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2016年5月12日週の兼題
ごきぶり
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すうすうとごきぶりひげを揺らしをり
クズウジュンイチ
選者コメント
夏井いつき
選
なるほど、こりゃ「ごきぶり」っぽい動きだ!と納得して、すぐに次の句に目がいってしまったのですが、何度目か読み直し選び直していくうちに、どんどん存在感が増してきました。「ごきぶり」なんて大嫌い!という人にとって、「ごきぶり」を観察して写生するなんて、拷問だとしか思えないでしょう(笑)。一物仕立ての難しさは、観察し続ける根気、発見できる感度、それを表現できる技術、三拍子揃わないと作品として成立しないことです。この句の何に感心したかというと、たった一点(というと失礼ですが)、「すうすう」というオノマトペです。「ごきぶり」の髭を凝視して一句にしようと考えた時、「ひげ」の動きを誰もが観察するはずです。が、あの独特のそよぐような動きを「すうすう」とは、なかなか表現できるものではありません。オノマトペをここまで己のものにできると、爽快だろうなと思います。清涼飲料水か、サロンパスか、どちらかといえば心地よさげなオノマトペ「すうすう」が「ごきぶり」の様子として描かれる意外性。そこにオリジナリティとリアリティが表出します。「ごきぶり」に遭遇する。凝視する。「ごきぶり」もこちらを窺っている。「ごきぶり」は「ひげ」だけ動かす。「すうすう」と「ひげ」を揺らす。次の瞬間、逃げるのか、飛ぶのか、叩き潰されるのか。「をり」というささやかな時間を含んだ叙述が、その後の展開をあれこれと想像させるのも、さすがのテクニックです。
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