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初級者結果発表

2022年8月20日週の兼題

【曜日ごとに結果を公開中】

【入選までもう一歩】

選者コメント

家藤正人

みなさまこんにちは。初級の選者、家藤正人です。

月曜日は、入選にもう一歩という句をご紹介します。


・月曜日の「選者コメント」に掲載されている俳句については、作品検索はできません。

・月曜日の「ステップアップのためのヒント」に掲載された句、入選句、優秀句については作品検索が可能です。


月曜の「選者コメント」や「ステップアップのためのヒント」を参考に、目指せ金曜優秀句への道!!


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▼【季語なし&違う季語】

蕉翁の跡まで消すか夏嵐

岡田 英明


血圧計の影きんもくせいの空

加藤直瑶


虫の音に季節の狭間感じけり

我 何者


女王を送るがごとき秋の虹

富島松五郎


ひぐらしよなごりおしいやうろこぐも

麻座輝貞


三日月のうっすら照らす盆祭り

酔芙蓉


百日紅風に吹かれて天高く

清原三余子


朝の道青穂横に見頬に汗

播磨単身森


早よ起きて枕にそよぐ青芒

純々


人間の正体見たり枯れ尾花

中平保志


枯れ芒夏の風跡付いたまま

永山良喜


銀色の光の中を枯れ芒

陶豪


風に抗ひ姿勢を正す枯芒

富樫 幹


逃亡者忙の穂先で怖がりぬ

時間餅


火の川に無量のいのち原爆忌

おくいずも


リリリリリ邑や聴こえるめざましよ

大門 涼


●ピックアップコメント:

季語の入ってない句や違う季語が入ってしまっている句をピックアップ。

惜しい例としては「青芒」や「枯芒」の投句もありました。同じ芒ではありますが、青芒は夏の季語、枯芒は冬の季語になるのです。一つの植物が季節の移ろいと共に季語の表情を変化させているということですね。

その他、前回の季語「原爆忌」が届いていたり、芒を間違えて「忙」と入力している例もありました。いろんな意味で惜しい!

俳句ポスト365では毎週「兼題」と呼ばれるお題を出していますが、季語が出題された場合はその季語(あるいは、その季語の傍題)を必ず詠み込む、というのがたった一つのルール。

各回の出題に全員が取り組むことで切磋琢磨を目指しております。

今募集中の兼題は、11月19日締切の「立冬」です。ご投句お待ちしてます。


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▼【五七五七七?】

道端の芒見たくて立ち止まり往来気にして自転車寄せる

海野康代


●ピックアップコメント:

五七五の俳句としてはいささか音数が多すぎます。数えてみると三十一音。ずばり五七五七七の短歌のリズムを取っております。

俳句ポスト365では短歌の良し悪しは判断できませんので、短歌を取り扱う投稿先をお探しの上、そちらへの応募をおすすめします。

「専門は短歌だけど、俳句も始めてみたい」という場合はもちろん俳句ポスト365への投句歓迎であります。まずは基本の五七五有季定型から一緒に始めて参りましょう♪


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▼【季重なり】

散歩道涼を感じる秋の芒

ストックホルム


静かな夜薄原で鈴虫が鳴く

セロ弾きの早川


月あかり境内でヨガすすきゆれ

ただのごろちゃん


芒なりお月見団子と芒なり

ぴょんばぁ


秋深し銀から金へすすきの穂

みちくさQ幸


日盛りの芒の波の黄金色

柿野多音


芒立つ外冷房と眠る昼

高崎午後郎


風そよぐ芒が揺れて秋風情

佐藤はつ


夕焼けに遊び疲れて芒原

散歩雲  佐藤敏明


秋の宵月に照らされ芒燃ゆ

詩太郎


秋の川遊ぶ子もなく芒立つ

上殿のおチイ


西日に靡く黄金色の芒よ

神谷元紀


冷たい風今も昔も凛と芒

青風ヨシユキ


金色の垂れたる稲穂背伸び芒

切磋琢磨


三日月や芒は山に隠れけり

藤野ふみ


秋の道下を見下ろすすすきかな

美野


芒。秋にしか見えないその黄金色

望月美希


芒風一服の涼遍路旅

裏道旅人


十五夜のススキを刈りに多摩川原

蓮花


月光の零れ種なり芒かな

結城ユク


●ピックアップコメント:

一句の中に複数の季語が入っている状態を季重なりと呼びます。

芒がはらりと垂れている姿は「ザ・日本の秋」「わびさびの秋」な雰囲気がありますよね。その空気に流されたか、「秋」が季重なりに多数登場しております。イメージが湧きやす過ぎるのも時に困りもの?

季語が複数入っている名句もあるので、「季重なり」は絶対にダメ! というわけではありませんが、複数の季語を作品として成立させるのは、上級者コースのウルトラ技。まずは、一句一季語からコツコツ練習です。


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※今回の兼題「芒」初級者投句欄へのご投句は、投句数3874句、投句人数1614人となりました。

以下の句は入選決定!

金曜日「優秀句」へのステップアップのためのヒントをご案内します。


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▼【類想】

げんかんにすすき三本かざる夕

HYSマン


手を引いて母と歩いたすすき原

Mat ひめりんご


沈む陽や染まるススキにカメラ向け

tokisan


風強し芒の海にのみこまれ

エマーシャばあば


芒原駆けるワンコに穂並みゆれ

お散歩じいじ


杖ついて母娘で散歩すすき道

お城好き


ふるさとの畑いちめん芒の穂

からすちゃん


辿りつく夕日借景芒かな

キタサン


縁側のビールのそばに芒立つ

シロクマ太郎


夕暮れの灯りに揺れる芒かな?

しろたくまこ


芒活け縁側を夜へ開け放つ

だいやま


主なき隣の畑芒揺れ

たかだやま くみ


夕月に照らされ芒銀の華

たかた女


うねうねと芒の原を風およぐ

だだちゃ豆


秘密基地目印はあの芒なり

ところ啓泉


散歩道明かりに浮かぶススキかな

トラマロ


夕暮れの朽ちる廃屋すすき原

なかの巡界


過ぎし日の少女佇む芒原

ななかまど


夕暮れの崖の穂芒項垂れて

なみ夢めも


主無き家を呑み込む芒かな

にいやのる


里山に芒蔓延り術もなし

ビッグネット


てのひらの皮を切りたる芒かな

ひめのつばき


芒ゆれ両手を合わせ白団子

ピョン吉 龍


帰り道ススキと吾子とゆらゆらり

ふくまる


無人駅ジュースの瓶の芒かな

むらたふみ


日が沈む風にたなびく芒の穂

やのかよこ


すすきはら見渡す限り風のなみ

ゆうき百倍ミイコ


道端の芒を一つお土産に

ゆうとん&ぺーしん


芒活け開けっぱなしの縁で待つ

阿波ノコスモス


芒原消えては見える赤帽子

阿波の安藝


何のその風吹くままに芒原

阿部晴子


芒手に戯れし頃友ふたり

葵 きよみ


ホームランぼーるの消えし芒原

渥美一弥


みぎひだり芒の続くバスツアー

伊達紫檀


芒持つ手が汗ばんで母と笑む

伊藤足


生い茂り月待つ芒風まかせ

伊豆大黒


芒の穂持ち歩く子らしたり顔

伊豫のかずお


芒道かきわけ走る女の子

加茂イクコ


芒振り土手をカラコロ影法師

夏つばめ


銀色のすすき野右にバスに揺られ

花とわこ


雲流れススキ揺れるや無人駅

花根ひろこ


芒原童笑いしせいくらべ

華姫


部活あと夕日に輝く芒原


あぜ道で風にゆれてる芒かな

海原


大振りに夕風招く芒かな

皆月暮穂


白球と秘密呑み込む芒原

角野角子


芒つむ今宵の晴れを願いつつ

柑たちばな


芒の穂揺れて童が見え隠れ

丸谷 有登


アレコレと心を揺らす芒かな


車窓から同じに揺るる芒かな

鬼塚樹童


夕陽うけ芒の波のたおやかさ

久間 いたる


幼き日芒掻き分けかくれんぼ

金田由香


黄昏の富士に波打つ芒かな

空車


頬の傷芒の群れに秘密基地

月山 蓮


ススキ揺る車窓は旅のエピローグ

研亭


耕作地人の手離れすすき揺れ

古井彩湖


亡き父を芒をみると思い出す

戸田なお


月光に白く波打つ薄野や

湖上蓮花


夕茜芒の波を照らしけり

吾亦紅


日差し受け輝き競う芒かな

吾亦紅也


犬と吾芒掻き分けいざ行かむ

行燈 ぽん


気が付けば休耕田には芒揺れ

高崎怪人


我と子と風と遊びし薄原

高本蒼岑


縁側に芒こぼれて母の影

黒岩 美路


故郷の月よに白く立つすすき

佐久間 itsusa


夕暮れに見渡すかぎり芒の野

佐伯良吉


主人なし更地のススキ露はねて

笹原あゆみ


芒原見えつ隠れつ子の頭

山口直哉


団子なき今宵もてなし芒かな

山辺道児


果てしなくうねりうねって薄原

七国独楽男


すすきの穂かき分け進む吾子を追ひ

住田 赤鈴


芒刈りずんずん進め秘密基地

緒里乃


誇らしげ手には手折りし芒かな

小鳥乃鈴音


夕空に映える芒や備前焼

小林浦波


幼き日芒跨いで魔女となる

松山


朝もやの阿蘇のふもとの芒波

松山女


散策に二人に沿うてすすきかな

松瀬章章


旧家には備前の壺の芒かな

松川 里甫


艶めきて風に撓垂る芒かな

松本ひとみん


何処へ行く芒の中の白球よ

新井初夢


お供えの団子芒に憧れて

神戸 美優


予定地は放棄地となり芒原

水谷豊海


強風を受け流したる芒かな

水谷未佳


芒手に家路を急ぐ童かな

晴耕雨読


すすき野は風のタクトのシンフォニー

西村遥樺


病室の窓に広がる芒揺れ

西野今日花


黄金の芒野吾子の声走る

西野桃果


青天に背伸びの子らと芒かな

石黒久美子


輝きて揺れる芒や音もなく

石塚としこ


裏山でやっと見つけた芒二本

石澤遊嶽


すすき花野原一面銀世界

泉 恵風


暮れ方の芒が原に風の道

泉 明窓子


芒撫で召されし犬を懐かしむ

早川 微睡


芒折る指に細き血滲みたり

谷川 智空


すすきの穂染まって舞うや茜空

池の富士


山野辺を芒と共にハイキング

中井 昌太


あの道の芒よ今や住宅地

中川 泗水


和やかに風吹きすぎて花薄

朝日雫


ボール何処芒ワサワサ目隠しす

町乃 磯鵯


寂しげにお墓にポツリススキ株

長宗夏羽


風渡り芒の海に呑まれ居り

長嶺阿蘇


登校の手に手に子らはすすきの穂

天道虫


芒野に一人佇み風となる

渡辺白萩


川原の朝日に透ける芒道

渡邉 まつぼっけ


あー又か芒の根本ボール捜し

桃好き


よじ登りだんごのためにあの芒

湯原るるか


芒つけ戻る子を見て季節知る

藤江南瑠


芒の穂夕陽に染まる帰り道

藤村一寿


砥峰にさわさわさわと芒かな

藤田陽太


ひかり浴び芒たなびく歩道橋

藤野佐和子


夕日受け宝石のように見ゆ芒

南全星びぼ


仏壇の父に逢いたし芒かな

馬凛


お迎えの父とスキップ芒道

白井猫


嵐過ぎ夜風を聞くや薄原

八十爺


抱え来た母の笑顔と芒の穂

八重やまぶき


まどろみに芒を撫でる風の音

八田絵砂


庭芒散歩の我の顔擦り

尾木 李然


夕暮れの電車に揺れる芒の穂

富樫杏


どこまでも車窓を流る薄かな

富吉


もういいよすすきのはらのかくれんぼ

武智浩


子等の玉行方は芒か葦の藪

聞亭圭輔


草原でサラサラ揺れるススキかな

平谷 河女


仙石原芒を箒と笑う子ら

泡水


高原の波立ススキ夕日映え

芳明


芒野の仙石原に帽子列

房総たまちゃん


薄野や迷い込む球子らの声

北欧


流る風はらり黄金の芒原

満博


この家も空き家となりし芒かな

鳴滝いたち


金銀の中洲の波や夕芒

茂木りん


芒の間僕は参謀秘密基地

目白宇多丸


鬼ごっこ芒の土手を駆けあがる

野点さわ


幼き日芒束ねて魔女になる

野本 ゆな


かっこつけ芒の剣でポーズとる

落合ペコ


ススキ原風の波かな隠れんぼ

立町力二


在りし日のあの夕暮れの芒かな

塒 小判


廃れ地の今ここにある田の芒

廣岡弘優


逆光に輝く芒は金色に

齋藤鉄模写


薄野の仙石原は黄金色

翡翠


帰らばや芒の揺れる故郷に

閖上葉司


縁側や芒の隣に親子かな

槇まこと


●ピックアップコメント:

体験のある季語な分、日本全国から共通の体験という名の類想が集まってきております。家族との思い出や子どもの頃過ごした記憶に登場する芒の姿もあれこれ。あるいは郷愁や寂しさのイメージが先行した結果、似た言葉選びになってしまったケースも散見されます。

たくさんの類想を見ることによって、自分の中に類想のデータベースが構築されていきます。今回見かけた発想のおかげで、陥りがちな類想も避けられるようになるかもしれません。


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明日から火曜日、水曜日、木曜日、と入選句を発表します。入選句の評価は火、水、木(ステップアップのためのヒントに掲載分も含む)ともに同じランクです。順不同での掲載です。

そして金曜日は、初級者投句欄の優秀句発表です。

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