兼題「水仙」に関する季語の考察をお寄せいただきました。
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●季語六角成分図「水仙」より。(視覚)花びらの楚々とした白、花冠の鮮やかな黄色、濃い緑のすらっとした葉。房状に連なりあちこち向いて咲く。傾げる花首。海岸沿いの群生地、水辺、庭、屋敷。切花、生花、水耕栽培。雪の白、海と空の青。(嗅覚)甘くてすっとした、華やかで上品な香り。寒い戸外では近づかないとわからないが、部屋に飾るとふわりと香る。(聴覚)そよ風、雪の落ちる音。(触覚)柔らかな花弁、厚い葉。(味覚)全草に毒がある。ニラと誤食し嘔吐、下痢などを起こす事例がある。(連想力)清楚、可憐、清らかさ、上品、もの思い、そっぽを向く。ギリシャ神話の美少年、ナルシスト、自己愛。中国では、寿命が長く清らかな様を仙人に例えて名前がついた。欧米では希望の象徴。華道では「冬の花の司」とされる。★地中海原産のヒガンバナ科スイセン属の多年草。傍題に水仙花、雪中花、野水仙など。自生地としては、福井県越前岬や伊豆の爪木崎が有名。園芸種としても人気が高く、英国では1万種以上の品種が登録されているとか。★注意点として、大型の花が咲く喇叭水仙、黄水仙、房咲水仙などは仲春の別季語となる。うっかり音数調整で使うと今回の兼題ではアウトになります。主としてニホンズイセンで考えるべきでしょう。★清らかさ、上品というポジティブなイメージが強い一方、ナルシシズム、毒などネガティブなイメージもあります。親しみやすく、庭やお屋敷のイメージもあり、かなり取り合わせの幅が広いと思います。/碧西里
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※たくさんのお便りありがとうございます♪ 皆で楽しく読ませていただいています。
写真タイトル 国の重要文化財 萬翠荘