季語「立冬」と夜勤。季語のある暮らしを綴ったお便りです。
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歳時記を見ると「立冬」は二十四節気の一つとあり、陽暦ならば11月7日か8日。今年は7日でした。立冬のその日(または、小節までの間)に「冬が始まった」と感じられたことを句にできればいいな、と思っていました。自分の勤務と照らし合わせると、夜勤入りが11月6日、明けが7日。立冬の早朝には定時巡回があり、巡回後屋外の喫煙スペースでタバコを吹かしながら「今朝の冬」を実感できるのでは? 勤務終了後に帰宅して眠るまで、立冬の午前を感じ取れるのでは? そんな思いから、普段とは比べ物にならないくらいポジティブに夜勤に入れました。立冬の朝5時前、定時巡回が終わってホッとしている時間です。喫煙所からは、東の空に雲がかかっているのが見えました。暁から曙に移る時間帯、赤く染まった稜線、染まることを拒むような黒く暗い雲の景。何週間か前の同時間帯の空は、全体的にうっすら明るくなっていて、職場の裏山から鳥の声が届いていたはずなのに、それも無い沈黙。タバコが短くなり、揉み消すと、暖房で温まっていた体が冷え始めていました。一服の間だけでも「立冬」「今朝の冬」を実感できたことに驚きました。もしも、今回の兼題「立冬」が提示されなければ、季節の移ろいを感じようとしてなかったと思います。「あー、夜勤は嫌だ」とか「夜勤が明けた、帰って寝よう」とそんな思いだけで終わっていたことでしょう。心身ともに夜勤が辛いことは変わりありませんが、俳句を通じて季語(季節)を感じ、状況に対して少し前向きになれました。これが、今回の兼題から得られた一番の発見でした。/千代 之人
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※たくさんのお便りありがとうございます♪ 皆で楽しく読ませていただいています。
写真タイトル 道後温泉別館 飛鳥乃湯泉_湯の川(夜)
写真参照元 https://dogo.jp/download