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中級者以上結果発表

2017年1月26日週の兼題

蕨狩

【曜日ごとに結果を公開中】

特選

  • 磐座の紙垂は四枚蕨狩

    クラウド坂上

    選者コメント

    夏井いつき

    人事の季語「蕨狩」と植物の季語「蕨」の違いを考察してきた今週。蕨を探し歩く楽しさ、その情景、人物、場所など、「蕨狩」らしさという点を選句のポイントにしたいと考えておりました。 「磐座(いわくら)」は、神の御座所。大きく美しい岩に神が宿るという岩石崇拝では、その巨石のある場所は聖域とされます。自然の巨石を惚れ惚れと見上げる時のハッとするギョッとする感知が、神の存在への意識なのでしょう。 「紙垂(しで)」とは、注連縄や玉串などに垂らしてある白い紙です。「磐座」に付けられた「紙垂」は聖域を示す象徴。「蕨狩」してたどり着いた場所には、美しい巨岩が祀られています。その「磐座」には真新しい「紙垂」が「四枚」垂れているのです。その巨岩の辺りには、沢山の「蕨」が生えているのですが、採るために近づくことが憚られるような神聖な空気が満ちているのです。 見上げれば見上げるほど大きな岩、見つめれば見つめるほど美しい巨石、圧倒的な大きさと美しさに「蕨狩」の面々は立ち尽くしているに違いありません。時折ひらりと風になびく「紙垂」もまた、神意を伝えているかのような厳かさ。ここの「蕨」には手を出すまいと、拝礼をして去っていくのかもしれません。

次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
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