俳句ポスト365 ロゴ

中級者以上結果発表

2014年5月8日週の兼題

シャワー

【曜日ごとに結果を公開中】

秀作

  • シャワーぬるし四十の膚をぬたぬたと

    初蒸気

    選者コメント

    夏井いつき

    「シャワー」という季語には、健康的な爽快感と、退廃的な空気とがあるのだということを、改めて認識した今週でしたが、この句は後者の気分。「シャワーぬるし」という温度が、中年に差し掛かった年齢「四十の膚」の弛みを思わせます。「ぬたぬた」という擬態語が、この「シャワー」の温度をさらにぬるくしていくかのようです。
  • シャワーお湯になるまでしばし修行せん

    カリメロ

    選者コメント

    夏井いつき

    ははは!「シャワー」から「お湯」が出るまでのささやかな冷水で「修行」してるってのが、バカバカしくて可笑しい。「しばし修行せん」という勿体ぶった言い方が、一句の味わい。これもまた「シャワー」という季語ならではの一句であることは間違いないね~(笑)。
  • 目を閉じてシャワーアジアの端の端

    塔山音絵

    選者コメント

    夏井いつき

    上五「目を閉じて」は、自分自身が目を閉じている気分になりつつも、目を閉じて「シャワー」を浴びている人物をも想像させます。句またがりの句切れから一転、「アジアの端の端」という表現が実に鮮やかです。 【先程、締切前最後の吟行!(笑)とばかりにシャワーを浴びていたら、シャワーからアジアの音(アジアのある地域の音楽というわけではなく、うまく言い表せないのですが、アジアそのものが放っている音、のような)が聞こえた気がして、そのまま俳句にしました】と語る音絵さんの感性が素敵です。
  • シャワー浴ぶアンドロメダを見つけた夜

    柳葉魚

    選者コメント

    夏井いつき

     「アンドロメダを見つけた夜」は天体観測でしょうか。初めて自分の望遠鏡で「アンドロメダ」を見つけたささやかな興奮の夜なのでしょう。「シャワー」を浴びながら「見つけた」瞬間を反芻する夜。涼しい夜の心が広がっていく一句です。
  • トゥクトゥクに揺られ二時間シャワー浴ぶ

    みえ

    選者コメント

    夏井いつき

    「トゥクトゥク」とは三輪タクシーのこと。この一語で東南アジアの街の光景が浮かんできます。「トゥクトゥクに揺られ二時間」観光してきたのでしょうか。街の埃と風を体に浴びての「二時間」というこの数詞が巧いですね。下五の季語「シャワー浴ぶ」が汗と埃を一気に流してくれる爽快感もいいなあ!
  • 立ったまま溺死つかの間シャワー浴ぶ

    雪うさぎ

    選者コメント

    夏井いつき

    「立ったまま溺死」という言葉にまずは驚いてしまいますが、「つかの間シャワー浴ぶ」で、ああ成る程そういうことかと納得させられる、実に言い得て妙な表現です。しかも「溺死」できそうなぐらいの水量で浴びているのだということも分かりますね。「溺死」してしまいそうな心を抱えて「シャワー」を浴びているのかもしれないと、そんな想像も広がってきました。
  • カンツォーネ歌うてシャワー全開す

    渕野陽鳥

    選者コメント

    夏井いつき

    「シャワー」を浴びながら鼻歌を歌うという発想の句は沢山ありましたが、「カンツォーネ」の明るさがいいですね。ご機嫌で高らかに歌う「カンツォーネ」の声に、勢いのよい「シャワー」の音が重なってきます。真夏の明るさが「カンツォーネ」の一語に広がってくるかのようです。
  • シャワー浴び女将の顔を見に行くか

    笹百合

    選者コメント

    夏井いつき

    台詞がそのまま俳句になりました。飲みに行くではなく「女将の顔を見に行く」という言い回しが愉快です。行きつけの店には、美人の女将がいて、近所の男たちは一日の汗を「シャワー」で流せば、そそくさと「女将の顔」を見に集まってくるのでしょう。

次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています!

投句はこちら