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中級者以上結果発表

2015年2月26日週の兼題

水草生う

【曜日ごとに結果を公開中】

秀作

  • 水草と千の光の泡の生ふ

    こま

    選者コメント

    夏井いつき

    「水草生う」という季語に対して「光」「泡」という言葉を用いた句は沢山あるのですが、敢えて季語を分断させる工夫が成功しました。「水草と千の光の泡」という映像が文句なく美しい一句です。
  • 水草生ふ情死のきはもそののちも

    とおと

    選者コメント

    夏井いつき

     一読、太宰治が情死した玉川上水を思い浮かべました。「情死」の現場となろうがなるまいが、「水草」は淡々と生い続けていきます。「情死のきはもそののちも」という淡々たる語りが、空恐ろしさを助長します。 「水草生う」という明るい季語と取り合わせることによって、それとは異質な恐怖や不安を表現しようと試みた句も沢山届きましたが、17音の世界にてこの複雑なバランスを調整するのはなかなか高度な技。さすがは、この作家ならではの一句だと感心した次第です。
  • 水草生う千代田区千代田一の一

    四万十太郎

    選者コメント

    夏井いつき

    え?と思いつつ、この住所は皇居に違いない!と気付きました。「千代田区千代田一の一」とは、なんとまあ壮大な「水草生う」住所でありましょうか。コロンブスの卵みたいな発想の一句。やられましたよ、四万十太郎くん!(笑)
  • わかれましよ水草生うてをりますし

    渡辺郁子

    選者コメント

    夏井いつき

     「水草生うてをりますし」という不条理な理由による、あっけらかんとした宣言。「わかれましよ」と切り出すのは、やはり春のほうが精神衛生によかろうかと思います(笑)。口語を歴史的仮名遣いで書いた視覚的効果も充分承知のうえでの一句でしょう。
  • 水草生ふボールは沼の臍となる

    とりとり

    選者コメント

    夏井いつき

    水草の生えた水面に「ボール」が浮かんでいる様子を描いた句も沢山ありましたが、「沼の臍」という表現が楽しいですね。「ボールは沼の臍となる」の飄々たる語りには、あんな沼の真ん中に落ちてちゃ取れないよ~という諦めも雑じっていて、そのニュアンスが伝わってくるのも巧いなあと思います。
  • 水草生ひ水草に雨の打つ音も

    えらいぞ、はるかちゃん!

    選者コメント

    夏井いつき

    「水草生ひ」という状態が広がってくると、ある日ある時から雨の音が変化してきます。水面を打つばかりだった「雨の音」が、水草を打つ音になっている! それに気付いたことが手柄であり、その状況を詩語として明確に表現できたことを誉めたい作品です。
  • ほくほくと田の神笑い水草生う

    カンガガワ孝川

    選者コメント

    夏井いつき

    「ほくほく」から始まる語順をいいですね。春になると山も笑い始めますが、「田の神」が笑い始めるようになれば、そろそろ田起こしの準備も始まります。一句の向こうに「水温む」という季語も感じさせます。「水草生う」という季語の明るさが、長閑に広がってくる作品です。
  • 引継ぎの一つ水草生う水槽

    ぐわ

    選者コメント

    夏井いつき

    ありそうだなあ、こんな「引継ぎ」。重要事項の最後に「これも前任者からの引継ぎなんだけど」と切り出されたような感じで笑えます。「水草生う水槽」の中には、何が生息しているのでしょう。メダカ、金魚、熱帯魚、鯰、濁った水槽いっぱいに太った得体の知れない白い魚(@某学校の某校長室で見た)等、それを想像するのも楽しい一句です。
  • 水草生ふばん馬百貫越えてをり

    三島ちとせ

    選者コメント

    夏井いつき

    「ばん馬」は、北海道ばんえい競馬に使われる頑丈な馬ですね。実際に見たことはないのですが、ドキュメンタリー番組などで観る迫力は半端ではありません。「水草生う」という優しい季語、「百貫」という強い印象を持つ数詞、「越えてをり」という的確な動詞が、光景をありありと描きます。

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