毬雨水佳
かげのゆ
稲川ほろろ
風薫子
如月 さら
水口真奈
ねうねうこ
チョコ沢ブラウニー
茶々子
けいた7歳
想楽 前走
小林一弓
藤井舞月
鶴舞櫻山
金子加行
ミセスコロンボ
ツキミサキ
アナミスト
竹石猫またぎ
なかおくじら
積 緋露雪
虎の尾
高石蓬莱
井出一葉
月夜田しー太
池野五月
れい
三谷あいこ
ひさもとゆう
西間木獣魂碑
濱野 五時
吉田白山
島江凪雅
谷 斜六
雨水 二三乃
山葵わさび
鳴川尚好
かときち
かわいはる
山口百太郎
美村羽奏
秋月あさひ
英公蒲
峠の泉
中山長風
松橋春水
澤木樹心
松本くらり
雨逸福
バーバラ
足立とんび
横井あらか
高山玲徹楚々
喜祝音
枝葉
遠山貴弘
藤原訓子
ルック鷹丘
死似 季残
桜ことり
花蜜伊ゆ
慈夢りん
雪待月 田猫
夏山栞
選者コメント
家藤正人選
初級コースの金曜日掲載は中級への昇級の目安。中でも特に目を惹く句についてピックアップコメントをお届けします。
「からっぽの朝のおなかだ氷柱に陽 毬雨水佳」
起き抜けの空腹を思わせるあっけらかんと楽しい口語句です。夜は小食なのか、それとも病み明けの身か。おなかの中はからっぽで、いっそ飢餓感が爽快ですらあります。そんな自分自身の肉体感覚と氷柱の透き通った光とが詩的スパークを生んでいます。外の空気は透徹と冷えていて、からっぽのおなかにキーンと響くんだろうなあ。
「ふるさとはひりんほろんと氷柱の音 稲川ほろろ」
聴覚によって「氷柱」を描いた句の中でも、空間の広さを感じさせる展開が秀逸です。氷柱一つの発する音ではなく、ふるさとという空間に垂れるいくつもの氷柱の間を風が通り抜けていくような感覚。特に冷える冬のこの時期にだけ、風の響きがひりんほろんと変わって聞こえるのです。ああ、これぞふるさとの響きだなあ……というしみじみとした感慨がひらがなの柔らかな表記からも伝わります。
「軽トラの顎の氷柱を蹴り攫う かげのゆ」
氷柱を折ったり蹴ったり持っていったりしたくなるのは人の好奇心の性といいましょうか。時にそこには少しのむこうみずさや暴力性も混じり込みます。「軽トラの顎」は前部バンパーかなあ。一晩の間に垂れ下がった「氷柱」。カッコイイ。欲しい。その衝動に任せて、蹴り折って持ち攫う作者。決して軽トラ自体に悪さをしてるわけじゃないんだけど、どこか後ろ暗い気分で逃げ去るのでしょう。下人の行方は誰も知らない、てなもんで。
いずれもお見事でした。自信がついたら中級にもぜひ挑戦してみましょう!