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中級者以上結果発表 秀作
2014年2月6日週の兼題
風光る
【曜日ごとに結果を公開中】
月曜日
火曜日
水曜日
木曜日
金曜日
母を追ふ子象100キロ風光る
大阪華子
選者コメント
夏井いつき
選
「母を追ふ」のが「子象」であり、すでに「100キロ」の体重であるという光景が微笑ましく、愉快です。「追ふ」という動詞からヨチヨチせっせと小走りで動いていく様子も想像できます。「100キロ」の「子象」が走るたびに、「風」はさらにきらきらと光の量を増やしていきそうです。
サメの歯の出そうな地層風光る
小木さん
選者コメント
夏井いつき
選
「サメの歯の出そうな地層」とは、元々は海だったことが分かる「地層」なんでしょう。そんな地層を前にして、作者はここ一体が海であった頃のことを夢想しているのでしょう。ここには「風光る」海が広がっていたに違いないという思いが、眼前の「風光る」光景をさらに新鮮なものに感じさせます。 「サメの歯」ではなく、貝殻でも魚の骨でもいいといえばいいのですが、「サメの歯の出そうな地層」というフレーズに勢いがあり、強い好奇心も感じ取れて、そこが好きでした。
風光る音に待たせる盲導犬
根子屋
選者コメント
夏井いつき
選
「風光る」光景の中にさまざまな生き物がいる句も沢山届きました。その中で、「風光る音に待たせる」という発想に強く惹かれました。「風光る音」が聞こえそうなという比喩は美しいけれど、ちょっと無理があるか……と思った瞬間に「盲導犬」という言葉が出現し、ハッとします。 「盲導犬」の目には光る風が映っているのだけれど、ご主人は「風光る音」に耳を澄ませているという詩的真実を大変美しく感じました。
ランナーズ・ハイ風光るにはまだ遅い
葛城蓮士
選者コメント
夏井いつき
選
愛媛マラソンを素材とした作品からもう一句。「ランナーズ・ハイ」とは【マラソンなどで長時間走り続けると気分が高揚してくる作用】と辞典には解説してありますが、Yahoo!知恵袋の質問を拾い読みしていて【ほとんどの人が「ランナーズ・ハイ」を勘違いしてます。「セカンドウィンド」のことをランナーズハイと間違えているんです】という記述も見つけました。マラソンもなかなか奥が深いようです。 この句を一読した時、「風光るにはまだ遅い」は季節の進む速度に対しての言葉かと思ったのですが、いやいや違ってました。そう読んだのでは、勿体ないですね。 「ランナーズ・ハイ」の真っ只中にいる僕は、もっともっと走れるよ!風を光らせるぐらい走れそうだよ!「風光る」には「まだ」「遅い」よ!もっともっと早く走れるよ!という心の高揚を詠ったのではないかと解しました。「ランナーズ・ハイ=風光る」という比喩によって、季語を表現した意欲作だといえるでしょう。
風も未だ少年だから風光る
ミル
選者コメント
夏井いつき
選
おおー、こんな発想もいいなあ!と共感した一句。たしかに「風光る」は三春の季語ですから、一年間の季節のサイクルから考えると「少年」のイメージはぴったり。普通「○○だから○○」という叙述は説明的になるので成功しにくいのですが、その叙述をちゃんと詩の言葉にしてしまえるところが、この作家らしい個性と実力です。
内陸に繋がる無線風光る
ちとせ
選者コメント
夏井いつき
選
「内陸に繋がる無線」ということは、どこからその無線を発してるのでしょう?外洋でしょうか、離島でしょうか。遠洋漁業から戻る船の、次第に陸地が近づいてくる実感かもしれませんし、「風光る」ような日には「無線」が一際鮮明に聞こえるよという喜びかもしれません。ガーガーという「無線」の雑音も「風光る」音のような気分にさせてくれる一句ですね。
風光るさっき転んだのが長女
台所のキフジン
選者コメント
夏井いつき
選
ふふ、可愛いね~♪少し離れたところで、大人たちは子どもの様子を見守っているのでしょう。「さっき転んだのが長女」と語るこの言葉から、何人かの子どもたちが一緒に遊んでいることが分かりますし、「転んだ」という動詞から、一緒に走ったり追いかけたりしているのも分かります。 さらに、わざわざ「長女」と述べていることから、次女もどこかにいてお姉ちゃんのあとを追いかけたり、小さな子のグループの中で遊んでたりするのかもしれないと、さまざまな想像が広がります。たった十七音の叙述だけで、それらの光景をありありと立ち上げるのですから、大したものです。
行けど行けど大阿蘇の中風光る
あい
選者コメント
夏井いつき
選
嗚呼、これも気持ちの佳い光景ですね!「行けど行けど」から「大阿蘇」の光景への広がり、「~の中」という一見不要に思える言葉も上五「行けど行けど」と呼応しています。「大阿蘇」を吹きすぎてゆく「風光る」という季語のなんと鮮やかなことでしょう。
浄化され戻る山彦風光る
ヤッチー
選者コメント
夏井いつき
選
前半の叙述はさらに推敲の余地があるかとは思いますが、「山彦」は「浄化」されて戻ってくるのだよという発想が素敵です。自分の声なのに自分の声じゃないみたいな感覚の理由を、率直に解説してもらったような気分です。 「風光る」は、風の印象のみを述べた、映像を持たない季語ですが、音という要素と相性が良い季語なのだということを、今週は再認識しました。「光る」という動詞の視覚的な印象が、逆に聴覚の要素を際立ててくれるのだなあと、実感した一週間でした。
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