杜の声
山の上のさん
流藻
高山玲徹楚々(沖弦水から変更しました)
吉岡幸一
庭野環石
秋白ネリネ
あいみす
小田緑萌
前田いろは
有野 安津
山田はち
神宮寺るい
織部なつめ
ぽんたちん
この世の果て
可秘跳
摂田屋酵道
ぽちさんぽ
咲元無有
江國優笑
青井えのこ
想予
千の都
ほのぼぉの@蚊帳のなか
東の山
中野 三日月
大橋
河野八葉
あらかわすすむ
キートスばんじょうし
れい
をぎやかなた
郁爺
森海まのわ
真心素秋
千田とまと
尾頭朔江ヱゐチ
平野佳音
小 日音
ギボウシ金森
かいぐりかいぐり
宝塚御殿子
三杏樹
工藤遊子
たかはし千百
侍真満陽陰
多摩川風子
アナミスト
塩の司厨長
なつふじ
山姥和
遠藤波留
高石蓬莱
江南和波
小林昇
あいみのり
渡辺香野
選者コメント
家藤正人選
初級コースの金曜日掲載は中級への昇級の目安。中でも特に目を惹く句についてピックアップコメントをお届けします。
「火の性の耳鳴として花薄 高山玲徹楚々」
火の性は人の性質を表す言葉と読みました。かっと頭に血の上る、火のような生まれ持った性。まだ頭にも胸にも消せない炎が猛っています。柔和な銀色の薄が風に乱れます。胸中の熱に炙られるようにざわざわと鳴る薄。その音も気に食わない耳鳴りめいて心を引っ掻き続きます。
「いたいって今きづいたの夕すすき 山の上のさん」
薄の葉で手足を切ってました……なんて読みでは単純すぎて面白くありません。自分の心の痛みへの気付き、だと読みたいなあ。心があげていた悲鳴に気付き、誰かへ話す。あるいは夕陽の色に染まるすすきに語りかけているのでしょうか。口語でぽろりとこぼれ落ちる切なさ。
「芒刈るやちさき馬頭碑あらわるる 杜の声」
「馬頭碑」はとくに馬を供養し、無病息災を祈願する馬頭観音碑でしょう。農耕や畜産を続けてきたであろうこの土地の背景が察せられてきます。丈高い芒を払って碑が現れる静かな驚き。下五の連体形「あらわるる」の後の空白がハッと息を飲む感覚を追体験させてくれます。
「橋渡る僧はせわしや土手芒 流藻」
白いキャンバスに言葉が一つ一つ映像を生みます。まずは橋という舞台が現れ、次に僧が登場。その忙しげな足取りを俳諧味たっぷりに詠嘆するやいなや、カメラのレンズを緩めるように映像はぐぐーっと画面手前へと引き、作者の立つ土手へ至ります。こうして生み出された映像の奥行きを芒が満たします。遠近感の作り方が上手い!
いずれもお見事でした。自信がついたら中級にもぜひ挑戦してみましょう!