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中級者以上結果発表

2014年5月8日週の兼題

シャワー

【曜日ごとに結果を公開中】

特選

  • 九龍の錆吐き出せるシャワーかな

    奈津

    選者コメント

    夏井いつき

    「九龍」は香港の地名。「九龍=クーロン」は日本人独特の読みだそうですが、この固有名詞の持つ連想力=イメージ喚起力は、充分に詩語と成り得ますね。 「九龍の錆」とは何だろう?「錆」を「吐き出せる」とはどういう状況だろう?と、我が脳が目まぐるしく意味を探ろうとしたとたん、下五に「シャワーかな」と季語が出現します。この語順がなんとも絶妙ですね! なるほど、香港の「九龍」のホテルの「シャワー」から出る最初の水は「錆」の混じった水だったのかと意味が分かったとたん、錆の臭いが我が鼻腔にありありと再生されます。香港を歩き回った一日の埃と汗を流そうとし水に混じる「錆」は、エネルギッシュな香港の街の臭いのようでもあります。 シンプルな表現ですが、一言一句が適切に選択され、ここしかないという位置に置かれているのが、さすがですね。【はるか昔、香港の九龍地区を訪れた時の記憶です。気温も人いきれもムッとする街だった】と語る奈津さん。「シャワー」という季語が引き出してきた鮮やかな記憶の再生です。

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