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中級者以上結果発表 秀作
2016年6月9日週の兼題
月見草
【曜日ごとに結果を公開中】
月曜日
火曜日
水曜日
木曜日
金曜日
メキシコも火星も遠し月見草
亀田荒太
選者コメント
夏井いつき
選
暑く乾いた土地のイメージを持つ「メキシコ」と赤い星というイメージを持つ「火星」。冷ややかに白く咲く「月見草」との取り合わせに意外性があり、これらを取り合わせることによって生ずる言葉の火花が、まさに詩であります。「~遠し」の一語によって生まれる詩的遠近感も豊かです。
静かなり象のしっぽと月見草
Mコスモ
選者コメント
夏井いつき
選
上五で「静かなり」と断定しつつ、「静か」なものとして「象のしっぽ」と「月見草」を並べています。大きな「象」の小さな「しっぽ」も、その傍らに咲く「月見草」も「静かな」夜の中で、静かに揺れているのでしょう。絵本のような美しい光景です。
紅白饅頭の餡は闇色月見草
比々き
選者コメント
夏井いつき
選
「紅白饅頭」の「餡」を「闇色」だと断定する発想にも驚きましたが、「月見草」にこのフレーズをぶつけてくる感覚も凄い! 「紅白饅頭」が割れて「闇色」の「餡」が現れ、それが夜の「闇」となり、闇の中から「月見草」がニョキニョキと咲き広がっていく。そんなシュールなアニメーションを観せられたかのような気持ちになりました。協力なオリジナリティを醸し出すこの想像力は、まさに才能!です。
月見草艇庫に眠る銀の笛
このはる紗耶
選者コメント
夏井いつき
選
「月見草」の咲く道は「艇庫」の扉へ続いているのでしょうか。「艇庫」のどこかに「眠る」のは「銀の笛」。ボートの練習に使われる笛かもしれませんが、何か特別なチカラをもった笛のようにも思われます。「艇庫」の一語が持つ水辺のイメージが、水面の月影に揺れる「月見草」を想像させます。
星屑のやうな飛行機月見草
ぎんやんま
選者コメント
夏井いつき
選
「星」と「月見草」を取り合わせた句は、沢山寄せられました。その中で、これを金曜日に推したのは、「星屑のやうな飛行機」という素直な実感です。深い夕闇の中で点滅する「飛行機」の灯りが「星屑」であれば、「月見草」は地に咲く「星屑」なのかもしれません。
なりません。月見草にも諭される
江口小春
選者コメント
夏井いつき
選
俳句における句読点は特殊なテクニック。この場合の「なりません。」は誰かの科白であることを明示しつつ、カギカッコであらわされる会話とは違ったニュアンスを表現します。「にも」は散文的になりがちな助詞ですが、「月見草」以外の何者か「にも」という意味が、一句の肝。うまく使いこなしています。道ならぬ恋でしょうか、放浪の誘惑でしょうか。さまざまな「なりません。」が、次々に浮かんできます。
大脳に微かな発火つきみそう
酒井おかわり
選者コメント
夏井いつき
選
「つきみそう」という美しくもあり、妖しくもある花を見ていると「大脳」の中のどこかが「微か」に「発火」していることに気づくというのです。詩的感覚のみでできている句ですが、「つきみそう」という存在の不思議は、詩人たちの脳をこんなふうに刺激するのだなあと、妙に納得した次第です。
井戸水の洗顔清し月見草
谷山みつこ
選者コメント
夏井いつき
選
朝になって萎んでしまう「月見草」を描いた句もありましたが、この清々しい作品を金曜日に推さないではいられません。中庭か裏庭か、「井戸」の小さなポンプを押せば冷たい水が一気に吐き出されます。手に掬った水の冷たさ。「洗顔清し」と腰に挟んでいた手拭で顔を拭えば、傍らには昨夜の「月見草」が色を変えて萎んでいるのでしょう。朝の「月見草」もまた粋な味わい。
月見草硝子は吹いて膨らます
神谷たくみ
選者コメント
夏井いつき
選
「月見草」の儚さを「硝子」の素材に喩える発想もあるかとは思いますが、「硝子は吹いて膨らます」という一種当たり前のことを述べることによって「月見草」の美しさが表現され得ることに、ささやかな感動を覚えます。「硝子」は吹いて膨らませる、そして「月見草」は誰かの切ない思いによって膨らみ、咲き、萎む……のかもしれません。
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