樋口滑瓢
田村ヒロミ
織部なつめ
八田昌代
九重かずら
朱胡江
かねつき走流
こぐまたいぼく
玉家屋
sodeco
山田どゞこ
トラヴィス・ビックル
桜木レイ
こてぬぐい
鈴木古舟
清瀬朱磨
小 日音
すずき 弥薫
春村実季果
美竹花蘭
霧潤(むじゅん)
蝦夷の子
竹八郎
生田萩の
吉河好
ギボウシ金森
かまど猫
金子加行
真心素秋
ねうねうこ
みくにく
垣我実
井出譲
小田緑萌
時小町
アクエリアスの水
岡 草紅葉
浜小鉢
傘子
滝上 珠加
ふるしょう福花
近江菫花
南 楕円
齋陽花
周防の兎
池弘庵翁
猫舌扁平足
杼 けいこ
髙倉光
細川鮪目
瀬戸 岬
成瀬理子
笹倉沙希
おでめ
風来坊健丸
草秋桃源
鷺沼くぬぎ
つばさ
鉄腕二十八衛門
ならば粒あん
満生あをね
風かおる
とおやまみえこ
延邨佳直
潮ベルト
田川泥舟
章@ノエル
PONホンダ
水取 象
釋 北城
北青山晋
前田いろは
米山
舞童あづき
豆柴
永井うた女
喜祝音
袋小路 綴乃
選者コメント
家藤正人選
初級コースの金曜日掲載は中級への昇級の目安。中でも特に目を惹く句についてピックアップコメントをお届けします。
「血は赫し花冷の絵金のをんな 織部なつめ」
絵金とは、幕末から明治初期にかけて活躍した土佐の町絵師。極彩色の芝居絵はおどろおどろしくもあり、特に血赤と呼ばれる赤色は観る者に強烈な印象を与えます。上五「血は赫し」の言い切りから始まる一句の世界もまた同様。芝居絵の中の「をんな」が流す「血」の鮮烈さに捕らえられた作者の心。絵に相対する空間を包むように「花冷」の艶やかな冷たさが満たします。
「草の色淡し花冷えの草すべり 田村ヒロミ」
「草の色淡し」から始まるカメラワークが的確です。晩春の草の、若々しさから濃い緑へと移り始める頃合いの表情。「淡し」の言い切りがしっかりと映像化してくれます。続く「花冷え」はその場のあらゆるモノと空間の温度を少し冷たくします。花冷の草を潰し、冷たい空気を突っ切っていく「草すべり」はなんと気持ち良く楽しいことでしょう。滑る速度がさらに一句の世界の新鮮さを増します。
「花の冷あをき焔の角砂糖 樋口滑瓢」
炎色反応の実験かと思い調べてみましたが、全然違うものが出てきて驚きました。おそらくここで描かれている場面はカフェ・ロワイヤルというコーヒーの作り方。ブランデーを染み込ませた角砂糖を専用のスプーンの上で燃やし、混ぜる。なんともお洒落な飲み物です。あをき焔と共に立ち上るブランデーの芳香と、食い入るようにその様を観察する俳人の眼。花冷と取り合わせるバランス感覚も◎。
いずれもお見事でした。自信がついたら中級にもぜひ挑戦してみましょう!