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DIARY

季語深耕部 byハイポニスト②

2022.03.29お便り

兼題「雛祭」に関する季語の考察をお寄せいただきました。

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●今回の兼題が発表され、句を作りながら雛祭の起源を調べていきました。主な参考文献⇒角川俳句大歳時記 春(角川書店)・年中行事大辞典(吉川弘文館)・日本まつりと年中行事事典(桜楓社)以上に加え、人形の久月 (kyugetsu.com)など、人形メーカーのサイトやWikipedia等多数のウエブページに依った。上巳の節供・833年に当時の法律の解説書、「令義解」が著されたが、ここに五節供(季節の変わり目)の一つとして三月三日の「上巳の節供」が触れられた。令義解を基準とすれば1200年近く、寛文年間を基準とすれば350年前後の歴史がある。……この年数に雛祭を経験した人々がどれくらいいたか。そう思うと、ぞっとするくらいの類想がありそう。現代に生きる人も、年齢相応に経験がありそうな行事で、類想から離れるのは難しいかもしれない。逆に、類想を土台にし、「うちの地方ではこうでした」「自分や我が家はこうでした」「雛祭にこんな経験がありました」と句を作り、「え!そうなの?」と思ってもらう方が良いかもしれない。▶視覚的に、「誰がいるか・いないか」「いる人の見た目」「どんな空間で行っているか・行われてないか」「(雛を初め、雛祭ならではの物品以外に)何があるか・無くなっているか」「雛祭の映像、画像」など。▶聴覚的に、「たのしいひなまつり」をはじめ、春を題材にした童謡や歌謡曲。オルゴール付きの雛飾り。毬つきやはないちもんめ、ゴム飛びなど、女子が集まって行って遊んでいた時の歌。雛祭の日に集まった人の声、セリフ。屋外の音。料理のできる音やお菓子の袋を開ける音、咀嚼音、ジュースや酒を注いだり飲んだりする音など。▶嗅覚的に、「桃の花のにおい」「窓を開けた時のにおい」「料理やお菓子のにおい」「人物のにおい(化粧のにおい、体臭、酒臭さ、など)」「飾ってあるもののにおい」など。▶味覚的に、どんな料理やおかしがあるか。その味は。季語になってないものでも、ケーキなどのスイーツ、時期限定のお菓子、ジュースや酒、散らし寿司などは類想感がありそう。洋食でも「雛祭にはフライドチキンとかピザとかをデリバリーしてもらっていた」というようなこともありそうだ。▶触覚的に、雛祭の空間にあるものの硬度。また、雛祭の頃は地方によって寒暖差が大きいので、気温や風の感触などもありえるか。▶時間的に、自分や母、祖母、子ども、友達などの、現在・過去・未来のありさま。雛の歴史を考えると平安や江戸、昭和など平和な時代に発展していることなど。・他、これは雛祭そのものより雛人形などの傍題に関わってくるかも知れないが、子の成長を願う思いなど、人形に込められた思い。反対にあるいは飾られなくなった・持ち主が亡くなった・棄てられた人形の寂しさや恨みなど、負の思いもあり得るか。以上を調べて、考えて句を作り、かなりの数ができました。今回は母と雛で、三句投句させて頂きます。/千代  之人

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※たくさんのお便りありがとうございます♪ 皆で楽しく読ませていただいています。


写真タイトル 道後温泉別館 飛鳥乃湯泉_個室休憩室(椿の間)

写真参照元 https://dogo.jp/download

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