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中級者以上結果発表 特選
2016年6月9日週の兼題
月見草
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つきみそうリコーダーならラの音だ
ひろしげ8さい
選者コメント
夏井いつき
選
本当の「つきみそう」は黄色ではなく、白い花で時間とともに色を変えていく、いかにも儚げな花であることを知ると、猶更こころが揺らぎます。一句一読、ハッとしました。「つきみそう」を「リコーダー」の音に喩える発想はもちろんですが、「ラの音」という感覚にハッしたのだと思います。「リコーダー」の柔らかい音のイメージだけだと、季語「つきみそう」の持つ美しい負性を表現しきれませんが、音階の中の「ラの音」にはかすかな翳りがあるように感じられます。音楽の授業の聴音で、ドミソの和音とドファラの和音は、なんでこんなに気分が違うんだろう?と思ったことがありますが、作者ひろしげ8さいの心を似たような思いが過ったのかもしれません。聞くところによると、沖縄の音階にはレとラの音がないのだそうです。ドミファソシドの音階で紡がれる沖縄の歌の持つ懐かしさや温かみは、音の成分にも要因があるのかなと思います。「つきみそう」を「リコーダー」の音階に喩えると「ラの音だ」という詩的断定は、さざ波のような淋しさそして憂いとなって、読者の心に寄せては返します。「ラ」という音への感性、「つきみそう」の儚さへ寄り添う心、それらが八歳の少年の心を通して、こんな詩語となって結実していることに静かな感動を覚えます。
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