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DIARY

悩み狂った兼題「春着」そして発表、金曜日

2025.05.22お便り

お便りを紹介します。
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●12月20日週の兼題は「春着」、まさに新春正月の晴れがましい季語、この季語を遣う以上、絶対に欠かせないのが「正月気分」、さてどうしようかと考えたが、何をどんな言葉を持ってきても、みんな季重なり、どうすれば「正月気分」が出せるのか悩み狂ったが答えは出ず仕舞いのまま。そして発表、金曜日の特選3句。唯一、一語でそれと思わせたのは「お出まし」を遣った一句、確かにこの言葉は正月とは限らないのだが、春着と重ねたことで、鮮やかな正月の皇居の光景を描き出した、流石と云うべき。他の二句は、直接に正月を表す言葉はないのだが、正月が持つ特有の人の心持、気分をくっきりと表した心理的効果なのである。一つは「水面」、この言葉だけでは何も正月は浮かんでこないのだが、春着を着た人が車から降りる動作のしなやかさと、きりりとした雰囲気が正月にぴたりと嵌まるのである。もう一つの句は「芯」、「背もたれをきらふ」という言葉と相まって、春着を着た人の心持、正月気分を醸し出す。この二句とも、「九十年生きし春着の裾捌き 鈴木真砂女」と同じ発想で、巧みに考えられている俳句なのだ。もちろん夏井先生の評を読んで「そうだな、なるほどな」と思った次第。俳句は「事物の写生」ではあるのだが、その裏に確かな「人間心理」を描くこと、それこそが「詩情」そのものだと、改めて思い直した今回だった。まだまだ修行が足りないな……。/佐藤烏有
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※たくさんのお便りありがとうございます♪ 皆で楽しく読ませていただいています。

写真タイトル:松山城二之丸史跡庭園

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