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中級者以上結果発表 秀作
2016年5月12日週の兼題
ごきぶり
【曜日ごとに結果を公開中】
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火曜日
水曜日
木曜日
金曜日
形勢はごきぶり飛んで逆転す
ごぼうの花
選者コメント
夏井いつき
選
「ごきぶり」が飛ぶという事実に唖然とするのは、いつかどこかで誰でも経験することではないでしょうか。「形勢は」という語りから始まるのが、巧い一句。「ごきぶり飛んで逆転す」の後に、誰かの悲鳴も聞こえてきます。
豚千頭湯がける鍋や大ごきぶり
ウェンズデー正人
選者コメント
夏井いつき
選
一度に「豚千頭」を湯がいているわけではありません。これまで通算すると「豚千頭」を湯がいてきた「鍋」と読むのが妥当でしょう。使い込んだ「鍋」は磨き上げられているのでしょうか、それとも、汚れるまま煤けるままの真黒な「鍋」でしょうか。下五「大ごきぶり」の「大」の一字には、豚を湯がく臭いが染み込んでいるかのような迫力があります。
ごきぶりの住まい阿弥陀の尻あたり
クラウド坂上
選者コメント
夏井いつき
選
「ごきぶりの住まい」が「阿弥陀の尻あたり」であるという事実そのものに諧謔があります。「巣」とか「住処」ではなく「住まい」という言葉を選んだのも成功。「尻あたり」と曖昧にした点も味わいです。
ごきぶりを閉じ込めちゃった薬箱
樫の木
選者コメント
夏井いつき
選
ははは! これも笑うしかないですが、ご本人にとっては困惑しきりでしょう。この「薬箱」、赤十字マークが付いてるような昔ながらの木箱を想像しました。あ!「ごきぶり」! 思わず、蓋の金具をカシャッと締めたものの、あッ……どうしよう、という困惑を書くことで、「ごきぶり」という生き物を描きました。
逃げ切りしごきぶりに壁高からず
江戸人
選者コメント
夏井いつき
選
「ごきぶり」と「壁」を描いた句は沢山届いたんですが、「ごきぶり」の爽快なふてぶてしさを描いた点が、金曜日に推したかった大きな理由です。「逃げ切りし」から得意げな「ごきぶり」を描き、最後に「壁高からず」と見上げる視点で再度「ごきぶり」に焦点をあてるあたり、ベテランならではのテクニックです。
ごきぶりの一番多く死せる壁
大塚めろ
選者コメント
夏井いつき
選
こちらは、逃げきれず頓死した「ごきぶり」です。この「壁」の下あたりが「ごきぶり」にとって居心地のよい場所なのでしょうか。何度でもこの「壁」を這う「ごきぶり」を叩き潰してきた事実。「一番多く死せる壁」には、「ごきぶり」の汁みたいな染みがてんてんと付いているに違いありません。
神饌も順路の一つ油虫
樹朋
選者コメント
夏井いつき
選
こちらは神社でしょう。「神饌」は神にささげられる飲食物の総称。毎日新鮮な食べ物、飲み物が饗されるのです。「油虫」にとっては、なんたる贅沢な住処でしょう。中七「順路の一つ」という表現によって、日課としての動きも見えてきて、巧いですね。
ごきぶりをくるみ新聞よく燃える
石川焦点
選者コメント
夏井いつき
選
こんなささやかな実感の句もありました。叩いた「ごきぶり」を包み取った「新聞」をポイと火に放り込む。竈の火か、五右衛門風呂を焚く火かもしれません。「よく燃える」ような気がするのは、「ごきぶり」の生き物としての油なのか、はたまた人間への恨みか。そんなことも思わせる俳諧味の一句です。
ごきぶりのくぐる延長コードかな
希望峰
選者コメント
夏井いつき
選
ははは! これも実感ですね。叩き潰そうと一撃すると、逃げられる。なにくそ、と次の一撃を構えると、なんと「延長コード」の下をくぐって逃げやがった! 後半「延長コードかな」という詠嘆がため息のようにも読める共感の一句です。
ごきぶりのフェロモン臭きマッチ箱
ポメロ親父
選者コメント
夏井いつき
選
これにも共感します。昔ながらの古い大箱の「マッチ箱」を想像しました。桃太郎印みたいなヤツね。竈の火をつけるために、いつも同じ場所に置いてあるような「マッチ箱」です。火をつけるとなんか妙な臭いがする。よく見ると「マッチ箱」には「ごきぶり」の糞がいっぱいくっついている。「こきぶり」たちは、この「マッチ箱」の中で、排せつしたり、交尾したりしてんのかもしれない、と思う。ひょっとしてこの臭いは「ごきぶりのフェロモン」かもしれない……?!と思う、この想像が愉快です。
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