む)ともに同じランクです。順不同での掲載です。

そして金曜日は、初級者投句欄の優秀句発表です。


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