俳句ポスト365 ロゴ

初級者結果発表

2023年2月20日週の兼題

花冷

【曜日ごとに結果を公開中】

【入選までもう一歩】

選者コメント

家藤正人

みなさまこんにちは。初級の選者、家藤正人です。


月曜日は、入選にもう一歩という句をご紹介します。

・月曜日の「選者コメント」に掲載されている俳句については、作品検索はできません。

・月曜日の「ステップアップのためのヒント」に掲載された句、入選句、優秀句については作品検索が可能です。

月曜の「選者コメント」や「ステップアップのためのヒント」を参考に、目指せ金曜優秀句への道!!

---------------------------------


▼【季語なし&違う季語】

菜の花や威張らないよと自己咲かし

sakuramasu0715


桜と続く八重桜友の面影

あおきり みほこ


晩春職員多忙コロナかな

ウーデゴール


さらば母よ桜前線とともに北へ

けだまオポチュニティ


春風心踊るワクワク肌に触れ

ながリン


花曇り荒れし手に降る雪一片

安住本栖湖


緑葉の日にきらめきて春の冷

一泉


桜みる一吹きの風に花冷えて


晩春に養護施設を去る不安

花かほり


「また明日」晴天の下卒業す

花森咲蘭


にほひなく無言で集う落ち椿

花沢 迂人


風吹いて花見するのも寒すぎる

海原


遅桜伊予の彩り髪飾り

金地院 殿鬼


老いの手にキラリマニキュア花の宵

恵月


衣替えポケットに昨春のマスク

才川眞猿


厚着して桜観ている老夫婦

時間餅


陽がたかくまばゆい頃合い晩春かな

春風


開花待つ晩春余命と聞かされて

小林馨


風光る回転木馬はスカートのキミ

水上藍


寒空に昔なじみの桜の木

西宮 ケイ


春の昼珈琲冷めて目が覚めて

青桜


晩春の名残惜しむ時をいく

村上水無月


春やこい。三羽鳴く磯鵯

大阪 泊


春風と言えど急かせる八十路を

藤の棚


冬の精旅立つのかとハグをする

野々原雀


ひとしれずことしもさいたふゆざくら

緑草平


転勤ハガキ飛脚が早いぞ郵便局

ちゅうしん


橙の岩に溶けし我愛すかな

水無月


ふくらはぎつる坂上の枝垂れかな

数景三水


コロナ明け人々集う一分咲き

二乃腕修正


●ピックアップコメント:

季語の入ってない句や違う季語が入ってしまっている句をピックアップ。

「花冷」は春の時候の季語。桜の咲くころ、急に冷え込むことがありますが、これが花冷です。

ピックアップに挙げた句のなかには、厚着をして桜をみていたり、寒さを感じる頃に桜があるといった内容の作品があります。花冷の頃の気候を作者は感じてはいるのですが、肝心の兼題「花冷」という季語を詠みこんでいません。こうした場合は選外になってしまうので注意しましょう。

俳句ポスト365では各回の出題に全員が取り組むことで切磋琢磨を目指しております。

今募集中の兼題は、5月19日締切の「麦の秋」です。ご投句お待ちしてます。


---------------------------------

▼【季重なり】

花冷えにふるえる花見酒すすむ

Q幸みちくさ


花冷す熱燗啜る露天風呂

かげろう


花冷に凛と佇む新入生

キキとララ


花冷の彼岸参りは雪の果て

ロミ


花冷に母へ手いっぱいの落桜

一立十


草笛を夫と今年の花冷えを

沖 若永


花冷時桜を見つつ冬帰り

花冷時


花冷えに熱燗一献ほほ染まる熱燗に熱燗一献ほほ染まる

京女


花冷も燗で楽しむ花見客

九塚 光星


梅桜宴会の前に花冷に

君塚謙


花冷の入学式のリボンゆれ

恵翠


ホッとすも風邪呼びもどす花冷や

彩李緑


花冷えや二年目のストーブ薪をくべ

三谷あいこ


花の冷え花びら一輪苔玉に

寺尾銀次


花冷えの中で楽しみサクランボ

松岡聡美


花冷えや夕暮れ富士はかすみたり

須藤 松栄


花冷に慌てふためきシネラリア

斉実篤


花冷に2時間走って夏が来る

石出雅英


花冷を暖め陽春冷やすヒト

大澄遥


花冷や馬鈴薯2キロ母と植え

田島 さえこ


花冷に温燗の猪口おつまみと

島田モンブラン


花冷の孝子桜に親思う

東行


花冷や曙光の校舎息白し

陶冶


えいちさんはなびえあとはさくらさく

日本人


花冷えの店頭並んだ蓬餅

八迷琴柊


衣替えニット片付け花冷えよ

北壱ぐらす


ぎこちなき花冷の入学式

北欧


月明り愛でて燗酒花冷や

柳原甲賀


花冷えや肉球冷た我が子猫

Ms. ちょこっと


花冷の色は花よりつよい色

すげがさ


花冷や寒さ経てこそ咲き誇る

たんぼっぽ


花冷や雀も小声で懐手

ロストボール明神


花冷に満開の花メジロおし

釜 春典子


花冷えや寒くはないかと問うてみる

湖上蓮花


花冷や騙し討ちかと花と我

虎の尾


花冷えやあの日つないだ熱懐炉

高瀬小唄


花冷に流すメダカは亡骸か

石巻のふみちゃん


花冷に安売りおでんあとひとつ

壇句芭介


あかぎれの癒えて開いて花冷ゆる

土井ヨドー


花冷えて霜焼け痛しもどかしき

島田 志風


玄関に香る鋤焼き花冷えや

富士崎広海


花冷やマスク外して笑顔かな

山野 のりこ


●ピックアップコメント:

一句の中に複数の季語が入っている状態を季重なりと呼びます。

季語が複数入っている名句もあるので、「季重なり」は絶対にダメ! というわけではありませんが、複数の季語を作品として成立させるのは、上級者コースのウルトラ技。

季重なりを成立させるテクニックとして「季語の強弱をつける」方法もあります。「花冷や」と詠嘆するなど、強弱をつける意図を感じる句もあるのですが、バランスの難しい技です。

ここに紹介した以外にも季重なりの句はあり、火曜日以降に紹介される場合もありますが、比較的許容しやすい季重なりとして受け止めています。

やはりまずは、一句一季語からコツコツ練習して参りましょう。


---------------------------------

▼【入力にはお気を付けて】

息ずかいメガネ曇らせ花冷えや

池ばーちゃま


マニュキアは黒花冷えのクラス会

とりゆふ


車椅子老ひし子の推す花の冷え

カシワン


●ピックアップコメント:

投句フォームから投句をお送り頂くにあたり、入力や変換のミスが起きてしまっているケースもあります。

「息づかい」の「づ」と「ず」を混同するケースや、つい正しい発音がわからなくなってしまう「マニキュア(manicure)」など外来語の例も。

カシワンさんの場合は2つの点を挙げてみましょう。一読意味は通じるのですが、「推す」と「押す」など、同音異義語の変換ミスかも? と考え込んでしまう部分もあります。

年齢を重ねた我が子が「この車椅子が使いやすいよ」と推薦してくれている場面を表現したかったのであれば、現在の形が正しいのですが……本当は「子どもが車椅子を押してくれている」場面を描きたかったのであれば、「推す」の表記によって、本来表現したかった内容と文字面が食い違ってしまうことになります。

もうひとつ、「老ひ」の正しい表記はハ行でなくヤ行の「老い」という点です。国語辞典や古語辞典を根気よくチェックしていきましょう。

悲しいうっかりミスを防ぐため、投句の前には今一度投句内容の見直しを!


---------------------------------


※今回の兼題「花冷」初級者投句欄へのご投句は、投句数4386句、投句人数1843人となりました。

以下の①、②については入選決定!

金曜日「優秀句」へのステップアップのためのヒントをご案内します。


---------------------------------

▼①【三段切れと言われないために】

花冷やエンジンの音田の香り

河島はるちゃん


●ピックアップコメント:

俳句の世界で忌避されやすい手法に「三段切れ」があります。ぶつぶつと言葉が途切れてちぐはぐな印象を与える場合があり、扱いの難しいテクニックです。

河島はるちゃんさんの句では「花冷や」、「エンジンの音」、「田の香り」と三箇所に切れがある形。この状態を三段切れと呼びます。

三段切れを解消する単純な方法としては、上五と中七、あるいは中七と下五を繋ぐパーツをひとつ足せばOKです。

「音(おと)」を「音(ね)」と読み替えれば一音分の余裕が生れます。その一音で助詞を足してみましょう。


花冷やエンジンの音と田の香り


並列の助詞「と」を中七に足すことで、中七と下五が繋がり、三段切れの状態は解消されます。

ここからもう一段ステップアップする推敲としては、


花冷やエンジンの音に田の香る


とする可能性も残されています。

名詞とも動詞とも読める下五「香り」を「香る」にすれば読みの可能性を一本に絞り込め、誤読を防ぐことができます。


---------------------------------

▼②【類想】

俳句づくりの上での思考や発想が似通ってしまう事を「類想(ルビ:るいそう)」と言います。


花冷えの朝ぞ蕾は膨らみて

こがね男爵


花冷えし服に悩みし時間みる

アボカドブロッコリー


花冷や迷わず握る君の手を

あらまち一駒


花冷の二度寝嬉しき日曜日

うめのうぐいす


花冷に悔い蘇る父遺影

おぐらゆうた


花冷えや母の逝きたる年齢に

かこちゃん


半袖じゃなくて長袖よ花冷

かさぶた2コ


花冷えのつぼみ固めて風に立つ

かなこ


花冷や震える一輪肌白く

かめよかめ


花冷えや地蔵にそっと羽織らせて

きさらぎ


花冷や人人人の歩の狭さ

クウシンサイ


花冷や父の二十三回忌

コキア


花冷や一人の生活五年過ぎ

さこたゆう


花冷の朝やスカート丈に迷う

ザザザムシ


花冷や寄せ合う肩のありがたく

すき間梅緒


花冷えや卒園写真足踏みす

タカハシネコミサ


花冷や肩すくませて千鳥足

タツキ ヨシコ


亡き母へ花冷えも刹那悔いは無し

ちゃー


花冷や緩めし蕾締め直し

ビックネット


花冷えやラストメイクにしのび泣き

ピョン吉 龍


花冷に君の掌あたたかい

ひろいそら


花冷えやお洒落は先取りがまんがまん

ふくまる


鳴るヒールとゆれるスカートと花冷と

ふじかわ むり


花冷やピンクグレーの散歩道

ほりかわとみ


花冷えや心閉ざして部屋の隅

まこと(羽生誠)


角打ちのぬる燗うれし花冷

まさえ


花冷やそぞろ歩きも早足に

マダム愛和


花冷えの祖父の命日灯す火や

まつやま孝子


花冷や母の白き手包み込む

みつき 夏


花冷えや君恋ふ朝の一番茶

みっちゃん


花冷えを感じる胸に思い多々

みみ


花冷のコイン通りをハイヒール

メガネ男子


花冷えを浮かべ呑み込む冷やの酒

メ之下クマ子


けっとばす毛布を戻す花冷です

やまだだだ


花冷えや人もまばらな地蔵池

ヨシキ浜


老夫婦肩よせ会ひて花冷や

よつ葉


花冷えの散歩や妻の手を取りて

リンダ凛々


花冷えの遥か彼方の戦地かな

阿部晴子


川堤花冷えの頃並ぶ蓙

愛生園風来坊


咲き誇る花冷の空鮮やかに

渥美 さや香 


花冷や背筋ピーンとハイヒール

案山子の鹿か


花冷や湯気たちのぼる露天風呂

伊吹山 青龍


花冷や露天に浸かり旅気分

伊東まる


友来る一服いかがと花の冷え

井口幸嬰


花冷に蕾固まる我が心

井上教


花冷や廃墟となりし遊園地

一雁低空


花冷えや街路の樹々も身震いし

稲城 蒼海


花冷えで膨らむ蕾約束は

影夢車亜


ポケットの手を出し握手花冷や

永田みゆき


花冷えの墓前にそえる発泡酒!

永峯星雲


花冷に散歩急かされカメラ手に

加藤理恵子


四十九日花冷に数珠ひんやりと

加藤恋入


花冷や無口な君のさしだす手

夏 しのぶ


花冷やピンクのダウンまた羽織る

河 孝


花冷やブルーシートの人ひとり

河一子


「じゃぁ」とだけ出発ロビー花の冷え

華風ルナ


花冷に何を着ようか迷う朝

海笑里


ポケットの重なる手と手花の冷え

苅桜守


花冷の旅立ちきばれ青少年

丸岡彩映


花冷えに布団をちょっと近づけて

丸孤


そっと肩引寄せられし花の冷え

岩清水 彩香


花冷えや外ドアノブのひゃっこさ

鬼塚樹童


子等も去り花冷えの家二人きり

菊川寝ん猫


花冷や祖母の上着を母に着せ

吉田 ルイ


花冷えて君近寄りし土手の道

吉田行朋


慰労会今夜は花冷え酒うまし

久世越仙


花冷やブルーシートを敷きし陣

宮原麦酒


花冷や休憩所での熱いお茶

球子


花冷えの家路を急ぐ猫ジャンプ

京野ののか


花冷えの中見上げもせずにそそくさと

金子恵


花冷や新居の荷解き我ひとり

空車


花冷えや巣を出た君に祝電を

空地ヶ有


花冷や夫に身を寄せ篝とし

栗花落カナヲ


水仕事まだ湯を出させる花冷か

桑村 かなえ


花冷の朝に孤独と向かい合う

郡山ジョンソン


花冷に薄着の子らの声高し

桂 歩


回り道花冷えの夜は赤のれん

古牡丹


花冷ゆる肩寄せ合った宴かな

古谷芳明


花冷えのポケットの中繋いだ手

後藤 もこと


花冷や旧友と呑む温かさ

好文亭偕楽


花冷えてスカーフ探すピンク色

康寿


花冷えや袖口伸ばしひとりきり

江沢京子


花冷えや心もちょっと冷えて夜

荒星笑石


電車待つ花冷の朝ポケットの手

行雨流水


花冷えやファスナー締めて足早む

高崎怪人


花冷えの大樹鳥団子になりぬ

黒猫はなこ


ほろほろと花冷肴に手酌酒

佐久太郎


花冷えや離れた心すきまかぜ

佐藤 竜二


花冷えの朝や旅立つ息子

佐藤 蜩


花冷や露天の風呂の湯のけむり

佐藤夏みかんの亭主


たわむれる猫の毛並みと花冷えよ

斎藤コロンのママ


花冷えの朝スカーフと急ぎ足

笹原あゆみ


花冷の証書抱える晴れ着の娘

薩克期風


晴れの日に袖に隠す手花冷えか

皐月蓮


地下鉄を出て気がついた花冷に

三杏樹


花冷にひらりひとひら母の膝

三宮香棆


握る手は花冷なのに温かい

三粂 二乙


花冷や握る孫の手暖かい

山ざくら


花冷に白き稜線輝けり

山姥和


花冷や発熱シャツがまだぬげず

山元ひかる


花冷えに野良着重ねて畑仕事

山口 笑骨


色を吸い花冷の雨京の都

山川 一露


花冷えに仕舞ったコート引きずり出す

山太平


花冷えの午後ふくれた鳩の通勤路

山田 梯子


花冷えや思わず両手ポケットに

山田桜


花冷やコンロを囲む蓙の上

山辺道児


証書抱く帰路の花冷もただひとり

山本慎之介


華やかに咲き誇りしも花冷や

山﨑風花


手を繋ぐ口実くれる花の冷え

四王司


花冷の法事の母に羽織り物

市川こけもも


花冷えに一人官舎で手酌酒

師走 竹万


花冷や熱い紅茶と歳時記と

志古女


花冷や君のゆびさき袖の中

篠咲洽


花冷えやスカーフそっと首に巻く

柴田あやめ


花冷のつぼみ輝く朝日かな

柴嶺水


花冷えや三十路で逝きし君の頬

紗凡


花冷えや酒酌み交わす連れ二人

取渕靖志


花冷えにマスク無くなる危うさや

樹藻ころ


閉店の続く町並み花の冷え

秋葉 翠


花冷えや都会へ発つ子見送りし

出島 蘭


花冷やひらりひとひらファーの中

春日藤花


花冷えや熱い一杯酌み交わす

春野桜草


着信はゼロ花冷の夜のひとり

小原かおる


花冷や我が門出の日思い出づ

小野小マーチ


花冷えに帰りし息子と暖を取り

小林弥生


花冷の紅き蕾と笠地蔵

松あかり


花冷に身を縮めても満開の空

松重橘


花冷やシート広げて初仕事

松本なにわっこ


花冷えやシートの青のみ残りたる

松本マンボウ


花冷の五百羅漢も肩を寄せ

笑々


花冷やランタン囲み蒼シート

上山凡仁


花冷をお酒に変えた御座の上

上殿のおチイ(ウメの妹)


花冷えの風舞う下で父おもう

上野風香


花冷やふわりと羽織るカーディガン

信州そば


花冷の夜や盃には一片

新古まき


花冷に呆けし母と手を繋ぐ

森野モコ


花冷やフードにひらりピンク色

森野久万


赤み増し咲く寸前の花冷かな

翠善


瓶底の酒一合や花の冷え

杉崎拙訓


花冷えに一人立つ娘の凛として

瀬戸内しずか


花冷や熱い緑茶が心地よい

成瀬桃うさぎ


花冷えや肩をすくめし我が子らも

星野 美咲


花冷や今年最後の鍋支度

清澄麻子


花冷えや三条河原に君思ふ

生田 大五郎


花冷や公園の蕾あと三日

西倉美紗子


花冷えや嬉し懐かし場所取りへ

青い手まっちゃん


桜咲く花冷震え新学期

赤羽ナナ


花冷に抱っこの吾子の温もりよ

雪丸


花冷のブルーシートの河川敷

千明


花冷や一枚羽織る帰り道

泉 恵風


花冷えで縮まる背中君との距離

泉谷 梅子


花冷や肩よせ星の露天風呂

浅野ふさこ


花冷のホーム佇むフレッシュマン

想楽 前走


花冷か土堤を歩むにどれ着よか

相沢 閑邦子


皆待つやブルーシートの花の冷え

相模のムーミンばあば


花冷えや髪をピンクにしてみた日

窓川ぽん


花冷や自販のコーヒー手に熱し

増田楽子


花冷えや雪洞の灯もふるへをり

大ちはる


定年を迎える門出花冷す

大西奈余子


見栄張って花冷の帰路くしゃみする

大野 町子


上着抜き身に沁みたるや花冷に

大和田 利勝


花冷のスカートふわり頬赤き

滝口心


花冷や湯のみにゆるく熱を得る

棚橋なおこ


花冷えに母の手作り肉うどん

単武


花冷や歓声響く通学路

男子三兄弟


長靴にひとひら花冷えの現場

竹原かよこ


花冷の源泉掛け流し露天風呂

茶々子


花冷えに自販機ボタン手袋で

中村止一


花冷やひとひらひらり風の中

中島裕貴


花冷や茶碗の温さ掌に

中嶋敏子


花冷えに薄墨色のコート着て

中藤古希


花冷に弾むカラフルランドセル

塚田柳糸


花冷えに逆らい薄着のど痛し

鶴城


花冷えや宴会客の固まりぬ

田口悲真棒


花冷に長湯で終はる一日かな

杜野 ほたる


散歩道思わず速歩花の冷え

渡部かえる


花冷のベンチいつしか膝に猫

渡辺香野


花冷や静かに眠るつぼみたち

東野出流


花冷やコートに包む抱つこの子

東狼


花冷や酒と弁当リビングで

桃好き


花冷や手つなぎ歩く影ふたつ

藤原訓子


凛と立つ枝先の蕾花冷えに

藤村 一寿


花冷えや「あぁ~っふ~っ」極楽ぞ

堂元笙染


花冷やヒートテックはまだ要るの

憧憬 飄


花冷えに自由になったマスクして


花冷や繋いだその手ポケットの中

奈千子


花冷えや旅立つ君と歩く夜

南北亜西


花冷に猫はひなたで丸くなる

猫野コネ


花冷で思い出されるピンク色

梅雨まち子


花冷やレジャーシートと羽織もの

萩 直女


花冷えや両の手につつむワンカップ

畑中真土


花冷えやつい振り返る別れの日

板垣 涼風


花冷に手をつなぎ行く睦まじさ

尾崎 弐風


花冷を耐えて蕾が花開く

美月つみき


花冷やクションクションと花鼻炎

浜のじじい


ライトアップ君とよりそう花冷や

平山千鶴


花冷えや友の訃報の届きし日

平野佳音


花冷や尽きた命をふと想う

片由魔字ッ個


上着手に走る花冷バス発車

峰晶


花冷えや彼の上着に袖通す

望月幸人


花冷えの午後のお供はミルクティー

望月美希


花冷えに襟立て急ぐ最寄り駅

北川茜月


花冷を理由に断捨離先延ばし

北乃かんばし


花冷えに少し膨らむ蕾かな


幼子は気にせず遊ぶ花冷えも

未だ未熟


花冷に一枚重ね急ぎ出る

夢 未知女


花冷えやピンクに染まる街並みへ

木下浩文


花冷やエコバッグにはカップ酒

野口静竜


花冷えにのんびり浸かる湯の香り

野中琴梨


花冷えや遠目にピンクの道見えし

野々のりぴー


花冷や父に会いたき五十年

柳本あらら


花冷の父の文から見えし老い

優音


花冷や午後二杯目はミルクティー

優純bow


花冷や赤提灯へちょい一杯

友マンクット


花冷えや腕を抱えて立ち話

有馬やまめ


花冷や合格通知に笑み一つ

葉月緑正


花冷えやスーッとあたる頬の風

羅風音


花冷や頬赤らめて一年生

粒野 餡子


花冷の軽くはやあしランドセル

龍泉灯


花冷や晴れの日スーツ誇らしげ

涼風 蘭


借り物を羽織りてあおぐ花の冷え

嶺乃森夜亜舎


花冷よ無数に散った便箋に

鈴木  学


花冷の酒いそいそとぬくめけり

鈴木 真冬


花冷えも一興久しぶりの酒

鈴木すゞ


花冷えの夕暮れ明日は巣立ちの日

蓮花


花束を抱えて花冷の離任

幟あると


花冷に襟元正す別れの日

綺野たえ


花冷で可憐な姿しばしとどめん

藪本ゆかり


花冷やひとりぼっちの通学路

麁架りお


花冷や酒で暖とる宴かな

槇 まこと


●ピックアップコメント:

「冷」の一字がもたらす影響は大きかったようです。一枚羽織ったりポケットに手を入れたり、温かな飲み物や食べ物を求めたり。また、訃報や死、孤独、さまざまな精神的落ち込みに結びつける発想も多かったようです。一方、桜の時期であることから新生活や環境の変化などを句材とした取り合わせもありました。

明るいイメージと暗いイメージ、両方に振れることのできる、幅広い連想力を持った季語といえそうですね。

たくさんの類想を見ることによって、自分の中に類想のデータベースが構築されていきます。今回見かけた発想のおかげで、陥りがちな類想も避けられるようになるかもしれません。

---------------------------------


明日から火曜日、水曜日、木曜日、と入選句を発表します。入選句の評価は火、水、木(ステップアップのためのヒントに掲載分も含む)ともに同じランクです。順不同での掲載です。

そして金曜日は、初級者投句欄の優秀句発表です。

投句はこちら