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中級者以上結果発表 秀作
2014年12月18日週の兼題
寒蜆
【曜日ごとに結果を公開中】
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木曜日
金曜日
広言の断酒怪しや寒蜆
たんと
選者コメント
夏井いつき
選
飲み過ぎた深夜、二日酔いの朝「寒蜆」の熱い汁は五臓六腑にしみ渡ります。「断酒」するっていいながら、また二日酔いの頭をかかえて「寒蜆」を飲んでいるという自己嫌悪が、俳諧味に満ちた一句に仕立てられました。 いやいや、ひょっとすると、この「寒蜆」を味わうためには、やはり深酒をしないとな、なんてへそ曲がりな意味の「広言の断酒怪しや」なのかもしれませんね。そういえば、水曜日のお便りに大塚迷路さんが、似たようなことを書いていたなあ(笑)。
殺生の歯にもかからぬ寒蜆
深呼吸
選者コメント
夏井いつき
選
「蜆」を描くときに、「蛤」「浅蜊」よりも小さいという点は一つのポイントになります。それを「歯にもかからぬ」とは言い得て妙。「殺生の歯」という表現も、食うことでしか生きられない人間の性を巧く言い止めました。「歯にもかからぬ寒蜆」を食うて、滋養をいただくという皮肉も微量入っているのでしょう。
寒蜆浸すきちんとした暮らし
鞠月
選者コメント
夏井いつき
選
さきほどの「朝の妻」の暮らしは、まさにこんな感じなのだろうと思います。寒の頃になれば「寒蜆」を食べるという、日本人の食文化を当たり前のように丁寧に実践していく「きちんとした暮らし」の清々しさ。「寒蜆」を浸した水のなんと美しいことでしょう。
井戸の神祀り大粒寒蜆
江戸人
選者コメント
夏井いつき
選
「井戸の神祀り」という措辞で、なぜか時代小説の長屋の井戸端を思い出してしまったのですが、そんな偏った読みをしなくても、津々浦々にある「井戸」を思えばいいですね。そんな井戸には水神様の御札が祀ってあるところも多いでしょう。「井戸の神」は水の神。そのおかげで、今年もこんな「大粒」の「寒蜆」をいただけるよ、という感謝の一句。小さいという「蜆」の特徴を踏まえた上での「大粒」という表現が活きています。
寒しじみ真水にすくふ朝の妻
有櫛水母男
選者コメント
夏井いつき
選
なんと健康的な朝の台所でしょう。昨夜、塩水につけて砂抜きをしておいた「寒しじみ」をさらに「真水」で洗っているのでしょうか。掬いあげる「妻」の手の美しさまでみえてくるようなフレッシュな一句。「朝の妻」という時間の表現が、巧いですね。
初七日の庫裡の華やぎ寒蜆
雨月
選者コメント
夏井いつき
選
「寒蜆」の滋養は、嘆いている人たちの心をも慰めます。「初七日」の法要が執り行われている本堂。かたや「庫裏」では、精進落としの料理の準備がすすんでいます。その賑やかな準備のさまを「庫裏の華やぎ」と表現したのが巧いですね。その場面から「寒蜆」へとカットが変わる映像も鮮やかです。
青ベかの地をたづぬれば寒蜆
あつちやん
選者コメント
夏井いつき
選
季語「寒蜆」を描くために産地の名前を詠み込む発想の句はたくさんありましたが、直接地名を詠み込まず「青べかの地」と表現したところに工夫があります。「青べか」とは山本周五郎の小説『青べか物語』ですね。小説の中にでてくる「貝と海苔と釣場で知られる根戸川の下流にある漁師町・浦粕町」は、千葉県浦安市が舞台となっています。若き日にこの地に住んでいたことがある著者の実体験をもとに描かれた小説です。 小説で読んだ「青べか」の地を訪れてみると、なんと見事な「寒蜆」であることよ、というささやかな感嘆。収穫の場を思ってもよいし、市場に並んだ「寒蜆」でも、汁椀の中の「寒蜆」でもよいでしょう。山本周五郎さんの文章もまた「寒蜆」のように滋味深い味わいです。
寒蜆墓標のごとく湖に杭
樫の木
選者コメント
夏井いつき
選
一読、宍道湖の光景を思いうかべました。一句を読めば、「湖」が「蜆」の産地であるに違いないと推測できますし、「寒」の一字が一句の光景を寒々と描き出します。全体がモノトーンの印象になりますので、「墓標」という言葉とも響き合います。
寒蜆集えど音の寂しかり
カリメロ
選者コメント
夏井いつき
選
「寒蜆」の小ささが「集えど」という表現になり、さらにそれを笊で洗うのだけれどその「音」のなんと寂しいことであるか、と畳み掛けます。これも「寒蜆」という季語の持つ側面ですね。 「寂しかり」は形容詞「寂し」の連用形。この形で終わることについての是非は問われることになりますので、一考していただければと思います。強い意図をもってやっている場合も含めて、再確認しておくといいですね。
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