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中級者以上結果発表

2020年10月1日週の兼題

熱燗

【曜日ごとに結果を公開中】

特選

  • 熱燗の腹の継ぎ目のかたちかな

    常幸龍BCAD

    選者コメント

    夏井いつき

    今回の『天』は悩みました。季語「熱燗」の持つ人生の悲哀を詠んだ多くの句にも、味わい深いものがありました。「熱燗」が「腹」に落ちてくる句も山ほどありました。が、ここまで丁寧に描写すると一気にリアリティとオリジナリティの数値? が上がります。他の酒との違いを考えた時、「熱」「燗」はどちらも温度の高さを意味する文字。この「熱燗」という季語の特性と真っ向勝負にでた意欲を買って、この句を『天』に推します。「熱燗」が舌から喉へと落ちていきます。熱のかたまりは喉の壁を伝いつつ「腹」へ。この句の眼目の一つは「継ぎ目」という言葉です。普段は意識することもない内臓に「継ぎ目」があると感知した点に俳味があります。そして、更なるダメ押しが下五「かたちかな」という詠嘆。助詞「の」を繋げることによって、熱い酒がゆっくりと落ちていく時間もイメージさせ、下五「かな」が全ての言葉を受け止めます。「腹の継ぎ目のかたち」をしみじみと味わいつつ、「熱燗」を内臓壁で捉えるという酒飲みならではの一句です。

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