緩木あんず
川屋水仙
サーモン
喜祝音
浜小鉢
梅津桜子
秋野しら露
松田あひる
霧島ちかこ
浅河祥子
わすれ傘
遠藤玲奈
村橋 桂
かりそめのビギン
佐藤志祐
岸 小広
モンヌ組 宮本モンヌ
笹原あゆみ
アポカリプス
谷川炭酸水
木野桂樹
蝦夷やなぎ
野口雅也
白神ハムサンド
わかこ
だいやま
唯果
田村美穂
松和み
芋一
月待 小石
桂子
美羽烏子
あいまい もこ
クロウメモドキ
いつき組チクチク慶
小藤たみよ
晴鍬旅人
さかい佳乃
東美節子
松本ぐれみん
遊木葉子
いまいやすのり
粒野 餡子
美佑紀まい
葱ポーポー
仁成
尾頭朔江ヱゐチ
春蘭素心
白月 かなで
神島六男
花星壱和
かい みきまる
小田緑萌
松山ぴの
羽織茶屋
渡辺 あつし
ふくろう悠々
中山黒美
阿部蓮南
ティアラ文緒
いぶき9才
うぃーくねす
渥美一弥
カワムラ一重
空地ヶ有
月城龍二
高村かな
朱久瑠
スターマンの息子
たきるか
さきとみつきのジジ
月野うさぎ
矢橋
秋白ネリネ
田中つきひ
いその松茸
石井茶爺
すずき 弥薫
山樫梢
えちご散ざん
義勇和爾丸
ささひので
選者コメント
家藤正人選
初級コースの金曜日掲載は中級への昇級の目安。中でも特に目を惹く句についてピックアップコメントをお届けします。
「巻き上げる錨に立冬の火花 喜祝音」
鮮度とスピードのある映像が十七音で展開されます。何百キロとある濡れた鎖が海面から凄い勢いで飛び出してきます。次々と巻き上げられる錨の鎖。接触と摩擦でガリガリと散る火花。その火花は「立冬の火花」であると知覚する視線に詩があります。まだ秋の気配を残しつつ、冬らしい冷たさがたしかにある「立冬」の一場面。
「立冬の看取りの床の洗面器 緩木あんず」
淡々と映像を描きつつ、その奥には静謐な哀しみがあります。最期にあって、看取られる者と看取る者とが共有する切々とした時間が「立冬」という季語に凝縮しているような切なさ。湯を張り温かなタオルで身を清めもしたであろう「看取りの床の洗面器」がポツンと眼球に映ります。
「けふの夜は冬に入るなりちぶさの香 川屋水仙」
「ちぶさの香」をどんな場面と解釈するか。子に乳を吸わせる母親にも思えるし、働く女性の生活実感とも思えます。個人的には後者の読み。けふ一日の労働を終えて、夜。冷え込みから厚着をすることも増える時期でありましょう。脱衣場で服を脱ぎ、ふわっと霧散する自らの香り。むき出しになった肌を刺す夜の冷たさは間違いなく冬に入ったそれであります。
「立冬や新しい芽と寂しい木 サーモン」
立冬の冷たさの中で対比される「芽」と「木」の姿。「新しい」「寂しい」の口語表現に対して、「立冬や」の「や」は、文語の詠嘆として使われているのだろうと推測します。「や」の強い詠嘆で打ち出した季語の世界の内側で行われる私的対比。
いずれもお見事でした。自信がついたら中級にもぜひ挑戦してみましょう!